刀使ノ指令ダグオン   作:ダグライダー

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 こんばんわ。最近はそれなりに筆を進めているダグライダーです。
 実はですね、当方、ロザミア様にコラボをしたいと持ちかけまして、先方がそれを受け入れてくれまして、その結果モチベーションが上がりまして短期にそこそこ投稿出来ているのです。


第三十八話 告白!大災厄の真相!

 前回の"刀使ノ指令ダグオン"

 儂イプシロン、今回あらすじをジャック。

ダイナマイト中学生舞衣ちゃんと将来有望沙耶香ちゃんがいちご大福ネコ結芽たんに追い詰められる。

 その頃、鉄の風紀委員長戒将はあしゅ◯男爵モドキの片割れと戦闘に突入。

 それで分かった、燕兄妹足癖悪いのう。

 なんやかんやで雪那ちゃんフラれるの巻。

 そして舞草では…なななんと!?──38話スタート

 


 

 ━━奈良県・平城学館敷地内

 「おんや?龍悟、六角龍悟じゃないか!」

 ダグベースから一時、帰還を果たした龍悟に少女の気安い声が掛かる。

 「……辰浪、久しいな」

龍悟も顔見知りなのか戸惑いもせず少女、"辰浪桃"に返事を返す。

 「久しぶりってか…お前さん、バイトん時以外は常に神出鬼没だからモモさんからしたら毎回久しぶりの再会気分なんだけど?」

 「……そうか」

 桃からの批難めいた物言いにも素っ気なく返事をする龍悟。この2人の間柄ではこれが何時もの事なのだ。

 「んで?今回はどんなバイトなんだい?羽振りが良いならアタシにも紹介してくれよ」

 「……すまないが、既に定員オーバーだ……。紹介は出来そうに無い」

 「そりゃ残念。なら、何しにコッチに?授業はとっくに終わってるし、ウチの警邏科は例の事件以来、外部実技は無しのハズだろ?」

 「……別に、通常授業でも単位は取れる。………後は、そうだな……知った顔を見たくなった。と言っておこう…」

 姫和が起こした暗殺未遂の影響か、平城は現在実技活動内容が自粛縮小されているのだ。が、龍悟としては不在時の間に進んだ授業の内容や内申の為の単位を取るためだけに戻って来たので、そこは問題ではなかった。

 「ははっ!相変わらず、ドライだねぇ。んで、また暫くは忙しいのかい?」

 「……ああ。暫くは此方のバイトには参加出来ない。色々とやることがあるからな……」

 そうして、言いたい事は言った。とばかりに校門の方向に進む龍悟。

 「どんなバイトか知らないけど、何かあったらこのモモさんが相談くらいには乗ってやるよ」

 桃のその言葉を背で受けながら右手を軽く挙げる事で応える龍悟。そして風が吹いた次の瞬間にはもう彼の姿は其処にはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 ━━岐阜県・美濃関学院内

 「っぁああ!やっと終わった~」

鳳焔也は大きく伸びをすると一心地着いたように教室から退室する。

 無断欠席分のペナルティで田中妙子から補修を受けていたからだ。

 その補修授業も終わり、これからどうしたものかと考えながら廊下を歩く焔也。

 その為思考に没頭していて横から飛び出てきた女子生徒に気付くのが遅れた。

 「おっわっ?!っだぁっ!!」

 「きゃっ?!」

 女子生徒──恐らくは中等部の生徒だろう彼女は自分の横合いから現れた焔也に驚き尻餅を突いてしまう。

 焔也の方は何とかかわしたものの彼女に尻餅を突かせてしまった事に狼狽えてしまう。

 「しまった!?おい!大丈夫か?」

 「は、はい。すみませ……ひっ!?」

 一方、転んで尻餅を突いた女生徒、"須原里香"は焔也の顔を見るなり怯えてしまう。

 それもまぁ仕方無い、焔也と関係の深い刀匠科や工科の生徒や一部の刀使達以外からの評価は喧嘩っ早い問題児、所謂『不良』である。

 そして彼女、須原里香はその接点の少ない側、神職科の生徒である為、焔也の事を外聞でしか知らない。怯えるのは無理もないことだろう。

 怯える里香の顔を見て焔也も遅まきながら彼女が震えている理由に気付く。

 「あー……そんな恐がんなって、悪いのは俺だからさ。だから取り敢えず立とうぜ?スカート汚れちまうしよ」

 「は、はぃぃ…」

里香の方も焔也の態度が思っていたモノと違う事に気付き、恐る恐る返事を返す。

 焔也の手を取り、助けられながら立ち上がると改めて彼に迎い姿勢を正して礼を述べる。

 「あの…ありがとうございました。その……すいませんでした」

 「おいおい、だから悪いの俺なんだから謝んなって。というか大分急いでたみたいじゃねぇか。そんな重要な用事なのかい?」

 「あ!そうでした!はやく捜索願いを出さないと!?」

捜索願いと言う穏やかではないワードに流石の焔也も冷や汗が出る。

 「…なぁ、良ければ詳しく話を聞かせてくれないか?流石に捜索願いってのは聞き捨てならねぇ」

 「ふぇっ?……ふふ、はい、ありがとうございます先輩」

 焔也のぶっきらぼうな優しさを感じ、里香はこの先輩が噂程悪い人間では無いと理解する。

 立ち話もなんだと言うので食堂で詳細を聞くことになった焔也。

 

 里香曰く、何でも同じ神職科に居る高等部の先輩が行方不明になったと言うのだ。

 「それヤベェじゃねか?!こんなとこで悠長に話す暇があっていいのかよ!」

 「あ、でも…行方不明自体は何時もの事なんです」

これを聞いた焔也は思わず『はぁ?!』とリアクションをしてしまう。

 何でも妹の友達の様子を見に態々関東は鎌倉下りまで行ったのだと言う。ただ、その先輩はとんでもない方向音痴らしく、事ある毎に迷っているのだとか、なので今回も予定の日数を過ぎても帰って来ない事を見かねて里香を始めとする神職科の生徒で捜索をすることになった。里香は万が一彼が県外に出られた事を考え、念の為警察に捜索願いを出そうとしていた訳だ。

 「ははぁ、変わった奴もいるんだなぁ。んで、君はその先輩と仲が良いんだな」

 「はい。先輩は面倒見が良いので他の皆にも慕われてます。私の恋愛相談にも親身になってくれたりして…」

 ──あまり役には立ちませんが…。と言葉を濁していたが里香達からすれば良い先輩なのだろうと焔也は思う。

 と、そんな会話の途中に焔也のダグコマンダーに通信が入る。

 「っと、悪い、ちょっと用事が出来ちまった。取り敢えず俺の方でもその先輩とやら探してやるよ。その先輩の名前は?」

 咄嗟に左手をポケットに入れ、携帯から電話が来たように振る舞う焔也、里香も特に不審に思わなかったのか素直に焔也に尋ね人の名を教える。

 「あ…はい、衛藤先輩です。衛藤雷火。可奈美ちゃんのお兄さん……あ、刀使の衛藤さんって知ってますか?」

 その名を聞いた瞬間、焔也はマジかよという顔になる。可奈美に兄が居るのは知っていたが、まさか同じ美濃関の生徒とは思わなかったからである。

 里香に別れの挨拶を軽くしてその場を離れる焔也、なるべく人目が着かない場所に移りコマンダーを開く。

 「こちら焔也、何かあったのか?」

 『鳳か。燕だ、火急の用が無いようならダグベースに来い。管理者が我々に召集を掛けた』

 「あいつが?何だってんだ…。分かった、直ぐ向かう」

通信の相手は戒将。アルファからの要件を焔也に端的に伝える。

 焔也はそれに直ぐ様了承の返事を返し、サッと周囲を見回した後にコマンダーの転送ボタンを押す。

 粒子が焔也を包んだかと思えば、その場から彼は消えていた。

 

 

 

 ━━静岡県・某所ダグベース

 焔也が転送されてから直ぐ、ダグベースのメインオーダールームには彼を除く4人の姿があった。

 「……鳳は何と?」

 「直ぐに来るそうだ。望めば着替えるくらいの猶予はやったんだがな」

 「まぁ良いじゃネーノ。早いことはイイコトだ、ダロ?」

 「確かに。しかし管理者は一体何の話があると言うのでしょう?」

 オーダールームでは各員が各々好きな座席に身を預けている。

 龍悟は腕と足を組み椅子に背を預けながら戒将に焔也の返事如何を訊ね、戒将は顔の手前で手を組み頬杖を着く。

 申一郎が背凭れを体の前にし凭れ掛かり、翼沙は用途不明の機械を弄っていた。

 「おっす!……俺が最後かよ」

そして其処に焔也が現れ、ダグオンの5人がここに揃う。

 <揃ったか、若き勇者達よ>

それを認識してか投影装置から映し出されるブレイブ星人の立像。

 「ブレイブ星人、管理者は一体我々に何の話があると言うのだ?」

 戒将が皆を代表しブレイブ星人に要件を訊ねる。

 <それは本人が語る事だ>

 ≪呼ばれて飛び出て「「「「「それはもういい!」」」」」え?酷くない?≫

 ブレイブ星人が正面の大型モニターに目を向ければ、途端にオーダールーム内にアルファの声が木霊す。

 アルファが何時もの登場の口上を述べようとすれば5人全員からツッコミが入り、アルファが消沈する。

 「貴様の悪巫山戯に一々付き合っていては時間が掛かる。さっさと本題に入れ」

 ≪戒将くんは堅物だなぁ。うん?何か他のみんなの視線もコワイ…分かったよぉ話すよぉ…、じゃあ話すけど、その前に皆は20年前の大災厄についてどのくらい知ってる?≫

 「20年前の大災厄?そんなん教科書に載ってる事くらいしか知らねぇよ」

 「同じく」

 「右に同じってナ」

 「僕は簡単には聞いてます」

 「……1人を除き、俺たちの知識はおおよそ一般的に知られる物でしかない」

 翼沙を除く4人は教科書や授業で習った程度の知識しか無いことを明らかにする。

 ≪それじゃ、その辺り詳しく話すよ……なるべく端的に…うん、判ってるよ。茶化すと君ら結構キツめのツッコミ入れるんだもん≫

 ((((…はやく話せよ))))

少し拗ね気味のアルファに心中で愚痴る4人、翼沙は苦笑いでそれを見ている。

 ≪えっと、始まりは今から20年前の相模湾沖で起こった米軍のノロ輸送タンカーが沈没したところからかな──≫

 そうしてアルファは語り始める。今から約20年に何が起きたのかを……。

 

 

 

 

 ──輸送タンカー沈没から起きた相模湾を中心とした大量の荒魂による被害。

 その数は観測史上類を見ないものだったと言う。

 死者1089人、行方不明者864人、負傷者15246人。

 江ノ島に現れた巨大な荒魂とそれを取り巻く大量の荒魂により尚も被害は拡がる。

 それを受けて、特別祭祀機動隊が特務隊を編成して突入する運びとなる。

 既に展開していた機動隊や刀使達は多くが負傷ないし戦える状況ではなかった為、腕利きと目される精鋭が選ばれ、彼女達の決死の突入により道を切り拓き、江ノ島中心部に取り付いた大荒魂本体を討伐せしめる事が作戦であった。

 

 選抜された刀使は8名、折神紫、伏見結月(現相楽結月)、吉野いろは(現五條いろは)、鏡島江麻(現羽島江麻)、相模雪那(現高津雪那)、新見紗南(現真庭紗南)、そして、藤原美奈都と柊篝。

 彼女達が江ノ島で死闘を繰り広げていた。が、無論、人間である以上限界は来るもの。

 特務隊の中で真っ先に脱落したのは雪那。そして現状の物量から不利と判断した紫は結月に彼女を含む江麻、いろは、紗南、美奈都の五名で雪那を連れ撤退する様に命令する。

 これに対し美奈都が如何なる手段にて大荒魂を祓うのかと問うと篝が柊の家系に伝わる秘術を以て討伐せしめるとの事であり、此処から先は紫と篝のみで向かうと言う。

 雪那は紫に見殺しにして置いていく事を望んでいたが紫は犠牲がこれ以上出る事を許さず、結月がそれに従い撤退を指揮する。

 

 たった2人で大荒魂本体がある中心部へ向かう紫と篝、しかしそこへ美奈都が命令を無視し戻って来る。

 斯くして紆余曲折の末、3人で大荒魂の元へ向かう紫達。

 折神朱音は負傷者が運び込まれるテントの前で、姉率いる特務隊の無事を祈っていた。

 そして帰還せしめたのは命令を無視し紫、篝へと加勢に行った美奈都を欠いた5人、雪那は言わずもがな、他の4人も少なからず疲労や汚れが見てとれる。

 彼女達5人が帰還してからしかる後に紫が帰還を果たす。

 空は禍々しく染まり、数多くの犠牲を出した作戦。

結果、大荒魂は紫の手により討ち果たされたと後世に伝わっている。

 朱音が語る話では朱音と先に撤退した5人が出迎える中で紫は俯きながらただ一人彼女達がいるテントに帰還し、美奈都、篝は担架に寝かされ治療処置を受けていたと言う。

 

 

 

 ━━岡山県・某山間の山村、舞草本拠地

 舞草の本拠地がある里のとある屋敷で可奈美達6人を前に、折神朱音が語る。

 「相模湾大災厄。あれから20年の時が過ぎようとしています」

 「あっという間だったな」

そこへ新たに現れた女性、長船学長"真庭紗南"。

 彼女もまた昔を懐かしむ様に可奈美と姫和を見ながら語る。

 「あの日の事はまるで昨日の様に思い出せる。私が今、こうしてココに居られるのはお前達の母親のお陰だ」

 紗南の()()()と言う語りに姫和は疑問を懐き訝しむ。

 そんな姫和の疑問に答える様に朱音が紗南の言葉を引き継ぎ語る。

 大災厄の日に奥津宮に大荒魂を鎮魂に向かった紫、篝、美奈都の3人……篝は当然の事ながら姫和の母親である。そして美奈都、彼女こそは可奈美の実母であると言うのだ。

 この事実に姫和を含む5人は大きく驚き、姫和は可奈美に何故言わなかったのかと詰め寄る。

 対して可奈美は聞かれなかったからと、あっけらかんと言ってのける。

 薫が、母親の事なら刀使であった過去を聞かなかったのかと問えば、そういった話は一切しなかったと返す可奈美。要するに単に知らなかっただけなのだ。

 美奈都の話を聞かされ、何処か嬉しそうな可奈美。昔を懐かしむ顔になる。

 可奈美にとって美奈都は母であると同時に一番最初の刀の師、そこへ紗南が更に当時の美奈都を語る。

 曰く、当時、あの紫を抑え飛び抜けた強さを誇った刀使であったと。

 朱音が言う、大災厄から本当に皆を救った英雄は美奈都と篝だと。紗南が悔恨を含ませ溢す、我々はそんな英雄2人に何もしてやれなかったと。

 「そして改めてみなさんに言っておかねばならない事があります。あの時の…20年前の荒魂討伐はまだ終わっていません」

 朱音が若き刀使達を見据え語る。

 

 

 

 

 

 

 ━━ダグベース・メインオーダールーム

 ≪──と言った具合に実際には紫ちゃんは大荒魂を祓ってないんだよね≫

 アルファが20年前の事件を簡単に語り終えた。

 「………そっか、衛藤のお袋さんが…」

 「……十条の母親にそんな力があるとはな」

焔也と龍悟が其々の後輩に想いを馳せる。

 「そして政府と刀剣類管理局は江ノ島の巨大荒魂が消えた時点で収束し大荒魂タギツヒメの存在を隠蔽したのか……」

 「はー……ドラマとかである隠蔽体質の政府陰謀説ってヤツか」

 「ですが当時の状況や被害を鑑みれば、早々に宣言したくなるのも理解出来ます」

 ライナーチーム3人が率直に意見を語り合う。

 「高い知能を保有した荒魂の存在の秘匿を主導したのが、その折神紫でなければ、素直に納得も出来たんだがな」

 戒将がアルファより語られた真実に眉間を押さえながら溜め息をつく。

 「……大災厄から2年の後に折神紫は当主となった、つまりそれは……」

 「その時点でご当主……折神紫はタギツヒメに乗っ取られていた。そう考えるべきでしょう」 

 「ンジャ、あの若いまんまの姿は荒魂のせいってカ?ちょっとヘコむわぁ」

 申一郎が明かされた事実に凹みガックリと項垂れる。

 「んじゃあうちの学長含め、伍箇伝学長はこの事知ってるって事だよな。うちの羽島学長はそういうの許さない人だと思うだけどなぁ」

 ≪江麻ちゃんはねー、舞草に協力してるよ≫

焔也が何となしに口にした言葉にアルファがこれまたさらりと事実を口にする。

 「はぁ?!」

 ≪多分だけどいろはちゃんも何となく察してるよ≫

 「……そうか」

 龍悟も判りにくいが顔が若干引き吊っている。

 「……………相楽学長は、どうなんだ?」

 ≪それは……訊くまでも無いよね。だって君はそれを一番よく知ってるでしょ?≫

 「アン?相楽ガクチョがどうかしたのカヨ?」

 「……相楽学長、確かにあの人はどちら側なのか…」

戒将がアルファ訊ねる結月はどちら側の人間なのかと、アルファの答えは答えになっていないものだったが、それを聞かずとも既に戒将の中で答えは出ていた。

 申一郎はどうにも察しきれないのか疑問を浮かべているが、翼沙は戒将の反応でおおよそ予想が着いている様だ、ただ、動きが無いことで断定するまでには至らない。

 

 ≪結局のところ、美奈都ちゃんと篝ちゃんは一命は取り留めた。そうでなきゃ可奈美ちゃんもひよよんも産まれないからね≫

 (ひよよん?) (……ツッコむな) (盆地チャンかぁ…) (どういうセンスなんでしょう?) (……さてな…)

 約1名平野どころか更に姫和のある一部を削っているが気にしてはいけない。

 本人が聞いたらブチギレ案件だが、その姫和は此処には居ないので問題はないのだ。

 

 「それにしても柊…十条篝さんが隠世の深淵がある層にまで達する事の出来る迅移の使い手とは…」

 「……娘もその血を正しく引いている。と言うことか…」

 「しっかし、刀使ってのはそんな事も出来ンだな、死んじまうケド」

 「深く潜れば潜る程、迅移は加速する。そうなれば我々が感じている時間層とは別の流れに完全に入り込む。一瞬が永遠となる。そうなってしまえば…」

 「帰る事は事実上不可能…それ故に命を賭ける技ですか」

 「んで、そんな決死の技を衛藤のお袋さんが救った事で寿命が削れるだけで済んだ。結局、十条はあんな事件起こした訳だが……なぁ、許せるかそれ」

 焔也がポツリと声を溢す。

 「許せるか…とは?どういう意図か訊いても?」

翼沙が焔也の発言の意図を問う。

 「あいつらの母ちゃん達が頑張ったんだ、命を賭けて…。それなのに十条はあの御前試合、あいつ、暗殺が成功しても命棄てる気だったんだぜ。ざけんなよ!」

 「……それ程、母親の死に目が強かったのだろう…」

 焔也が姫和の行動の是非に怒りを覚える。しかし龍悟は彼女の母親の後悔がそれだけ彼女に影響を与えたのだろうと諭すが焔也は声を荒げる。

 「それは死んで良い理由にはなんねえよっ!!

その声に4人が焔也を見る。

 「衛藤が巻き込まれたのは…あいつが自分で首突っ込んだ結果だ。それは良い……いやほんとは良くねぇけど。でも十条、あいつはいっぺん説教してやる!復讐するなとは言わねぇ、けど、どんな理由であれハナから死ぬつもりでやるな!ってな!」

 「ふん。暑苦しいな、が、嫌いでは無い。そうだな、彼女はもう少し他人を頼る事を覚えるべきだろう」

 「ま、内容が内容だ、早々ヒトサマはアテに出来ねぇのは判るけどよ。せめてもうちょい考えて動くように注意してやるカネ」

 「あはは…でも彼女はもう独りきりじゃありませんよ?」

 「……だがアレは存外直情的な人間だ、普通に言っても聞かないだろう…案外、鳳の言う説教も悪くは無いかも知れないぞ……」

 5人の若者はそれぞれに姫和を想う、そして誓う彼女を……彼女達を死なせはしないと──

 ≪うんうん。若いねー、青いねー、熱いねー!青春だねー!プリズムだね!!≫

アルファはそんな彼等を微笑ましく(若干鬱陶しいが)見て呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ━━舞草・隠れ里

 大災厄の話を聞き終え、解散する運びとなった6人。

就寝の為、宿となる屋敷に向かう途中、可奈美と姫和は朱音に呼び止められる。

 「姫和さん、可奈美さん。私はこう思うのです。20年前、もし紫の作戦が成功していたら…美奈都さんと篝さんが戻って来なかったら、あなた達はここにいませんでした」

 朱音が二羽の雛鳥に真摯に思いを伝える。

 「今あなた達がいること、私はそれがあの二人の本当の願いだったんじゃないかと」

 そうして姫和を安心させる様に優しく諭す!

 「紫の事は私とここにいる舞草が何とかします。だから…」

 姫和はそんな朱音を強い意思の瞳で見つめる。恐らく朱音が言おうとした言葉は『無理をしないでください

』或いは『無茶をしないでください』どちらにせよ姫和を気遣う言葉であった事に違いない。

 

 そうして2人の御刀は其々が2人の母が振るっていたモノだと伝える。

 そしてそれが今、こうして各々の娘に引き継がれた事に運命的なモノを感じる朱音、ふと2人の持つ御刀に違和感を覚える。

 (この御刀達…何か…)

 「いえ、気のせいですね」

しかし、感じた違和感は一瞬。朱音は気のせいと断じ彼女達を見送った。

 薫とエレン、舞衣と沙耶香も各々に意思を示し、決意し、喜び、憂い、思いの丈を吐露する。

 夜、6人が同じ屋根の下、布団で1列になって眠る。その様はまるで修学旅行のよう。

 「ねぇ姫和ちゃん。何だか不思議だね。こうしてみんなで一緒に寝られるなんて」

 布団を被り天井を見上げながら隣で顔を背けて寝る姫和に語り掛ける可奈美。

 姫和も寝ていなかったのか、可奈美との会話に興じる。

 「可奈美…お前も折神朱音のように後は舞草に任せろと言う気か?」

 「言わないよ」

姫和はどうやら朱音の想いに背いてでも自分で決着を着けたいようだ。

 「二人とも~うるさいデスよ~!特にひよよん」

 「黙って寝ろ。明日は頼んでもいないのに舞草の先輩が稽古を付けてくれるんだ。マジでしごかれるぞ~」

 エレンが騒がし2人を注意し、薫が眠るねねを腹に乗せながら寝相悪く愚痴る。

 舞衣も黙ってこそいるが、明日…延いてはこれからも先の事を憂う。既に沙耶香は完全に眠ったようだ。

 

 可奈美は夢を見る。何時もの夢だ。霧の深い何処かの神社の階段、そこでだけ会える歳上の少女。

 今なら解る、彼女は若かりし頃の母だ。

 「そっか、紗南に聞いたんだ」

 「やっぱりお母さんだったんだね」

可奈美が少女─若き美奈都─を母と呼ぶと美奈都はどうにも実感が無いように独り語ちる。

 夢の中にいる美奈都は飽くまでも17歳のまま時間が止まっている。

 そこで可奈美が以前話した友達が篝の娘であった事を語れば、美奈都は篝が結婚出来た事に大いに驚く、そして馴初め話を詳しく聞き出す様に懇願するも可奈美が目を醒ませば此処で起きた事を忘れてしまうと言うのだ。

 では、今まで教えた事も忘れたのかと美奈都が問えば、技や動きは覚えていると言う。

 「そっか…良かった良かった。じゃあ今日もとっておきの技を教えてあげる」

 「うん!お願いしますお母さん!」

 「やめてよ~。まだそんな歳じゃないもん」

 「じゃ美奈都」

 「師匠!」

 「美奈都師匠」

そんな親子の様で友達の様なやり取りを交わして彼女達は楽しげに刃を合わせるのであった。

 

続く

 


 

 次回予告(BGM:輝け!ダグオン)

 藤巻みなきだゾ!

例の反逆者達は何処かで何か企んでるみたいだ!うぅ~!あの時邪魔されなければ~!

 そしてアンノウン達の方も何かおかしな人と揉めてるみたいダ。

 次回"刀使ノ指令ダグオン"

 見習い隊員?田中撃鉄!

 アイツら一体何者なんだ?

 




 はい。前書きの続きですが、ロザミア様の作品、冥次元ゲイムネプテューヌとコラボする次第となりました。
 まだ先の話では御座いますが、宜しければ楽しんで頂けると幸いで御座います。
 それまでに取り敢えず5人全員融合合体可能までシナリオ進めたいなぁ。
 冥次元ゲイムネプテューヌ、面白いです。
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