刀使ノ指令ダグオン   作:ダグライダー

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 こんばんは、コラボ章も今回で最後です。
 それにしても年末が近付くにつれ仕事が忙しくなる……、次の話のプロットも捏ねるのに時間が掛かってしまうかもしれません。

 タクトオーパス5話にワルキューレ出たのは良かったなぁ…出来たらカルメンか木星かクルミ割り人形もアニメで動いてる所見たいなぁ。



第九十四話 異世界協奏曲エピローグ

 前回の"刀使ノ指令ダグオン"

 

 斯くして鋼の巨人となりし勇者達はまた1つ巨悪を砕いた。

 しかして戦いは終わらず、であるが彼等はまた一時の休息の時に身を委ねん。

 しかし大公の関係者で行方不明になったのはシーグヴァイラではなかったと言う事か……。

 

 ンン!我が名はデルタ!漆黒を纏いし次元の執行者

 


 

 ━━月軌道上

 

 地球の外縁軌道より離れ月の影に隠れる形のJーエースが気付いたのはその光芒が途轍もないエネルギーであったからだ。

 

 『おぉぉお?!余史上最大のピンチ!!?故にイタシカタなぁぁあし!』

 

 感知したエネルギーの奔流から逃れる為、間髪入れず後部車輌を切り離す。

 余計なウェイトを無くしたJーエースは瞬く間に光芒の範囲から逃れる事に成功する。

 

 『許せベテル、余としては別段惜しくも無いが…貴様の最期は余が盛大に盛り立てて伝えてやろう』

 

 「勝手に此方(こなた)を殺すな!」

 

 『おお!無事であったか………残念だ』

 

 「ええい!もう少し取り繕え!!」

 

 自身の中でシートをバンバン叩く仮面の修道女の文句を聞き流しながらJーエースは彼女がどの様な手段で助かったのかを訊ねる。

 

 『して、一体如何なる手段を使いあの光から逃れたのだ?』

 

 「忘れたか?此方は次元を操りし者。己の身一つ転移する程度なら装置など無くとも容易い」

 

 『おお、言われてみれば。しかしなんだ、その件の装置は光に呑まれ消えてしまったが……大丈夫なのか?』

 

 「さてな。破壊された以上、地球で入れ替えた街が元に戻るのも時間の問題だろう。

 そもそも、アーティシャンめが此方をこき使い入れ替えた他の地も、彼方めが置いたであろうモナドなる彫刻が破壊され続々と元に戻っていったのだ。

 最後まで確認出来た訳では無いが……恐らく彼方めは生きてはいまい」

 

 『そうか…、ならば余達が此処に留まる理由は無い。弟達も戻ったと言っていたしな。

 まぁ見世物としてはそれなりではあったな!ハッハッハ』

 

 相も変わらず仲間意識の稀薄な彼等の会話、Jーエースは言葉通り月の軌道を離れ、火星圏のエデンへ帰還せんと進路を取る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ━━地球・日本山北町in駒王町

 

 無限砲より立ち昇った光が消えてゆく。

 周囲を席巻していた荒魂やザゴス、シード星人等の雑兵有象無象も刀使の手により殲滅せしめ、空間歪曲によって生まれた断崖の中に残るはダグオン、刀使、そして異世界より来た来訪者達のみ。

 今回の騒動の首謀者と目されるアーティシャン星人を倒したファイヤーダグオンが今、ゆっくりと降下し着地する。

 

 『よっしぁ!見たか俺の一撃ぃ!』

 

 『狙い付けたのオレな』

 

 「その武器を造ったのはボクとギアちゃんだから」

 

 「きょ、恐縮です!」

 

 大地に降り立ち第一声が子供の様な勝鬨の声、そんな彼にツッコむのは視覚センサーを貸していたダグアーマー。

 更に敵を討った武装──無限砲を製作したのは己と異世界の少女だと喧伝する美少女にしか見えない美少年。

 

 『分かってるって、今回ばかりは助かった……ってお前何で顔に痣出来てんの?』

 

 「これ?ねぷねぷが倒した敵の破片がぶつかったの…痛い」

 

 「何かごめん」

 

 『いや謝る必要は無い』『割りとジゴウジトクだしナ』『まぁ良い薬になったのでは?』『…どうせすぐに忘れ、また調子に乗る…。今時分くらいはへこませておけ……』

 

 「それよりワシのドリルライナーを直さんかい!」

 

 ファイヤーダグオンが指摘した通り、アルファの右目がパンダの様に痣になっている。

 その原因はパープルハートが倒した女性の彫像の胸部らしき破片が激突したと言う、それに対しネプテューヌが申し訳なさそうに謝罪を口にするが、勇者達は口々にそんな必要性は無いと述べる。

 ゲキなどそんな事より自分のマシンを直せとせっつく。

 

 「え、ひどくない?」

 

 

 「あの~……お話中申し訳ないんですけど、なんかその大砲、バチバチって鳴ってません?」

 そんな空気の中、山城由依がおずおずと挙手をして会話に割って入る。

 

 『何っ?!』

 

 気付いた時には無限砲の表面に無数のプラズマと火花が散っており、ファイヤーダグオンは慌てて無限砲のジョイントを解除、思いっきり遠方に放り投げる。

 

 『全員、我々の背後に!』

 

 ダグターボがネプテューヌ達一行や刀使達に自分達の身体を盾にする様に指示を飛ばす。

 鋼の巨人達が少女達を守り易い様に膝を屈めたり、密集したりとして爆風に備える。

 遅れて轟く爆音、凄まじい爆風が巨人越しの少女や少年達を襲う。

 

 「ぁぁぁああああ!?!ボクの無限砲が」

 「私の無限砲が!!」

 

 「「ん?」」

 

 「いやいやいや、ギアちゃん?何言ってんのかな?無限砲は元々ボクが造ってたモノだよ?キミはそれを手伝っただけだよね?」

 

 「いえいえ、確かに仰る通り、製図や基礎フレームは元々アルファさんのモノですけど、大元は別の人が造ったモノなんですよね?それにパーツ加工と組み上げ、プロトコルを組んだのは私ですし」

 

 「「ぐぬぬ…」」

 

 「えっ、ナニあれ…」

 

 「意外ですわねぇ」

 

 「お互いの琴線に触れた何かがあったみたいね」

 

 無限砲爆発から突如てして始まった笑顔の睨み合いからのマウント合戦。

 唐突に始まったそれにネプテューヌは困惑し、朱乃、リアスが珍しいモノを見たと言う顔で傍観する。

 

 『アルファのヤツ、珍しく突っ掛かるじゃネェの』

 

 『エンジニアとしてのサムシングから来る譲れない何かでしょう。気持ちは解ります』

 

 『解ってしまうのか……いや、お前はそうだったな…』

 

 『……しかしどうする?無限砲もドリルライナーもこのままと言う訳にも行くまい……』

 

 物珍しそうに溢すダグアーマーの横でダグウイングが腕を組んで深く頷いている。

 そんなダグウイングの共感を示す言に何とも微妙な所感を感じつつも、ああ…そう言えばこの男は綾小路の問題児として数えられていたと納得するダグターボ。

 そんな彼の心労を理解した上で、しかし今現在直面している問題の方を提示するダグシャドー。

 

 「勿論っ、持って帰るよ!そろそろこの空間歪曲も揺り戻しが来て元に戻ろうとするからね、その前にキミ達で運んどいてよ」

 

 そう言ってビシッという擬音と共に指を差すアルファ、その言葉を何となく想定していたダグオン達は各々軽い返事を返すと作業に取り掛かる。

 

 『あーあ、砲身が破裂したパイプ管みたいになってらぁ』

 無限砲を放り投げた責任もあってか自ら回収に出向いたファイヤーダグオン、爆発した無限砲だったモノを見て思わず溢す。

 その言葉の通り、無限砲の砲身の先端は膨張し破裂した蒸気パイプの様なひしゃげ具合となっている。

 他、ジョイント部も爆発により黒ずみキャノピーも砕け、辛うじて大砲としての形だけを維持している。

 それ故、ジョイント利用して担ぐ事が出来ずに最終的に両手で抱える事となった。

 

 片や試作型ドリルライナーはライナーチームが融合を解除し各機体下部から牽引用のワイヤーを出し、一誠や祐斗、ヘラクレス、曹操が固定作業を手伝っている。

 

 「オーライオーラーイ!」

 

 「器具を見るに磁力式というヤツか、手伝いと言っても我々の仕事は誘導とワイヤーがしっかりと固定されているかの確認くらいなものだが」

 

 「点検作業も立派な仕事だと思うよ、機械の目だけじゃ解らない事もあるしね」

 

 「つっても引っ張った感じしっかりくっついてるぜ」

 

 ターボライナーの誘導をする一誠を尻目にドリルライナーに接続されたワイヤーの基部を確認している曹操。

 ヘラクレスがワイヤーを引っ張り、強度を確認している。

 ドリルライナーの中では薫と美炎が客車を散索している。ちゃっかり黒歌と小猫が座敷猫よろしく寛いでいるのはご愛嬌。

 可奈美、姫和、エレンがガードホークに運ばれ断崖の上へ。

 沙耶香、舞衣、ミルヤをガードウルフが。

 智恵、呼吹、由依をガードタイガーがバトルモードで断崖の上──街の方へと運んで行く。

 残る清香をジャンヌやアーサーと共にダグシャドーが運ぶ事で飛行出来ない者達を断崖から脱出する。

 リアス、朱乃、ギャスパーの様に自ら飛べる事が出来る者達は自力で飛んで上へと移動する。

 さらりとヴァーリがネプテューヌをお姫様抱っこで飛んでいる。

 さて、では残る飛行が不得手の者、飛行出来ぬ者はどうするのかと言えば──。

 

 「はーい、飛べない子達しゅ~ご~。っと言ってもギアちゃんとイッセーくん飛べるよね?あ!もしかして疲れてるからとか?まぁサービスで一緒に上に連れってってあげるけど」

 胸元のポケットから小さな装置を取り出して遠間隔に配置しながら周囲に呼び寄せる。

 

 「それは?」

 

 「んふふ~♪超お手軽使い捨て転送装置、その名も"瞬間小隊ジャンプ"さ!」

 

 「危なっ?!名称危なっ!!?良いのかそれ?!著作的に!!?」

 

 ロスヴァイセからの質問に意気揚々答えるアルファ、そして道具の名前を聞いて一誠が脂汗を大量に浮かべてツッコむ。

 が、この楽天家にそんな常識は無い。

 

 「えー?何がー?何が危ないのかなぁ?」

 

 寧ろ藪をつつかせに来る。

 

 「いや…こう…某月曜発売日の……って言わねぇよ?!」

 

 「ちぇ…。じゃ、いっくよー!」

 

 一瞬乗せられた一誠、しかしハッと我に帰ってアルファの思惑を外す。当然目の前の少年は期待を裏切られてふて腐れる、と同時に装置を起動させるので心の準備なぞ出来ていない他の面々は抗議を口にしようとするがそんな間も無く、転送は終了し、気付けば見慣れた街並みの中である。

 

 「はい、とーちゃーく。さぁみんな撤収準備だよー」

 

 「いやちょ、待てよ!」

 

 「えー、なに?ボク的には疲れたし痛いし帰りたいんだけどー」

 

 一誠の如何にも抗議すると言わんばかりの顔に、眉を潜めて帰りたいと宣うピンク頭。

 しかし赤龍帝の少年とは別に彼等のすぐ後ろからやって来た銀髪の少女からも抗議が飛んで来る。

 

 「失礼、少々お待ちを」

 

 「えー、ミルヤちゃんもー?何なんだよ~」

 

 「さて、兵藤一誠氏に関しては私に言われても仕様が無いのですが……私共の要件は明快です。あの断崖の内に放置しているノロの事でご相談があります」

 言われて、そう言えばあの雑魚星人達ってノロ混じりだったなと思い出す管理者アルファ。

 

 「はいはいノロね、ノロ……(後々の事を考えたら放置しておいても問題無い…や、それはそれで新種の荒魂が産まれる可能性もあるのかぁ)しょうがないにゃあ、ファイヤーダグオン君、ちょっと合体解除してファイヤージャンボにノロ回収させてくんない?」

 

 『色々雑だなぁ、ちょっと待ってろ』

 

 急に話を振られ呆れるファイヤーダグオン。無限砲だったモノを拓けた場所にゆっくりと置くと、そのままダグファイヤーとファイヤージャンボに分離し、再び断崖の中へと戻って行く。

 断崖内ではダグファイヤーがファイヤーラダーと共にファイヤージャンボへとノロの回収を始めている。

 

 「ファイヤージャンボの積載量ならあの量のノロも余裕ヨユー。歪曲が閉じる前には作業も終わるよ」

 

 「感謝します、では回収を終えたノロは後程来る回収班の者に渡して貰えると…」

 

 「うーん、それはちょっと難しいかなぁ、そっちと規格が違うからさ。だから引き渡すのは後日って事で♪ダメ?」

 

 「……それは…いえ、分かりました。上にはその様に報告しておきます」

 

 アルファの返答に僅に眉根を寄せ困り顔をし、暫しの沈黙の後、自らの裁量を以て結論を出す。

 そうしてまた1つ苦労を重ねた少女と入れ代わりでネプテューヌがアルファの元へとやって来る。

 

 「ねぇねぇ、訊きたい事があるんだけど…」

 

 「ん?もしかして敵を倒したのに街が基の世界に戻らないって事?」

 「全部言われた……」

 「まずさ、すぐに戻ったらボクはともかく、他の子達は困るじゃない?それに倒したのは首謀者であって原因の装置は別にあるし…まぁその装置の反応を感じ取れるんだけどね」

 「それじゃ今すぐその装置ってのを探さないと!!」

 「無いよ」

 

 「え?」

 

 「だからもう無いよ。ファイヤーダグオン君が空に逃げる宇宙人を倒した時に、その射線の先にあった装置も消えて失くなったし」

 

 「え、ってことはその装置ってずっと空にあったの?」

 「正確には宇宙だね。まぁあの玩具にしては規模が大きかったし、エデンの宇宙人の誰かが何かしら改良を加えていたんだと思うけど、だからまぁ多分明日の夕方くらいには元に戻るんじゃないかな」

 「ホントかなぁ…」

 

 アルファが今回の次元入替えの原因について黙っていた事実に対し、僅ばかりの不信感を募らせつつも、だからダグオンのメンバー達からも扱いがぞんざいになるだろうなと思い至る。

 

 「ホントホント、こういうのはウソつかないから」

 

 「(それ以外はウソつくんだ…)わかった、んじゃ今日と明日の夕方までの時間はまだまだこの世界で過ごす事になるんだね」

 

 「そうなるね…あ、ノロ回収の人達来ちゃってる。まぁミルヤちゃんがボクに質問する前に呼んでたみたいだし仕方無いね。無駄足ご苦労様でした」

 南無南無と手を合わせ回収班の徒労に拝むアルファ。

 

 この後、ダグオン達とアルファはダグベースへと帰還し、ネプテューヌ達は刀使達と共に刀剣類管理局に帰参する事となる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ━━鎌倉・刀剣類管理局本部

 

 神隠しに端を発した今回の異変。それらの件が一応の終息を見せたとあって、本部発令室の本部長席に座る真庭紗南も一先ずの安堵に肩を撫で下ろす。

 

 「異星人を倒し、明日の夕刻には街も元に戻る…か、事実であるなら当面は安心だな」

 

 「はい、アルファ何某と名乗った人物の発言に嘘が無ければ…ですが」

 

 「その辺りは…ダグオン達の元に身を寄せていただろう其方に意見を訊きたい所だな」

 

 ミルヤからの報告を受けながら、彼女の隣に同行していたリアスに視線を配る。

 

 「付き合いが短いから詳しくは何とも…ただ、ダグオン達が何も文句を言っていないし、もう一人…彼等の基地に管理者を名乗る存在が居るのだけど、彼女…ええ、彼女の方は信が置けるから、彼女も同意見であるなら問題は無いはずよ」

 

 「他にもあの様な存在が居るのですか……」

 

 「まぁその管理者とやらに関してはいずれダグオンもしくは当人から詳しく訊くとして、ご苦労だったな木寅、グレモリーもわざわざ疲れている所呼び出して済まなかった。明日までゆっくり休んでくれ」

 

 新たに浮上した謎に頭を悩ませつつも、ひとまずはと部下と客人を労う紗南。

 

 ミルヤとリアスは連れ立って発令室を後にする。

 

 「はぁ…(また厄介な問題が増えた…いや、考えようによってはダグオンと一括りに出来るか。話を聞いた限りではダグオンとの関係も良好とは言い難い気もするが……)ダメだな、少ない情報で考えても頭が痛くなるだけだ、取り敢えずは朱音ちゃんの方にも情報を共有しておかないとな」

 薫は紗南をブラック上司と謗るが、彼女も彼女で過労に喘いでいる存在である。

 宜なるかな、国家公務員と言う名の社畜は管理職であっても避けられ得ぬ肩書である。かしこ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ━━ダグベース前・格納スペース

 

 刀使達を降ろし、試作型ドリルライナーと無限砲を空輸で持って帰って来た勇者達は現在、その持って帰って来た(片方はゴミ同然となったと言っても過言ではないが)荷物の前で立ち尽くしていた。

 

 「どうすんだよ、これ」

 雑に置かれたドリルライナーと無限砲を前に焔也が溢す。

 

 「モチロン、データをサルベージして本格仕様モノを造り上げるよ?」

 

 「そう言う事じゃなくてヨォ、この置物にしかなんネェデカブツ二つをどう処理すんのか訊いてンだヨ」

 

 「ドリルライナーに関してはまぁ、まだ使い様はありますけど、無限砲はこれ…処分すべきでは?…いやでも…下手に処分しようにもエネルギー元の技術によっては特別な処理が必要な可能性も…汚染なんて事も──」

 

 「どうあれコレ等の処遇は全てお前に任せて良いんだな?アルファよ」

 思考の坩堝に没頭し始めた翼沙を置いて、戒将が無限砲のキャノピーに何らかの端末を差し込んでいるアルファに訊ねる。

 

 「まぁそこはボクの領分だし任せたまえよ!それよりも明日がねぷねぷ達と過ごせる最後なんだし、お世話になったお礼でも考えといたら?」

 

 「……一番世話になっていたのはお前だろう……」

 

 「てへっ♪」

 

 その夜、アルファの顔に青アザが増えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ━━火星圏・エデン監獄

 

 「へぇ、あのナルシスト殺られちゃったんだ、性格はクソだったけど作品は嫌いじゃなかったなぁ」

 監獄の中央広場で囚人の誰かがそんな事を口走る。

 

 「マジかよ」 「趣味悪ぃ」 「ナイナイ」 「引くわー」

 

 その言葉に集まっていた他の囚人が思い思い返す。

 そしてそんな喧騒から離れた柱の物陰で包帯を全身に巻いた陰鬱な異星人の男が、渇いた唇で卑屈に嗤う。

 

 「ああ、良かった。面倒なヤツが跡形も無く死んでくれて良かった。手間が省けた手間が省けた」

 

 自称監獄最弱の異星人である。彼は自らの包帯を弄りながらボソボソと呟く。

 

 「あんな身勝手なヤツの細胞が一片でも残っていたらどうしようかと思ったが、報告の通り跡形も無く蒸発したんなら…ヤツは除外される、己としては一安心だ一安心だ。

 そうとも誰があの様な輩を好き好んで()()()()()()()()()()()()()……そう言う意味ではダグオンには感謝しよう感謝しよう…」

 一頻り独白した後彼は監獄の闇の中へ姿を消すのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ━━刀剣類管理局本部・食堂

 

 「えぇぇっ!?可奈美のお兄さん昨日まで行方不明だったの!?」

 

 「うん、そうみたい」

 「そうみたい……って、随分と他人事じゃねぇか」

 「オゥ…カナミンはお兄さんの事が心配じゃないんデスか?」

 

 翌日明けて、響き渡る美炎の叫びに対しあっけらかんと返す可奈美。

 そんな彼女の反応に薫とエレンは複雑な面持ちで可奈美を伺う。

 

 「うーんでも雷兄が迷子になって数日連絡取れなくなるのは何時もの事だし、お父さんも私も慣れちゃったし」

 

 「何時ぞやの話に出た兄か、何と言うか……それは大丈夫なのか?」

 可奈美の兄の評を聞き、姫和が未だ見ぬ衛藤家長兄の姿に何とも言えぬ顔をする。

 「それは大丈夫。大抵は雷兄はおかず作り置きしてるから、家にお父さんしか残って無い時はそれで過ごしてるし、備蓄が少なくなって来た頃には普通に帰って来るし」

 と苦笑して語る可奈美。

 同席していた清香が心中で兄にも色々あるんだなぁと染々している。

 「それで可奈美ちゃん、雷火さん今度はどこまで行ってたの?」

 「それがね、よく分かんないんだって、日本らしいんだけどね。ただ……空を見上げた時に陽炎?みたいな現象が起きて、そこにダグオンが映ってたって言ってたよ」

 「不思議な事もあるものね……でも可奈美さんのお兄さんが帰ってこれて良かったわ」

 「聞いた限りじゃしょっちゅう迷子になってんだろ、本人だって特に危機感懐いてねぇんじゃねえの」

 同様に同席している舞衣が雷火が行方不明になっていた場所について訊ねるが、可奈美も本人がよく理解していないと語り、雷火が目撃した現象について述べる。

 それを傍目に聴いていた智恵や呼吹も在り来りな感想等述べている。

 

 

 

 「今の話…どう思う?みんな」

 「専門の知識が無いから何とも言えませんが、多分僕らの元居た駒王町のある世界じゃないかと思います」

 「その辺はダグオンの誰かに訊いて確かめるしか無いだろう」

 「そう言えば結局、両方の世界で行方不明になった人達で無事な人達ってどれくらいかしら?」

 「その辺りも彼等が来た時に訊いてみなければね」

 可奈美達の会話をやや離れた席から聴いていたオカルト研の面々が顔を付き合わせてヒソヒソと話合う。

 そこへ、噂をすれば影が射すとばかりに食堂へ顔を出す、焔也、戒将、龍悟、撃鉄の4人、これ幸いとばかりに小猫が近付き、手近な焔也と戒将を引っ張り込む。

 当然、何事かと思いつつされるがままにオカ研一同が会す席に着席する2人、残った2人もそれとなく後に続く。

 

 「何だよいきなり引っ張って」

 

 「ちょっと、皆さんに訊ねたい事がありまして」

 

 「ふむ…話を聞かせて貰えるか?」

 

 「実は────」

 

 席に着いた戒将からの質疑に代表して答えたのはイリナだ、彼女はなるべく簡潔にかいつまんで先の事情を語り明かす。

 

 

 「成る程、しかし残念ながら我々にも神隠し…転移に巻き込まれ行方不明となった人物達の安否までは分かりかねる。アルファか……或いはデルタだったか?あの黒づくめの女性に訊ねてみるより他に知り得る手段が無い」

 

 「そっかぁ、じゃあ後で訊いてみてくれる?」

 

 「……アルファは兎も角、デルタとやらは難しいだろうな……」

 「ああ、何せあの顔見せ以降、一切姿を見ていない。恐らく何かしらの仕事をしているのだろうが……アレ等の思考を推し測るのは我々にも難しい」

 

 「ふむん、私達の方でも彼女に会えたら訊いてみるしかないか」

 「だね、とは言え以前に言われた通り、殆どの人が異星人の実験体として捕獲された可能性が高いのかもしれないけれど」

 龍悟、戒将からの言葉にゼノヴィアと祐斗が最悪を想定した体で一先ずの結論を出す。

 

 と、そんな重たい話をしている横で焔也は会話中に出て来た可奈美の兄の存在について考えていた。

 

 「衛藤に兄貴がいるのは聞いてたんだが……そんな事になってたのか」

 「知らなかったの?」

 学年がタメと言う事もあって割りとフランクに小猫が切り込んで来る。

 

 「いや、存在は衛藤や柳瀬から聞いてたんだけどよぉ、美濃関に居た頃は一度も顔を会わせた事もなくってよ」

 

 「ふぇ~、不思議ですぅ。僕みたいに引きこもってた訳でもないのに顔を会わせた事が無いなんて……その美濃関学院ってそんなに広い学校なんですか?」

 同じくタメとなるギャスパーがおずおずと訊いて来る。

 

 「や、一応伍箇伝の一つだから普通の学校よか敷地も広いし生徒も多いが…マンモス校って程じゃ無い……はず……」

 

 比較対象が小学生時代の為、イマイチ自信が無いのか言葉が段々と尻すぼみになる。

 

 「ま、まぁ…アレだ科も違ぇし、クラスも一緒になった事もねぇからな!それに聞いた感じ方向音痴っぽいし」

 

 「確かに。衛藤さんは慣れて気にして無いみたいだけど……にゃあ」

 

 「いくら方向音痴でも限度がある気がするよぉ」

 

 「ま、解決した事を気にしてもしょうがねぇや。ところでだ、お前らも先輩達も今日がこの世界最後な訳だろ?

 折角だから最後くらいは誰か俺に付き合わねぇか?美味いラーメン屋に食いに行こうぜ!」

 

 「ラーメンか、その話詳しく聞かせて貰おう」

 焔也が何気無しに放った言葉、それに反応したのはオカ研の誰でもなく、後から来て入り口付近でニヒルに立つヴァーリその人であった。

 

 「え?え?マジで?え?」

 

 これには焔也も困惑するばかり、そんな彼をヴァーリは有無を言わさず引っ張って行く。

 

 「あぁ!?先輩!!何でヴァーリさんと一緒か分かんないけど、なんか迷惑掛けたんですか!?」

 「バッ、違ぇよ!ラーメン屋の話したらこうなったんだよ!」

 「何それ?とにかくそう言う事なら、しょうがないから先輩が迷惑を掛けないよう私も一緒に着いてってあげるし」

 「はぁ?!お前、それは偏見が過ぎんだろぉぉお!!」

 ヴァーリに引き摺られ消えて行く焔也を追い、面白いモノを見付けた顔で美炎が何だかんだと理由を付けて続く。

 

 「美炎ちゃん、普段鳳先輩にからかわれてる意趣返しのつもりなのかな?」

 「かもしれないね、先輩…大丈夫かな」

 同美濃関の残り2人の反応は全く別であった。

 

 

 

 

 「えぇと、どうしよっか…」

 残されたオカ研一同でネプテューヌが声を溢す。

 

 「特に用事が無いようであれば、好きに過ごすと良い。俺は所用で本部長に会いに行く」

 

 「あの!でしたらご一緒してもよろしいですか?」

 

 戒将が席を立つのに併せ、アーシアが立ち上がる。

 

 「構わないが…何か自分に用でも?」

 「あ、いえ…その実は此処に来る前に本格長さんに呼ばれていまして、朝食が済んだ後で良いからと…」

 「成る程。であれば別途訪ねるよりは共に行った方が合理的ではある…解りました、ご一緒させて頂きます」

 戒将もアーシアを連れ立って食堂を後にする。

 

 「……俺はバイトがあるので失礼する…」

 龍悟は龍悟でそそくさと立ち去り。

 

 「ワシは智恵さんとお話するとしようかのう」

 撃鉄は智恵達の方へと移動しようとする。

 

 「あれ?そう言えば、申一郎君と翼沙君は?」

 

 「あん?ああ、あの二人はそれぞれ別件じゃ。申一郎の奴は日課のナンパ、翼沙は研究棟の方じゃけぇ───智恵さぁぁぁあんんん!」

 

 最後にネプテューヌからの質問に答えた撃鉄はそのまま智恵の名を叫んで華の女子校生の中へと突撃した。

 

 「撃鉄先輩、ある意味スゴいです…」

 そんな撃鉄の後ろ姿を見て小猫がボソッと呟いた。

 

 

 「じゃあ私達はお言葉に甘えて、時間まで好きに過ごしましょう」

 「ですわね。お世話になった彼女達とショッピングなんて言うのも悪くないかもしれません」

 「さんせー!今日まで色々あったし、半日だけだけど、最後にちょっとくらい、こっちでの平和を楽しんでもいいよね♪」

 部長、副部長、と来て主人公を堂々する最高学年の発言にオカ研一同反対する事も無く賛意を示す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ━━刀剣類管理局本部・発令室

 

 ここ数日の慌ただしさが嘘に思える程の穏当な今日日。

 にも関わらず、真庭紗南は変わらず各地へと派遣された刀使の部隊への対応に追われていた。

 其処へ戒将がアーシアを伴ってやって来る。

 

 「来たか、ふむ……揃っているなら丁度良い。纏めて済ませてしまうか」

 

 「?」

 「丁度良い…とは?」

 アーシア共々疑問符を浮かべる中、紗南はその答えを提示する。

 

 「まずは燕、お前が以前から出していた面会申請についてだ。先方の都合と彼女の体調から長い事保留にしていたが、つい先日…丁度、先の異星人事変で異星人が倒された頃に許可が下りた。それに当の本人もお前との面会を望んでいるようでな」

 と紗南は一度、言葉を切る。次の話に移る前に戒将の反応を観察しているのだ。

 

 「───…………そう…ですか、彼女自身が、分かりました。しかしその話を何故彼女…アルジェントの前で?」

 

 「その辺りも無関係じゃない。聴くところによるとアルジェントは他者を癒す、神器なる特殊技能…いやこの場合は特殊装備か?兎に角、稀有な力の持ち主だとか」

 

 「はい、おっしゃる通り私の神器には他人の傷を癒したり、体力を回復させたりする事が出来ます」

 

 「ふむ…それでだ、その力をアテにさせて貰えないだろうか?」

 ここまでの紗南とアーシアの会話で、戒将は彼女が何を企んでいるのかを察する。

 

 「それは…局長の意思ですか?」

 

 「局長と私の…だな。一応、人体からノロを分離する際の治療データは十分に録れた。それに優秀な人間を何時までも遊ばせておくのは勿体無い、贖罪の意思がある、と言うなら後は現場で働いて貰わないとな」

 

 交差する紗南と戒将の視線、2人の間には共通の人物が頭に浮かんでいる。

 

 「あの…それで私は一体誰を癒せば良いんでしょうか?」

 どうにも穏やかならぬ空気を感じ、自ら発言する事で和ませようとしているが、別段紗南と戒将の関係が悪いのではなく、戒将が紗南の口にした人物に対し諸々複雑な事情から煮え切らない感情があるだけである。

 

 「うん?ああ、そちらの都合に問題が無いようなら、すぐにでも車を回そう。なに、お前達が帰るまでには済ませるさ」

 

 「でしたらお受けします。今までのご恩をお返しさせて下さい」

 

 「恩義などと言われてもなぁ、私らがやった事なんざ、衣食住を提供したくらいで、戦闘に関してはそっちとダグオンの連中に任せっきりだったさ、そう畏まる必要は無い。

 でだ、お前はどうする?」

 アーシアからの言葉に自分達は特に何もしていないと自虐的に返す紗南、そのまま戒将の方に首を僅かに動かし、彼の返答を待つ。

 

 「同行させて頂きます。が、私は治療に立ち会わない方が良いでしょう。アルジェント嬢と本部長のご用が終わってから面会させて頂きます」

 

 「お前も大分堅物だな…。いや成る程、彼女がお前を気にかける理由が何となく解った。よし!長々とここで話すのも何だ、続きは道中車内でするなりしよう。行くぞ」

 

 言うが早いや、椅子から立ち上がり鍵を人差し指でクルクル回す紗南。

 どうやら公用車ではなく、彼女の自家用車で送迎してくれるのだろう。

 斯くして燕戒将は複雑な感情に内心をざわつかせながらアーシア・アルジェントと共に長船麾下の伍箇伝医療研究機関へと向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ━━都内某所・繁華街

 

 「さて、では見せて貰おうか、この世界のラーメンの実力とやらを」

 

 「え…割りとマジで…え?何でそんなガチなの?」

 

 「わぁ…先輩が本気で困惑してるの初めて見た」

 

 ヴァーリの手より解放され、改めて道案内として鎌倉から電車を乗り継ぎ都内の繁華街へと来た3人。

 ヴァーリの真剣その物な眼に、只管戸惑う焔也とそんな彼を見て、そこそこ長い付き合いの中で初めて見る表情に何とも新鮮な気分になる美炎。

 再び引き摺られても困るので、焔也は事前に調べた穴場の──所謂隠れた名店へと2人を先導する。

 

 「あった、ここだ」

 「うへぇ…なんか怪しくない?」

 裏路地を通り現れた店に美炎は思わず顔をしかめる。

 

 「真に美味い店ならば、見てくれは些細なモノだ、外見が薄汚くとも、店内と従業員が清潔ならひとまず問題は無い」

 

 「えぇ…」

 

 ニヒルに熱弁するヴァーリに胡乱に引く美炎。

 それは兎も角、店の戸を開けて自然に入店するのは彼女も相伴する気であるからだ。

 

 「……らっしゃい…」

 

 果たして戸を抜けた店内のカウンターから声を掛けて来たのは見覚えのある声と顔。

 

 「うぇぇ?!清香のお兄さん?!!なんで!!?」

 

 「…バイトだ…」

 

 特徴的な長髪をバンダナナプキンの中に纏めて麺を湯切りしている六角龍悟が出迎えたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ━━山北町・駒王町、街境

 

 そして陽は墜ち始め帰還の刻限が刻一刻と差し迫った頃、異世界より来た少年少女は街境となった場所の交差点に集っていた。

 

 「あー、楽しかったなぁ。でももうすぐ終わりなんだねぇ」

 ネプテューヌが伸びをして今日の事を振り返る。

 

 「そうね、そして私達は元の世界での日常を過ごす事になるわ」

 「帰ったら帰ったで壮絶な戦いが待っているだろうがね」

 続く様にリアス、曹操が自らの世界を取り巻く環境に言葉を洩らす。

 

 「だねぇ。ところで、みんなは今日一日何してたの?」

 

 「僕は衛藤さんに誘われて手合せですかね、いや…思い出すだけでも鳥肌が立つなぁ」

 「うん、私もついでに一緒させて貰ったが、彼女は凄いな、お互い対等な条件と言う事で木剣を使用した仕合形式だったんだが、最初の数本は木場が優勢だったんだが、回を重ねるに連れカナミが巻き返していてな」

 祐斗、ゼノヴィアが語る可奈美との立ち合い、その場には姫和も同席していたが、2人にとってインパクトが強かったのはやはり可奈美なのだろう、彼女の突出した剣の才に熱を帯びたように語る。

 

 「それに最初の方もなんと言うか…そう、楽しんでいた様に思う」

 「うん、少し恐いくらいに彼女は剣に生きている…そう感じました」

 「逆にヒヨリは何か迷いが見て取れたな」

 「流石にプライベートに関わるかもしれないから、深入りはしなかったけど…多分十条さんなら自分で答えを出せると思うよ」

 

 

 「なるほど~」

 

 「(わたくし)は向こうで巫女をしていると聞いたのでしょう、こちらの神職科…恐らく制服から美濃関の娘達、彼女達にノロの鎮守等を見て欲しいと乞われまして、ええ、中々に興味深い祭事でしたわ」

 朱乃は姫島神社にて巫女を務める都合から、その情報を知った神職科生徒に捕まり、此方の鎮守や祭儀を見学したのだと言う。

 

 「私とギャーくんと姉さまとジャンヌさんは清香さん主導でショッピングに行きました。由依さんが気持ち悪かったです」

 

 「なんか終始着せ替え人形扱いだった気がします…後、智恵せんぱい大変そうでした……」

 

 「撃鉄ちんも途中までは一緒だったけどねぇ、流石に女の子だらけの空間は居心地悪かったみたいにゃね、途中でどっか行っちゃた」

 

 「多分、その時に曹操とヘラクレスと一緒になったみたいね、なんか2人ともプラモの箱が入った袋持ってたし」

 

 「ああ、アレには参った。男泣きしながら買い物するもんだから、周りの目が痛いのなんの…」

 

 「ついでに餞別として人数分のプラモデルと御守を譲り受けたよ、さて、どうしたものか」

 ヘラクレスが多少げんなりとしている横、曹操は地面に置いたプラモデルの紙袋と御守が入った手提げ袋を取り出す。

 それはそれとしてギャスパーがちゃっかり女子組に組み込まれている事はスルーされた。

 

 「私の場合はエレンちゃんと舞衣ちゃんとでお喋りしたり、お菓子作ったりね。沙耶香ちゃんがリスみたいで可愛かったわ~」

 イリナが調理室での沙耶香を思い出して和んだ顔になる。

 

 「私は特に当て所無く散索していたら、ねねだったかしら?あの薫と言う娘と一緒にいる可愛らしい子と一緒になったわ。ついでにツバサの研究室とやらも見学させて貰ったりもしたわね」

 

 「私は青砥館でお世話になったので改めてお返しにお手伝いしていたのですが、途中鎧塚さんが来られて…その口説かれました」

 何とも言い難い恥らいを見せるのは銀の戦乙女ロスヴァイセ。

 

 「ふぅん、まぁ待遇は悪くなかった」

 「お兄様、お世話になったのですからもう少し言葉をですね」

 そしてフェニックス兄妹も彼等の輪に列を連ねる。

 

 そして境の線を越えた目と鼻の先には今回の件に関わったこの世界の人物が顔を揃えている。

 

 「お別れまで後もうちょっとかぁ」

 「しかし、こうして見ると、かなりの数の異世界人が来ていたんだな」

 可奈美と姫和が異世界組を見ながら染々と呟く。

 

 「しっかし、ダグオン連中と来たら意外と薄情なんだな、見送りにも来ねぇじゃんか」

 

 「えー、それふっきーが言う?」

 「わたし達が捕まえなかったらサボる気でしたよね?」

 姿を見せないダグオンに非難を述べる呼吹を美炎と清香がジト目で責める。

 

 (来てんだけどな!!)

 (喧伝する訳にもいかん)

 (マァ、口裏は合わせてるしダイジョーブじゃねぇの?)

 (う~ん何か忘れている気がします)

 (……む?)

 (どおした龍悟?)

 ヒソヒソと集まって小声で会話する若き勇者達、その時龍悟が何かに気付く。

 

 「……距離がある、はっきりとは分からんが…誰かが近付いてきている……恐らく複数…」

 彼がそう断言したと同じタイミングで交差点の向こう側、住宅街…それも兵藤邸があった方向から嬉々として迫る声。

 

 「オヒョ~ほほ~!!?街の様子が百八十度変わりましたね!興味深い!実に興味深い!……いやしかし…よくよく見てみれば些か見覚えのあるような配置…」

 交差点の中程まで来て急上昇したテンションが一気に落ち着きを取り戻す、そんな彼女の名前は渡邊エミリー。

 

 (エミリー……)

 従弟はそんな彼女の奇行に思わず顔を覆う。

 

 「ちょ、渡邊さん!?いきなり走り出してどうしたのさ!!?」

 

 「この声は!!」

 「葉菜!!」

 その後に現れた綾小路の制服を着た刀使の姿を認め、由依と美炎が驚きに口を開ける。

 そして次々と現れる見覚えのある姿に他の面々も思わず口を閉口したり眼を見開いたりと様々な反応を示した。

 

 「おいおい…ありゃ向こうの世界に消えてた連中じゃないのか?!」

 「ねー!!?」

 「岩倉さんまで居る…一体何が起きているんだ?」

 

 「あっ!薫せんぱーい!エレンせんぱーい!智恵せんぱーい!お久しぶりッスーーー!!」

 

 「茜ちゃん、元気そうで良かった」

 「デスね、元気爆発デース」

 

 「どもども七之里さん、それに渡邊…っと、エミリー氏が居るので翼沙先輩、お久し振りです播つぐみです」

 「おおっ!!同志渡邊先輩ではありませぬかっ!!不肖、森下きひろ新たなインスピレーションと共に帰参しましたぞ!!」

 

 「ちょっと待てお前ら!!」

 

 そしてそんな少女達を追う様に現れたナイスミドル、堕天使総督アザゼルである。

 

 「済みません、大丈夫ですか?」

 アザゼルに対し唯一真面に対応するのは早苗くらいなモノだ。

 

 「「おっちゃん!」」

 そしてそんな彼の登場にネプテューヌと一誠が驚愕を顕にし彼を呼ぶ。

 

 「播つぐみ、丸山茜、森下きひろ、渡邊エミリー、それに加え鈴本葉菜、岩倉早苗まで一緒とは…行方不明になっていた最後の面々が現れるとは、急ぎ本部長に報告しなくては…!」

 

 部隊責任者としてミルヤが携帯端末を取り出し本部に通信を取る。

 

 「ふむぅ、携帯端末のアンテナが復活したのは我々が元の世界に戻って来れたからだったのデスか…それはそれとして我が最愛なる従弟(マイ・ブラザー)、直接顔を会わせるのは随分久し振りじゃないか!」

 

 「僕は会いたくなかった……」

 

 「済まないが、積もる話は後にしてくれるだろうか」

 物凄く形容し難い顔を伏せながら呟く翼沙の肩を叩きながら、エミリーに向け待ったを掛ける戒将。

 

 

 

 「おっ、そうだネプ先輩、ギアちゃんちょっと」

 焔也が女神姉妹へ近付き、刀使達から見えぬ様に懐から小さな物を取り出す。

 

 「これって…」

 「ダグオンのマークのヤツじゃん」

 ネプテューヌの言う通り、彼の手にあるのはスターマーク──厳密に言えばダグオンのマークシンボルではなく宇宙警察機構のマークではあるが──を象ったアクセサリーが2つ。

 

 「アルファのヤツから、餞別だとよ。ついでに伝言、一つは記念品としての文字通り飾り、もう一つは空のストレージだっつてたッス、ストレージの方はギアちゃんに扱いを任せるとも」

 

 「分かりました。使うかどうかは別にして、貰えるなら貰っておきますね。後、アルファさんに無限砲のデータご馳走さまでしたとも伝えておいて下さい」

 「え、何それ私聞いてないよ?!」

 

 「(ギアちゃん抜け目ねぇな)解った、後笑顔が恐いよ?」

 まるで京女の如く笑顔に裏を感じさせる圧に焔也が思わず本音を洩らす。

 

 「しっかし、何故いきなり行方不明になった連中が現れたんじゃ?」

 「推測ですが…恐らく、兵藤邸だけ山北町に反転させられたのが、異星人の装置の破壊の影響により街の回帰が優先されたからかと」

 「ははーん、お前さんが翼沙とやらか…エミリー達よりは話が通じそうだな」

 とアザゼルがエミリーやきひろを疲れた瞳で見つめた後、翼沙の(表面上)真面な態度や言葉遣いに胸を撫で下ろす。

 

 

 

 「ん…?大地が微かだが揺れている…?」

 その後合流、再会を果たした面々が会話に華を咲かせている中、アーサーが大地の変化に気付く。

 

 「ああ、それは恐らく世界が元に戻る前兆かと」

 翼沙が既にアルファにより教えられている結果を、あくまでもイチ伍箇伝研究生徒としての憶測として伝える。

 

 「では別れの時だな、皆、境界より離れるんだ」

 戒将の言葉に従い互いが互いの側に数歩退る。

 

 「兵藤ネプテューヌさん、そしてリアス・グレモリーさんにオカルト研究部の皆さん、曹操氏他英雄の皆さん、刀剣類管理局を代表し私共が謝辞と御礼を申し上げます。助かりました、ありがとうございます。お元気で」

 「怪我などに気をつけて下さい」

 「色々カッコよかったです!」

 「うぅ…お姉さま方~その胸の抱きこ…温もり、あたし忘れません!」

 「台無しだよ由依ちゃん…」

 「ま、一応礼は言っといてやるよ」

 「呼吹さんはブレませんねぇ」

 「アザゼルさんお世話になりました」

 「アザゼル(うじ)~、私クンの発明は記念としてさしあげますぞ~!」

 「うーん、出来れば今暫く調査していたかったデスナ!」

 「止めてくれエミリー!!?」

 「翼沙先輩大変だなぁ」

 「オッス、本当にお世話になったッス」

 「もしまた会う機会があったらデートしようゼ!」

 「グッバ~~~イ♪今度会う事が出来たら楽しい時が良いデスね」

 「ねーねー!」

 「じゃあな」

 「…さらばだ…」

 「ワシからの餞別大事にしてくれよ!」

「今度もしこっちに来ることになったら今度は手合せしましょうねアーサーさん!」

 「可奈美、最後までそれか…」

 1人1人が言葉を掛けてゆくにつれ、駒王町側の大地はグングンと上昇して行く。

 そして地上の面々が豆粒くらいの高さに駒王町側が達した時、上空からも声が掛かる。

 

 

 「バイバイ、おねーさん、おにーさん達…バイバーイ!!」

 

 ライアンの掌に乗った結芽が声を張って別れを告げる。

 それをこの世界の最後の光景として異世界の勇士達はコインの裏表がひっくり返る様に元の世界へと戻るのであった。

 

 続く

 


 

 次回、"刀使ノ指令ダグオン"

 

 波瀾ノ前兆

 

 




 と言う訳で最後の方のあくまで此方の世界のみの終わりです、向こうの側のオチはロザミア様にお任せしてます。

 スパロボ30、私のプレイで一番最初にエースになったのはグリッドマンでした。
 因みに今やっとこさガオファイガー加入からのカギ爪が遺跡云々まで来ました。
 それはそれとして普通に面白いなメガトン級ムサシ……。

 ではまた次回お会いしましょう。
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