刀使ノ指令ダグオン   作:ダグライダー

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 大分手こずりましたダグライダーです。
いやはや、プロット箇条書きして初期原稿であーでもないこーでも無いと悩んで、結果、一旦沙耶香襲撃を次回に伸ばしました。
 そうしないと薫とエレンが出せなかったので……。
その為に、気分転換というか頭の整理の為、スカルマンの続きを書いてしまう始末。申し訳ございません。
 では十八話です。


第十八話 新たな刺客。ようこそ青砥館。

 

 "前回の刀使ノ指令ダグオン"

 ア:次回予告空間は一種のメタ時空だったんだよ!

デ、イ、ゼ:な、ナンダッテー!!?

 シ:……… 

 


 

 ━━━エデン地表カタパルトゲート

 「あーあ、いっちゃったね」

「見過ごしてしまって宜しかったので?」

 カタパルトに程近い、宇宙船の格納ドックに二つのヒトガタがゲートの先を見据えている。

 少年とも少女ともつかない妖精のような宇宙人と、それに付き従うドレスの女性。

 妖精はギガンタースが独断で地球に向かう様子を楽しんで観ていたのだ。そしてギガンタースがエデンを発ち妖精は途端につまらなそうに呟き、ドレスの女が疑問を口に出す。

 「だっておもしろそうだったんだもん!」

「困った御方ですこと…でも、そんな所が愛らしいのですけど」

 「んー、はやくぼくもちきゅうにいってみたいなー!」

「それはまた、大分先の事になりますでしょうね」

 「うー、うー、うー!」

妖精の発言に対したおやかに返すドレスの女、妖精はそんな彼女の反応がお気に召さないのか駄々を捏ねる。

 「だぐおん……はやくあそびたいな。ぎがんたーすなんかにやられないでね」

 一通りごねた後、即座に切り替え地球の方向へ視線を向ける妖精、口にした言葉はとても犯罪を犯したとは思えない程に無邪気であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ━━鎌倉 刀剣類管理局本部

 夜が明け、鎌府を除く伍箇伝の生徒達がそれぞれの学校行きのバスに乗り込む。

 聴取により、反逆者とされた二名以外の反乱分子は居ないと判断され拘束を解放されたのだ。

 朝日が照す空の下、眠気を押し殺しながらも次々とバスに乗る生徒、そんな美濃関行きのバスに並ぶ生徒を見つめる舞衣。

 彼女は先日の報告の後に自身の学校の学長である羽島江麻から聞かされた『二人なら大丈夫』と言う言葉の真意を図りかねていた。

 「みんな帰るんだ……」

自分は可奈美達を探す為に残る選択をしたが、他の皆は帰るという状況にどこか淋しさを覚える。

「柳瀬さん」

 そんな舞衣に声を掛ける生徒、その制服は反逆者の一人、十条姫和と同じ平城のもの。

 「あっ、岩倉さん」

「帰る前に挨拶を…と思って」

 見覚えのある顔、十条姫和と同じく平城の御前試合の代表であった岩倉早苗である。

彼女もまた舞衣と同じく、姫和の反逆者扱いにより親衛隊ひいては折神家から詳細な事情聴取を受けていたのだ。

「──御前試合…あんな事になるなんてビックリしたよね。柳瀬さんは大丈夫だった?」

 「はい……岩倉さんこそ」

「私も親衛隊の人に取調べを受けたの、でも私、十条さんの事全然知らなくて……」

 淋しそうな顔で姫和の事を吐露する早苗、クラスにて委員長を勤める彼女は姫和に何度か声を掛けていたのだ。そんな早苗に何処か通じるモノを感じたのか舞衣も早苗の言葉に静かに応える。

「それじゃ…元気でね」

 「はい岩倉さんも」

数度言葉を交わした後、早苗は平城行きのバスへと去って行った。

 

 早苗を見送る舞衣、ふと視線を本部側にやると、そこには雪那が一人の女生徒を伴って歩いてくる。

 報告の際の対応から雪那に苦手意識のある舞衣は離れていると判っていても身構えてしまう。

 次いで雪那の後ろに付く少女を見る、鎌府の制服を纏い幼さの残る顔に短めの限りなく白に近い色素の薄い銀髪、本来ならば相応に感情豊かであろうその顔は人形のように冷たい。

 「(あの子…一回戦で可奈美ちゃんと当たった鎌府女学院の)」

 御前試合で可奈美と当たった相手であった為か舞衣は直ぐに彼女が誰か思い至る。

 舞衣の視線に気付いたのか少女がちらりと舞衣の方に視線を寄越す。

 

「沙耶香」

 雪那が少女の名を呼ぶと少女が雪那に顔を向ける。

「あなたは東京に向かい潜伏中の逆賊どもを討ち取るのよ」

 「………はい」

少女──糸見沙耶香は雪那の命令に淡々と従う。

 雪那は沙耶香の顔に手を添え言う。

「あなたこそ我が鎌府が誇る最高の刀使。親衛隊のような試作品とは違う」

 

 雪那は満足そうにそのまま沙耶香を引き連れ歩いていった。

 

 

 「Hey!!!Lady 柳瀬!」

沙耶香の消えた方向に舞衣が気を取られていると、後ろから新たな声がかかる。

 振り向けば、二人の刀使。一人は声をかけたであろう金髪…恐らくはハーフであろう長身の少女、もう一人は逆に小さく、小学生くらいの身長のツインテールの気だるい顔の少女、金髪の少女に抱かれ顔にめんどくさいと書いてある。

 「あなた達は長船の…」

 「古波蔵エレンデース!」

 「益子薫だ…」

返事も片やテンション高く、片やダウナー気味。舞衣は…いや、舞衣でなくともこう抱くだろう、凸凹コンビと。

 「私に何か?」

舞衣は何故このタイミングで彼女達が自分に声をと疑問を顔に出す。

 「オーウ、ワタシの両親とアナタのパパは仕事のパートナーなのデス!」

 「私の父とですか……?」

思わぬ接点に驚いてしまう舞衣だが、古波蔵という名に聞き覚えがあったのか納得する。

 「お友達のコトは大変でショウ?頑張ってクダサイ応援してマース」

 「おい、エレンそろそろ行くぞ」

舞衣に対しどこまでもフレンドリーに接するエレンに対し、薫は面倒そうに言う。

 「お二人はこれから休暇ですか?」

 「Yes!!一足速いサマーバケーションデス」

 「絶好の海日和だからな」

薫がやたら嬉しそうなのは気のせいでは無いのだろう、舞衣が返答に困っていると、薫の頭とエレンの胸の間から何かが舞衣の胸目掛け飛び出して来た。

 「ねねー!」

それはウサギ?いやネズミ?はたまた新種の何か?兎も角正体不明の小動物であった。小動物は奇妙な鳴き声を挙げ舞衣の胸に一直線に飛び付く──かに思われた。

 「ねー!?ねねっ!」

飛び付く寸前薫の手により尻尾を捕まれ落下する小動物、舞衣はそんな不思議生物を見て驚く。

 「コイツはねね、俺のペットだ」

薫が不思議小動物の正体を告げる、告げられたねねは不満そうだ。

 「あの…でもそれ荒魂じゃ?」

 「安心しろ無害だ」

 「Yes!それにねねはお友達デース」

薫とエレンの言葉にねねを見つめる舞衣、薫曰くねねは代々益子の家で守護獣として扱われているとの事、但しやたらと胸の大きい女性が好きで飛び付く癖があるとか、そんな他愛の無い話を幾ばかし、長船コンビは去っていったのだった。

 

 

 

 

 

 

 ━━青砥館

 昨日、陽菜により青砥館で一夜を明かした調査隊。

ミルヤは陽司に礼を述べる。

 「昨日は泊めていただき、ありがとうございました青砥陽司さん」

「良いって事よ。それよりそんな堅苦しい言い方は無しだぜ、敬語なんか使わないで俺の事は陽司さんかヨージでいいんだぞ」

 「ヨー……いえ、無理です。やはり青砥陽司さんと。馴れ合う事は役目──目的ではありませんので」

「真面目だねぇ、あそこの兄ちゃん達なんか気軽に呼んでくれたぜ?」

 陽司が言う兄ちゃん達とは勿論、焔也と撃鉄である。あの後にちゃんと二人も青砥館に宿泊したのだ。

 その事はさて置いて、ミルヤは陽司に問う。

 「我々が探している赤羽刀…南无薬師景光についてお訊きします。」

 南无薬師瑠璃光如来備前長船住景光、 戦国時代の猛将武田信玄が富士山浅間神社に納めたとされ、江戸の時期に行方知れずとなったとされる御刀である。

 調査隊牽いてはミルヤの目的はその南无薬師景光の写しを回収する事にある。

 陽司との会話により写しの存在については確認がとれたものの、陽司自身お目にかかれた事は無いらしい。

 結果、ミルヤは残念そうに話を切上げた。

 

 

 「ってのがついさっきの話だ」

店の奥にてミルヤとの会話の内容を話す陽司、相手は智恵である。二人の会話は場所と雰囲気からより機密性が高いのか皆からは離れている。

 「そうですか、南无薬師景光…。教えて頂きありがとうございます陽司さん」

 智恵はミルヤが何故特定の御刀を探しているのか疑問に思う。

 陽司もこれといった心当たりなど当然無いのか知らんと答える。

 それよりもと話を替える陽司。

 「智恵ちゃんも来るなら来ると連絡の1つも寄越してくれりゃいいのに」

 その発言は智恵とは初対面では無いと言う言葉と取れる。

 「紗南のお嬢ちゃんでもファインマンの爺さんでも構わんが連絡をくれてれば、お・も・て・な・し──準備くらいしたのによ」

 更には長船の学長、そして謎の人物の名が挙がる。

 「いえ、そもそも来るつもりはなかったので」

 「バッサリだな」

バッサリと言い切る智恵に陽司は落胆を口にする。

 そもそも調査隊が原宿──青砥館に来たのは清香とミルヤの希望であった為、更には焔也と遭遇、撃鉄との邂逅もあってか渾沌としてしまったのだ。

 「本当に偶然なんです…()()()()()の活動が漏れる可能性を考えたら接触は避けたかったので」

 智恵の言う活動とやらに陽司も肯定する、その上で智恵に長船学長からの伝言を伝え、もう一晩泊まるように薦めるのであった。

 

 

 続く

 


 

 次回予告(BGM:輝け!ダグオン)

 

 衛藤可奈美です!

何だか美炎ちゃん達大変みたい。

 私たちの方は累さんが姫和ちゃんに紹介したい人がいるらしいし、そしたら新しい追っ手の人が?!

 でも何だかあの子の剣おかしい……。

 次回、"刀使ノ指令ダグオン"

 心なき刃、忍び寄る者。

 鳳先輩の方も何だか慌ただしくなってるみたいだしどうなっちゃうんだろう?

 

 




 前書きで今話の事は言うだけ言ったので、後書きは他愛の無い話をば。
 私、モバゲーでシンデレラガールズをやってます。
現在、スパロボコラボイベントなので中々楽しいです。
 いやまさか唯ちゃんに専用のゲシュペンストが用意されるとは……。
 それにスフィアにも触れたと言うことはその内また、コラボしてバルゴラとかブラスタとかジェニオンとか出るのがワンチャンあるのではと期待してたりします。
 ではまた、次回……今度はなるべく早く上げたいものです。

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