刀使ノ指令ダグオン   作:ダグライダー

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 こんばんは、遅れましたとじダグ31話です。
最近のコロナ時勢と仕事のシフト変更で上手くモチベーションが上がらず筆が進まなかった脆弱者です。申し訳ございません。
 次はなるべく速く投稿したいな!


第三十一話 共闘?反逆者とダグオン。

 "前回の刀使ノ指令ダグオン"

 ダグオンのみんなが山の中で頑張ってるよ!

可奈美ちゃん達と親衛隊が戦ったよ!調査隊も頑張ってたよ!でも、実はその裏で鎌倉では色々あったよ!

 沙耶香ちゃんに舞衣ちゃんが接触して沙耶香の心に温もりがインストールされたよ!可奈美ちゃんと似た雰囲気の男が現れたよ!

 新しい監獄主が生まれたよ!

 以上、あらすじ終わり!!

 


 

 伊豆の山奥、厳しい夜を越えた者達は未だそれぞれの思惑の元に行動している。

 その内の一人、伍箇伝長船女学園の生徒にして舞草の構成員たる刀使"古波蔵エレン"もまた来るべき時、成すべき事の為に行動していた。

「何者だ!止まれ」

 「怪しい者じゃありませ~ん!通りすがりの刀使デース」

 まだ陽も低く朝霧が薄く掛かった山中の封鎖された道路に警戒体制の中一人現れた刀使に機動隊は銃を向け誰何する。それに対するエレンの返答、この状況で親衛隊と共に展開された部隊から見れば胡散臭い事この上ないだろう。

 そしてエレンを利用してもう一人潜入した者が居る事をエレン自身も機動隊も気付もしなかった。

 

 

 

 

 投降の後、ベースキャンプにて真希、寿々花、そして数人の機動隊に囲まれながら改めて目的を問われるエレンであったが、知らぬ存ぜぬとばかりにすっ惚ける。ただし、視線は鋭く周囲を観察しながらであるが、周囲には悟られぬよう一瞬の瞬間にそれとなくを装って、視線を巡らせ何らかが運び込まれた事を確認すると、後はされるがままに連行されていくエレン。

 そして、それを離れた所で機動隊の装備を纏いながらつぶさに観察していた龍悟は彼女の狙いに乗ることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 そんな麓近くのやり取りとは別に、薫はねねと共に朝を迎え、気付けばウイングヨクの姿は無く、サインを貰いそびれた事に軽いショックを受けつつも自らの端末に届いたメッセージを確認した後、行動を起こす。

 怠惰な彼女なりに舞草としての使命を果たす為、可奈美と姫和、現折神体制への反逆者となった二人と合流を急ぐ。

 

 

 

 

 

 そして再び、麓近くのベースキャンプでは指揮所となるテントでは寿々花によってエレンの尋問が行われていた。

 「ごちそうさまデシタ~!」

 「お口に合いまして?」

さしあたって、エレンの要望通り食事を採らせた寿々花。

 綺麗に食された空のコンビニ弁当の箱がエレンの目の前に置かれている。

 「コンビニのお弁当はお漬物も一緒にチンしてしまうのが玉に瑕ですネ」

 「そうですか?(わたくし)アレはアレで嫌いではないですけど」

 「…変わった人デスネ」

 寿々花のお嬢様とは思えぬ一面に流石にエレンも当惑する。その一時の緩んだ空気も次の瞬間から張り詰めていく、寿々花がいの一番に訊ねたのはS装備輸送強襲コンテナの件。機動隊が現場に赴いた頃には既に何処へと持ち去られた後、エレンは自分は関係無い事とすっ惚ける。

 「珍しい苗字ですわよね古波蔵って。でも何処かで聞いた気がしましたの」

 次いで寿々花が切り出したのは古波蔵という姓について。指で髪を弄りながら視線に確信を籠めながらあくまでも世間話の様に語る。DARPAより出向しているS装備開発技術者、ジャクリーン・アン・古波蔵の名を出す。

 「ジャクリーンなら私のママデス!ついでに言っておくとママと働いている古波蔵キミタケがパパデスね!」

 エレンはそれをあっさりと認め、ついでに聞かれてもいない父の事も話す。無論、寿々花とて現在S装備の全てが折神家の管理体制の元にある事は理解している。

 それが無登録のモノとは言え、エレンの両親が開発技術者だからと言って簡単に持ち出せる物ではない。但し、例外は存在する。

 そして両親の話から更に深く切り込む様に寿々花はエレンに問い質す。

 「──けど、貴女のお爺様ならどうかしら?」

 「グランパですか?グランパは今…」

エレンの祖父リチャード・フリードマン。S装備を始め、ノロの軍事利用の理論を提唱した天才とされる科学者。5年前、自ら企業した会社を売却した後音信不通となっている、しかし、その彼が日本に入国した形跡があり、舞草の中核となる人物である可能性があるのでは?とエレンに問う寿々花。

 互いの顔に浮かぶ表情は笑顔と笑み、何とも白々しいやり取りである。正に狐と狸の化かし合いである。

 エレンは舞草と聞いてお灸デスカ?等と飽くまで知らぬ存ぜぬを通す、寿々花としてもどうあってもシラを切るのかと詰問する。

 やがて、これ以上問い詰めても尻尾を見せぬと践んだのか、話題を昨夜の益子薫と皐月夜見の戦闘へとシフトさせる。これにはエレンも驚いたのか微かに目を見開く。

 

 

 

 一方でその薫はと言えば、抜身の祢々切丸を引摺りながらねねの先導の下、無事可奈美達と合流を果たしたのであった。

 「薫ちゃん!無事だったんだね!!」

 「合流地点まで送る。ついてこい」

2人を見つけるなり、舞草との合流場所へと足を向ける薫、しかし、ねねは彼女と逆の方向へ向かおうとする。

 可奈美がねねの尻尾を掴んでいる為、それ以上進む事は叶わないが何処かへと付いてきて欲しいという意思を感じ、可奈美は薫に問う。

 「……エレンちゃんはどこ?」

可奈美の問に薫は無言で彼女を見詰め返した。

 

 

 

 

 

 

 

 そして、ダグオン達は──

 「来たか…」

 変身を解き手頃な岩場に腰を掛けていた戒将が瞑っていた目を開く。

 「お待たせしましたか?」

 「ァァア…しんどかったァ~」

 「おう!……って六角の奴は?」

翼沙、申一郎、焔也と続々と現れ4人が揃う。

 「六角は現在潜入任務中だ。鎧塚、随分疲れているが何があった?」

 「任務中?もしや麓に展開している部隊に関係が?」

 「あー…ならあれもそうなのか?」

 「あ?あー…ちょっとナァ。おい鳳、後で何か奢れ」

 「何でだよっ!?」

 焔也の疑問に答え、次いで申一郎の状態を訪ねる。すると申一郎は疲労の濃い顔を戒将に向け言葉を曖昧に濁した後、焔也に八つ当たりを兼ね責任を取れと絡む。無論、撃鉄との経緯を知らぬ焔也からしてみれば理不尽な事には違いない。

 「ふむ…まぁ、今は深くは訊かん。さて、では一人欠いてはいるが、各々状況経過の報告をするとしよう」

 申一郎の身に起きた事を後に回し、各員の結果を話し合う場を設ける。

 「では先ず俺からだな。渡邊、此れを…」

言い出しっぺと言う事で口火を切った戒将、懐より少量のノロが入ったアンプルを2つ取り出し翼沙に渡す。

 「コレは…、まさか彼女達からの摂取に成功したのですか?!」

 「ああ、とは言っても、雀の涙程の量でしかないがな」

 「いえ!全く無いのとでは少量でも雲泥の差です!コレは大切に保管しておきましょう」

 苦渋の顔の戒将に対し、翼沙は興奮気味に熱弁する。そのまま翼沙は自分が遭遇した出来事を話始める。

 親衛隊第三席皐月夜見と長船女学園益子薫との戦闘に介入、夜見の荒魂使役を目撃し薫と共闘した事等を報告した。

 「──と言う訳でして、三席を退ける事には成功しました」

 「マジか……夜見チャンカワイイのにナァ……」

 「成る程、これといった実績の無い皐月が親衛隊入りした理由が今一つ解らなかったが、そういう訳か」

 「それ本当にまだ人間なのかよ?」

翼沙の報告により各員が相応に反応を返す。次に翼沙の話題に出た長船女学園の刀使に反応した焔也が自身が見た事を話始める。

 「そう言や、俺も見たな長船の刀使。何か親衛隊と機動隊が展開してるキャンプに向かってたぜ?長船が親衛隊と敵対してんならおかしくねぇか?」

 「ふむ……先の皐月と対峙した長船の刀使、そして鳳が見た刀使は特徴からして代表戦の者達か、舞草とやらの中核人物の一人はDr.フリードマンだったな?」

 「はい、間違いありません」

 「ならば双方共に同じ舞草に属する者、であれば鳳が目撃した長船の刀使は舞草としての思惑故の行動と見るべきか……」

 2人の話を総合し仮説を立てる戒将、しかし、情報の精度が浅い為、今一つ確証を得ない。故に一先ずは頭の隅に置き、申一郎の話を聞き動きを決める事にした。

 「オレからは、まぁ特に特別な話は無ぇナ。精々メンドーなヤローを見掛けたってだけサ」

 その時の状況を思いだし苦虫を噛み潰した顔になり簡単に話して終わりにした申一郎、他3人もその顔を見て剰り詳細を知られたくないのだと察する。が万が一もある為、戒将としては聞いておきたい、故に口を挟もうとしたその瞬間、4人のダグコマンダーに通信が入る。

 

 「六角か、何があった?」

 『…例のキャンプから拘束されていた長船の刀使が脱走した。それを三席が追撃しているが……どうやら長船の刀使はノロのアンプルを盗み出したようだ。その後、例の反逆者ともう一人の長船の刀使と合流、戦闘に突入した……好機だ、増援を頼む…』

 「何だと!?」 「アンプルが盗まれた…と言うことは…?」 「用はドサクサ紛れのネコババ狙いってワケね」 「おいおい、マジか?大チャンスだぜ!」

 通信を聴き、急ぎ立ち上がり変身する4人。

 そのまま現場へと急行するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 南伊豆の山中の中原、エレンを追い戦闘に突入した夜見、エレンから鳩尾に一撃を喰らうもノロを投与し強化された肉体には変化は無く、エレンを追い詰める。其処へ薫が助太刀に入りエレンを逃がす。可奈美と姫和が更に合流し可奈美はエレンに肩を貸し姫和は薫と共に夜見の足止めに残り可奈美にエレンと共に逃げる様に促す。夜見は更にノロを投与し彼女の顔に変化が表れる、その様はまるで鬼。荒魂の様な角が右目を覆い潰すような変化に流石の4人も息を呑む。

 そうして山原を動きつつも幾重にも居た夜見が放った荒魂を倒し夜見本体へと刃を

 「終わりだ…!」

夜見の発した荒魂を全て払いのけ二対一の状況に姫和は勝利を確信めいた一言を発する。

 「終わり?…本当にそうでしょうか」

しかし、夜見は新たに8本のアンプルを取り出し自らの首に注射する。

 すると右側の角に縦に切れ目が走り、瞼を開く様に目玉が現れる。そして夜見の纏う雰囲気がより禍々しいものとなる。

 そして爆発するかの様な形で小型荒魂が現れる、遠目から赤黒いオーラが可視化出来る程の大きな変化にエレンと夜見を追っていた親衛隊の2人、そしてダグオン達も変化に気付く。

 「何だ…?」 「夜見!?」

 

 「おい!あそこ!?」 「…っ、急ぐぞ!」 「間に合ってくれヨ!」 「手遅れにだけは何としても…」 「……!」

 

 果たして、先に渦中に辿り着いたのはダグオンの若者達であった。

 

 「オイオイオイオイオイッ!シャレになんねぇぞ!どうする?!」

 シンが渦中の戦況に動転気味にカイへと行動の是非を訊ねる。

 「迷うまでも無い、この戦局に我々は我々の正義に従い介入する。行くぞ!」

 「おう!」 「はい!」 「っだよナァ!」 「承知…!」

途中合流したリュウと共に彼女達の間に割って入る為に跳んだ。

 

 

 「姫和ちゃん!?」

 「来るな可奈美っ!こいつはもう……」

そして姫和達の異変に気付いた可奈美は咄嗟に叫ぶ、薫が夜見に弾き飛ばされ、姫和と鍔競り合いとなる。が敢えなく推し負け倒れ伏す姫和、可奈美はエレンから肩を放し千鳥を手に夜見に相対する。

 「…こっちだよ!」

その声に従い夜見は可奈美へと標的を移す、最早化け物と言って差し支え無い夜見を見て姫和は叫ぶ。

 「斬れ可奈美っ!そいつはもう人じゃない!?」

しかし可奈美は躊躇し、その一瞬が隙となり尻餅を着いて追い詰められる。はや危機一髪その時──

 

  「シャドークナイッ!」

 突如、夜見の後方より鎖付の刃が彼女の両腕に巻き付きその動きを阻害、クナイの刃は地面へと突き刺さる。

 「っ!?今のは…!!」

 「ワッツ?!何事デスカ!!?」

 「おい、もしかして…」

 「これ…あの時の?!」

現れた予想外の出来事に彼女達は驚く、そして更に現れた4人の影が夜見を取り押さえる。

 「エン、シン、ヨク!彼女を制圧する。抜かるなよ!リュウ、そのまま抑えていろ!」

 カイが即座に指示を飛ばしエン、シン、ヨクが夜見の身体を抑え込む。

 「何て力だ、八幡力なんてレベルじゃねぇぞ!」

クナイの鎖によって空いた両脇をエンが後ろから抱え込む様に抑える。

 「何と言う姿……これではまるで…!?」

夜見の持つ水神切兼光を腕ごと抑え振り下ろされぬ様に阻害する。

 「流石にコイツはショッキングだなぁオイ!」

正面からはシンが夜見の二の腕を掴み、こちらもやはり動きを阻害する。

 「そこの美濃関、平城、長船の刀使!彼女は我々が止める。君達は退け!」

 唯一手の空いたカイが可奈美達へこの場から逃げる様に促す。しかし、姫和だけはそれに反論する。

 「ふざけるな!?そいつは既に人とは言えない!私達が逃げ出す訳には」

 「待って!姫和ちゃん見て!」

しかし可奈美からの声に全員が夜見に視線を向ける。すると彼女から爆発の様な現象が起こり、ノロの光が柱を造り天に登る。

 オーバードーズ、投与されたノロの過剰な量に夜見自身の肉体が耐えられなくなり起こった現象。

 誰かが手を下すまでもなく、夜見の自滅によって戦闘は終局した。

 「助かった…のかな?」

 「ソウみたいデス。多分、ノロと力のバランスが取れなくなったんデスネ」

 人の体にノロを入れるなんて無茶するからデスとエレンが評する。

 「成る程な、やはり人間には過ぎた力か…」

 「兎も角、最悪は免れましたね……」

カイとヨクはその現象を目の当たりにしノロの危険性を再確認、また最悪の事態を免れた事に安堵を覚える。

 「………」

倒れ伏した夜見の身をまさぐり始めたリュウ、それを目にしたエンとシンがすわ何事かと驚く。

 「ちょ、おま…何してんだよ?!」

 「この状況でセクハラとか……オマエ顔に似合わずやるな?!」

 「……?何を言っている、俺はアンプルが残っているか確認しているだけだ…」

 2人の疑問に首を傾げ、ノロが入ったアンプルを見付け取り出すリュウ、それを見てバツが悪くなった2人。

 「…良かった生きてるよ!」

 そして可奈美は夜見に近付き生きていることを確認する。

 「もしもし!タクシー一台お願いシマース!」

エレンは懐から携帯を取り出し何処かに電話を掛ける。

 「タクシー…?」

姫和は一連のやり取りを目撃しながらエレンの口にした言葉に疑問を浮かべる。

 「どうやら君達は自前の逃走手段が有るようだな、もし良ければ我々が親衛隊を足止めしよう」

 カイが姫和達に近付き、協力を提案する。姫和は若干警戒しながら他の面々に視線を配る。

 「願ってもないな、頼む。後、サインをくれ、昨日そっちの白いのから貰い損ねたのも含め五人分な」

 薫が代表しダグオン達に言葉を返す、ついでにサインをねだる。

 「頼まれよう。しかし、サインか…残念だが、ペンの持合せは無い、それに君も書けるモノは持っていないし時間もあるまい?」

 カイの子供に言い聞かせる様な優しい声音から出た至極真っ当な理由にガックリと肩を落とす薫であった。

 

 

続く

 


 

 次回予告(BGM:輝け!ダグオン)

 やぁ!みんなアルファだよ!

え?誰かって?やだなー管理者だよー!

 立体交差平行世界超次元生命体、三人の管理統括長の一人アルファだよぉ~。あらすじに続いてこっちもボクがやるのさ。

 いや~みんな頑張ったね。これで夜見ちゃんからも一応ノロを回収したら任務完了だね!おや?あの時代錯誤ファッションの彼は……

 

 次回"刀使ノ指令ダグオン"

 発覚?!暴かれた正体!

次回はトライダグオン出来ないかも?!




 いやはや、コロナ騒動がいち早く終息する事を切に願います。でないと気分転換の外出が出来ないのでネタが詰まってしまいます。とりあえず暫くプロットに没頭しながら時偶シンデレラ百剣上げると思いますのでよろしくお願いいたします。

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