刀使ノ指令ダグオン   作:ダグライダー

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 遅れましたが投稿です。ダグライダーです。
私事でごたついていたので中々、進まず、合間を縫って何とか投稿出来ました。
 2月は暫くごたつきが続くので、遅れる事が多くなりますが今後ともご愛顧お願いします。


第二十六話 機獣見参!問われる真意。

 

 "前回の刀使ノ指令ダグオン"

 薫と夜見の戦闘に介入したウイングヨク、夜見を退けた後、眠りに着く薫を見守りながら此処に至るまでの経緯を思い出す。

 管理者アルファより語られるこの世界の理、己の暮らす世界の事実を前にダグオンの若者達は新たな決断を下す。

 一方、伊豆山中にて現れた荒魂を討伐する調査隊の前に立ち塞がる親衛隊の二人、在らぬ因縁を前に一触即発となったその時!

 


 

 日も沈み、空には夜の帷が広がる山奥にて繰り広げられる光景、それは彼女達にとっても未知の出来事でありまた、何故こんなことになったのかと思わずにはいられない状況でもあった。

 調査隊の面々にとっては仲間が反逆の片棒を担いでいると言う、言い掛かり甚だしい理由から襲撃してきた親衛隊をやむ無く迎え撃ち話を聴いて貰う為構えんとした時。

 そして親衛隊──獅童真希にしてみれば、忠義を捧げる折神紫に牙剥く愚か者に誅伐を喰らわせる山狩りで偶然、以前刃を交えた反逆者に通じている疑いのある安桜美炎、瀬戸内智恵の両名を含む不審な刀使の集団に八つ当たりと準備運動を兼ねた戦いを仕掛けた瞬間──

 

 彼女達の間にいきなり現れ、割って入った存在は今までに見た事もない巨大な獣、それも命ある存在ではなく明らかに人工のモノであろう鋼鉄の巨躯を持つ獣が現れ、調査隊を庇い守る様に、そして親衛隊の二人に警戒する様に唸る。

 

 『Gaullllll!』『Guooo』『Cuorr…!』

陸と空、双方から此方に何時でも飛び掛からんばかりの三匹…否、三機の機獣を前に真希は先程の態度が嘘の様に困惑していた。

 「…な…っ一体コイツら何なんだ?!」

彼女とて今までに数多くの荒魂を討伐せしめた熟練の刀使ではあるが、流石にこの様な経験は無い。

 相方である此花寿々花も当惑している。獣越しに調査隊の面々に視線を投げれば、彼女達も理解が追い付いていないのか驚いている様子。

 「っ!寿々花ぁ!」

 しかし腐っても親衛隊第一席、一早く意識を切り替え御刀を向ける先を調査隊から謎の獣に変える。

 真希が斬りかかったのは緑色の狼"ガードウルフ"、如何に未知の存在と言えど、御刀に斬れぬ物は無いと断じ力に任せ吼丸を振り下ろす。

 

──カーンッ!

 

 「……は?」

山中の森に響いた空しい金属音、それは斬るどころか、傷さえ一つ無く、あまつさえ刃を弾くという結果。

 流石に真希と言えども間抜けな声を出してしまう。

御刀吼丸──源氏に連なる宝刀に膝丸を始めとして様々な名を持つとされた御刀をまるで、鉄パイプを弾くかのような音を立て無傷のまま動かぬガードウルフ。それも当然でもあろう、何せ世界が違う。

 

 嘗て此処とは別の地球を守る為に戦い、数多くの侵略者を葬って来た勇者達の装備であり仲間であった彼と同朋のガードアニマル達はこの世界にて再び使命を果たすに辺り、新たに強化を施されている。

 いくら御刀が特使な金属珠鋼を使って特別な工程によって打たれた物であっても、相手は広大な宇宙に巣食う犯罪者達と戦う為に生み出された人類では未だ到達をなし得ぬオーバーテクノロジーの塊である上に()()()()()鹿()()()()()()()()()()()()()()()()のだから傷付かぬ事の方が当たり前なのだ。

 

 『GAaaaaaa!』

咆哮と共に真希に向け片方の前脚を横払いに振るガードウルフ、彼女がギリギリ避けられる程度に加減を加えてあるが、無論それを彼女は知る由もない。

 「っ…!一体、何なんだ!?コイツらは!」

真希が自棄糞気味に吠える。

 「少なくとも、荒魂でない事以外私にも解るわけありませんわ」

 寿々花とて未だ混乱は治まらないが真希が感情的な分、幾ばかは冷静になっていた。

 

 「何が起こっているというの……」

一方、調査隊の者達も目の前で繰り広げられる光景に理解出来ないでいた。

 「ええっと…あのデッカイ狼と虎と鳥は私達の味方なのかな?」

 美炎が慎重に言葉を探しながら隣に居る智恵に訊ねる。

 「それは……解らないけど、あの狼達は私達を守る様な位置取りをしているのは確かね」

 「加えて、親衛隊にも出来るだけ危害を加えないようにしていますね」

 智恵の見解にミルヤも同意し更に機獣達の意図を察する。

 「なんでもイイケドよォ、結局アタシらはどーすんだ?」

 「無論誤解を解いて貰います」

最初こそ驚いていた呼吹も三機が此方に対し敵意が無いことを知ると、途端に何時ものペースに戻りミルヤにこの状況をどうするかと問う。

 因みに、ガードウルフ、ガードホークが親衛隊を牽制する中、ガードタイガーは清香の近くで彼女を守る様に側に居る為、清香が少々怯えているのであった。

 「ひぅ…!」

 『………?』

無論、タイガーに悪気は無い。しかしだ、考えてみて欲しい、いきなり現れた未知の巨大存在が自分の近くに居る、しかも御刀を平然と弾き見た目は大型の肉食獣……怯えない方がおかしい。

 まぁ、彼等は主人からの命を実行し、尚且つ彼等の敵は宇宙から来るエデンの犯罪者達なので、彼女達を攻撃する必要が無いのだ。ウルフ、ホークの牽制も悪魔で刀使である真希と寿々花を害そうとするものではなく、リュウから仰せつかった命令に従っての行動である。

 

 やがて、鼬ごっこのような攻防が続き、親衛隊が攻めあぐね辟易し始めた頃、見計らっていたかのように新たな人物が現れた。

 「……どうやら、少しは話を聞ける状態になった様だな…」

 「貴方は!?」

 「え?だ、誰?!忍者!!?」

 「いきなり現れたぞ!?」

 「でも待ってどこか見覚えが……」

 「えっ…!(兄…さん?)」

 ミルヤは現れた人物に見覚えがある為に驚き、美炎は全く見知らぬ為声を上げ、呼吹は影も形も無いかのように現れた事に眼を剥き、智恵はファイヤーエンを見た時の事を思いだし、そして清香は己の近しい大切な存在を頭の片隅に浮かべていた。

 「くっ、新手か…!」

 「次から次に…何なんですの!?」

これには親衛隊の二人も参ったのか、焦りを滲ませる。

 しかし、現れた人物──シャドーリュウは彼女達の敵愾心など異に還さず淡々と告げる。

 「……本来ならば、此方に戦闘の意思は無い…。だが……お前達は彼女達に対し、明かに殺意を込めた刃を向けた…故に、介入したまで………」

 「だが、そこの二人…安桜美炎と瀬戸内智恵には反逆者の仲間である可能性がある。二人と共にいる者達も同様にだ!」

 機獣達に水を差され、多少周囲を視られる様になった真希がリュウに叫ぶ。

 

 「待って下さい!我々は各学園の学長レベルからの正式な命令で動いている、伍箇伝直属の特務部隊です!折神家に!いえ!綾小路武芸学舎の相楽結月学長に確認を!確認をお願いします!!」

 話が通じる今を好機と見てミルヤが必死に訴える。

そこへ美炎も続けて抗議する。

 「本当ですって!一昨日に勝手な事をして見逃してもらう替わりに、この部隊に着任……編成されたんです!!」

 この訴えには流石に真希も面をくらい冷静になる。

 「………そうなのか?」

真希の問いに寿々花は呆れながら説明を始める。

 「だから止めましたのに……あの子が言っている事は本当ですわ。私達の出立前に、高津学長からも、赤羽刀調査する為の部隊だと、事前連絡がありましてよ?──そうですわよね、七之里呼吹さん?」

 そのまま呼吹に話を振る寿々花、呼吹は苦い顔をしながら答える。

 「だから最初からそう言ってんだろ……」

それを見た真希は釈然としない顔ながらも一応の納得をしたようだ。

 「分かった…。物足りないけど、ここまでにしておこう。さあ、五人とも来るんだ」

 御刀を納め真希は調査隊に同行を促す。

 「どこへです?」

美炎は真希の態度に眉を潜めながらも聞き返す。

 「この近くに反逆者達が潜んでいる。その為の山狩りに人手が欲しい」

 

 「……誤解は解けたか、ならばこの場は失礼させて貰う…」

 一連の遣り取りを見届けたリュウは、一瞬清香の方を見やり、この場を去ろうとする。

 「お待ちなさい!これだけの事をして貴方は只で帰れるとでも?」

 寿々花はリュウの帰還を許さないとばかりに声を掛ける。しかしリュウは彼女に対し冷たく返す。

 「……今のお前達では、決して()()()()()()()()()

 「なっ……「…万が一仕掛けて来るのであれば、容赦はしない…!」っくッ…!」

 明かに謎の技術を使うであろう存在に、勝てないと言われ絶句する寿々花、そのままリュウは襲い掛かって来れば容赦しないと忠告を残し消えていった、同時に先程までこちらを威嚇していた機獣達も消えている。

 「寿々花…」

 「行きましょう真希さん、信じられない事ですけど彼は既に消えました。追っても無駄に終わるでしょう」

 

 

 親衛隊と調査隊が去った後の森、シャドーリュウは再びその場に現れた。

 「…行ったか……」

 「全く……貴様という奴は、不用意に接触しおって……お陰で要らぬ警戒心を植え付けてしまったではないか」

 その後ろより、木々を掻き分けターボカイが歩いて来る。

 「……済まない」

カイの言葉に素直に謝罪するリュウ、それを見て真剣に反省しているのだと理解したカイは自身も兄として妹が危機に陥れば感情的にもなるかと思いそれ以上責める事はしない。

 「しかし、どうしたものか……あの2人には暫く接触出来んな。致し方無い、駐屯しているベースキャンプに手掛かりを探すか」

 「……ならば、名誉挽回も兼ねて俺が潜入しよう。場所は判っているのか?」

 カイの提案に対し、己の犯した失態を注ぐ為に進んで役割をこなそうとするリュウ、カイも潜入となればリュウ以外では難しいだろうと思い了承する。

 「良かろう。目星は着いている、頼めるか?俺は反逆者の少女達を探す」

 「…承知」

そうして、再び夜の森に消える二人のダグオン。彼等の目的は果たして叶うのだろうか──

 

続く

 


 

 次回予告(BGM:輝け!ダグオン)

 ヨッス!アーマーシンだぜ。

 いやぁ、何かアイツら大変そうだナア。

オレはオレで好きにやって…お?オイオイオイオイ!?

 何で閉鎖した場所にあんな奴が居るんだよ?!

 

 次回"刀使ノ指令ダグオン"

 反逆者対親衛隊。そして田中撃鉄?

 

 シャレになんねーゾ、こんなん!!?

 





 ところで、超電磁砲コラボのちぃ姉に中学生の性格は無理が……何でもないです。
 ゴタゴタが片付いたら近々リリスカの方も上げたいですね。
 ではまた次回でお会いしましょう

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