刀使ノ指令ダグオン   作:ダグライダー

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どうも皆様、ダグライダーです。
相変わらずの遅筆で申し訳ありません。
プロットから本文に至るまで展開を一部変えたり直したりを繰り返してはなので遅れる遅れる…。
 そろそろダグビークル活躍させたいですね。



第十六話 猛ろファイヤーエン!暗躍する者達

 

 "前回の刀使ノ指令ダグオン"

 原宿にて再び再会した撃鉄と共に青砥館を目指す中、出現した荒魂。

 管轄の刀使に代わり、荒魂を倒す為に向かう調査隊。

戦闘に突入するも、互いに噛み合わない彼女達。

 そんな中、清香のピンチに撃鉄が現れ荒魂を吹き飛ばす。彼の奮闘を見たファイヤーエンは心の意思に従うままに調査隊の前に助太刀する。こうして、異なる場所で刀使とダグオンが再び邂逅したのだった。

 


 

 「え?何?!誰っ!!?」

荒魂との戦闘中、数で劣る調査隊は苦難の只中に置かれていた。智恵は縮こまる清香と未だ戦闘に参加しようとする撃鉄を守りに、ミルヤは孤立しかけている呼吹の援護に回った為、美炎は一人で荒魂の群れを対処せねばならない。

 ピンチに陥った彼女達、しかし突如現れた謎の人物、それも見たこともない装備で全身を包んでいる存在に美炎はただ驚き困惑するばかり、だが此処は戦場、僅かな隙も命取りとなる。

 

 「美炎ちゃんっ!?」

 

 一瞬の事に気を取られた美炎に近づく荒魂、智恵が声をあげるも間に合わ無い。美炎も迎え撃とうとするも、彼女の欠点である集中力の短さ故、反応が遅れる。

 駄目だやられる!──そう思った刹那、赤い影が動いた。

 

 「オォオリャア!」

 その雄叫びと共に炎を纏った拳"ファイヤーナックル"を荒魂に浴びせ、美炎に飛び付く荒魂の方へ吹き飛ばす。襲いかかった荒魂を巻き込んで転がる燃え盛る荒魂。炎に焼かれ断末魔のような悲鳴をあげノロへと還っていった。

 「嘘…」

 

 「荒魂を倒した…!?」

 

 「すごい……

 

 「コイツ…マジか」

 

 「やはり、彼はあの時我々を助けた存在…」

美炎は消え行く荒魂を倒したエンを信じられないようなモノを見るような目で見つめ、智恵は刀使以外が本当に荒魂を倒した事に驚き、清香は興奮気味に呟き、呼吹は己の獲物を盗った存在が理解の範疇の外にある事で呆然とする──但し、自身の近くの荒魂はきっちり倒している。

 ミルヤはエンがあの時京都で自分達を助けた存在だと確信する。

 

 「よぉ、大丈夫かおま……君?」

 

 エンが美炎に歩み寄りながら無事を訊ねる。途中、素で訊ねてしまいかねたのを誤魔化して初対面の如く振る舞う。

 「……ふぁい…」

 美炎も普段使わない頭を巡らせて搾り出した返事はなんとも気の抜けるものだった。

 「戦いはまだ終わって無い、立てるか?」

 「だ、大丈夫です!戦えます!」

差し出されたエンの手を取り、慌て立ち上がる美炎、エンの顔を伺おうと見るも青いバイザーに阻まれその目を見る事は出来ない。

 ただ、彼女はエンの手を取った時にどこか既視感を覚えたのであった。

 「確かに大丈夫そうだな、なら行くぞ!」

「は、はいっ?!」

 そう言うやいなや、エンは荒魂に向かって炎を飛ばし、或いは殴り、蹴り上げ、残った荒魂を一掃していく。

 「おい!アタシの荒魂ちゃんだぞ!」

 矢継ぎ早に荒魂を倒していくエンを見て、呼吹が文句を上げながら最初の勢いを取り戻し自身の周囲の荒魂を斬り刻んでいく。

 「どうやらまた助けられたようですね」

ミルヤが眼鏡に指を充て、クイッと位置を直す。

 

 「強い……(あれが以前、舞草の報告にあった沖縄に現れた謎の集団、その一人、本当に荒魂を歯牙にも掛けていない…一体何者なの)」

 エンの獅子奮迅振りを眺めながら密かに思う智恵。

そうしている合間に、次々荒魂を殲滅していくエン、清香は既に怯えも消え、へたり込んだまま可愛らしく口を開けてその戦いを見ていた。

 「…あんなにいた荒魂を倒しちゃった……」

 

 「おぉ、何処のドイツか知らんが中々やりおるのぅ!まぁ、ワシだって得物がありゃあんくらい出来るがのう!」

 撃鉄は先程から下駄で荒魂相手に奮闘していたが、智恵が危険を見咎め下がらせたのであった。

 エンが現れてから数分としない内に荒魂を倒しきった調査隊。美炎、清香は安心し御刀を鞘に収めたが智恵とミルヤは未だ抜き身のまま、前者は警戒心を込めて、後者は敵意こそ無いが相手の素性を問い質す為、エンを見る。

 そんな中、呼吹だけが空気を読まずエンに突っ掛かる。

 「おい、テメぇ何してくれやがる!あれは全部アタシのもんだってのによぉ!」

 エンによって荒魂が倒された事が不服なのか因縁をつけてくる呼吹。

 「そいつは悪かったな、でもピンチの娘も居たみたいだし、何より街中で暴れる荒魂は放って置けなかったでな。余計なお世話かも知れなかっただろうが介入させてもらったぜ」

 呼吹の剣幕に内心でこの娘大丈夫なのかと思いながら飄々と返すエン。

 「止めなさい七之里呼吹。また会いましたねダグオン、京都以来でしょうか…今回はお一人の様ですが」

 駄々を捏ねる呼吹を止め、再会の挨拶と共にエンに近寄るミルヤ、御刀を下げてこそいるが何時でも構えられる状態でいる。

 「あ、ああ。京都の時の隊長さんか、まぁ、俺達も四六時中一緒なわけじゃないからな」

和気藹々とまではいかず、然りとて過度に剣呑な空気では無いが僅かな緊張感が支配する中で豪快な笑いが響く。

 「ヌァハハハハッ!お主、中々に見所が有るではないか!だが!ワシとて負けん!まぁ、今回は助かったがな!ハッハッハッハ!」

 呼吹以上に空気を読まない男、田中撃鉄。彼の行動によって智恵とミルヤの気が弛む。

 「お…おぅ、じゃあ俺はこれで」

バシバシと肩を馴れ馴れしく叩く撃鉄の手を振りほどき、近くの建物の屋根に跳躍するエン。

 「後、ダグオンってのはチーム名みたいなもんだ!俺はファイヤーエン。また近い内に会うかもな」

 そう言い残し、走り去るエンをつい眺めて見送ってしまった調査隊、撃鉄は何やら頻りに感心していた。

 

 

 

 

 「見たかいわたし?再びヤツが現れた」

「ええ、見ていたわワタシ、刀使とかいう連中を助けていたようだけど」

 避難指示によって人通りの少なくなった竹下通りの建物の影から覗く視線、ジェゲンガ星人の擬態した男女である。男の方の顔は最初に現れたモノとは別人だ。

 女の方も男に答えながらベリベリと何かを剥がす音を立て顔を押さえる。

 女が手を顔から離せばそれは男と全く瓜二つのモノへと変化していた。

 彼等の足下には赤黒い液体が幾つか見てとれる、奥には数人横たわって動かない。

 赤黒いそれは動かない者達の血溜まり、物言わぬ身となったソレ等に興味を抱かず2人は会話を続ける。

 「刀使と呼ばれる未成熟な雌猿が戦っていたもの…あれがこの星に蔓延る脅威と言うわけだ」

「アラダマだったかしら?やはりこの星の連中は愚か者ばかり、自身が生み出したモノに脅かされるなんて」

 「フフフ、私達や我々と一緒にしてはいけないよ。猿共も必死なのさ」

「そうだったわねワタシ」

 「しかし、もう少し詳細な情報が欲しいね、ダグオンがどこまで我々に対抗出来るのか……ふふ、エデンに情報の一部をリークしようか」

「良いの?ウルサイ奴が来るけれど」

 「勿論、それが望みさ。あのデカイだけで威張り散らすデクノボウは目障りだからね。そろそろご退場願おう」

「素敵!そうね、そうすれば私達も労せず奴等の仔細が知れるものね」

 

   「「フフフフフ……」」

 

 笑い声が木霊する。路地裏には既に2人の影も周りに転がる死体も消えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ━━鎌倉 刀剣類管理局本部

 

 「──報告は以上です」

あれから──可奈美達を見送り、後始末を駆け付けた管轄の刀使に任せた舞衣は、姫和から知らされた折神紫が大荒魂である事などを伏せ、追跡の顛末を報告していた。

 「とんだ時間の無駄でしたわね」

報告を聞く者達の一人、親衛隊第二席である此花寿々花が然したる成果の無い報告に落胆する。

 

「居場所を特定出来ただけでもお手柄よ。あなたは休みなさい」

 江麻は学長として生徒である舞衣を労う。

  「事件発生から30時間、現状、この件はまだ内部で留め報道は控えています」

 親衛隊第一席、獅童真希がこの場に居る美濃関、平城両学長に説明するように言う。

 「学生達も調査しましたが、他に共謀者はなく十条、衛藤両名のみの犯行と思われます」

 

「もたもたするな親衛隊!!」

そこに割り込む大きな怒声。

 「何を生ぬるい事を言っている!」

「…鎌府学長!」

 声の主は鎌府学長にして特祭隊本部長、高津雪那。

整端な顔を怒りで歪め、吊り上がった瞳で舞衣を見やる。

 「報告にあった追撃に当たった刀使は貴様か…何故直ぐに応援を要請しなかった!

 

 「それは、ノロの回収が先だと判断しました…」

 「ノロなど放置しろ!」

 刺など生易しいと思う様な敵意の籠った声が自分に向けられ、僅かに怯む舞衣。

 「あろう事か協力して荒魂を鎮圧など…!」

半ば理不尽とも言えなくもない言葉と共に舞衣に近付いてくる雪那。

 「貴様まさか、逃亡を幇助したのではあるまいな!?」

 「いえ、そんな事は……」

 

 「貴様らもだ親衛隊!!御前試合での恥ずべき失態…もう忘れたか!さっさと出撃して反逆者を討て!

 舞衣の言い分などに興味は無いのか、そのまま矛先を親衛隊の2人に向ける雪那、しかしそれを受け止める2人は冷静だ。

 「私達も出来るならばそうしたいですわ」

 「我々親衛隊は紫様の警護命令が出ている為、動けません」

 

 「チッ!まあ、いい…後は我々鎌府が処理する。両名の消失点周辺の防犯カメラを解析させろ」

 親衛隊の態度に苛立ちを隠さずに爪を噛みながら指示を出す。江麻、いろはの両学長に視線をやり弾劾するように言い放ち、発令所を後にする。

 「紫様に御刀を向けるなど…、逆賊を育てた罪は重いぞ両学長!」

 

「……雪那ちゃん、昔は先輩先輩言うて可愛かったのに──いつからタメ口になったんやろうねぇ…」

 いろははそんな雪那を少し淋しそうに見送るのだった。

 

 

 「紫様!何故私にご命令頂けないのです!」

発令所を後にして直ぐ紫の執務室に向かった雪那、紫に向ける表情は恍惚と歓喜の入り交じった顔だ。

 「親衛隊が動けないのであれば、我が鎌府にお任せ下さい」

 紫はそんな雪那に向き直り淡々と言い放つ。

 「お前を呼んだ覚えは無いが」

 「私の判断で参りました!」

 「必要無い、余計な事をせず己の任に戻れ」

冷徹な物言いに狼狽えるも、紫の側付をしていた夜見を睨み拳を握り混みながら吐き捨てる。

 「夜見…紫様のお側にいながら……役立たずが!!」

「申し訳ありません」

 一般的な道徳心のある人が見れば眉を潜めたくなるような雪那の物言いも、夜見は顔色どころか眉一つ動かさず無表情で佇む。

 

 

 

 「ふっふ~ん♪…!」

本部の廊下を鼻唄混じりに歩く少女、親衛隊第四席燕結芽。彼女は視線の先に憂いを帯び下を向きながら歩く舞衣に気付く。その顔はまるでオモチャを見つけた悪戯好きの子供の様だ。

 「おねーさん」

「…!親衛隊の…」

 「聞いたよぉ、反逆者に逃げられちゃったんだて?──それって弱いからだよね」

 笑みから一転、射殺すような視線と声を出す結芽、御刀"にっかり青江"を舞衣に向ける。

 「…何を…?!」

いきなり向けられた御刀と殺意ともとれる剣気に驚愕する舞衣。

 一触即発の空気が支配しようかという最中、舞衣の後ろから江麻が現れる

「そこまでよ燕さん」

 「…羽島学長!」

 「ちぇ、つまーんなーい「つまーんなーいでは無い!」……お兄ちゃん!?」

 江麻の後ろから更に戒将が姿を見せ、結芽を叱る。

 「申し訳ありません、羽島学長。それと柳瀬舞衣さん、妹が無礼を働いたようですまない」

 江麻に頭を下げ、舞衣に謝罪する戒将、隣の結芽は不貞腐れている。

 「失礼します。結芽、後で説教だ」

 「えー?!」

結芽を連れ去っていく戒将、舞衣は終始驚いたままだったが江麻に肩を叩かれ、持ち直すと江麻を見て決心したのか彼女に告げる。

 「あ、あの羽島学長、ありがとうございます。…それと、事の重大さは理解しています………でも私は可奈美ちゃんを信じていて、それで…──」

 必死に捲し立てる舞衣に江麻は微笑みを絶さず、舞衣に耳打ちをする。その内容に舞衣は思わず江麻を凝視するのだった。

 

 続く

 


 

 

 次回予告(BGM:輝け!ダグオン)

 木寅ミルヤです。

 我々調査隊がダグオンの助力により窮地を切り抜けた後、鳳焔也さんと合流し青砥館に再び向かいます。

 青砥館にて赤羽刀、南无薬師景光の手掛かりを得て向かう我々。

 一方、反逆者の2人はメモの指示に従いとある人物と遭遇します。

 次回"刀使ノ指令ダグオン"

 交錯する思惑、近付く新たな脅威。

 では次回も"トライダグオン"…この言葉には一体どんな意味が?

 




 十六話でした。
 年末が近付くと仕事が忙しくなるから中々、思う様に進みませんね。
 最近寝不足で執筆途中に寝落ちしてしまいますし、もっと休みが欲しいですね切実に
 では次回でお会いしましょう。
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