ダグライダーです!…や、まぁ可笑しなテンションで申し訳ございません。
私事の考えですが、誤字とはあまりお友達になりたくないダグライダーです。
そういえば、─86─エイティシックス、アニメ化するらしいと聞きました。本当なら楽しみにです。
あの作品好きなので、一応話は一巻以内でも纏まりますけど、三巻までやらないかなぁ。
制作アタリだといあなぁ。
"前回の刀使ノ指令ダグオン"
親衛隊の猛攻を凌ぎ続ける清香、彼女の予想外の実力に真希は興味を抱き清香に迫り来る。
あわやピンチのその時、突如、寿々花の携帯に連絡が入る。それは、ミルヤが仕込んだ奇策。
伍箇伝直々の命により御刀を渋々納める真希、窮地を脱した調査隊は束の間の休息を得る。
そして
そんな濃密な一日が行われていた頃、鎌倉では──
ダグオン達が
可奈美と姫和に敗れ、累に保護された糸見沙耶香。
彼女は可奈美達を見送った後、所轄によって改めて保護され、鎌倉の本部へと引き渡された。
そして──
「沙耶香!」
鎌倉、刀剣類管理局本部入口のホールにて佇む糸見沙耶香に掛かる怒気を孕んだ声。
沙耶香が振り返ればそこには眉根を吊り上げ不機嫌を顕にする鎌府学長にして刀剣類管理局本部長である妙齢の女性、高津雪那の姿があった。
「…来なさい!」
雪那はそう言うや否や、沙耶香の細腕を掴み何処かへと連れていく、そしてそれを少し遠巻きで目撃したのは岩倉早苗と話し込んでいた柳瀬舞衣であった。
舞衣はその時、何とはなしに沙耶香の表情が気になったのだろう、彼女のこれからの行動の為の心の指針が決まったのだった。
そして、神奈川県鎌倉──折神本家のある地に、唸るバイクのエンジンの音と共に降り立つ一人の影。
「ここに折神家……刀剣類管理局本部があるのか…」
その言葉と共に一度、汗ばんだ頭部を乾かす為に、ヘルメットを取り顔が顕になる。
細身ではあるが、引き締まった身体つき、日本人の男性にしては珍しいくらいのきめ細かい白い肌、髪型や声、肉付きから性別は男だとはっきり判るが、六角龍悟とは違った意味で中性的で僅かに童顔染みた顔つき、少し青みがかった黒髪、光彩の薄い空色の瞳、しかし何処か可奈美と似た人好きするような目や口元。一体この青年は何者であろうか。
「さぁて、舞衣ちゃんを探さなきゃ…」
舞衣の名を口にし再びヘルメットを被り直し、視線を前に向け先を見据えると彼はアクセルを回しバイクを進める。
「はぁ~、広いなぁ~。何処に本部があるんだろう?」
そんな彼は早速迷子になっていた。
━━刀剣類管理局本部発令所
「賊を発見したですって?!」
その報告を聞くや否や、苛立ちをデスクにぶつける雪那、彼女はその神経質そうな目を細め爪を噛む。
「(夜見……錄に御刀も使えない、半端者の分際で……!一刻も早くアレを完成させなくては…。紫様の為に生き、紫様の為に死ぬ…最強の刀使を……。)」
つい先程、紫に独断で動いた事を叱責され、親衛隊が矢面に立ち続ける事に胸中で嫉妬と不平と憤怒と焦燥に駆られる雪那、彼女が思い浮かべるアレ──糸見沙耶香、雪那にとって沙耶香こそが己の大願の為の希望の鍵なのだ。
その沙耶香はと言うと、本部のとある一室にて椅子に一人寂しく座っていた。
そこは簡素な部屋であった、調度品は必要最低限の物、カーテンは締め切り外から中の様子は見えない。
なまじ、建物が時代を感じさせるアンティークな造りであり、照明が古いのか黄色く光る為、簡素な机や椅子と相まって冷たい印象を受ける。
そんな冷たい部屋の扉が開かれる。
「えっと…糸見沙耶香ちゃん?ちょっといいですか?」
扉を開け部屋に入って来た者の正体は柳瀬舞衣、遠慮がちに沙耶香へと訊ねる舞衣、沙耶香はそれを無言で肯定した。
「可奈美ちゃん無事なのね!良かったぁ~。あ、こんな事、沙耶香ちゃんの前で言うことじゃなかったね、ごめんね」
「別に…、勝てなかったのは事実だもの」
舞衣の不用意な言葉に、特に悔しさも感じさせず義務のように淡々と答える沙耶香。それを受けて少し困った様に苦笑する舞衣。
「沙耶香ちゃん…鎌府だよね?帰らないの?」
「この部屋を出るなと命令を受けたから…」
やはり、今一つ感情が乗らない声で答える沙耶香の顔を見詰める舞衣、すると沙耶香の頬に傷がついていることに気付く。
「えっと…あれ?頬っぺた怪我してるね」
そう言って沙耶香の髪を優しく掻き上げ、ポケットから可愛らしい絆創膏を取り出して沙耶香の頬に貼る。
「こんな子供っぽいやつでごめんね。上の妹が好きだから…」
沙耶香の頬を優しく撫でた後、申し訳無さそうにする舞衣に困惑が混じった視線を向ける沙耶香、そんな沙耶香に彼女は更にクッキーが包まれたビニールの包みを渡す。
「そうだ、これよかったら。クッキー。少し落ち着こうとしたら、作り過ぎちゃって……。沙耶香ちゃんは甘い物好き?」
「…うん」
戸惑いながらもはっきりと返答を返す沙耶香、それを見た舞衣は顔を綻ばせ笑顔を浮かべる。
「良かった~。じゃあ、食べてくれると嬉しいかな」
二人の会話が一段落着いたタイミングで外から扉が叩かれる。
時間が来たのだろう、鎌府の監視役が扉を開き舞衣の退室を促す。
「じゃあ見つかると怒られちゃうし、私もう行くね。そうだ!また可奈美ちゃんと勝負してあげてね!遠慮なんていらないから」
沙耶香に向けガッツポーズと共にウインクし去って行く舞衣、見つかると怒られる相手とは十中八九、雪那の事であろう。
そうして、再び部屋に一人きりとなった沙耶香、渡されたクッキーを口にする彼女の心はどこか温かいモノで満たされていた。
部屋から出た舞衣はそのまま宿泊施設に向かう、その時彼女前から現れたのはご機嫌な足取りの親衛隊第四席燕結芽。彼女は舞衣を気にも留めず、そのまま去って行く。舞衣もまた一瞬結芽に視線を向けるも、関わる理由が無い為、彼女達はそのまますれ違った。
「~♪」
さて、では結芽の目的はと言えば、親衛隊で唯一待機を命じられ、兄も何処かへといつの間にか消え失せていたので退屈を持て余していた。
そんな彼女がこれから向かう先は刀剣類管理局局長執務室。つまりは折神紫の部屋である。
「紫様~♪あーそーぼ」
その言葉と共に笑顔でスキップして入室したかと思えば、いきなり御刀を抜刀、即座に加速し紫に斬りかかる。対する紫は顔色1つ変えず、椅子に座したまま、結芽の猛攻を物ともせずに自身の御刀で捌く、驚くべき事なのは、彼女がどうやって御刀を取り出したのか…まるで空間から直接取り寄せた様に手に顕れ結芽と剣戟を交わす。
御刀ごと上に弾かれた結芽は天井を足場に落下の勢いを掛け紫に迫るも、座した彼女の二振り目の御刀に弾かれ、壁へと吹き飛ばされる。
「もぉ~!また勝てなかった~」
そう叫んで、ふて腐れる結芽。御刀を納刀し紫の前に立つ。
「そんなに退屈か?」
「私を出してくれれば、あんな弱い子達すぐにやっつけちゃうのに!」
紫の問いに間髪入れずそう答える結芽、兄不在も相まって相当のようだ。
「今は待て。じきに面白い遊び場を用意する」
「ほんと!なら良い子で待ってる!」
紫からの提案に、言葉の通り大人しく待つ事に笑顔で従う結芽、その笑顔はその時が来るのを今か今かと待ちきれない感情が見え隠れしている。正に、無邪気な子供そのものであった。
「あぁ、すっかり日が暮れてしまった~!どうしよう。道はこっちで合ってるのかなぁ」
一方で例の青年は未だに鎌倉の地をさ迷っていた。
「可奈美の前に僕がヤバイかもしれないなんて……」
実はこの青年、先程からちょくちょく本家前を通っているのだが、それが折神家とは気付けていない。
結局、彼は一晩中は迷い続けるのであった。
━━その頃の
「思ったより広いな、この山…」
皆と別れ、各々で反逆者と親衛隊を探しているダグオン。エンは他4人とも違う場所を探していた。
「さぁて、衛藤達は何処だ…っと!?」
前方に人の反応を確認し、咄嗟に陰に隠れる。
「あれは……長船の、金髪タイ捨流」
彼の目の前を行く人影の正体は、薫と別行動を取っているエレン。彼女の進行先を見てエンは困惑する。
「あの金髪は衛藤達の追っ手じゃないのか?それに……こっちを下ると、確か特祭隊のベースがある筈…」
気取られないよう、一定の距離からダグテクターの機能を使い観察するエン、エレンは何やら迷いの無い足取りで進んでいく。
「…………駄目だ、分からねぇ…皆のとこに戻るか」
エレンの行動が読めず、迷ったエン。この状況下で単独行動は危険だと感じ、最終的に皆の判断を仰ぐ事に決め、その場から離れた。
━━木星近辺エデン監獄
ギガンタースが倒され、ダグオン達が山へ向かい、親衛隊の捜索に当たったのと同時刻。
監獄内の中央ホール、嘗ては簡素な場所であったそこも、今では囚人達の会合の場としてすっかり見る影もない。
その広い中央ホールの更に中央、普段は各監獄を管理する代表者と妖精、囚人達の中でも一際知恵の回る者達が集う円卓、しかしいつもと違い、今回はホールの吹抜けを覗く各監獄へと通じる通路にまで密集するかの様に覆い尽くす異形の群れ。
入りきらない者達はそれぞれの階層の通路から下を覗き込む様に円卓を眺める。
「ミエナイゾ!」
「邪魔ダ!」
「お前が邪魔だ!」
等の罵詈雑言が飛び交う。
円卓には既に、鬼を除いた全ての監獄管理者が集っている。
「ヤツハマダカ?」
「憤慨!退屈!意図不明!」
「彼奴め、また何か企んでおるな…」
「めずらしいね!せんせいがここにいるなんて」
「あらぁ?妾だってぇ偶にはぁ、こちらに参加くらいするわぁ」
まずは円卓のいつもの面子である、道化師、甲冑、蒼炎、妖精に新たに地下の管理を勤める先生と呼ばれた異星人。
「まままだだだかかか???はははやややくくく、たたたかかかいいいににに!!!」
「グプッ!可笑しいねぇ、何を言ってんのか全然解んないねえ!」
「Ahha…」
「やれやれじゃのう」
「嗚呼、あの女!!
「何や、折角ワイのお披露目やってのに…これじゃインパクト薄いやん」
続いて彼等の後ろに控えている異形、甲冑の後ろに控える不明瞭な言語を無理矢理言葉にする異形、それに嘲笑と共にツッコむ特徴的な笑い声を上げた異形、蒼炎の後ろに控える唄う異形、道化師の後ろに控えるガレプテン星人、妖精の後ろで妖精と先生と呼ばれた異星人のやり取りに布を噛み切らん勢いで嫉妬を露にするドレスの女の異星人。
そして空席となった南の管理者の席に座する胡散臭い喋りの異星人。
そんな彼等と同じ様にエデン監獄の囚人全てがざわつき目的の人物が現れるのを待ちかねている。
「やぁ、諸君。待たせたね!」
そして現れる鬼の異星人。まるで舞台に上がる主演の様に仰々しい振る舞いで自身の席に着く。
その後ろには彼の付人であろう、鋼の如き肉体を持った禍々しい白い機人。
「まずは、遅れたことに対する謝罪を!そして、死した同志に黙祷を!」
鬼の異星人は周囲の囚人に頭を下げ、ギガンタースに対して思ってもいない黙祷を捧げる。
「では、先ずは新たなる管理者の誕生を祝福しよう!それと同時に我等の目的を妨げる敵の存在を皆にも周知してもらいたい!!」
鬼の言葉に反応するかの様に円卓に照明が灯り、南の椅子を照らす。
「何や!やっとこさ出番かいな!ほなら、自己紹介や」
明らかにエセ関西弁にしか聞こえない胡散臭い喋りの異星人が立ち上がる。
「ではでは~!ワイが新たに南監獄の管理を任された、ゼニーンド星人のマッニー言いますん、宜しゅうな!因みに前任者と違うて、商人やさかい、優秀なら作戦は丸投げしますわ」
マッニーの発言に南監獄の囚人達は大いに沸いた。それもそうだろ、前任者のギガンタースが力で無理矢理屈服させ、己の異に沿わない者を排除していたのに対し、事実上の放任主義を言い放ったマッニー、どちらが良いかなど聞くまでも無い。
「盛り上がりは十分のようだね、では次に君達も気になっただろう、我々の目下の敵。既に既知の者もいるだろうが……知らぬ者達の為にも教えよう!奴等の名はダグオン!そう!嘗て我々をこの監獄に閉じ込めた宇宙警察機構の手の者だ!」
ダグオンの存在を聞いた瞬間、囚人達の空気が変わる、怒気と驚愕、憎悪を含んだざわめきが空間を支配する。
その雑踏の中にダグオンと言う言葉に一際反応を示した者が……。
「ダグオン……。まさかこの異世界の地球で再び名を聞くとはな……クク、奴の仇を取らせて貰おう」
他の囚人が騒ぐ中、彼は一人牢獄へと戻った。
「フフ、彼もやる気になったか、さて、盛り上がりも最高潮のようだが後一つ、この世界に存在する同志を新たに迎えたいと思う!」
鬼の宣言に応える様に複数の光の球体が現れる。
「彼等はエネルギー生命体故、現状肉体を持たぬが…時が来れば頼りになる戦力となるだろう!」
「「「「「「オォォオオオオオ!」」」」」
囚人達が吼える。地球に生きる者達を襲う驚異は新たな渦を伴いより巨大になっていく……彼等が動く時は近い。
続く
次回予告(BGM:輝け!ダグオン)
あ…六角清香です!私たちが危機を乗り越えた後、衛藤さん達は益子さんと合流します。
ねねちゃんに急かされ古波蔵さんの救援に向かう衛藤さん達、そこに現れたのは親衛隊の皐月さん。でも何だか様子がおかしい様な……?
次回、"刀使ノ指令ダグオン"
共闘?反逆者とダグオン。
え、え?あの人達は!?あの時の!
はい、新しい監獄主はエセ関西弁の自称商人です。名前もちょっとありきたり感ありますね。
最後に出てきたエネルギー生命体は、所謂地球のモノを模倣して体を造るトランスフォーマーぽいあれですね。
枠的にはシリアスなガイスターの四馬鹿かな?
では、また次回でお会いしましょう。