刀使ノ指令ダグオン   作:ダグライダー

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 こんばんは。
 いやぁ、何か端末のレスポンスが急に悪くなってゲームは出来ないわ、フリックが上手くいかないわで遅れてしまいました。
 まぁOS更新で治ったんですがね。
 調子悪くなる前に回した育成ガチャでカワカミ、カレン、そして二人目のキタちゃんが来ました。
 調子悪くなってからはガチャ回そうとするとアプリが強制シャットダウンするのでダイヤちゃん来てませぬ……。

 スマホは未だに解らない事だらけです。



第九十九話 正体不明、謎の刀使を追え?  

 

 前回の"刀使ノ指令ダグオン"

 

 旧折神紫派の刀使だかまだ見ぬ宇宙人刀使だか知らんが、ノロ強奪なんざ好き勝手してくれるよな。

 

 ねー。

 

 そうだな。まぁその辺り含めこれから研究病棟で伏せっている"ヤツ"にも話を聴きに行くとして、お前の反省室は決定な?

 

 ちくしょぉぉおおお!!そこは(てい)で済ませろよぉおおお!!

 


 

 ━━鎌府女学院・大浴場

 

 刀剣類管理局は折神家内の敷地にあり、更にその直ぐ隣には鎌府の校舎が併設されている。

 そうなれば当然任務や模擬修練を終えた少女達が使用する為の慰安施設も存在する訳で、そして今丁度いい汗掻いた乙女達が生まれたままの姿でその身を浄めんといっぱいに貼られた湯船に身を浸している。

 

 「私たちとはまるで次元が違いました!」

 湯浴みに沈む4人の1人、内里歩が興奮覚めやらぬ声で先程まで修練場で眼にしていた戦いを語る。

 

 「二人とも立ち合いたかったなぁ~」

 歩の感嘆を受けて可奈美は歩と美弥とも刃を交えてみたかったと溢す。

 

 「私達なんて相手になりませんから…」

 田辺美弥がとんでも無いとばかりに萎縮しながら呟く。

 

 「二人の剣術の流派は?」

 

 「私たち二人とも鞍馬流です!」

 

 「綾小路で鞍馬流と言うと……親衛隊の此花さんと同じ?」

 

 「あ…!はい!そうです!」

 「元親衛隊ですがね…」

 

 話題を変え、2人の流派に言及する可奈美の問いに又しても歩が勢い良く答える。

 そうして鞍馬流と聞き、可奈美の頭の中で該当する使い手の名を出す。それに歩は嬉しそうに答えるが美弥は何とも言い難い。

 

 「そっか~此花さんも強いよね」

 

 「ですね!」

 

 「その親衛隊も倒したって噂ですけど…」

 

 可奈美の寿々花評に歩が肯定するが、美弥がそんな寿々花すら捩じ伏せたと噂されていると可奈美を評する。

 その時今まで押し黙って湯に浸っていた沙耶香が立ち上がり浴槽から離れる。

 

 「先に上がる。少しのぼせたから部屋に戻る」

 背を向けたままそう告げた沙耶香の顔は暗く、しかし可奈美には見えない。

 

 「沙耶香ちゃんありがとう!沙耶香ちゃんの剣相変わらず速かったね」

 

 「でも駄目。速くても意味が無い。可奈美が本気を出したら多分私じゃ一本も取れない…そのくらい差が着いてる」

 

 「そんなこと……」

 

 「ない?」

 

 否定の言葉を告げようとして…だが沙耶香が本当にそう思っている?と問う様な視線を向けて、二の句が告げなくなる。

 

 「可奈美なら分かるはず。可奈美一人だけ遠い所に居る事」

 そのまま1人白い少女は浴室を後にする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ━━ダグベース・展望室

 

 「フードの刀使ぃ?」

 

 「……ああ…。ここ最近のノロ強奪犯と目されている…」

 

 格納庫が一望出来る展望室でダグビークルの整備進捗を見下ろしながら撃鉄が龍悟に訊ねた所、半ば結論付ける形で肯定を返す。

 

 「フード刀使のう……おチビとは違うんか?」

 

 「むぅ~!私ノロなんてもういらないもん!」

 『いラナイ!イラナい!』

 

 組み上げ途中のビークルを眺めていた結芽が撃鉄からの言葉に顔をむくらせて反論する。

 

 「冗談じゃ。そもそもおチビが使える御刀なんざ葱か大根しかないしのう、んでライアンは御刀じゃあ無いから……まぁ別人じゃろうて」

 

 「おじちゃんなんてタンスの角に親指と小指をぶつけちゃえ!!」

 

 「それは洒落にならんぞ!おチビぃ!?!!」

 

 「……仲が良いな…」

 

 撃鉄の背中をボカボカ叩く藤桜色(薄いストロベリーブロンド)の少女を見て龍悟が溢す。

 

 「えー、仲良くないし。龍悟おにーさん変なこと言わないで」

 

 (…その割には戒将の次に絡むのが大体撃鉄か焔也な辺り相当の仲だと思うが…)

 しかし比べて見れば己や申一郎、翼沙と比べると懐き方が同年代の友人並みに遠慮が無い様に見えるので、精神的な波長かと勝手に納得する。

 

 「……撃鉄の冗談は兎も角として…、他に未登録の御刀を使う者など異星人…もしくは……」

 

 「旧折神紫派閥の残党が隠し持っていたかもしれんモノ…ちゅう訳じゃな。んで、お主的にはどっちなんじゃ?」

 

 結芽の首根っこを猫でも掴む様にして持ち上げて少女からのボカボカラッシュを遠ざけると、即座に龍悟とアイコンタクトを交わし、結芽を部屋の外へ追い出す。

 

 「あー!?おじちゃんも龍悟おにーさんもなんか企んで────」

 

 まで少女が言の葉を紡いで、だがその科白は非常にもドアの閉口音とロックにより最後まで彼等の届く事は無かった。

 

 「これでええんか?」

 

 「……」

 撃鉄からの確認にコクりと無言で頷く龍悟。そのまま眼下の光景を眺めながら話の続きを語り始める。

 

 「…本部長から見せられた二件目の襲撃映像を視た限りでは何とも言えん……。背格好は結芽と同じくらいだが…天然理心流では無い…」

 

 「三件目以降の襲撃にはお主は現場に同行せんかったのか?」

 

 「…その辺りも含め、先の質問の答え…襲撃者の正体についてだが…管理局は…と言うよりも本部長がだが…現状最も想定しうる人物として、獅童真希を挙げている…しかし……」

 

 「お主は違うと踏んでいる訳か。それ伝えたんか?」

 

 「…いや…憶測の域を出ない以上証拠も無しに言うべきでは無いと判断した……」

 

 「ふむ?」

 

 「……実際の所は、以前山中の戦闘に加え、獅童の戦いは幾度か"視て"いる。しかしだ…山中での事は我々の事情をバラす事になるし……それ以前のモノは稽古中のものを眼にしたと言う理由で……確証には弱い…。その上で以前本部長と五條学長に依頼された…獅童の足取りを追う件を注力していた…」

 

 「だから同行はしておらんかったと………」

 

 「…ああ、しかしどうやら過去四件とも現場に獅童がニアミスしているので、結果的に三件目からは俺も…襲撃後の現場には立会っている……。その上で襲撃者の正体は……」

 

 龍悟の所感を聞き返事を返しながら遂に正体の手掛かりについて語ろうとする所まで来て、撃鉄はゴクリと喉を鳴らす。

 

 「……不明だ…」

 

 「っなんじゃい?!結局解らんのかい!!」

 

 「…獅童では無いが、しかし旧折神派閥の関係者ではあるかもしれない……、もしくは異星人の方かもしれない……結局、手掛かりが少なすぎる…」

 

 「異星人のう……つっても御刀持ってる連中はドレスの女に半裸の女の二人だけじゃったろ?」

 

 「……忘れたのか?ヤツらの一人が言っていただろう…四騎士の一人だと…。ヤツの言葉が事実であるなら…最低でも後二人、我々が知らない御刀を使う異星人が存在する事になる…」

 

 「ううむ…言われてみれば。そんな事をどっちかが言っていた気も…………」

 龍悟の指摘に記憶を探る様に首を捻る撃鉄、と同時にあんなのがまだ居ると思うと少し気が滅入ってしまう。

 「因みに、この話他の者には?」

 

 「…戒将には既に話した。それ以外はお前だけだ…」

 

 「ふんむ…、意外じゃのう。お主の事だから翼沙にも話しとるかと思ったが……」

 

 「……ヤツが忙しいと言うのも理由だが、俺なりに田中撃鉄という男を買っているのでね……」

 

 「おぉ…、なんぞ照れるのう。お、今日の分が終わったか」

 眼下の格納庫で稼働していたロボットアームの内、ドリルライナーと無限砲に割かれていた物が停止する。

 

 ≪ああ~しんどかった……一日10分はやっぱりきついなぁ」

 

 虚空から逆再生する様に現れる蛍光桃色頭(脳内お花畑手前)の美少女に見せかけた美少年ことアルファが袖口で額の汗を拭いながら2人の真後ろに現れる。

 

 「それにしたって作業に時間が掛かりすぎだと思うんだが……お主、本当にワシのビークルとあの大砲作る気あるのか?」

 

 「あ~り~ま~す~!ただダグサテライトのソフト関連の調整とか…TB(サンダービークル)シリーズとかFB-Pも同時進行してるだけだし……とにかく完成はさせるからもう少し待っててよ!!」

 

 「……なる程、何やら企んでいるのは理解した…」

 「ボソボソと呟いとった所が気になるが……約束守る気はあるんじゃな?」

 

 「それはあるよ、敵はこれからもドンドン強力なヤツが出てくるだろうし」

 

 「ふぅうむ……はぁ、分かった。信じよう。それはそれとして、そろそろおチビを入れてやるかのう」

 取り敢えずアルファがやる事は一応やっているので自分もこれ以上文句は言わずに、外に追い出した結芽を再び招き入れる。

 

 「むすぅ~……」

 

 「おや?結芽ちゃんってばなんで外に?」

 

 「おじちゃんが仲間外れにした!」

 

 「悪かった。ちょいと込み入った話があったもんでな」

 

 「……では俺はそろそろ失礼する。本部長から請負った仕事があるのでな……」

 

 そう言って音も無く立ち去る龍悟。完全に忍者である。

 

 (獅童の足取りを追う任務に戻るか、う~むワシは親衛隊とはおチビ以外マトモに面識が無いからあ奴等が親衛隊に懐いてる意図は理解出来んが…いやそもそも親衛隊に個人的な感情があるのは戒将と龍悟だけか)

 

 やはり持ち込んだ一畳の畳に寝転がり、学帽に顔を隠しながら思考に埋没する。

 その直ぐ側で行われる結芽がアルファやキッドと取り留めの無い会話をBGMにそのまま眠りに落ちるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ━━奈良・十条邸

 

 亡くなった母の遺影を前に顔を伏せる姫和、彼女はいろはから聞かされた謎のノロ強奪犯と目されるフードの刀使について思案する。

 フードの刀使の存在により、本部長である紗南よりいろはを通して直々に招聘の指名を貰った事、その件にはフードの刀使の影がチラ付いている事が伝えられ、姫和の迷いに否が応でも決断を迫られる。

 迷いの霧の中、果たして少女が進む道とは───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ━━刀剣類管理局本部・特祭隊寮

 

 伍箇伝各校より集まった刀使隊員の為に用意された学生寮の一角、その1部屋である可奈美の部屋の室内は散らかっていた。

 可奈美が眠る布団の上やベッド周辺の床に散らばる衣類とスポーツバッグやビニール袋、ゴミこそ散乱していないが年頃の少女の部屋としては些か汚い。

 どのくらい汚いかと言うと焔也の部屋より汚い。

 ほとほと舞衣が居なければ片付けられない辺り、彼女の生活能力の低さが垣間見得る。否、炊事は最低限出来るのだからトントンと言った具合か?

 

 「私だけ…遠い場所…」

 そんな散らかった部屋のベッドの中で眠る可奈美は夢の中の霧深い境内での会話、その一部を寝言の様に溢す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「友達に言われたの?」

 

 「うん…」

 

 夢の中で対面した在りし日の母──藤原美奈都との雑談で沙耶香との間に起きた出来事を吐露する。

 

 「そりゃそうだよ。今の可奈美結構強いよ、あの紫を倒しちゃうくらいだもん」

 

 「倒す?紫様を?」

 

 「倒したでしょ?」

 

 「いやいや無理無理!紫様には全然敵わなかったんだ……あの時も師匠が交代してくれなかったら姫和ちゃんもみんなも助からなかった…」

 

 「はぁ?私交代なんかしてないんだけど」

 

 美奈都の問いに、あの時は己ではなく師である母が代わってくれたからこそ勝てたと嘯く可奈美に、しかし美奈都は怪訝な顔をして否定する。

 

 「え?」

 「だから可奈美が勝ったんでしょ?」

 「だから私じゃ相手にならなくて……意識が朦朧としてて…うっすらとおか…師匠なら勝てるだろうなって思っちゃって…」

 

 食い違う認識、互いに訝しむ2人。当時の状況を思い返して辿々しく語る可奈美の言葉を聞いて美奈都は1つの予想を立てる。

 

 「成る程。憑依芸みたいなもんか」

 

 「芸!!?」

 

 「そう思い込む事で私に成り切ったーと言うか、忠実に真似する事が出来たワケだ」

 

 「嘘…」

 

 あの時、極限の状態で可奈美が無意識に描いた勝利の法則。母美奈都であれば絶対に負けないと言う強い思いが朦朧とした意識の中で組み立てられた結果、可奈美は美奈都の言動、クセ、動きをエミュレートしてのけた。それこそ折神紫が、大荒魂タギツヒメが動揺し驚愕する程に。

 

 「ま、毎晩こうして稽古つけてあげてるんだから不思議じゃないけど」

 信じられないという顔をする娘に若き日の美奈都は有り得ない事では無いと告げる。

 

 「じゃああれは…」

 

 「可奈美の実力だよ」

 

 「おか…師匠……、うん」

 

 

 目指すべき師であり母からの言葉に、嬉しくもあり、しかし沙耶香からの言葉が紛れも無い真実である為寂しそうに笑う可奈美。

 

 「ま、それでも私にはまだまだ遠く及ばないけどね」

 

 「そうかな~?」

 

 可奈美の顔からそれとなく察して、不敵な笑みで本心込みで己の腕前の方が上だと述べる美奈都の言葉に、心の底から嬉さを顔に出す可奈美。

 それは可奈美自身が遠い人扱いされた寂しさよりも、目標から未熟と言われた嬉さ故のモノであった。

 

 「あっ!生意気!ちょっと褒めたらもうその気になってる。よーしいっちょ揉んでやるか!」

 

 「お願いします!」

 

 目覚めてしまえば忘れてしまう永久にして刹那の時間、互いに刃を交える一風変わった親子の対話。

 夜は人知れず過ぎてゆく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ━━綾小路武芸学舎

 

 真夜であろうとも眠らない伍箇伝、その一角京都は綾小路武芸学舎の廊下を1人進む女傑──綾小路学長相楽結月。

 大半の生徒が寝静まるか、任務にて出払っている人気の無い校舎に結月のヒールの音が木霊す。

 彼女が目指す目的地へと続く廊下には彼女以外の存在が無い。例え寝静まっていても、任務で出払っている者達がいるとしても、職員が勤務している以上…意図して立ち入る人間を制限しない限り、人の気が無いと言うのは有り得ない、だからつまり、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 果たして到着した目的地は綾小路の研究棟の1部屋。

 煉瓦造りの壁紙に天井を巡るアルミダクト、複数のノート端末、そして其所に佇む部屋は間借りした研究室を己の城とばかりに佇む紅いレディーススーツを着込んだ神経質そうな妙齢の美女と親衛隊服に袖を通す無表情の少女。

 更に壁際でニヤニヤとほくそ笑む眼鏡を掛けた胡散臭い青年…と彼の背中の影に隠れる様にして結月の視線から逃れる綾小路制服のピンクメッシュの少女。

 

 元刀剣類管理局本部長兼鎌府女学院学長高津雪那、元折神紫親衛隊第三席皐月夜見、そして地球で活動する為に擬態した宇宙商人マッニーと宇宙詐欺師フュンフである。

 

 「(誰だ……)これは全て完成品か?」

 マッニーを一瞥しながら研究室の壁面側の装置に押し立て並んだ大量のノロアンプルを前に雪那へ問い掛ける。

 

 「勿論です」

 結月の問いに対し不遜に肯定する雪那。

 「夜見。来なさい」

 そうして成果を御覧あれとばかりに傍らに立つ夜見を呼び寄せ、彼女の首筋にアンプルが入った注射器を突き立て注射する。

 すると夜見の僅に呻く声と共に瞳が朱く光り、少女の身体から暗いオーラが立ち上る。

 

 「これは人をより上位の存在へと進化させる革新的な秘薬。これにより人類は老い、病、肉体的損傷、才能の優劣、全ての苦悩から解放される!」

 己が発言に絶対的自信を込めて高笑う雪那。それを見る結月の顔は冷たモノを見るソレ、マッニーは噴き出しそうになる笑いを必死に堪え、フュンフはゴミを見る眼で雪那を見つめつつ、マッニーが声を挙げて笑う事の無いように彼の脇腹をつねる。

 

 (じょ、上位…ヒヒッ…進化とか…寧ろ退化やんけ…ブフッ…腹痛い…雪那ちゃんええわぁ、滑稽なピエロその物やん)

 

 (堪えて下さい。です。彼女からすれば本気なのですから)

 

 (だ、だからウケるやん?見いやあのソウラクとか言う人間の眼、あれ完全に雪那ちゃんの個人的な言動部分の演説聞き流しとるで?)

 

 (まぁ、確かに。です…いえしかし、辺境の文明水準としては破格なのは確かでは?)

 

 (まぁな、実際の効果はともかく……こんなド田舎の猿同然の種族が別位相空間のエネルギーを利用する技術を実践出来るんわ、手離しで褒められるわ。でも雪那ちゃんの言い分があんまりにも個人的なもんやから…思い出したらまた笑いが……クヒヒ)

 

 異星人同士がこそこそと言葉を交える横で寸劇扱いされた雪那の高説が続く。

 

 「あの方の理論を私が完成させ、貴女の援助で生産出来た。これは私達の共同産物です!貴女に感謝します。綾小路学長」

 結月の手前、異星人2人に対する怯えをおくびにも出さず自信満々に謡う雪那。

 見上げられた壁1面のノロアンプルが妖しく光っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ━━鎌府女学院・研究医療棟

 

 時同じく鎌府のノロ研究、医療に携わる棟のとある部屋ではある人物が医療用リクライニングベッドに横たわっていた。

 

 「今日はどういったご用?」

 

 体勢としては上体が起こされているので当たり前だが、訪ねて来た来訪者達を見て出迎える様に声を掛ける人物──元折神紫親衛隊第二席、此花寿々花その人である。

 現在の寿々花は人間とノロの分離を図る為、この研究医療棟の1室に半ば隔離状態である。その為普段頭の後ろで纏められている髪も、眠る際や横になる際に邪魔となる為下ろされている。

 また、衛生観念から着替えや風呂等許されてはいるが、寝たきりの時間の方が長い事からか、彼女のワインレッドの赤毛は少々ボサボサになっている。

 それでも髪以外目立った乱れも無く入院着を綺麗に着用する辺り、流石はお嬢様と言えるだろう。

 その彼女が声を掛けた相手の片側、寿々花をこの施設に軟禁状態で治療に専念させた紗南が口火を切る。

 

 「いや、少し訊きたい事があってな」

 「よう親衛隊」

 

 そしてもう一方、因縁浅からぬ関係である益子薫からの皮肉を込めた声に、珍獣でも見た。と言った具合に言葉を投げる。

 

 「珍しい来客ですわね」

 

 「ねーーーーー!!!」

 

 すると薫の頭上に乗っかっていたねねが身体中全身の毛を逆立てて威嚇するように哭く。

 

 「かなり抜けたと聞いたが、まだまだだな。荒魂の匂いがするってよ」

 

 「あら手厳しいこと…、これでもかなり無理を推したのですけれど。そんな風に荒魂とお話出来るだなんて貴女も此方側ではなくて?」

 

 寿々花の言う無理とは、異世界事変の際に受けた治療の事である。

 

 「俺は人だ。このねねも荒魂だが穢れじゃない、悪いな仲間じゃなくて」

 

 皮肉に対し皮肉で返せばこれまた皮肉が返ってくる。

 ノーガードの言葉の応酬に、紗南も流石に黙って傍観している訳にもいかず止めに入る。

 

 「いちいち挑発するな。(燕戒将が席を外してる時に来たのは失敗だったか?まぁ良い…)コイツを知ってるか?」

 些かタイミングが悪かったかと自問しつつ寿々花にフードの刀使が映ったタブレット端末を差し出す。

 

 「さぁ…?存じ上げませんわ。そもそもお顔が見えませんし……」

 寿々花が言う通り、遠隔映像の低解像度ストップショットでは人相までははっきりとしない。

 しかし紗南は尋問を続ける。

 

 「思い至る人物は?」

 

 「特には」

 

 該当人物の問いにも嘘偽り無く返す、しかし回りくどい質問意図に煩わしさを感じた薫が忖度抜きに直球を投げる。

 

 「はっきり言ってやる。コイツは獅童真希じゃないのか?」

 

 「真希さんですって?」

 

 その言葉に寿々花は困惑と疑念入り雑じった声を挙げるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ━━鎌倉刀剣類管理局本部敷地

 

 帳が明け、東の空から陽が昇り始めた時刻。管理局の建物の影…人が少なく寄り付かぬ場に瞬く一瞬の閃光。

 ダグベースからの転送の際に起こる僅な電磁パルスである。

 光の粒子が散り現れるは六角龍悟。彼はそのまま極自然に用意された寮室に戻り、荷を纏めて再び外出を始める。

 

 「あれ?六角先輩?」

 「六角……?」

 

 「……」

 そうして玄関口から公共交通機関を利用する学生らしい表向きの行動をしている所で、任務帰りの混成部隊の刀使達に見付かりその内の1人が声を掛け、もう1人が龍悟の名に訝しむ。

 呼ばれた龍悟が声の方に視線を飛ばせば声を掛けた方が駆け寄って来る。

 

 「…姫野…」

 

 駆け寄って来た少女は平城の刀使姫野志保。彼女は龍悟の格好を見てフランクに問う。

 

 「お久し振りです!先輩は今からバイト?」

 

 「……ああ、お前達は遠征の帰りか…?」 

 

 「そうなんとこかな。それにしても…ぼく達が忙しいの抜きにしても先輩とは中々会う機会無かったですけど、先輩もずっとこっちにいるんでしょ?やっぱりバイト梯子してるの?辰浪先輩みたいに?」

 

 「……そんな所だ」

 

 「ごめんなさい。ちょっと良い?」

 志保との他愛の無い会話を交えていると、混成部隊から志保と同じ平城の──先程訝しむ声を挙げた黒髪をポニーテールに纏めた刀使、朝比奈北斗が断りを入れ割り込む。

 

 「…確か…朝比奈だったか……?」

 

 「ええ、初めまして。朝比奈北斗よ、貴方の噂はよく耳にするわ」

 

 「…六角龍悟。よろしく頼む…まぁ絡む機会があるかは知らんが……」

 

 「そうね、お互いクラスも違うし、こういう機会でもなければ話すなんて中々無かったかもしれないわ。それで……あくまで戯言レベルで聞き流してくれて構わないのだけれど、貴方…獅童真希と互角に戦えるって本当?」

 

 この朝比奈北斗、獅童真希とは一方的ではあるが少々因縁がある。その為龍悟に付いた噂の真偽をこの機会に確めんと彼に近付いたのだ。

 

 「あわわ…北斗さんがちょっと冷たい系美人の人にぃぃぃせ、せ、宣戦布告してるぅぅぅ?!」

 

 後ろで伊南栖羽が何やら慌てているが、栖羽自身は止めようと動こうとしない辺り、存外余裕があるのかもしれない。

 

 「…何を以て互角かは知らないが、御刀を持った刀使の相手は流石に無謀が過ぎると言うものだ……」

 自身の実情は置いておいて、一般的な事実を述べる。

 

 「そうね……私ってば何を言ってるのかしら。ごめんなさい。けれどわざわざ御刀をだなんて付けると言う事は、素手でなら勝てる確信はあるのね?」

 

 「……昔、一度だけ…徒手空拳での組手を想定した訓練で、一例として実践しただけだ……」

 それも獅童が親衛隊となって間もない頃に…、と続けて飽くまでも対等条件の上であると示しておく。

 

 「そう…今度機会が有ったら私も警邏の教練に参加してみようかしら…………」

 平城の警邏科(主に男子)にとってのある種の地獄が確定した………かもしれない。

 

 「……もう良いだろうか?これからバイトがある……」

 

 「ごめんなさい。長々と引き留めて…」

 「先輩。バイト頑張って!」

 

 志保の激励を受け取ったと同時に消え去る龍悟、栖羽と混成部隊最後の1人藤巻みなきが眼を飛び出さんばかりに驚愕し、何か騒いでいたのはご愛敬である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「……さて、周辺の目撃情報や足取りから察すに…まだ獅童は関東一帯の何処かに潜伏しているはずだが……果たしてノロ強奪の犯人がヤツかどうか……」

 ビルとビルの間を平然と跳びながら、端末の情報を確認する龍悟。

 フードの刀使の正体に疑問を懐きながらも、それが獅童真希ではないと心の何処かで考えているのだ。

 やがてビルが途切れると民家の屋根を足場に変え県境まで辿り着く。其処から人目を避けガードイーグルを用いて今回の探索範囲である埼玉の一角へと降り立った。

 

 「…ひとまずは…辰浪と共に受けたコンビニのバイトだな……」

 そうして東京と程近い場所にある埼玉のコンビニへと向かう。

 

 

 

 「おお、龍悟。お疲れ~」

 バイト先に到着して真っ先に彼に気付いたのは先に働いていた辰浪桃。

 

 「……ああ、お前はこれから休憩か?」

 

 「そんなトコだね。お陰で他のバイトは午後になりそうだよ」

 

 「…そうか、養生しろ……」

 と桃を労う言葉を言いかけ龍悟の腹の虫が空腹を訴える。

 

 「………腹が減っていたようだ…」

 

 「いやぁ、あんたも大概にしなよ?」

 

 桃から廃棄弁当を1つ受け取り腹を満たす、その後交代が来るまで勤務へと付き、バイト後は獅童真希の足取りを追うのであった。

 

 

 続く

 


 

 次回予告(BGM:静かなる瞳)

 

 聞いたか弟達よ!

 

 ホワ~イ?何だYO兄ちゃん?!

 

 ……zzZ

 

 ダグターボ共が合体したそうだぞ!!

 

 マジかYO!!?()()()()()()()()()()()()()

 

 ふわぁ…んならオラ達ももう一人ずつ獲物定めなくてもええだなぁ。

 

 その通りである!奴等に我等が真価を見せ付けてやろうではないか!!ハーッハッハッハッ!

 

 

 次回、"刀使ノ指令ダグオン"

 ライナーダグオン合体不能?!兄弟合身!強敵MAXーJR7。

 

 バラバラで余に勝てると思うなよ!!

 





 世間では某赤い国の侵攻問題が度々話題に挙がってますが、それで在日の滞在人やら店舗にまで攻撃的な事をするのは違うんじゃ無いかなぁと思い、ましてや創作の中のキャラ…それも一応はハーフだし、自重してピックアップされてる訳でもないのに過激な発言はちょっと引きます(削除するべきとか強制送還銃殺だとか)…や、中の人旧ソ好きで有名ですけど…。
 直接国営なりに絡まなければ別段個人の趣味くらいでとやかく言わなくても良いんじゃないかなぁって思います。
 あの手の国の最終的責任は指導者の問題でしょうし。
 実際の国の方は兎も角、アニメとかのキャラはまぁ個人なんで私は好きですよ?
 
 東映アニメーションハッキング云々も要は渦中のハッカー集団達に非難するならまぁ残当ですが、関係無い人にまで当たるのは駄目だと思うんです。

 それはそれとして、デジモンゴーストゲームにアルケニモン出た時、02の頃より人間態美人になってましたね、声も02当時と同じ山崎女史だったのはファンサービスかな?
 いやぁゴーストゲームは意外なデジモン出る事もあるんで楽しみですね(先週?今週?上記のハッキング騒動で休みでしたけど)、いずれウェヌスモンやウィッチモンマーメイモン辺りも良作画の回で出して欲しいなぁ。
 シスタモンもノワールの方もアニメで観たいなぁとか期待してたりします。ええ人型のデジモン結構好きです。往年のファンの方の中にはもう人間じゃんとか言われてますけど、デジモンらしい所もあると私は思ってます。

 ではまた次回
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