新年二回目の投稿です!
前回のマテリアルの際は失礼しました、いずれ恒常化するとはいえ、以前から目を着けていた富田江が一発で来たので興奮してしまいました。
ええ、恐らくそこで新年の運を使い切ったのかアリスギアの方は王女がでない、とじともも既存の星4しか出ないと…まぁ散々でした。
"前回の刀使ノ指令ダグオン"
地球に現れたギガンタースの武装輸送船、ダグオン達はダグビークルで出撃、鳥取の砂丘で迎え撃つ作戦を執る。見事、輸送船を撃破した彼等、しかし爆炎と砂塵の中より怒りの巨人が現れる。
今までにない巨大な敵にどう戦うダグオン?!
「貴様らぁあああああアアアアアア!」
ギガンタースの怒りに満ちた声が砂の大地に響き轟く、彼の背後には残骸と成り果てた輸送船が散らばる。
「ゆるざん!ゆるざんぞぉギィザァマァラァ!!」
血走った瞳で己を虚仮にした者達を睨み付けその巨体を揺らし歩み始める。
「おいおい、あれで無傷かよ!?」
エンがフロントガラス越しから見えるギガンタースに驚愕する。
「恐らくはあの表皮が鎧の役割を果たしているのでしょう。それにしても限度がありそうなモノですが…」
ヨクが迫って来るギガンタースを眺め指摘する。
「…冷静に分析している暇は無いぞ……、見ろ」
リュウが何かに気付き、皆に声を掛ける。果たして彼等の視線が向いたその先には騒ぎに惹き付けられたのか、チラホラと人影が見える。
「オイオイオイオイ!?何で人が集まってくんだよ?ちゃんとエンが追い返したんじゃネーノか!?」
シンが信じられない事が起きた為、狼狽える。
「もち走り回って此処がヤバい事は伝えたぜ、見た目パトカーだし、ちゃんと確認だってしたからな?!」
エンが即座に4人が時間を稼いだ間の己の役割を果たした事を報告する。
「おかしな事ではない、人は危険と聞かさせると好奇心が働くものだ。一旦は退いても、集団が騒ぎを聞き付ければ野次馬が現れるのも無理は無い」
カイがマスクの奥で苦虫を噛み潰しながら現れた野次馬達を見て理由を述べる。
「大方、警察が態々車両1つで退避勧告をした事に数人が疑問を持ったのだろう。今の時代ネット1つで噂が簡単に広がる…アレもその類いだ」
カイの言葉通り、野次馬は遠巻きとはいえ次々と集まっており、果ては地方局の物であろう報道ヘリまで飛んでいる。
「こりゃあメチャクチャヤバくないか…オレら悪い意味で全国デビューしちまうぜ?!」
「全国で済めば良いですけどね……最悪、世界規模となる可能性もあります」
シンとヨクが現状に対し悪い想像をする。
「……ヘリが厄介だ、野次馬はまだ距離があるがマスコミはそうはいかん…。どうする?俺が牽制するか…?」
リュウがヘリを見ながらカイに指示を仰ぐ。
「………………そうだな、リュウはヘリを遠ざけろエンは野次馬が近付かないように我々より後方に、残った我々で奴を仕留める」
暫しの黙考の後、4人に指示を飛ばしギガンタースの前にターボライナーを繰り出し攻撃を再開する。
「「「「了解」」」」
4人がカイの案に即座に動く、シャドージェットがヘリの方向へ進路を転換し、ファイヤーストラトスが人々の方に走り去る。
残ったアーマーライナー、ウイングライナーが先に攻撃を再開したターボライナーに続きギガンタースの攻撃に参加する。
「ぬぅぅうううううんんんんんん!!」
雨あられと降り注ぐミサイルを意に反さず歩みを止めないギガンタース。
「くっ!硬い…!!」
「まさに堅牢と言うわけですか…」
「オイオイ、どうすんだよアイツ等呼び戻すか!?」
ギガンタースが進むのに合わせ、じわじわと後退していくライナービークル達、3人は焦りを見せ始める。
その頃、ヘリに向かったリュウもまた中々引き下がらない報道陣に手こずっていた。
「……ここは危険だ、下がれ……!!」
「ちっ、何だよこの戦闘機は?!自衛隊が出たのは知ってたがあんなの見たこともないぞ!」
「もっと近付けませんか?戦闘機とパトカーは兎も角、あの新幹線、線路も無いのに動いてますし1つは飛んでますよ!?」
「無茶言うな!さっきからあの自衛隊機が邪魔して近付きたくても出来ないんだよ!」
『御覧ください!先程鳥取砂丘に墜落した謎の飛行物体から現れた巨人らしき影に、何と新幹線らしきモノが攻撃を仕掛けています!』
ヘリの中では操縦士と恐らくは責任者であろうディレクターが言い争い、カメラマンとリポーターが現在の位置から捉えられる範囲で現状を実況している。
『これは決して映画の撮影などではありません!今この瞬間も現実に起きているのです!』
「…っ、埒が明かないか……。致し方無い、当てはしないが上手く避けろ…」
痺れを切らしたリュウが最後の手段としてシャドージェットの機銃をヘリに向け放つ。
当たらないように距離を空け射線をずらしたとはいえ、いきなりの発砲にヘリは慌てふためく。
「う、射ってきたぁ?!冗談じゃないよ!」
「ちょ?!もうちょいあるでしょ?報道管制引かれた訳じゃないのに、こっちは民家機なんだぞ!ってか今の撮れたか!?」
「バッチリっす、マジ怖い!」
『ご…御覧頂けたでしょうか!?守るべき国民に向けこの仕打ち、自衛隊は何を考えているのでしょうか!?』
威嚇を受けても尚引く姿勢を見せないヘリに、最早処置なしと見たリュウは己の判断の誤りも含め僅かな後悔と苛立ちを含みながら仲間の下に向かっていった。
同じ様に地上の野次馬に対処していたエンも思うようにいかない状況にストレスを感じていた。
「逃げろっていってんだろ!死にてえのか!!?」
「なんだよ!別に近付いてる訳じゃないんだから良いじゃんか!」
「ウェーイ!見てる~?今スッゲーことになってまーす」
「警官なら市民に対してもっとちゃんと対応しろっ!」
「あれって荒魂?」
「さぁ?でも刀使いないし違うんじゃない?」
「マジで合成じゃなくてあんなの居んの?ウケる~」
彼等のあまりに好き勝手な発言にどう対処してよいのか分からないエン、構わず愚痴や文句を投げつける者や動画や写真を撮る若者達に自分達のやっている事が馬鹿馬鹿しく感じてしまった彼は一瞬、邪な考えが過るも首を振り根気よく声を掛け退避を促し続ける。
砂漠の激闘が続く最中、広がり続ける騒ぎを聞き付け、新たな報道ヘリや報道車が現れる。
そして、ギガンタースと相対していたカイ達が攻撃しながら後退を続けていた為、遂にギガンタースは市民や報道陣の目と鼻の先にまで迫っていた。
「不味い!このままではまだ距離があるとはいえ、被害が出てしまう」
「……済まない、ヘリを追い返す事は出来なかった…」
「しゃーねべ、あんなんオレだってイラってきて撃っちまう、当てなかっただけオマエは偉いぜ」
「これではエンの方も難しいでしょうね……次策は?」
「残念だか無い。後は特攻でもしてみるか?」
「笑えねェ冗談だ、っても今んとこそれしか無いのがナァ」
「……エンが頑張ってくれているお陰で空は兎も角、地上はまだ猶予があると取るべきか…」
エンを除いたダグオン達は、いよいよ取れる手段が無くなったのか攻撃を続けながらそんな会話を繰り広げる。
「先程からチクチクと痒い攻撃ばかり……鬱陶しい!」
その声と共に拳を握り砂丘に思い切り叩き付ける。砂塵が勢いよく上がり、砂丘全体が大きく揺れる。
「っ!」
「なんちゅーう威力だよ?!アレ喰らったらオレ達もヤバくネェか!?」
拳一つで地震を起こしたギガンタースに戦慄を覚えるダグオン達、そして流石にこれには命の危機を感じたのか市民達は蜘蛛の子を散らすように逃げ惑う。
「先程から小うるさいハエが飛んでいるなぁ?」
ギガンタースはそう言って上腕を伸ばし近くのヘリを掴む。
「しまった!?こんな場所まで近付かれていたのか?!」
カイも焦りと攻撃に集中していた為に気付け無かったヘリの存在にギガンタースは気付いたのだ、それもその筈、ギガンタースにとってはダグオンの攻撃など蚊が刺した程度の物でしかない。故に随分前から視界に映るヘリに怒りを表し掴みあげたのだ。
「ひ、ひぃい!?」
「何なんだよぉ?!」
「母ちゃぁぁぁん!!」
『何?!何なのよぉ!!??」
ギガンタースに捕まったヘリは先程リュウが対処していた報道ヘリ、中に居る乗員達は突然の事に思考が追い付かないのか逃げ場の無い場所で慌てふためく。
「丁度いい!このハエで貴様等を潰す!」
その言葉と共にヘリを掴む腕を振りかぶるギガンタース、投石の要領でライナービークル目掛け投げ付ける。
「「「うわぁああああ!!?」」」 「嫌ぁああああああ!!?」
思い切り投げ付けられたヘリは爆発し、それが更に混乱を加速させた。
「……は?」
「にに、逃げ…逃げ…」
「逃げろぉオオオオ!!」
誰かが上げた悲鳴に一斉に走り出す残った市民達、しかし到底受け入れ難い現実を前に人間は正常な判断など早々出来るものではない。躓き、転がり、混乱は大きく広がるばかり、そんな彼等の怯え慌てる様を見てエンはファイヤーストラトスのハンドルに拳を叩き付ける。
「くそっ!どうにもならないのかよ!!」
顔を伏せ、やり場の無い怒りを募らせるエン。彼はそのままギガンタースに視線を向ける
「こうなったら俺もみんなに合流して戦うしかねぇ!」
その言葉と共にハンドルを切り、ギガンタースに向かう。
「くぅっ!しまった!?」
「クソッタレ!離せ、離しやがれてんダヨォ!!」
「……このまま僕らをマシンごと握り潰す気ですね」
「…脱出は難しいか……」
4人はヘリを無理にヘリをかわし、体勢を崩したビークルをギガンタースに捕獲されてしまっていた。
「フハハハ!温い、温いなぁ!?地球という惑星の生命体はこの期に及んで戦うよりも逃走を選び、唯一戦う貴様達もこの体たらく…全く随分と期待ハズレな星だ!」
「ヤロウ…好き勝手にほざきやがって」
「……だが、奴に対して有効な対抗手段がこの様だ……」
「せめて何か弱点でもあれば……」
「このままでは我々どころか地球全てが奴の手に掛かってしまう…!」
四つの腕にそれぞれ捕らえられるダグビークル、ギガンタースが手に力を込めビークルが軋みを上げる。
管理者の手により嘗てのモノより性能面が上昇しているとはいえ、エデンの囚人達もサルガッソの囚人より強力な者達が数多く存在する。ましてや相手は単純な力のみで1つの監獄を治める凶悪な異星人だ。
「このぉおおおお!仲間を離しやがれぇええ!」
エンがファイヤーストラトスでギガンタースに突っ込む、しかしギガンタースはそれを右足で止める。
「んん?地を這うムシケラが一匹増えた所で何が変わるぅ?」
巨人はそのまま足に力を加え、エンを踏み潰そうとする。体重がのし掛かり悲鳴を上げるファイヤーストラトス。
「ちくしょう!ちくしょう!ちくしょぉおおおお!」
エンが…焔也が慟哭する、巨人が嗤う、人々が逃げ惑う、仲間達が苦悶する。
「俺にもっと力があれば……みんな守れるんだ!頼む、お前にはまだ隠された力があるんだろ!?確かにさっきの俺は野次馬の連中に苛ついた。けど、このまま負けちまったら俺は俺の心に嘘ついちまうんだ!だからっ!!」
その時、ファイヤーストラトスがその叫びに応える様に唸りを上げる。
「何イィ!!?」
ギガンタースの足を弾き、走り出すとUターンし再びギガンタースに向け走ってくる。
「フン!今度こそ踏み潰してくれよう!!」
ギガンタースが再び足を上げる。
「エン!?」
「バカ野郎!自殺行為だ!」
「逃げて下さい!」
「…エン!」
仲間達がエンの行動に驚愕し止めるように声を掛ける。
「こいつは…そうか解ったぜ!」
エンはファイヤーストラトスの声なき声を理解し、制止も効かず突っ込む。その時──
「融合合体!」
その声と共にエンがファイヤーストラトスからすり抜ける様に屋根に仁王立ちし、ファイヤーストラトスから跳ぶ。
無人となったファイヤーストラトスのフロント部分に線が走り、パトランプまでのパーツが競り上がり割れる。
人の脚の様に変形したそれは次にリアの部分が割れ肩となりドアが腕の様に変形する。
最後に顔が現れ、変形したファイヤーストラトスの足元に立ったエンが蜃気楼の様に変形したファイヤーストラトスと同じ大きさまで巨大化し溶け込む様に一体化する。
人型となったファイヤーストラトスの瞳に光が宿る。
『ダグ…ファイヤァァァアアアア!』
変形し炎を纏いそれを散らし生まれたのは10メートル近いロボット、遂にダグビークルの真の力が解放され、ファイヤーエンはダグファイヤーへと再誕したのだった!
続く
次回予告(BGM:輝け!ダグオン)
よぉ、ファイヤーエンの鳳焔也だ…って、何じゃこりゃあああ!!?
何かロボットになってるぅうう?!とにかく、これで少しはあのでかいのと戦えるぜ!
って、やっぱ硬ってぇ!?どうすりゃ奴を倒せるんだ?
次回"刀使ノ指令ダグオン"
焔の融合合体!ダグファイヤー誕生!後編
次回も"トライッダグオン!"
ふぅ、中間の描写に最後まで悩みましたが、野次馬って大体こういった面もあるよね。という部分を誇張して表現しました。でも実際、自分も恐いもの見たさに近付いちゃうかもしれないので……。
そんな訳で次回後編にてお会いしましょう!
颯出てくれぇええ!