やっと書けました32話、初期のプロットから大分修正してのモノです。
いやぁ、宇宙人達の名前を考えるのが大変です。誰かネタを下さい。
今回はオリジナル色が強い話です。まぁ、可奈美達が潜水艦で逃げる前の状況を少し膨らませたモノなんですが、兎も角どうぞ。
"前回の刀使ノ指令ダグオン"
虎穴に入らずんば虎児を得ず。
自ら親衛隊へと投降し、探りを入れるエレン。尋問を終えた後、ノロのアンプルを盗み出す。しかし夜見による追撃を受け危機を向かえる。そこへ現れた薫そして可奈美と姫和の加勢により、夜見を抑え込むも夜見がノロを過剰摂取、狂戦士とかす。だが、同じく機動隊に変装し、潜入していた龍悟からの通信により駆け付けたダグオンの手で夜見を傷付ける事無くその場を切り抜けたのであった。そして──
「さて、取り掛かるとしよう」
ターボカイのその言葉を皮切りにダグオン達は行動を開始する。
「シン、やれ。但し当てるなよ」
「あいヨ。っても中々難しいぜこれはヨォ」
カイが視線を向く、その方向に何かを確認したのかシンへ指示を飛ばす。それに応え、火器の発射体制を取るアーマーシン、とは言え対象を攻撃する事が目的では無い為難題な注文につい愚痴っぽく溢してしまう。
「一応、僕の方でもデータを構築、計算して送りますので…」
ウイングヨクが苦笑しながらもフォローする、各員のダグテクターのデータリンクを利用しカイが親衛隊他旗下の機動隊の現在地を感知し、それをリアルタイムでシンに送る、そこへヨクが算出されるルートパターンを構築、どこへどの様にすれば被害が少ないのかを計算しているのだ。
「任せておいて何だが、大丈夫なのか?」 「ねー?」
エレンが呼んだタクシー到着まで猶予が在るため、ダグオン達が何を行うのか気になっている薫が近くに居るカイに訊ねる。そして薫を真似る様にねねも首を傾げて疑問の鳴き声を挙げる。
「問題無い、此方で彼方の動きを常に観測している。ヨク……あそこに居る我々の仲間であるあの白い戦士がそれを元にある程度の誤差を修正し連中の動きの先を予測している、後はシン、緑の戦士が外さなければ君達が逃げ切るに十分な時間は作れる」
「ほぅ、便利だな」
「もしかして、そのスーツの力デスカ?そうだとしたらかなりの技術ですネ」
相方のやり取りにが気になったのか話に割り込むエレン、その顔はダグオンという未知に対する興味が全面に表れている。
「悪いが詳しくは言えない、我々は君達の敵ではないが、完全に味方と言う訳では無い」
「それはどう言う意味だ…?」
エレンの問いに対し、己が知らぬ知識を答えようが無いカイは、しかし、そういった事を悟られぬ様に言葉を濁す。そしてカイが言放った言葉の後半に反応を示した姫和、彼女の中では未だダグオンの立ち位置は正体不明の怪しい集団であり、それが敵対はしないが明確に味方でも無いと聞けば警戒も顕になろう。
「おいおい、そう構えんなよ。別に俺らは君らにとって悪いことするつもりは無いぜ」
ファイヤーエンが慌てて姫和とカイの間に割り姫和を宥めようとする。
「済まない、言葉が足りなかったな。我々は君達を含めた刀使、延いてはこの地球に住まう人類、それらを支える生命を守護する者だ。故に、極端な見方になるが、君達の立場と親衛隊含めた現折神家体制の刀剣類管理局での出来事は内輪揉めとも言える」
「っ、だがそれは大荒魂が折神紫の姿を借りて行っている統治だ!荒魂は我々の敵だろう!」
「おい、忘れんな、ねねみたいなのもいるんだ」
カイの出した意見に反発する姫和、大荒魂の手中にある現在の刀剣類管理局は信用するに値しないと彼女は言いたいのだろう、何より彼女の母が大荒魂を伐ち損じて志半ば目の前で伏した事も大きい。だからこそ荒魂を敵対視するのだが、そこにねねと言う歴代の益子の刀使との対話により守護獣と化した荒魂と共存する薫が口を挟む。それに対し姫和は何か言いたげな目でねねを睨むも、スペクトラム計が反応しなかった事は事実なので黙り混む。
「あの…じゃあ皆さんって一体何と戦ってるんですか?」
そうして険悪な空気になりかけた時、可奈美が悪意の欠片も無い何と無しの疑問を口に出す。
「俺たちが何と戦ってるのか、ね……まぁあれだな宇宙人」
「え?」 「はっ?」 「マジか」 「WAO!!エイリアンデスカ!?」 「ねねー!?」
可奈美の疑問に対し自信たっぷりに宇宙人と戦っていると言い張るエン。彼女達からはマスクで顔が見えないがきっとちょっと小生意気な感じに偉そうに目を瞑っているんだろうなと可奈美は思った。
「(あれ?何でそう思ったんだろう……?)」
「待て、宇宙人だと……?気は確かか?」
可奈美が自分の感じた感覚に疑問を生じている傍ら姫和は可哀想な人を見る目でエン達を見る。
「……疑いたくなるのは、解らなくもない、が、事実だ……。お前と美濃関の娘は見た筈だ、あの荒魂とも違う敵意を持った奇妙な存在を……」
姫和の否定的な視線に今まで黙っていたシャドーリュウが口を開き答えた。
「それって…もしかしてあの時の……」
「貴様と白いのが倒した奴か…」
厳密にはあれは異星人では無く、その被害者を利用した屍人形なのだが、夜の暗闇であの醜悪な姿は、宇宙人と言われても納得出来てしまう見た目であった。
「おいおい、今更だろ?こんな明らかにガチでヒーローしてます的な連中が居るんだ、怪人や宇宙人の1人や2人居るに決まってんだろ!」
そして何故か薫が熱弁する。
「エンの言い分は兎も角として、我々の敵はその異星の脅威、そして人類に仇なす荒魂のような敵性存在だ。と言っても荒魂に関しては君達が居るからな、悪魔でも君達の手に負える相手で無い時は我々が力を貸そう」
「ナルホド、つまり貴方達は私達が私達で解決出来るならそれに越した事はないと言うワケデスネ?」
「ああ。もし君達が大荒魂に敗れそうになれば我々も手をこまねくつもりは無い。そろそろか、シン」
「ラジャ、サァて威力は低く、爆発は派手に、んでもって当てずに、親衛隊とその他が少しでも足を止める感じに、ハンドミサイル!」
エレンの推測に肯定で返し、自身の視覚情報から得たデータをヨクを介してシンへと送るカイ、それを頼りに現在親衛隊と機動隊が居る位置の数十キロ手前と外周にミサイルを撃ち込むシン。見事、ミサイルは目標へと着弾し派手な土煙を立て石の雨を降らせ木々を揺らし或いは倒す。
これには八幡力を使える親衛隊の二人は未だしも、機動隊の重装備では足を止めざる終えないだろう。
「ッシ!こんなとこカァ?どうよ!?」
「お見事です。彼女達も目立った外傷は無いようですし機動隊も動揺が見てとれます」
「ふむ、上々だな。よし我々も退くぞ、既に此処には用はない」
「おう!」 「あいヨ!」 「はい」 「承知」
成果を確認し、撤退を始めるダグオン。
「……息災でな…」
シャドーリュウが姫和に向けてそう言い残し、始めに消える。
「縁があればまたお会いしましょう」
ウイングヨクが長船の二人に言い残し飛び去る。
「ま、あれダナ。長船のちっこいの、制服の着こなしが残念だから頑張ンナ。んで、平城の娘は……御愁傷サマー!」
「おい、どういう意味だ…!?」
「貴様、今ドコを見てそんな言葉を吐いた?!」
アーマーシンが、彼の事を周知していれば隠す気があるのかと言わんばかりの科白を吐いては跳躍して消える。それに対し言われた側の二人の顔に青筋と血管が浮き出る。
「彼奴は……済まない、奴には後でよく言い聞かせておく。ではな、次は出来ればもう少し穏便に会いたいものだ」
ターボカイがシンの行動に呆れながら、言われた二人に謝罪し、その上で次はお互い落ち着いた立場で再開したい旨を込め疾風の様に去る。
「あー、まぁあれだ。元気でな、後…衛藤、柳瀬によろしく言っといてくれ」
「え!?は、はい!」
最後にファイヤーエンが、これまた隠す気があるのかと思う様な事を洩らし跳んで去っていった。
残された四人は──
「全く、何なんだヤツは!?」
「全くだ、俺にはねねがついてるのにコイツの同類扱いとはな」 「ねー」
「は?」
「何であの赤い人、私や舞衣ちゃんの名前知ってたんだろ?それにあの時感じたのって……?」
「正に嵐の様な人達でしたネ!(ダグオン…デスカ、実際に目にすると明らかに今の技術では不可能な事が多い。ですが、やはりあのテクノロジーは荒魂に関するモノとは明らかに別種のモノでした。ンー謎が増えマシタネ)」
薫、ねねと姫和が漫才染みたやり取りを繰り広げている状況を他所に可奈美はエンが残した言葉、名乗ってもいない自身の姓と彼等が知る筈もない舞衣の姓を知っていた事に首を傾げ、エンがとった態度に何故か知っている人物像を重ねた事も相まって余計に混乱していた。
エレンは以前から舞草の報告に挙がっていた集団に実際に遭遇した事で彼等が使用する技術が既知のモノとはかけ離れた物だと確信し、それ故に余計に正体が判らなくなった事が分かり心中で吐露する。
そして数十分後には彼女達は沖合いに出て迎えのゴムボートに乗り、崖岸から眺める親衛隊他追っ手を他所に、逃走手段である潜水艦にて逃亡したのであった。
「はー、まさか潜水艦とはなぁ」
その様子をダグビークルを隠してある山から眺めながら思わず溢すエン。
「成る程、アレならばそう易々とは追えないな」
「マジかァ、舞草ってのはそんなにデケェ組織なのかヨ?」
「少なくとも、長船女学院のほぼ過半数が舞草と見て間違いないでしょうし、以前説明した通り、彼方にはあの方も居ますから」
カイ、シン、ヨクが各々にモノを言う。
「……それで、俺達はどうする?…このまま帰るのか…?」
リュウがこれからの方針を訊ねる。
「ふむ、そうだな……」
その問いを返す為、カイが思考し始めた時だ、シンが変身を解いた。
「ッアァ~!疲かれたァ~、ようやく楽になれたゼ」
「お、俺も」
それに便乗してエンが変身を解く。
「2人とも急に解除するなんて不用意過ぎますよ!」
「ヨクの言う通りだ、万が一他の人間に見られたらどうする!」
ヨクとカイが焔也と申一郎に苦言を呈する、そこに──
「な、何じゃとぉぉぉおおおお?!」
割れんばかりの絶叫が響く。
「……手遅れのようだ…」
リュウが淡々と告げる。
「この、明らかに空気なんぞ読まんと言わんばかりの聞き覚えのある叫び声は……まさか?!」
「何と言う事だ……」
「ゲェ……あのヤロウ、まさかアソコから脱走しやがったのか!?」
「彼は……確か以前、京都で…」
焔也が明らかに誰なのか心当たりがある説明口調で驚愕し、カイが手を額に当て天を仰ぎ、申一郎が追って来れないよう対策した筈の相手に、とてもげんなりした顔で狼狽え、ヨクが見覚えのある特徴的な衣服に、以前京都で焔也と乱闘騒ぎを起こした人物に思い至る。
「お、お、鳳焔也ぁぁ!?貴様があの時の赤い奴じゃとぉぉぉおおおお?!」
その人物、田中撃鉄は嘗て新宿にて目撃したダグオンの正体がまさか自身が知る因縁の相手である事にとても驚いていた。
「……………やべ、しくった」
今更後悔しても既に正体がバレてしまったのでは手遅れである。
「それに、そこの奴はワシをぞんざいに.扱った挙げ句、何ぞよく分からん怪しい連中の近くに置いてきぼりした緑色!」
そう、申一郎はあの時撃鉄を、機動隊が彼を発見出来る場所に下ろしてから、ダグテクターの強化された身体機能でアーマーシン自身は見付からない様に機動隊近くを通過し、撃鉄はそれを追い掛けようと大声と共に走った、となれば機動隊が彼を発見、拘束するのは自明の理である。
その後、取調べを受けていたのだが、詳しくは別の折に触れよう。
「何たることじゃ、あの時見所があると思うた奴が…あの鳳焔也だとは」
ガクッとorzのように膝を着き落ち込む撃鉄、しかし次の瞬間には立ち上がり、焔也に詰め寄る。
「ええいっ!貴様一体全体、それはなんじゃい!?」
「お、お、お前、ま、ま、まずは、お、お、お、落ち着けって、て、て、て、て」
自分の首元を掴み揺らす撃鉄に、焔也は言葉を絞り出して落ち着く様に言い聞かせるが止まらない、そこへ既に変身を解いた龍悟が近付き──
「……眠っていろ…」
「あひゅ?!」
恐ろしく素早い手刀で撃鉄の顎を掠め、それを喰らった撃鉄は間抜けな声を上げた後、ばたりと倒れ気絶した。
「ドースンだ、これ?」
「流石にこのまま放置…とはいけませんね」
「致し方無い、我々の基地に運ぶぞ」
綾小路組が倒れ伏した撃鉄の処遇を決める。
遂に第三者に正体がバレたダグオン、果たして撃鉄は無事明日を迎える事が出来るのであろうか?
続く
次回予告(BGM:輝け!ダグオン)
どうも潘つぐみです。いやはや私今のところ一切本編に出番が無いのですが、予告に出ても良いんでしょうか?可愛いから大丈夫、ですか?
ともあれ、番長ルック田中さんに正体がバレてしまったダグオンの方達、彼等は田中さんを自らの拠点に連れ込みます。
一方、我らが刀剣類管理局では色々と新たな事件がありまして…。
次回"刀使ノ指令ダグオン"
撃鉄危機一髪!調査隊新たなる地へ。
では次回でお会いしましょう、"トライダグオン"
はい、遂に撃鉄がダグオンのと言うかファイヤーエンとアーマーシンの正体を知りました。
これでやっとドリルゲキフラグを1つ回収出来た。
さて、お次はライアンとサンダーライの方を頑張らねば……!
ではまた次回でお会いしましょう。