刀使ノ指令ダグオン   作:ダグライダー

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 ダグライダーです。
 十七話目です。
今回、エデン監獄からネームド宇宙人が出ます。
まぁ、ジェゲンガ星人の挑発染みたリークに踊らされる噛ませになってしまう運命の宇宙人ですが……。
 後、今回矢鱈場面転換してしまいましたが……もう少しセンスが欲しいなぁ。


第十七話 交錯する思惑、近付く新たな脅威。

 

 "前回の刀使ノ指令ダグオン"

 調査隊のピンチを颯爽と駆け付け救うファイヤーエン

 そんな彼と彼女達を見つめるジェゲンガ星人メイルとフィメル。

 ジェゲンガ星人はダグオンの詳細な情報を 求め、ある企みを案じる。

 刀剣類管理局では高津雪那学長が動き出す。

美濃関学長、羽島江麻は舞衣にある事を打ち明ける。ダグオン、反逆者2人、調査隊、折神家、エデン、様々な勢力が入り交じり暗躍するこの世界の行く末は果たして──

 


 

 ファイヤーエンが去った後、調査隊は小休止を挟んだのち再び青砥館に向かう。

 「さて、皆さん休息は十分ですね。任務に戻りますよ」

ミルヤがメンバーを見渡し宣言する。

 「だァあああ!クソッ!?何なんだよあのヤローは?!アタシの荒魂ちゃんだぞっ!」

 呼吹だけはエンによって荒魂が倒された事に文句を叫んでいる。

 「七之里呼吹さん、そこまでにしておきなさい。我々が危機にあり、助けられたのは事実なのですから」

 「…チッ」

「うんうん、何者か知らんがかなりの漢気を感じる奴じゃ、また会いたいのう」

 「…撃鉄さん、まだついてこられるんですか?」

撃鉄の反応を見て、智恵が訊ねる。

「ん?なっはっはっはっ!ご心配召されるな智恵さん!ワシは貴女が望めばこの世の果てまでお供致しますぞ!」

 「……あ、は…はは、ありがとう…ございます…」

 撃鉄の返答に愛想笑いで返す智恵、内心もうどうとでもなれと自棄っぱちな気がしないでもない。

 

 「おーい!無事かー?!」

そこへ焔也がやってくる、彼はあくまで先程まで共に戦っていた事を悟られないよう、戦闘終了後に調査隊の様子を見に必死に駆け付けたという体裁で走ってくる。

 「あ、先ぱーい!大丈夫だったー!?」

美炎が気付き応える。エンに既視感を感じる彼女もまさか自分の危機を助けた相手が焔也とは思わない。

 こうして調査隊プラスアルファwith撃鉄一行は再び青砥館へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

 燕戒将は悩んでいた。

己の後ろを着いてくる結芽を見ては思い悩む。彼女が先程仕出かした事に──では無い、翼沙から聞かされた疑惑についてだ。

 

───焔也が剣を捜索する為に原宿に向かった後、戒将は翼沙に折神家のノロを使った実験について詳しく問い詰めた。

 結果、その情報の出所が長船である事、そして折神朱音とリチャード・フリードマンが関わっている事がその情報の真偽を決定付ける確証が高く、しかし立場上馬鹿正直に尋ねる訳にもいかず…彼は悩み、そして焦っていた。

 折神家が──折神紫がノロを使って何らかの実験をしているのならば親衛隊も何かしら知っている筈、だがそれを聞けばたちまち拘束され自身も反乱分子とされる可能性がある。

 それでは妹の病をダグオンの技術で完治させる事が出来なくなってしまう。それだけは避けたい。

 故に彼は思い悩む。そしてそのまま管理局発令室の扉の前に足を止める。

 「お兄ちゃん?」

説教すると言いながら何も言わず、一向に扉の前で動かなくなった兄を見て、結芽は声を恐る恐る掛ける。

 最近の兄は悩む事が多くなった。自分の事だけではない、他にも色々あったのか話してはくれないがよく眉間に皺を寄せている。

 「入んないの?なら遊んで来ていい?」

 

 「っ、すまない、入るとも…そして説教があるから遊ぶなどもっての他だ」

 気を取り直した戒将に、藪蛇だった結芽は思わず嫌な顔をする。

 かくして、部屋へと踏みいれば何やら妙な話が展開されていた。

 

 「ダグオン…一体何者なのでしょうね、例の者達と関係があるのかしら?」

 「少なくとも、ボク達の知らない技術を持っている事は確かだろう」

 部屋の片隅では寿々花と真希が逃亡中の2人を追っていた舞衣の報告の中に出たシャドーリュウ、延いてはここ最近目撃情報のあるダグオンと名乗る者達について話をしていた。

 荒魂との戦闘中、刀使のピンチに颯爽と現れ救った集団、かと思えば何やら各地で荒魂相手とは違う何らかの戦闘行為を行っている情報もある。

 謎だらけの存在に寿々花は自身の毛先を指で弄りながら疑問を口にする。

真希もまた特祭隊とは違う技術を持つ彼等に僅かな警戒を抱く。

 「おねーさん達何の話してるの?」

 「結芽」

 「戒将さん」

そこへ結芽が割って入り、真希が驚き、寿々花は後ろの戒将の存在に気付き軽い会釈をする。

 「ねぇ何の話?」

 「最近、各地で目撃情報のある集団の事ですわ」

 「何でも、その内の一人が例の反逆者と共に荒魂を倒したらしい、別の場所でももう一人が荒魂の対処に当たっていた刀使を助けたそうだ」

 それを聞いた戒将は思わず頭を抱えたくなった。

何をやっているんだと…。

 「どうなさいました?」

 「いや、何でもない…些細な事だ気にしなくて結構」

寿々花の配慮に感謝しつつも、誤魔化す戒将。ただ、寿々花と真希に向ける視線はどこか厳しい。

 戒将の苦悩は未だ続く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方、舞衣と別れ、クッキーの包装袋に入ったメモの場所に向かった可奈美と姫和。彼女達はそこでとある女性に会う。

 女性の名は"恩田 累"。現役時代は美濃関の刀使であり、現在は伍箇伝に関わる企業に勤めている。

 そんな彼女が現れ、警戒を顕にした姫和だったが、累から江麻より自分達の事を聞かされていると言う言葉に可奈美がにべもなく信用し、彼女の車に揺られ累の住まうマンションの一室へと至った現在。

 「いらっしゃい!ささっ、少し散らかってるけど上がって上がって」

 そういって部屋に上がるように促す累。

「お邪魔しまーす」

「………お邪魔します

 陽気な可奈美と対称的に一応の礼儀をするも未だ警戒をする姫和、累はお構いなしに部屋の奥に進んでいく。

 「一人暮らしだし、私の他に誰も居ないから安心して」

「……罠じゃないのか?」

「羽島学長の知り合いみたいだし、悪い人じゃないと思うけど…」

 

 「何者なんだって顔してるね~。ま、仕方ないか」

「………」

 「私は美濃関学院出身の元刀使よ、今はもう引退して御刀も返納しちゃったけどね」

 キッチンにコンビニ弁当と缶ビールの入った袋を置きながら自身の経歴を2人に明かす累。

 可奈美は美濃関のOGという事で流派を訊ね、姫和は刀剣類管理局の追手かと更に警戒を顕にする。

 そんな2人のやり取りを、手にした缶ビールを煽りながらコントの様だと評する累に毒気を抜かれる。

 「二人とも疲れてるでしょ?今日はゆっくり休んで。私も朝早いから寝ちゃうね~」

累は自身の寝室へと向かい、最後に可奈美達に自身の居ない間、家のものを好きに使うように言い残すと扉を閉めた。

 その後、2人は累の用意した食事に手をつけ、入浴する。その際、可奈美に言われた折神紫に勝てないという言葉に姫和は浴室にて思案する。そして可奈美が自身すら見えなかった紫の動きを見抜いていたことに驚くのであった。

 

 可奈美は夢を見る、深い霧に包まれた夢を──

その夢には自分以外の住人が居る。自身と同じ千鳥を持つ少女、歳は自分よりも少し上の彼女とはいつも夢の中で手合わせしている。

 可奈美は今も夢の中で彼女と闘い、語り合うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ━━━エデン監獄南棟

 「おのれぇええ!

エデンの監獄の一つ、南に位置するその場所は牢獄であった面影など既に残っておらず、闘技場と化した其所は歓声が響く。そのコロシアムの一室に歓声とは別の怒号が挙がる。

 「お、落ち着いて下さいギガンタース様!?」

怒り暴れ狂う巨体に声を掛ける者達、既に何人かは暴れる巨体に潰されたのか夥しい血が流れている。

 「落ちつけだどぉおおお!いつまでもいつまでもいつまでもいつまでもいつまでもいつまでもいつまでもいつまでもいつまでもいつまでも!もう限界だ!これ以上待つなど出切る筈がなかろうがっ!!」

 南棟を管理する巨体の宇宙人、惑星蹂躙巨人ヘカント星人ギガンタースは吼える。

「ですが」

 「うるさい!目の前に極上の獲物がいるのに耐える事など、何故出来ようか!」

「は、はぁ…(知るかっ!こっちはお前を宥める為に何人犠牲になったと思ってやがる。唯々でかくて力が強い事くらいが取り柄のゴミがっ!!)」

 内心ギガンタースに悪態を吐きながら、相槌をうつ部下を務める宇宙人。と、そこに部屋に常備された端末に情報が届く。

 「何だっ!?」

「少々お待ちを………!?これは?!」

 部下が端末に届いた情報に目を通す、その内容はジェゲンガ星人が地球に降り、ダグオンと戦闘をしたという情報。

 それを聞いたギガンタースは又しても怒り狂う。

 「おのれおのれおのれおのれおのれぇええ!あの卑怯者めぇええ!抜け駆けしよってからにぃいい!」

「落ちつ─ブベッ?!」

 ギガンタースの巨大な拳に潰される部下、真新し血溜まりが出来る。

 「ふん!最早待ってなどいられん!こうなれば好きにやらせて貰う。誰か輸送船を用意しろ!」

 新たな部下に言い放ち、部屋を後にするギガンタース。

 今、新たに地球に迫る脅威、エデンの監獄を治める強大な犯罪者がその魔の手を伸ばす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ━━原宿 青砥館

 調査隊一行は無事青砥館に到着した。

 青砥館は主に御刀の装飾や鞘の拵えを伍箇伝各学校の刀使から依頼を受け、オーダーメイドで鍔や鞘の拵え装飾を製作する店である。

 清香曰く、白鞘が普段着ならば青砥館の仕事で拵えたモノはお洒落した服装に通じるものらしい。

 美炎はよく解っていなようだが。

「いらっしゃいだ」

 彼女達を出迎えたのは、青砥館店主"青砥陽司"。甚平に羽織、豊かな白髪混じりの頭部にはバンダナらしき布を巻き顎髭を蓄えた、ナイスミドルな御仁である。

「俺の店にお客さんかな?しかも可愛らしい刀使が5人も、みんな制服がバラバラみたいだが…こりゃちょっとした花畑だな。なぁ、お嬢様方?」 

 「か、可愛い…」

 「お嬢様…」

 「そんな、神懸かった別嬪さんだなんて」

 「は?言ってねーよ」

 「申し訳ありません、騒がしい者達ばかりで…」

 反応は上から順に美炎、清香、智恵、呼吹、ミルヤである。

「良いって事よ、それより刀身以外の事なら相談のるぜ?サービスしとくからよ!」

 「ちょいとオトン、お客さんに色目使わないでよ!」

そう言って、割って入るのは鎌府の制服着た頭に陽司と同じ様に布を巻いた少女、彼女は"青砥陽菜"、陽司の娘であり、御前試合に乗じ里帰りとして青砥館の手伝いをしているのである。

 「そうだ!今日と明日お店手伝ってくれない?布団も出すし、御刀の調子も見てあげるサービスするからさ」

 「いえ、我々には任務が…」

 こうして調査隊は陽菜によって青砥館に招き入れられるのだった。

 「俺らは?」

 「ワシの中では智恵さんは神以上の別嬪ですぞ!」

暫く焔也と撃鉄は蚊帳の外であった。

 

 続く

 


 

 次回予告(BGM:輝け!ダグオン)

 お初に御目に掛かる、我は超高次元管理生命体シータである。

 おいアルファよ前回の予告では赤羽刀の情報を手に入れるなどと書いた原稿をあの世界の者に渡したそうではないか!?

 明らかに詐欺であろう!何?我がさっさと考えないのが悪いだと?貴様ふざけるなよ!毎回毎回、我を引っ張り出してはあらすじをやらせ、挙げ句、ビークルの素材集めまでさせて更には、例の剣星人モデルのアレを紛失するという愚行を犯しおってからに……。

 ええい、次回"刀使ノ指令ダグオン"

 新たな刺客。ようこそ青砥館。

 そも予告とはある程度決まっ──ブチッ

 

 

 

 

 

 

 




 後書きですね
 余談ですが、アルファこと今作中の管理者が管理する世界は刀使世界以外に四国を神樹結界で守ってる世界や急に歌うよ~な世界があります。まあ分かりやすく言えば原作がメディアミックス関連のアニメ主流世界ですね。
 その中でもゆゆゆ世界にはレジェンドラの……まぁ、そこはとじみこゆゆゆコラボのシナリオ書く機会があればその内に
 では次回、お会いしましょう。

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