こんばんは。幕間二回目です。
今回はタイトルの通り撃鉄の話、彼が何故京都で焔也に喧嘩を売ったのか等の理由を記しました。
それはそれとして、つぐみちゃん、多分何時か出番作るのでごめんね。
この話は、古き良き番長の矜持を貫かんとする男の身に起きた出来事である。
田中撃鉄。彼が修行の為に訪れた伊豆のとある山奥。
修行とは言っても彼は本能に従いこの山に入ったので土地勘など有りはしない、とはいえ陽が高い内に入山したので迷う事など無いだろうとタカを括ったのが運の尽き。本人としては滝行が出来ない事が心残りであったが修行に気を取られ夢中になること数十時間、気付けば辺りは暗くすっかり陽は沈み何やら物音がちらほら聞こえてくる。
そして思わず叫ぶ。
「おおぉぉおおおおお?!此処はどこじゃぁあああいっ!?」
一頻り叫ぶ、叫ぶ。そして叫んでいる内に思考を纏める。
「ぬぅううう、ワシとしたことが一生の不覚!まさかこの歳で迷子になるとはぁああああ!!」
という訳で勝手に自己完結し迷った己を恥じる為に、また叫ぶというか唸る。
出口は何処か判らないので取り敢えず叫ぶ。
実は近くにアーマーシンが居るのだが、彼にそれが分かるわけもない。
すると暗くなった木々の木陰を縫って珍妙な羽虫が現れる。最初はこの辺り特有の種かと思ったが、何やら自分目掛け襲い来るではないか!?
とりあえずヤられっぱなしは性に合わない、道端の石コロを拾っては投げ付ける。
そして叫ぶ、木の枝を拾い振り回す、そして叫ぶ、石コロを投げる、叫ぶ、振り回す、叫ぶ、繰り返しである。
すると自分のやや左後ろから更に物音が、何事かと振り返れば、現れたのは緑色の装甲を纏う、恐らくは新宿で遭遇した赤い奴の同類。
その緑色のダグ何某が逃げるように指図してくるがそれは彼としては頑として譲れない。新宿に続き助けられては、己が何のために武者修行を始めたのか……。
田中撃鉄にとって今の世間の時勢は"気に入らない"の一言に尽きる。
年端もいかぬ頃より御刀という人の命さえ簡単に奪える強力な刀を、荒魂という搾りカスから産まれた訳の分からない怪物を退治する為に少女達が前線に立って戦うのだ。
訓練を受けた?それは生き残る為にも勝利する為にも当然だろう。
しかし実態は常に被害は減らない命懸け。まだ生きてやりたい事がある者もいたはずだ。大怪我をして満足に生活出来ない者もいる。それが気に入らない。
御刀に選ばれた女しか戦え無い?自衛隊、警察は精々が避難誘導や足止めの時間稼ぎ?論外だ!
もっと何か出来るはずだ!手をこまねいて見ているだけでは彼女達が無為に消耗するだけだ。
鎌府や長船は女子校故に仕方がない、しかし、美濃関は?平城は?綾小路は?男の生徒もいるだろう。
人には向き不向きがあるのも理解している。だがだからと言って何もせずに彼女達に任せるだけ、ただ御刀を研ぐだけ、装飾を作るだけ、それだけか!?他に何も無いのか!?だから気に入らない。
勿論、自分が身勝手極まり無い事を宣っているのだろう。だがそれでも黙って見るのは己の中の漢がする事じゃあない!
だからだろう、あの時京都で見掛けた伍箇伝の男子生徒、それを見て抑えが利かなくなった。
つい、喧嘩を売ってしまった。
だがどうだ……あんなヘラヘラした奴に、鍛えた己が敗北したではないか?!
己を負かせたこの男が気に入らん。
だから美濃関まで出向いたのだ。まぁ、気付けば実姉に殴られ何も出来なかったのだが………。
その後は新宿でまたしてもあの男──鳳焔也と遭遇、今度こそ決着を付けようと意気揚々近付けば、自分を止める声が聴こえる、一体誰が漢同士の喧嘩に割って入ったのかと思い振り向けば、そこには彼の人生観では見たことも無い可憐な華が居るではないか!!
その瞬間だけ、鳳焔也の事など頭からすっぽ抜けた。
それぐらい衝撃だった。
そこからは浮かれてよく覚えていないが、何やら奇妙な刀を探しているとか、ならば自分も手伝おうではないか。
等と決心していたら荒魂が現れた。故に逃げない!鳳焔也は避難と称して逃げたようだが、自分は逃げない。
だがどうだ、己の力を振るい奮戦しても荒魂は倒せない、だが諦めない。
そうしたら突然現れた謎の戦士、何と奴は荒魂を蹴る殴るで倒したではないか!?
何やら炎を纏っていた気もするが、そんなのは些細な事だ。だから奴は見所があると思う。
己も一層励まねば!
それが田中撃鉄と言う男である。
緑色の戦士は内蔵した銃火器と両手に構えた銃で戦っているが見ているだけなど漢では無い。
辺りを見回し、何か武器が無いかを探す。そして見付けた。
近くの大木を身体を使って掴み持ち上げる。根性で持ち上げる。振り回す。
しかしどれだけ奮戦しようとも結局、荒魂に効果は無いのだ。
赤い奴と緑の奴、そして自分……一体何が違うのか?
等と僅かに思考した一瞬、その緑色が自分を抱えその場を離れるではないか!
冗談では無い!まだ何も成していない!
しかし抵抗虚しく、何処かへと降ろされる。文句の一言でも言ってやろうかと顔を緑色に向ければいつの間にか跳び去って行くではないか!
このまま逃がす訳にはいかない!追わねば!
そして走り出す。あの力の秘密を解き明かすのだ!
そうして気付けば何やら麓近くに展開していた謎の連中、刀剣類管理局がどうの、機動隊がどうの、親衛隊がナンタラカンタラ、反逆者がどうたら。
自分は修行で山にいたと訴えれば何を馬鹿な事をという目で見られ、そのまま拘束される。
親衛隊とやらが立て込んでいるらしく、機動隊の何某に取調べを受ける。
嘘はこれ1つも吐いてないが向こうは一切信じてくれない。その内何やら外が騒がしい、自分の取調べを行った連中も自分に手錠を掛けその場を離れた。
暫く様子を伺い、これは逃げ…もとい脱け出すチャンスと捉え、馬鹿力で手錠を破壊する。
取り敢えず、この怪しげな連中が向かう方向とは逆に走る。走る。
気付けば夕方となっているではないか!
取り敢えず下山せねばと思い歩いていると声が聴こえるではないか、顔を出して窺えば、何とあのダグオン何某ではないか?!
すると、緑色が何やら光出す、光が収まれば何と何処かで見覚えがある顔が……だが、衝撃はその後に来た。
新宿で遭遇した赤い方が緑の奴と同じ様に光ると、何とその正体はあの鳳焔也!?
「な、何じゃとぉぉぉおおおお?!」
思わず叫んでいた自分がいた。
もう何が何だか自分でもよく分からないが兎に角、連中の中に突っ込み焔也の襟首を揺さぶり問い質す。
焔也が何かほざいているが、関係ない。兎に角どういう事か聞き出さねば!!
そして夢中で奴を振り回す内に何やら近付く何者かに何かをされた。
「あひゅ?!」
自分でも間抜けな声だと思い田中撃鉄は意識を手離した。
彼がその信念に見合う力を得るのは、まだもう少し先の事だ
はい、幕間その2でした!
そろそろジェゲンガ星人も動いてもらわねば…。
まぁ、次はシン百を投稿すると思います。
ところでシン百を閲覧している方で此方を見ている方にも言っておきますが、私はお山は大(゚ω゚(◯=■〇×♀♂&*#£ゐゑΖヴ