刀使ノ指令ダグオン   作:ダグライダー

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 こんばんはダグライダーです。
お待たせしました、刀使ノ指令ダグオンの十五話目です。
 いやぁ、十六話以降のプロット作りながらなので時間が懸かりました。後スカルマンのクロス物書いてました申し訳ありません。
 しかも、いつもより長くなってしまった。
後、アニバーサリーアイプロも始まったので更に遅れるのなんの……誠に申し訳ありません。



第十五話 もう1つの戦い!再会のダグオン。

 

 "前回の刀使ノ指令ダグオン"

 荒魂と戦う二人の前にシャドーリュウが現れ助太刀をする。

 舞衣もまた、荒魂の反応を感知し二人と遭遇、御刀を構えるも可奈美の…そして姫和の理由を知り彼女達を見逃す。

 そう、嘗ての英雄折神紫の正体は討たれた筈の大荒魂であったのだ。

 

 その一方で調査隊は━━

 


 

 ━━静岡県某所

 

 ダグベース内の1区画、開発室と研究室を兼ねる部屋の一角にて、手を忙しなく動かし何らかの装置を作っている翼沙。

 「ふぅ、こんな物でしょうか?やはり、未知の技術はワクワクしますね…」

<終わったか>

 「ええ、設備と資材を貸して頂いてありがとうございます。綾小路の作業場は現在、出禁になってしまったので……」

<そうか、役に立ったのであれば何よりだ>

 「場所の融通から操作方法、材質の特徴の講義など、何から何まで本当にありがとうございます」

 翼沙の言う通り、ブレイブ星人は彼に地球外の技術で創られたダグベースの装置の扱いを手解きし、こうして翼沙は目的の物を完成させたのだった。

 

 「これを後は例の逃亡者に何とか着ける事が出来れば……」

手のひらサイズの小さな装置を眺めながら呟く翼沙。と、そこに最近ダグベースの居住スペースに住み始めた申一郎が現れる。

 

「ヨォ、何かカチャカチャやってたみたいじゃん?」

 「あ、どうも…騒がしかったですか?」

「うんにゃ、偶々見かけただけだ。ンデ、何だよソレ?」

 「これは発信器です」

「…………お前、犯罪だけはカンベンしろよ」

 「え?あ!いえ!?これはそんな目的では無く、例の2人の居場所を把握出来ればもしかしたら折神家の疑惑が解るかもしれなくて別に彼女達のプライベートを侵そうとかではなくそもそも盗聴機能等は搭載されていないのでやましい事など何もなく──」

「わ、悪かった!悪かったからそこまでそこまでにしてくれ!」

 申一郎の疑惑の目を受け、途端に捲し立てる様に喋りはじめる翼沙、流石に不味いと感じたのか申一郎も焦って翼沙を止める。

 

 「兎も角、万が一異星人が出現した場合、相手の能力如何によっては全員で対処する必要があります。その為、六角くんにこの発信器をどうにかして彼女達に付着させて居場所を常に此方で周知しておけば」

「折神家のノロを使った実験の真偽が解るってか?」

 「はい。なのでこの後六角くんに合流しようかと」

「はーん。ま、ガンバんな…オレはガッコに課題出さねーと」

 「あははは……」

 

 

 

 

 

 

 

 ━━東京原宿竹下通り

 

 可奈美達が離れた後、焔也、美炎、智恵は撃鉄を加え行動する事になっていた。

 

 「いやあ、刀使と言うんは大変ですなぁ!赤トンボ何ぞ探さにゃならんとは」

 そうワハハと豪快に笑いながら、智恵に言う撃鉄。

「え、ええ…」

 智恵は困ったように苦笑しながら、相槌をうつ。

「ねえ、先輩?」

 「何だ安桜」

「何であの人私達についてくるの?」

 「俺だって知らねーよ、あの野郎さっきまで散々リベンジだの何だの言ってやがったのに」

「て言うか、あの人って元々先輩が目当てなんだから先輩が離れればちぃ姉も解放されるんじゃ…」

 「いや、寂しい事言うなって目的地一緒なんだからそこまで行こうぜ」

と、いったやり取りを智恵達の後ろで繰り広げている。

 

 「おや?何やら人が増えていますが…何かあったのですか?安桜美炎さん、説明を」

知らない内に怖い人が居るよぉ

 そこへ買い物から戻ったのかミルヤと清香が合流する。

「ええっ!?私ぃ?!……えと、あの人は田中撃鉄って言って、鳳先輩のインネン?の相手らしくて…それでなんか知らないけどちぃ姉が喧嘩になる前に止めようとしたら……あの人がちぃ姉を気にいったみたいで……」

 ミルヤから説明を求められ、拙いながらも話始める美炎、そこに後ろから声がかかる。

「なんだそりゃ、アタシが居ない内に少しはおかしな事なってんじゃん!」

 ある程度、ふらついて飽きたのだろう呼吹が戻って来ていた。

「七之里さん!」

 ミルヤは暫し考え込み、やがて口を開く。

 「つまり、話を総括すると、あちらの田中撃鉄さんが鳳焔也さんと縁があり、暴力沙汰になる前に瀬戸内智恵さんが彼に見初められたと」

「う~ん…たぶん」

 「なんか悪ぃな、元は俺の蒔いた種だってのに…」

 「それは瀬戸内智恵さんに言うべきでしょう」

「面白いから暫くほっとこうぜ」

 謝る焔也にミルヤは智恵に同情の視線を向けながら言う。呼吹は完全に他人事な為、楽しそうに嗤う。

 

 「んん?何時のまにやら人が増えとるじゃないか!」

「みんな…戻って来ていたのね」

 後ろの会話に気付いたのか振り向く撃鉄と智恵、撃鉄は気持ち悪いくらい滅茶苦茶笑顔である、対象に智恵は疲れたのかどこか窶れた様な顔に見える。

 唐突に撃鉄が何か思い付いたのか調査隊に宣言した。

 「おう!智恵さんの連れの嬢ちゃん達、ワシも赤トンボ探しとやら手伝うぞ!」

 「赤羽刀な」

 「それじゃ!」

「ええっ!?」

ついてくるの……

「マジかよ…」

 「お気持ちは有難いのですが、これは我々調査隊の任務です。一般の方をお連れする訳には…」

 「遠慮はいらん!探し物は人手が多いに越したことはないからのう、ワシに任せておけい!」

 「しかし…」

「あの田中さん…「撃鉄とお呼び下さい」…撃鉄さん、流石にそれは私達としても万が一の場合がありますから」

 撃鉄の提案にミルヤは渋い顔をし、何とか断ろうとするも、撃鉄はそれを意に介さず乗り気でいる。ミルヤは困り果て、智恵が代わりに説得を引き継ぐ。

 「むむ、智恵さんがそう仰るならば…非常に!とても非常に!名残り惜しいですが、引き下がりましょう!」

 「「「「ええぇ…」」」」

智恵の言葉に即座に引き下がった撃鉄を見て、焔也、美炎、清香、呼吹が呆れ返る。ミルヤなど先程の智恵の様な疲れ具合だ。

 「しからば!男、撃鉄、智恵さん御一行の目的地である青砥館まではご一緒させて頂きましょう!」

 今度はそう宣言し前を歩きはじめる。

「場所をご存知なんですか?」

 「知りません!なんとかなるでしょう!ガハハハ」

「大丈夫なのかよ、あのオッサン」

「ダメかも」

「あわわ…」

 「はぁ…」

 「本当悪ぃ」

一行は改めて青砥館へと道を進みはじめる。

 

 「そうです、良い機会なので皆さんにお尋ねします。」

歩き始めてすぐ、ミルヤが皆に話題を口にする。

「なぁにミルヤさん?」

 「皆さんはダグオンと名乗る集団を目撃した、或いは聞いたことは?」

「ダグオン?」

「んだよそりゃ?」

「聞いたこと無いです…」

「ダグオン……残念だけど、知らないわ。どうして?」

 「以前、私が指揮する部隊が窮地に陥った時助けて頂いたのです。以来各地でそれらしき目撃情報はありますが、どれも現場は既にもぬけの殻のようで、私の他に遭遇した方がいらっしゃればと思いましたが……居ないようですね」

 

 「(……あん時の京都で会った刀使が彼女だったのかよ!?)」

 ミルヤの話に今の今まで彼女が自分達が助けた刀使の部隊の隊長だとは気付いていなかった焔也は大いに驚いていた。

「助けた……って、荒魂を倒したって事?!」

「その人達って、刀使とかでは無いんですよね?」

 「ええ、男性のようでしたし、徒手空拳で戦っていました」

「ハッ!素手で荒魂ちゃんを倒したって事かよ、ありえねだろ」

 「厳密には素手ではなく何らかの強化アーマーを纏っていたのですが…」

「それでも凄い事だわ。荒魂を刀使以外の存在が倒してしまうなんて」

 ミルヤの目撃したダグオンの話題に驚きに湧く調査隊の面々、焔也は只々、冷や汗を掻いていた。

 「ほほう!そのダグなんちゃらとか言う連中、中々見どころあるのう!貴様とは違ってのう」

撃鉄が彼女達の会話に反応し焔也に視線を向け、言い放つ。

 「うっせ!普通、刀使以外の人間は荒魂相手には無力なんだよ!(俺がそのダグオンだとか言えねー!!)」

 正体を明かす事が出来ないため、無難な返しで応える焔也──その時、スペクトラムファインダーに警告音が鳴る。

「近くに荒魂が出た!?」

「いけない!警報が発令されてから管轄の刀使が来るまで時間があるわ」

 「私達で対処する他ありません」

「アタシらが一番乗りかよ!最高じゃねーか」

「そんな!荒魂と戦うなんて

 

呼吹が嬉々として駆け出したのを皮切りに、荒魂の居場所へと急ぐ調査隊。清香だけは消極的だったが、皆に置いていかれまいと、追従する。

 

 「よぉし!ワシも行くとするか!!」

 「ばっかっ!?お前、荒魂相手に刀使でも無い奴がでしゃばるなよ!?」

撃鉄が彼女達の後を追おうとするのを止める焔也、しかし撃鉄はその手を振り払い

 「だから大人しく逃げろっちゅうんかい!?ワシはそんな漢らしく無いことは御免被る!──オオオッ!ワシも行きます待って下さい智恵さぁあああああん!!」

 そう言い残し走って行った。

 

 「んなこと、テメぇに言われなくても、俺だって御免だね。……まずは人気が無い場所を探さねえと…」

 逃げ惑う人の波に逆らいながら、人の目が無い場所を探す焔也。程なく路地裏の影に身を隠しながら左腕のコマンダーを起動する。

 

 「トライダグオンッ!!」

 

 「ファイヤァアアッエン」

 

 路地の闇が一瞬瞬きファイヤーエンが現れる。彼はそのまま跳躍し、屋根を伝って荒魂に向かった調査隊を追いかける。

 既に戦闘は始まっており、調査隊のメンバーは各々の戦いに掛かりきりだ。

 清香など震えて身を竦めている。

 「ハハッ!愛してるぜ荒魂ちゃん!」

呼吹は一人突出し二振りの短刀の御刀"北谷菜切"と"二王清綱"で果敢に斬り込んで行く。

 「数が…多いっ!」

美炎は智恵と共に清香をなるべくカバー出来る位置取りで立ち回る。

 「七之里呼吹!周辺の避難が完全でない内に突出するな!」

 ミルヤは叫び指示を飛ばすも、当の呼吹は聞く耳を持たない。

 「私達だけじゃ持たないわ…」

智恵も清香を視線の端に入れながら防戦に徹し荒魂を斬る。

 「いやぁあ!!来ないでぇ!?」

清香は泣き叫びながら我武者羅に御刀を振るっているが、荒魂は間合いの外からじりじりにじり拠って来る。

 調査隊の戦場に到着したエンはどうにかバレないように援護しようと辺りを見回して、そこで撃鉄の姿が見当たらない事に気付く。

 「野郎、まさかもう荒魂にやられたのか?!」

まさかの状況を想像し、バイザーの下で顔を青ざめさせていると、何やら五月蝿いくらいの声が聴こえて来た。

 

 「おおおおぉお!!漢は度胸おおおおぉお!!」

 

 そんな叫びと共にどこで手に入れたのか鉄骨を抱えながら走って来る撃鉄、そのまま清香の近くに群がっていた荒魂をフルスイングで吹き飛ばす。

 

 「しゃあっ!どんなもんじゃい!!」

 

 

 「うっそだろ…小型とは言え荒魂を吹き飛ばしやがった!?」

 上から見ていたエンは撃鉄の大胆かつ無謀な行動に開いた口が塞がらない思いで驚く。

 当の撃鉄はフルスイングで腕が痺れたのか、鉄骨を荒魂の方に投げ棄てた。

 これには流石の調査隊の面々も茫然としてしまう。

 「何をしてるんですか!?撃鉄さん!ここは私達に任せてあなたは逃げて!」

いち早く正気を取り戻した智恵が撃鉄に逃げる事を促す。しかし撃鉄は首を横に振り

 「泣いてるオナゴを見捨て逃げるなんざ、ワシの流儀じゃありゃしません!智恵さん、どうかワシも力にならせて下さい!」

 「ですけど……」

「仕方ありません。瀬戸内智恵、貴女は田中撃鉄氏と六角清香の護衛に、下策ではありますが、私は七之里呼吹の援護に行きます。安桜美炎!此処は暫く一人で持ちこたえなさい!」

 ミルヤが孤立していく呼吹をフォローする為、前に出る。

「待って、美炎ちゃん一人でなんて!?」

「行ってちぃ姉!私は大丈夫だから!」

惑う智恵に美炎は大丈夫だと言い、清香達の方に向かうよう促す。

 それらのやり取りを全て見ていたエンは隠れての援護など考えるのを辞めた。

 

 「デリャァア!」

 

 叫びと共に屋根から飛び降りエルボークローを荒魂に食らわせるエン

 

 「な、何?!」

「新手?!」

「もう嫌ぁ!!」

 「何じゃい?」

「あん?」

 

 「あれは……!?」

 突然起きた大きな破裂音のような音にその場を注視する面々、 唯一ミルヤだけがその姿を見て思い至る。

 京都で自分の隊がピンチに陥った際現れた謎の怪人。

あの時と変わらぬ姿で現れた赤いシルエット───ダグオンと名乗った存在がこの危機的状況に再び推参したのだった。

 

 続く

 


 

 次回予告(BGM:輝け!ダグオン)

 流離いの漢、田中撃鉄じゃ!

 ワシらの前に現れた謎の赤いヤツ。何と次々荒魂を倒していくではないか?!

 ううんむ、ワシも負けていられん!

この鉄下駄キックをお見舞いしちゃる!

 はい?何ですかな智恵さん?危ないから駄目?

なんの頑丈さには自信があります任せて下さい!

 

 次回"刀使ノ指令ダグオン"

 猛ろファイヤーエン!暗躍する者達。

 

 次回も"トライダグオン"じゃい!

 




 十五話でした。
実は執筆中、急に脚が痛みまして病院に行ったんですよ。幸い、大したことではなかったのですが、皆様も寒さで体調を崩す事が無いよう気を付けましょう。

 では次回で

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