刀使ノ指令ダグオン   作:ダグライダー

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 こんばんは。
 色々悩みながら書いている内にワクチン接種の日が来て、左腕が痛くなるわ、琴歌の声が安齋さんになってテンション爆上がりだわ、86エイティーシックスの2期目が始まってワクワクだわ、タクトオーパスが思いの外ツボに刺さっただわで気付けば今日まで掛かってしまいました。反省



第九十二話 最終決戦その2!勇者の力!刀使とアルファ。

 前回の"刀使ノ指令ダグオン"

 

 勇者の力大盤振る舞い。

 無限砲ヤバい。

 そして儂イプシロン。メッチャおひさ。

 

 あの馬鹿は殴る!それは兎も角デルタはどこに消えた?

 

 しらそん。

 


 

 ━━駒王町・断崖空間

 

 アルファによってもたらされた技術・武装により神器を経由し発揮される別世界の勇者の力。

 異世界に異世界の力を重ねる裏技により敵を効果的に討ち果たした彼等、残るはライナーチーム、ダグシャドーと共にコンビを組み対応している巨大な敵、二天龍が相対する巨獣、女神パープルハートと渡り合っている女性型の彫刻像、刀使達が斬り伏せている有象無象の荒魂雑兵、そして今回の事件の首謀者たる異星人──宇宙芸術家アーティシャン星人。

 

 今、そのアーティシャン星人はファイヤーダグオンが撃ち放った無限砲。

 躱したにも拘わらず、極光長大のエネルギーは星人の頭部となった地獄門を歪め、彼の星人の腕を切断させ、肉体の表層を焼き、その熱と痛みは星人を苦悶させるに充分な威力を発揮した。

 試作品、僅か半分の出力であってもだ。

 

 

 ギャぁァアぁ!?!?!熱いぃぃ!?痛い痛い!!?!熱い痛い!!うでがっ!?ワタシのウデガァァ!!

 

 悲鳴が絶叫となって空に響き渡る。発した言葉に奇妙なノイズ、ズレの様なモノが雑ざる。

 それは痛みの剰りに外聞をかなぐり捨てたが故の星系言語。

 解るのは痛みと熱さを訴える言葉。

 

 「うん!予想とかとは違ったけど痛がってるし、苦しんでるし、結果オーライだね?!やったねファイヤーダグオン君!!」

 思ってた結果よりも凄まじい威力とその結果に些か戸惑い汗を滴らせながらも、敵に大打撃を与えたのだからとグッと拳を握りファイヤーダグオンに賛辞を贈る。

 

 「(無限砲の威力はホントに想定外だったけど、その辺は帰ってから調整すれば良いし)残すは星人とデカブツ系八匹にねぷねぷが戦ってるヤツだけだ!ドンドン行ってみよ~!」

 あざとさ全快のファイティングガッツを取りながら完全に他人事気分で盛上がるアルファ。

 其処へ近付く数人の刀使、増加する事が無くなったとは言え、雑兵を片付けながらもダグオンの最重要人物に接触を計る。

 

 「あの…それで貴女は結局何者なんですか?」

 改めて舞衣がアルファに誰何を訊ねる、早々と結論なりを出して後顧の憂いを減らしたいからだ。因みに彼女もアルファの性別には気付いていない。

 

 「(う~ん……管理者云々は今伝えるタイミングじゃないし、元々ドリルライナー試作型と無限砲試作器ver0を渡しに来ただけだしなぁ…うん取りあえず…)ボクはアルファ!ダグオン達の上司で偉い人!君達で言うところの紫ちゃんや朱音ちゃんのポジションさ!」

 

 「えっ…?」

 

 「紫様や朱音様と同じ…?」

 

 「うっそだろ、威厳もクソもねぇじゃんか!?」

 

 「本当に貴女がダグオン達の最高指揮官なのですか?」

 

 「どう見てもキュートガールにしか見えまセーン」

 

 アルファが己の立場を刀剣類管理局局長とにあたる立場と例えた事に、刀使の皆が思わず茫然となる。

 そしてエレンが口走った一言が、アルファに次なる衝撃発言を促す事になろうとは、彼女達も予想だにしなかったであろう。

 

 「異議あり!!ボクはキュートガールじゃあない!キュートなボーイだよ!!そこ重要!!」

 

 「「「「「「「「「「「「えっ…?」」」」」」」」」」」」

 

 全員が声を揃えって目を点にする。

 

 「うっそぉ!?男の子なの?!」

 

 「なる程…ねねがやけに戸惑ってたのはそう言う訳か……」

 

 「知らないと女の子にしか見えないね」

 

 「うん。男の人に見えない…」

 

 美炎が声を荒げて驚く横で納得する薫と和気藹々とする可奈美と沙耶香。

 他の面々もおおよそ似たような反応である。

 その中で智恵が思い出した様に頭を振るう。

 

 「って、こんなやり取りをしてる場合じゃないわ!?わたしたちもダグオンの皆さんやネプテューヌさん達の加勢をしなきゃ!」

 

 「瀬戸内智恵の言う通りです。我々も我々で残党の星人の雑兵や黒幕が産み出したモノで対処出来る相手を受け持ちますよ!」

 

 同じく正気に戻ったミルヤが率先して陣頭指揮を執り、指示を飛ばす。

 その言葉に全員が(薫は些かやる気に欠けるが)「了解!」と声を揃えて返す。

 

 「みんなガンバレー♪」

 それを尻目に何処から取り出したのか小さな旗を摘まんで振るアルファ。

 

 「貴女…失礼、貴方は戦わないのですか?」

 

 「え?やだなぁ、ボクに戦闘能力があるワケないじゃん。ミルヤちゃんにはボクに戦う力があるように見えるの?」

 人によっては何とも腹立たしい口振りで言外にバカなの?と語るその顔はダグオンの面子であれば翼沙を除き殴っていたかもしれない。

 

 「ではこの場に留まるのは危険なのでは?」

 

 「うん!だから君か清香ちゃんみたいに守勢が得意な子の誰かが守ってくんない?」

 

 何と言う面の厚さか、堂々にも無力を主張しお守りを頼み込んで来た。

 

 「(本当にこんな人物が彼等の指揮官なのだろうか……)………分かりました、六角清香!貴女は彼じょ…いえ、彼を私と一緒に護衛しなさい。他は先の指示の通りに」

 

 「は、はい!」

 防衛に秀で、腕も立ち、物腰は穏やかでもいざと言う時の肝の座り様から清香をパートナーに選ぶミルヤ。

 

 「ミルヤちゃんに清香ちゃんかぁ、まぁ悪くないかな?帰ったら自慢してやろう♪」

 一体何が悪くないのか、誰に自慢する気なのか?と言う疑問は些事故に捨て置き、しかしやはり微妙にイラッと頭に来る塩梅のアルファを視界端に捉えながら未だ残る雑兵へと対処する2人。

 他の刀使達も戦場で騒ぐ、目立たない方が無理だと主張するピンク頭を狙って迫り来る敵を各々フォーメーションを駆使して応対していく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『ホイールボンバァァアアア!』

 ダグターボの右腕よりタイヤの形を象った爆弾が連射される。しかして目標となる盲目の怪鳥はその全てを紙一重で躱す、刃の様に鋭い翼を広げ、羽ばたくのでは無く滑空する姿はどちらかと言えば猛禽ではなく翼竜のようである。

 頭部も嘴などではなく牙がはっきりと認識出来る形であり、盲目の怪鳥と表しているが実際には視覚機能の無い翼竜型の怪獣と言った方が無難であろう。

 

 『何と言う機動…。しかし我々は一人で戦っている訳では無い!』

 敵の非常識なまでの飛行能力に驚愕を口にしながらも、相対しているのが己一人のみでは無いのだと憚り彼女の名を叫ぶ。

 『ジャンヌ・ダルク!』

 「OK、見えない癖に器用に躱すみたいだけど、これは避けられないでしょ!」

 応じるはフランスの聖女の魂を受け継ぐ聖剣の神器の使い手にして、彼の聖女と同名の少女。

 禁手にて解放した聖剣を寄り集め造り出した"竜"をバラして、怪鳥の周囲全方位360度を囲み込む。

 

 ──しかし

 

 《Lrrrrrr!》

 

 肉声…否、超音波による怪声を自らの前方の剣に見舞い穴を作る。それでも躱し切れない上方と下方からの剣雨は翼を腕の如く振り、尾を回し弾く。

 

 『「!?!」…器用な真似を…!!』

 

 翼竜が如き盲目の怪鳥は刃たる翼と剣たる尾、矛たる"声"を以て音速の巨人と聖女に渡り合う。

 

 

 

 

 

 

 

 『オウ、筋肉。合わせろテメェのミサイルとオレの無限火力であのデブガエルの装甲ブチ抜いてやらぁ!』

 「乗ったぁっ!」

 

 重甲を誇る深緑の巨人とギリシャ最大の英雄の名を戴く巨漢が、その火力を以て同じく重装甲火力型と思われる蛙の様な機巧兵器にその力を叩き込む。

 

 『ファイナルバスタァァァア!』

 「"超人による悪意の波動"ォォオッ!!

 核を除く人類が出せる多大な兵器による砲火にたった1人と1体で匹敵する様相を見せる。だが……

 

 『アァッ?!クソがッ!硬ェ!』

 

 「装甲だけで防いだにしちゃ綺麗すぎんな、野郎…ミサイルはテメェの火器で撃ち防ぎやがったか?」

 

 爆煙が晴れた先に現れたシルエットは健在の機巧蛙、お返しとばかりに口を大きく開き、他、身体中至る箇所から内蔵された火器を展開する。

 

 「『ヤッベッ!?』」

 

 陽電子砲、光粒子砲、機関砲、迫撃砲と言ったモノから弾丸やビームが飛び交う。

 ダグアーマーは蛙がそうした様に迫り来るミサイルを迎撃しながらヘラクレスを庇う形で前に出る。

 全身兵器の物言わぬ蛙はそれを只管感情の無い瞳で見詰めている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「喰らえ!デュランダル!!」

 

 聖なる気を放つ大剣の一撃が衝撃となって内部構造が覗く透明なマネキンへと向かう。

 当然、馬鹿正直に喰らってやる必要も無いのでマネキンはその巨躯を軽快に動かしながら回避行動へと移る。そこへ──

 

 『逃しはしません!ブリザードタイフゥゥゥゥンン!!』

 絶対零度の吹雪が襲い、マネキンの脚部を凍らせてゆく。

 回避が取れぬ人形に光を伴った斬撃が直撃する。

 

 「やったか!?」

 手応えを感じ、仕留めたと半ば確認する様に叫ぶは聖なる大剣の主、ゼノヴィア。

 

 『直撃はしました。ですが…動体反応は健在です』

 対し、それを否定する答えを出したのは人形を凍らせ回避を妨害した白銀の巨人ダグウイング。

 彼の指摘に眼を細め斬撃の軌果の先を見れば、その先に立つは引っ掻き傷程度の損傷を受けたマネキン、その傷も見る見る内に修復してゆく。

 

 『このままただ攻撃していても駄目ですね、いえ…それよりも相対すべき相手が悪すぎる。なる程流石自称とは言え芸術家だ、観察眼はあると言う事ですか』

 

 「感心している場合か?どうする?アルファから受け取ったヤツを使ってみようか?」

 

 『いえ、それは止めておいた方が良いでしょう。相手を確実に倒せる状況まで持っていけない内は……或いはゼノヴィアさん自らが命の危険を感じたと思った時以外は』

 

 「ふむ…なら他に手はあるのか?」

 

 『幸いにして僕達は一人で戦っている訳ではありません。互いの位置関係も連携を密にすれば問題無いでしょう』

 

 「つまり?」

 

 『ファイヤーダグオンやダグアーマーなりに言うならばレイドとスイッチと言うやつです』

 

 人形からの反撃を躱しながら、肩に乗るゼノヴィアへ策を語るダグウイング。

 そしてその策を実行に移す為、ダグシャドーとロスヴァイセの戦場へと視線を向ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 紫影が舞う、3機の供を引き連れて。

 

 対峙し斬り結ぶは折紙の怪異。

 

 紫影達を援護するのは美しき銀髪の戦乙女。

 

 『…チッ、斬っても斬っても終わりが見えん…!』

 

 「斬られた先から生えてきてますからね…。あれ本当に紙なんですかね?」

 

 そもそもが紙らしき物質を鎧の様に纏った影が正体なので、現在ダグシャドー達が相手取っている姿は空蝉に過ぎない。

 故に折紙はただ再構築されるのではなく影に合わせて形を自由に変えてゆくのだ。

 

 百足、犬、鶴、鮫、毬、等々…。一枚折りの折紙で出来る筈の無い姿にまで変転しているのだ。

 

 (…奴の姿が変化する直前に見える影……あれが本体なのは間違い無い…が、巧妙に隠している。これでは縫い止めるのも容易くは無い……。拘束剣では奴の鎧…外郭の紙しか縛れない。戦乙女の魔導は強力だが……ダグウイングのブリザードタイフーンの様に一息で周囲の空気中ごと極零度以下まで凍らせるには些か足りない……)

 儘ならないと思いつつも思考を巡らせるダグシャドー。

 何度目になろうかと言うシャドー絶対拘束剣で敵の動きを止める。

 ロスヴァイセに託された異界の勇者の力がどの様なモノかは見当が付かないが、恐らく不用意に使用しても敵は倒せないだろうとダグシャドーは半ば確信を持って推察する。

 

 今一度、無駄と理解しても再び斬り棄てるかと思い、カゲムラサキを振り下ろさんと構えた時、左方より風を切る音がダグシャドーの元へ届く。

 

 『……!ダグウイング!』

 

 『ダグシャドー!協力して下さい!膠着した状況を打破します!』

 

 『……承知…。俺はどうする?』

 何故等とは訊かない、そんな事をしている暇は惜しいし、何より彼等は最早戦場で10全てを語る必要は無い、1を口にすれば十全でなくとも凡その意図は理解出来る。

 ならば訊ねるべきは己が如何なる行動を取るか。

 

 『まずは互いの敵を入れ替えましょう。確実に各個撃破します、後は臨機応変と言えば理解出来るでしょう?』

 

 『……フッ…』

 

 短く笑うダグシャドーの態度を返事と捉えたダグウイングが今度は肩に乗るゼノヴィアへ指示を飛ばす。

 

 『ゼノヴィアさん、ダグシャドーの元へ飛んで下さい。僕はこれから全力を出します』

 

 「うん?あ、ああ、リュウゴの方だな」

 至近の会話だからかゼノヴィアは本来の名を口にする(或いは無自覚なのかもしれないが)。

 

 途もあれ、自身の肩に架かる小さな重量が無くなった事によりダグウイングの両肩のファンが急速に回転し始める。

 

  マキシマム…ブリザードッ!タイフゥゥゥゥゥウウウウンンン!!

 

 普段の威力の倍はあろうかと言う豪雪の竜巻が瞬く間に折紙の怪異に殺到する。

 拘束剣により動きを封じられた怪異はしかし、自ら本体の影を曝す訳にも行かず為すが侭に拘束剣のエネルギーや周囲の空気ごと氷塊にされる。

 

 『…シャドークロー!』

 対し、ダグウイングを追跡して来たマネキンはダグシャドーが肘のアンカー、シャドークローを用いて捕獲・拘束。

 

 『…ヌンッ…!』

 

 そのまま空気投げの要領で転ばせる。

 

 『ダグシャドー!その敵をダグアーマー達の方へ!ゼノヴィアさん!アルファから受け取った力を氷塊の敵へ!』

 ダグウイングが空を飛翔しながら指示を飛ばし、ダグターボの元へと向かう。

 

 『…分かった…』

 「任せろ!」

 「あれ?!私は…!?」

 唯一指示の無かったロスヴァイセが自らを指差して思わず叫ぶ。

 「出番が来れば呼ばれるだろう?」

 

 デュランダルの柄部分をスライドさせ、アルファから受け取ったメモリーカード(ゼノヴィア用の物は金塊の如き大きさである。何故か)を装填しつつ、ロスヴァイセの言葉に応じる。

 

 「""機動"!……タイプ【勇者王】GGG式イレイザーセイバーか…ふむふむ、取り敢えず振ってみればどんなモノかは解るだろう!」

 デュランダル、エクスデュランダルと形状を経由し現れる穢れ無き白き刃。

 三重連太陽系が存在する世界の地球にて人類が叡智を結集して造り上げたハイパーツール、超AI勇者ロボ超竜神が使用した"イレイザーヘッド"を元にした装備である。

 

 「ヤツを凍らせている氷が溶けない内に決めなくてはな」

 金色を通り越して白金と輝く変化した愛剣を構え、力一杯大地を蹴る。

 

 「そのままの名前と言うのも味気無い。よし、名付けて…エクスデュランダルイレイザー!!

 普段であればそのまま振り下ろし斬撃が光破のエネルギーを伴うが、イレイザーヘッドの特性を持つ為対象へと接近、突きの姿勢で氷塊に突撃する。

 切っ先が触れイレイザーセイバーの能力が発動する。

 氷塊が砕けるよりも速く、氷塊内を白金の光が満たしエネルギー衝突による量子超振動波が折紙の鎧ごと本体の影を侵食し飲み込む。

 内から外へ消失してゆく物体。最後に氷塊が跡形も無く失せ、折紙の異形はその痕跡をこの世界から塵1つ残さず消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 『……ダグアーマー!開けろ!』

 『アァ?!開けろって何を……ってオアァォォ!?マジかぁぁぁっ!!?』

 

 ダグシャドーが拘束した人形を地蔵と化している蛙に投げ込む。

 当然進路上にはダグアーマーとヘラクレスが居る。

 声を掛けられ2人は慌てて退避する。

 ぶつかり、鳴り響く嫌な金属反響。

 

 『…っぶネェだろうが!』

 「俺なんか生身だぞ!?距離的にメッチャ全力疾走するハメになったわ!!?」

 2人揃ってダグシャドーへ文句を飛ばす、しかしダグシャドーは些事として無視する。

 

 そしてダグターボとダグウイングの戦場では──

 

 ターボダッシュによって怪鳥とのドッグファイトを続けるダグターボ、ジャンヌはそれを地上から歯噛みしながら剣を飛ばす。

 

 「あぁぁあ!もうっ!速すぎんのよっ!当たらないじゃない」

 ダグターボを追う怪鳥に剣を射ち出してはいるものの、三次元機動を自由に飛び回る怪鳥には当たらない、精々がダグターボが追い付かれない様にする事だけである。

 

 『(ターボダッシュでは空戦を本懐とする敵への対応は厳しい。此方が複数ならば未だしも、俺とジャンヌ・ダルクだけでは…、ん?あれは…)ダグウイング!』

 

 『ダグターボ!そのまま直進してダグアーマー達の元へ、あの怪鳥は僕が地上に落とします!』

 ダグターボに言うや否や、ダグウイングは背部のウイングユニットの翼をVの字の展開状態から真逆のΛ字に可変させ怪鳥に突撃してゆく。

 そしてそのやり取りだけでダグターボもダグウイングの意図を察し、地上まで高度を落とすとジャンヌを回収しダグアーマーの元へ駆ける。

 怪鳥が逃げるダグターボから向かって来るダグウイングへ標的を変える。

 翼を大きく広げ刃でダグウイングを真っ二つにしようと言う算段だ。

 それに対してダグウイングは未だ速度を落とさず突っ込む。

 接触まで後、10m……9から8に架かろうかと言う僅な距離、そこでダグウイングは己の身を捻り、此方も自らの翼の刃を怪鳥の翼に対して垂直に交わる形となる、狙いは怪鳥の翼の付根…つまりは肩関節の可動域だ。

 これが陸上で人間ならばまだリカバリーも出来ただろう、しかし互いに巨体、ある程度物理法則を無視しているとは言え片や翼竜の滑空、片や宇宙の科学技術に於ける慣性もへったくれも無い自由飛行。

 当然軍配はダグウイングに上がる。

 片翼を絶たれ隻翼となった怪鳥は螺旋の軌道を描いて地面に堕ちて行く。その先にあるのは自らと同じく創造主によって産み出された同胞達。

 

 『よし、これを…!』

 怪鳥が蛙とマネキンの方へ堕ちて行く姿を見届けながら絶ち斬られた翼を回収し先端の爪を引っこ抜くダグウイング、そのままダグターボ達の元へとトンボを返す。

 

 『ンで、この後ドースんだよ?カエルヤロウにはオレらの攻撃は効かなかったゼ?』

 

 『その手段はダグウイングが持ってくる。それにお前が相手をするのは今堕ちてきた怪鳥とマネキン擬きだ』

 

 『はァ?!二体かよ!?』

 

 『倒す必要は無い、攻撃する事が重要だ』

 

 『ヘイヘイ、美味しいトコはアルファの奥の手を貰ったアイツらがってワケね。まぁ楽で良いケドよっ!』

 

 ダグターボの言葉に肩を竦めつつ起き上がろうとした人形にアーマーバルカンを叩き込む。

 蛙が火器を展開しようにも上に重なった味方が邪魔で思うように展開出来ない、更に重なった怪鳥の所為で展開の勢いではね除ける事も出来ない。

 

 『そのまま射撃を続けて重火力装甲型の火器展開を妨害しろ。上にあの二体がのしかかっている間は満足に攻撃は出来ん』

 

 『オーライ、ンで口の荷電粒子砲はどうすんべ?あっち撃たれたらコッチも防御せざるおえねぇワケだが……』

 

 「俺様の禁手を叩き込んでも誘爆しねぇ堅さだ、生半可な攻撃は通らんだろうさ」

 「それって攻略法ある訳?」

 「無ければ敵を一ヵ所に集める作戦など取らないだろう?」

 ヘラクレスとジャンヌの会話に怪異を倒したゼノヴィアがロスヴァイセと共に合流する。

 

 『……来たか…!』

 シャドークローの拘束を解きシャドーバルカンにてダグアーマー同様妨害を実行していたダグシャドーが飛んで来たダグウイングを視界に認める。

 

 『ダグターボ!()()をっ!!』

 そう言ってダグウイングは蛙の口目掛け切断した怪鳥の翼を投げる。

 

 『ああ!解っているとも!』

 応えるや否や、再びターボダッシュで駆けるダグターボ。怪鳥の翼が開いた蛙の口内に届くその瞬間、ダグターボは唯一刃と化していない可動域を妨げない肩口の部位にその拳を振り上げる。

 

 ターボピストンナックルッ!!

 

 ダグターボのターボピストンナックルによって釘打ち機の釘の如く叩き付けられた刃は蛙の重甲堅牢な体に傷を入れる。

 

 「「傷がっ!?」」

 

 『やはり…いくら重装甲でも口内の部位は一段耐久度が落ちている筈です。何よりどれ程強硬かつ堅牢であっても元の素材が同じなら傷が付かない道理はありません』

 

 『……なる程、ダイヤを研磨するのにダイヤモンドカッターを使用するのと似たような物か……』

 

 『ハン、矛盾の理屈ってのとはチョッち違うが鳥ヤローの方がいくらか鋭かったって訳か』

 

 『ええ、面の物体に対して点の物体で風穴を穿つと言う理屈です。そしてあの蛙は口内を開いた時に荷電粒子砲のエネルギーをチャージしています、先ほどと違い攻撃が内部機構にまで届く様になった今、此方も高エネルギーの攻撃を仕掛ければどうなると思いますか?』

 

 『ドカン!ってか?ンだべオレの攻撃は基本実弾だぜ?ダグシャドーのプラズマバーンでもぶつけるってか?』

 

 『いえ、ロスヴァイセさんが適任です。勿論ダメ押しでダグシャドーも参加してくれても構いませんが……』

 

 『……念の為、他の敵に対して牽制をしておく…。それに恐らく彼女だけで事足りる。あの管理者はふざけてはいるが…渡した道具なり武器なりの精度は七割程度信頼に値する……』

 

 「残り三割ダメなんだ……」

 

 鋼の巨人達のやり取りを聴いて、刀使達に囲まれているアルファの方へチラリと視線を向けたジャンヌが呆れた様に溢す。

 

 『ンじゃ頼むゼ、ロスヴァイセチャン』

 

 「え…ええ、と言っても私の場合渡されたと言うより……奇妙な構築式を授けられたと言うのが正しいんですが……兎に角!分かりました!私なりに最善を尽くします!」

 

 言って、両手を翳し、科学的な魔方陣を展開するロスヴァイセ。

 青、赤、黄、緑(氷、炎、雷、風)の円其々の端が中央で重なる様に展開される。

 中央に現れるアルファベットGを象ったエメラルドの紋様、撃ち出される4つのエレメントが竜の姿を模して翼が刺さった蛙の口内へ殺到する。

 翼を通じて流れ込んだ膨大な高エネルギーに加え、自らが発射の為にチャージしていた荷電粒子砲のエネルギーが逆流し内部から爆発を起こす蛙、マネキンと怪鳥がダグオン達からの攻撃を受けるにも構わず慌てて退避しようと踠く。

 しかし多少離れた所で爆心地に程近い2体は光に呑み込まれる。

 

 「特殊術式【勇者王】GGG流マキシマムトゥロン。属性自体は在り来たりなエレメントなのにこの破壊力とエネルギー量……後でアルファ氏に訊いてみようかしら…」

 自らが放った技の威力と性質に驚きながらも、後の方になるにつれぶつぶつと呟き始める。

 

 『シャアっ!マトメて撃破だ!』

 

 『いや…まだ動く』

 

 蛙が味方ごと巻き込んで爆発した事に呵成を挙げるダグアーマーに対してダグターボは爆煙の中より動く2つの反応を見付ける。

 晴れた黒煙の中より姿を表した怪鳥とマネキン、2体は死に体の様に傷だらけであった。

 

 『怪鳥の超音波で爆発の威力を殺したか。トドメを刺すならば今を於いて無い!』

 

 『『『応!!』』』

 

 『ブレイクホイィィィイルッ!!』

 

 『ファイナルバスタァァァアア!!』

 

 『クリスタルカッタァァアア!』

 

 『シャドー手裏剣!!』

 

 4体の勇者が放つ怒涛の攻撃をしかし怪鳥とマネキンは超音波やレーザーを使い耐え忍ぶ。しかし──

 

 「やっと俺達の出番だな!」

 

 「文字通り、美味しい所を貰おうじゃないの!」

 

 「「"機動"」」

 

 ヘラクレス、ジャンヌ・ダルク共に神器に組み込まれた"勇者"の力を発動する。

 

 「おぉぉぉおお!ダブルファントムリングプラスゥ!」

 ヘラクレスの神器が黒鉄の籠手へと変化する。その形は塔城小猫が使用した物と酷似しているが、彼女の物と違い両腕の籠手が共に高速回転しているのだ。

 また腕の周囲には光輝く円輪が存在し回転する籠手の威力を大幅に底上げしている。

 

 「【勇者王】GGG式フィニッシュツール!ツインブロークンファントムを喰らえぇぇぇええ!」

 

 ロケットパンチよろしく飛び出す籠手の拳が怪鳥の残った翼に直撃する。

 全てを切り裂く翼も大質量・高トルクの拳を面で受けてしまっては破砕される他無い。

 ましてやそれが二撃ともなれば尾の剣など気休めにもならない。

 斯くして怪鳥は断末魔の超音波を放ちながら胴体に穴を開けられ、首を捥がれて絶命した。 

 

 

 「【勇者】宇宙警察式カイザーブレイド!ドラグーンボウ!ドッキング!」

 ジャンヌが発動した物は造り出された聖剣の1つを両刃の両手剣に、もう1つを弓へと変化させ、その2つを更に合体させる。

 すると巨大な両手剣に変化したではないか。これこそ彼の勇者グレートエクスカイザーの必殺武器巨大カイザーソードを元にしたグレートカイザーブレイドである。

 

 「サンダーフラッシュ!!せりゃぁ!!」

 

 サンダーフラッシュの声に伴い刀身を炎が 包み、黄金に光る。どういう理由か周囲の空は暗雲立ち込め、激しい落雷が鳴り響く。

 そうして黄金の剣となったグレートカイザーブレイドを死に体となったマネキン目掛け振るう。

 自身の数百倍はあろうかと言う人形がその一振で両断された様は正しく必殺の一太刀。

 硝子とも水晶とも取れる外郭を内部の骨格ごと断たれた人形はガラクタと化して崩れ去る。

 

 「やった!」

 「これで残るはあの門の化け物だけだな」

 

 『兵藤達は手伝わなくて良いのか?』

 「まぁ、勝つでしょ」

 「ああ、イッセーもヴァーリも強いからな。多少苦戦はするかもしれないが……勝つと思うよ。それはネプテューヌにも言える事だけれど」

 

 ロスヴァイセが拳を小さく握る中、既に次の標的をアーティシャン星人へと移すヘラクレスの発言にダグターボが口を挟むが、ジャンヌとゼノヴィアは何と無しに彼等とネプテューヌの勝利を疑わぬ発言を口にする。

 

 『フヘェ…そう言うモンかねぇ。スゴい信頼だゼ。ま、そんな言うンだったらオレらも星人の方に──』

 行こうゼとダグアーマーが続けようとした中、瓦礫の中から蠢くナニかが現れる。

 

 『『『『「「「「!?!」」」」』』』』

 

 それは半ば千切れ潰れた怪鳥の頭、下半分を断ち斬られ頸椎のみとなった骨格、爆発で粉微塵になった中唯一残った姿勢制御のスラスターを継ぎ接ぎにした三体の怪物を合わせた残りカス。

 ソレは己を倒した者達に向かう()()()()()、刀使達が密集する場へ蚰蜒の様に無様に駆ける。

 

 『……っ、狙いは清香達か…!』

 ダグシャドーがカゲムラサキを躱されその行く先に見当を付けた時には蚰蜒擬きは嘲笑うかのよう最後の悪あがきに少女達に凶刃を向ける。

 

 駆け出すダグターボ、ダグアーマー、ダグウイング。その瞬間3機の…否、3人の心の内が1つとなる。

 

 『『『させるかぁぁぁぁ!!』』』

 

 一瞬、ほんの僅な事ではあるが3機の鋼の巨人の身体を光のオーラらしきモノが覆う。

 心が1つとなった事で3機の巨人の性能が跳ね上がる。

 間に合う筈がなかった距離をダグターボとダグウイングが詰め、正面に回り込む。

 蚰蜒擬きの背後には既に翔び上がったダグアーマー。

 威力が上がったターボピストンナックル、グラビトンキック、抜手が蚰蜒擬きを直撃し、今度と言う今度こそ敵を撃破する。

 

 『……今のは…』

 3機の性能以上の力を目撃したダグシャドーは1人謎の現象に目を鋭くするのであった。

 

 

続く

 


 

 次回予告(BGM:We are DAGWON)

 

 今の感覚は一体……?

 

 なんか身体がアツくなったな、どっかオーバーヒートでもしたのかネェ。

 

 ビークル状態ならいざ知らず、融合状態でそんな事になったのなら戦いが終わった後に僕らの身体もメディカルチェックをする必要がありますね。

 

 

 次回、"刀使ノ指令ダグオン"

 最終決戦その3!二天龍VS二大巨獣。激突女神と偶像。

 

 なんかデカイピコハンが出てきたんですけどぉぉお!?

 




 う~ん、ラピライ早くリリースしてくれないかなぁ、そしたらタクトオーパスもリリースした時に迷い無くダウンロードするのに…。
 個人的にはカルメンとくるみ割り人形とワルキューレが好みですかねぇ、次点に運命と木星。

 それでは次回お会いしましょう。
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