いやはや天華百剣の復刻コラボイベントやっていたら遅れました。 申し訳ありません。
では十四話です。
"前回の刀使ノ指令ダグオン"
姫和のチョコミントに対する想いが炸裂。
出現する荒魂、駆ける2人。追うシャドーリュウ。
一方、調査隊と合流した焔也は再び撃鉄と衝突。
智恵が止めに入ると撃鉄は態度を一変させた。
エデン監獄西棟
「フム、ジェゲンガセイジンガイナイ?」
「うむ、吾輩が何度も確めた。彼奴はこの監獄内の何処にも居ない」
地球から遠く離れた木星の衛星付近を漂うエデンの西棟にて交わされる会話。
一人は道化師のような異形の存在、エデン大広間の会議にも居た宇宙人だ。
「トイウコトハ、ヤツハドクダンデチキュウニオリタノカ……」
「そういう事になる」
会話に応じるもう一人はカイゼル髭を蓄えた単眼に下半身が帆船の異形、西棟を執り纏める道化師の補佐役である宇宙人、ガレプテン星人である。
「して、如何にする?」
「ステオケ、ヤツジシンカラノレンラクデジョリョクヲモトメテコナイカギリ、スキニサセロ」
「良いのか?他の連中に報告せんでも?」
「ワレワレハモクテキハオナジデモ、ドウシデハアルマイ。オシエルギリナドアルマイ」
「カカカ、此は吾輩とした事が早まったやもしれんな!」
「ナラバ、コノハナシハワレラダケノウチニトドメオケ」
「相判った、では吾輩は引続き作業に戻るとしよう」
道化師の言葉に同意し、何処へと消えるガレプテン星人。道化師はそれを見送り、薄く笑みを浮かべていた。
スペクトラム計の反応を頼りに、荒魂へと向かう可奈美と姫和。
現場は既に混乱して市民が逃げ惑っている。
「特別祭祀機動隊です!荒魂から離れて下さいッ!」
可奈美が周囲に身分を明かし、避難を促す。
「可奈美!」
姫和の叫び声に荒魂を見やる。━━ズシンと重量を感じさせる音、大きな顎に頭部から角のように繋がる翼、背骨に直接生える3足の脚、尾は槍の如く鋭い。
荒魂は可奈美達に低く唸りを上げる。
「思ったより大きい」
「ここで食い止めるぞ」
「私が行くから、姫和ちゃんは後方から支援をお願い!」
「了解」
ある程度回復したとは言え、三段階迅移によって消耗した姫和を気遣い自ら前に出る可奈美。
千鳥を構え、荒魂に斬り掛かる。しかし荒魂はそれを翼を拡げ飛行する事で回避する。
「外した!?ごめん姫和ちゃん!」
「ああ」
そのまま姫和の方向に飛ぶ荒魂、姫和も応え小烏丸を振るい斬り裂く。
「しまった浅かったか!」
だが、与えたダメージは浅く、荒魂は未だ健在。
「シャドー手裏剣!」
その時、何処から途もなく手裏剣が舞い込み荒魂に突き刺さる。更に━━
「…シャドークナイ!」
続けて鎖が繋がった刃が荒魂を絡めとり引摺り落とす。
「何だ!?」
「…?!今なら!」
突然の事に驚く姫和、対して可奈美は即座に切り替え、荒魂にトドメを差す。
御刀によって斬られ、消滅する荒魂。
後にはノロが散乱するだけとなった。
「やったね、姫和ちゃん!姫和ちゃん?」
「今のは一体………」
「姫和ちゃん!姫和ちゃんってば!」
「…ああ、済まない。だがどうする?ノロを回収出来ない以上、この場に留まる訳には──」
「ノロの回収は私が連絡をします」
新たに割って入った声、それは可奈美を捜索していた舞衣であった。
「舞衣ちゃん!?どうしてここに?」
「可奈美達を追っていたら荒魂の反応があってここに寄ったの……お蔭でやっと会えた」
舞衣もまた刀使としての使命を個人の感情より先に優先したのだ。
「美濃関の追っ手か」
「違うよ姫和ちゃん!舞衣ちゃんは私の親友で…」
「親友?だったら何故、御刀を向けている?」
姫和は舞衣を追っ手と判断し、可奈美がそれを否定するも舞衣が御刀を納めず、刃を向けた事から警戒を解かない姫和。
「聞いて、可奈美ちゃん!羽島学長が約束してくれたの、私と一緒に帰ってくれば可奈美ちゃんの罪を軽くしてくれるって」
舞衣は可奈美に語り掛ける。
「でも条件があるの……。十条さん、貴女も一緒に折神家へ出頭してもらいます!」
自身が江麻より取り付けた条件により、御刀を構え姫和に警告する舞衣。
「残念だが、それには協力出来ない」
しかし、それを承服せず姫和もまた御刀を構える。
「協力しなくていいです。私が力ずくでねじ伏せますから」
「待って!二人供、御刀を納めて」
可奈美が必死に止めるも一触即発の空気は治まらない。
「親友だから…可奈美ちゃんは私が助けます!!」
言葉と同時に舞衣は姫和に向け駆け、姫和もまた迎え撃つ為動く。
一合、互いに刃が交わり弾く。
「ダメぇぇぇッ!!」
再び斬り結ぼうと振るった瞬間可奈美が二人の前に割って入り、更にはまた何処から途もなく手裏剣が地面に刺さる。
「…またか!?」
姫和はまたしても介入した手裏剣の主を探す。
「可奈美ちゃん!どうして…ッ!?」
舞衣は何故可奈美が姫和の肩を持つのか理解出来ず叫び、可奈美はそんな舞衣に語る。
「私、見たの!──あの時…御当主様が姫和ちゃんの技を受け止めた時……何もなかった空間から二本の御刀を取り出して──その時、後ろによくないモノが…」
可奈美は言う御前試合の最中、紫の背後から善くない物を見たのだと。
「御当主…様?よくないモノって……」
「やはり、お前には見えていたのか……」
舞衣は困惑し、姫和は可奈美がそれを見えていた事に驚く。
「一瞬だったし見間違いかとも思ったけど、でも、やっぱりあれは───荒魂だった」
構わず語る可奈美が最後に口にしたのはまさかの事実。━━折神紫が荒魂であると言い放ったのだ。
「荒…魂?な…何を言っているの?」
困惑がより大きなものとなる舞衣。
「だってそんな事…あの方は──折神家の当主様で…大荒魂討伐の大英雄で………「違う!」
舞衣の言葉を遮るように姫和は叫ぶ。
「ヤツは──折神紫の姿をした大荒魂だ!!」
続けて姫和は紫が紫ではなく嘗て討伐された筈の大荒魂であると断言する。
「……じゃあ、折神家が管轄する警察庁の刀剣類管理局も、刀使養成学校の伍箇伝も……?」
「そうだ。その全てを荒魂支配している」
遂に明かされた姫和の反逆の理由、それは折神紫の姿を借りた大荒魂を討ち果たす為だったのだ。
「…成る程、御前試合の視線の意味はそういう事か…」
そこへ新たな闖入者が現れる。
「誰!?」
「何者だ!!?」
謎の人物の声に驚き、誰何を問う舞衣と姫和。可奈美も視線を向ける。
「……此処は敢えて姿を晒すべきか…」
そう言いながら現れた闖入者の正体は紫色の装甲を纏った人物──シャドーリュウ──であった。
「何者だ貴様?!」
あまりに想定外の人物の登場に酷く動揺する姫和、不審者を見たとかそんな簡単な言葉では言い表せないのだろう程の狼狽えぶりだ。
「あなたは?」
舞衣もまた動揺していたが、姫和がより激しく狼狽えていた為、いくらか冷静に訊ねられた。
「………ダグオン、シャドーリュウ…」
リュウはそんな二人の心中を知ってか知らずか平然と答える。
「ダグ…オン?」
可奈美は二人程驚きは無いのか、リュウの名乗ったダグオンと言う言葉に首を傾げるだけだ。
「………」
リュウはそれきり喋らず、ただ手から手裏剣を取り出しただけだ。
「それは!?やはりあの時荒魂を攻撃したのは貴様か!」
「……済ませるべき事があれば早くしろ。もたもたしていると追っ手が来るぞ…」
警戒する姫和を尻目に淡々と口にするリュウ、その言葉で状況を思い出したのか可奈美が舞衣へ言う。
「と、とにかく今は私は姫和ちゃんを一人に出来ない。だから、お願い舞衣ちゃん!」
改めて、自身の意思を伝える可奈美。
「──本気なんだね?」
舞衣は可奈美の真剣な顔を見て悟る。そして二人は抱き合う。
「分かってるよ…だって親友だもの…」
「舞衣ちゃん…!」
曇天から雨が降りだす。パトカーのサイレンの音が近付いて来た。
「行って、後の事は私に任せて」
「う、うん」
「それからこれ……荷物は押収されちゃって返してもらえなかったんだ」
「わぁ!舞衣ちゃんのクッキー!」
舞衣は事後処理を買い出て、可奈美に自身の手作りクッキーを渡す。
その間も姫和はリュウに対し矢鱈と警戒し、当のリュウは特に構えもしない。そんな姫和に舞衣は近付く。
「十条さん」
姫和はリュウを警戒しつつも声をかけた舞衣へと意識を切り替える。
「可奈美ちゃんを宜しくお願いします」
「…私は自分のなすべき事を果たすだけだ」
頭を下げた舞衣に対し素っ気なく返す姫和、そのままリュウを警戒しながら先へと進む。
可奈美も姫和の後を追おうとして一度立ち止まり舞衣へ振り返る、舞衣が微笑み手を振ると可奈美は安心したのか嬉しそうに顔を綻ばせる。
「あの、ありがとうございました」
そして途中リュウに対し礼を言い、改めて姫和の後を追う。
「可奈美ちゃん……。──貴方には聴きたい事があります。出来れば大人しく…って、え?」
舞衣が二人を見えなくなるまで見送った後、リュウに事情を訪ねようと顔を向けるも既にそこにリュウは居なかった。
「…うぅ…ぐす、美味しいよ…舞衣ちゃん…」
現場から離れ、クッキーを泣きながら食べる可奈美。
姫和の視線に包みを差し出す。
「姫和ちゃんもたべる?」
「いい。それはお前が食べろ」
泣きべそを描きながら言う可奈美に姫和は何とも言い難い表情で断る。
「あれ…、これなんだろ?」
その時、可奈美はクッキーの包みに入った折り畳まれていたメモの存在に気付く。
メモに書かれていた事とは?
続く
次回予告(BGM:輝け!ダグオン)
十条姫和だ。私達が荒魂と戦い、ダグオンとか言う謎の不振人物と邂逅していた頃、別の場所でも荒魂が暴れていた。
何だヤツは!?生身で荒魂に向かっていくぞ!!?
次回、"刀使ノ指令ダグオン"
もう1つの戦い!再会のダグオン。
次回も……ってなんだこれは!?
はい、第十四話でした。
ひよよんが遭遇したのがリュウであったのが幸運なのか不運なのか……。
そろそろ新しい宇宙人を地球に降ろさなくてはいけないし、胎動編はまだまだ序盤だし、色々頭を捻っています。
息抜きに、別の作品プロットも書いちゃうし、これはヤバいですね!
すいません。別にペコさんの真似したつもりは無いんです。すいません