刀使ノ指令ダグオン   作:ダグライダー

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 こんばんはダグライダーです。
 そろそろ春アニメも殆ど終わりですね、まぁ例の騒動で半部以上が延期になったりしましたが……。
 私としては時間の余裕的にある程度の数になってくれて助かったりしました。
 



第四十一話 続・赤羽刀の真相!その名はスルガ  

 

 前回の"刀使ノ指令ダグオン"

 ふはは!取り戻したぞ私の居場所ぉ!役目ぇ!仕事ぉ!

 さぁ、次からは奴等の好きにはさせんからなぁっ!!

 

 君だってあらすじ放棄してんじゃん

 


 

 ━━ダグベース格納庫

 新たに協力者撃鉄を加えたダグオン。彼等は赤羽に向かった調査隊を追うために準備を終えライドビークルの前に集っていた。

 

 「ふむ…必用最低限は揃ったか?」

 「ですかね……治療の為の医療品。非常用の簡易食。寝具に替えの着替え。1日で済めばいいんですけど」

 戒将と翼沙が積荷を確認しながら会話を交わす。

ダグビークルを使えば、短時間で目的地に到着するとは言え、不足の事態は起こるかもしれない。

 ならばもしもの時に備え、ある程度のモノは必用だ。

 「今度はアタリだとイイケドなぁ、調査隊の可愛コチャン達も伊豆の時みたいなのは御免だろうし」

 「……どうあれ、俺達の目的は赤羽刀と共にあるとされる剣だ。調査隊の任務の成否を気にしても仕方がない……」

 申一郎の調査隊を案じる言葉に自分達にとって重要なのはアルファが落とした剣"ライアン"であるとして、調査隊を気にしても仕様が無いと断じる龍悟。

 「なんじゃ?冷たいのぉ、調査隊にはお主の妹もおるんじゃろう?」

 そこへ割り込む撃鉄。彼は閉じ込められている時にアルファから大体の事情を聞いている為、龍悟が清香の兄である事を彼は既に知っている。

 智恵に惚れて彼女ばかりに目が向いているかと思えば、きちんと調査隊のメンバーを把握していたらしい。

 「オマエね、何さらりと会話に混じってんだよ?」

 「何を言うとる?今日からはワシもダグオンの仲間じゃろ!」

 「それな、お前、まだ見習いらしいから腕のソイツは通信と転送だけらしいぜ」

 高らかに誇る撃鉄に、遅れてきた焔也が事実を述べる。

 「ぬぁあにぃい?!ワシは変身出来んと言うのかっ!?」

 「管理者がそう言ってた以上、そう言う事になるな」

告げられた事実にショックを受ける撃鉄に、あんなふざけた奴でも管理者と名乗る以上、言っている事は本当だと言わんばかりの焔也。

 「ぐぬぬ!しかしワシはついて行くぞ!」

 「ついてくんのかよ……良いのか燕先輩?」

 撃鉄の喚きに焔也は戒将を見る、戒将は黙って何も言わないが、恐らく諦めているのだろう。

 「んん?そう言えばお主ら何故そんな他人行儀なんじゃ?」

 とそこで、喚きながらも焔也と戒将のやり取りを見ていた撃鉄が彼等の呼称に疑問を挟む。

 「何故ってそりゃ他人だし、先輩だし、普通だろ?」

 「しかし仲間じゃろ?なら名前で呼ぶのが筋と言うものよ」

 焔也の答えが気に入らないのか撃鉄は名前で呼ぶことを提案する。

 「いや、そりゃ流石に……翼沙先輩は本人が良いっつたから名前で呼ぶけどよ…」

 「ええい!ごちゃごちゃと!先輩もナシじゃ!命を預けて戦う仲間は対等じゃろうが!」

 「ヘェ、思ったよりイイコト言うコトもあんダナ、良いじゃん名前呼び、あ、でも先輩は忘れんな」

 申一郎が撃鉄の提案に乗る、但し舐められるのは嫌なのか先輩には拘る。

 「よし解った。申一郎「おい!?」いやだって俺的にお前は先輩っぽくないから」

 「ンダトォ?」

 焔也からの馬鹿正直な理由にメンチを切る申一郎、翼沙が間に入りまあまあと窘めている。

 「成る程な…命を預けて戦う仲間か……一理ある。分かった、今後は下の名で呼んでくれて構わない。頼むぞ、焔也、申一郎、翼沙、龍悟、見習い」

 戒将としては撃鉄の言い分に思う所あった様で、早速、呼捨てだ。

 「ああ!よろしく頼むぜ戒将!」

 「ま、オレと翼沙はオマエとはタメだしむしろ今更だな戒将」 

 「う~ん、馴れるまではちょっと混乱するかもしれませんが、そうですね、僕も乗りましょうよろしくお願いします戒将。焔也に申一郎、龍悟も…ついでに撃鉄…さんも」

 「……無駄を省くのは悪い事では無い、稀に必用な無駄も無くは無いがな……」

 思いもよらぬ撃鉄加入の刺激、それが早速良い方に傾いたようだ。

 「うんうん。正に仲間じゃのう……うん?戒将よ、ワシだけ何か違くないか?!」

 頷きながら、しかし途中己の呼び方がおかしな事に気付き首を傾げる撃鉄。ダグオンの若者達はまた絆を深めたのである。

 

 

 

 

 

 

 ━━東京赤羽、旧・第五生理研究所前

 

 荒魂を掻き分けながら進む調査隊、その中で安桜美炎の意識はふと、その場から離れる。

 思い起こす記憶は母と祖父の会話。

しきりに何事かを話す2人、幼い頃の美炎には会話の内容はよく解らない、でも、何か大事な話が交わされていたのは子供心でも分かった。

 幼く小さかった自分が、曖昧な記憶の中で覚えているのは、話す母の声が今にも消え入りそうな弱々しい声だった事、対する祖父がそんな母を安心させる様に、優しく諭す様に語りかけている事。

 母は命の灯火尽きるその時まで娘である自分の幸せを願っていた。

 祖父がその願いを、欲を、"愛"と説き、母を看取った。

 最後に祖父が言った言葉が頭に残る。

 

 ──うむ、安心して眠りなさい。あの子ならば、きっと強く生きるはずだ。何故ならばあの子は金屋子様の──

 

 「……安桜さん?」

 聞き慣れた声が掛かる。

 呼び掛けたのは六角清香、美炎は意識を浮上させる。

 「安桜さん?どうしちゃったんですか?」

 「あ……あれ?わたしどれくらいぼぉっとしてた?10分?それとも30分?」

 急上昇した意識が目の前の事象を把握に擁するまで1、2秒…呂律が少しだけ怪しくなる美炎。

 「そんな、ほんの一瞬ですよ。5秒くらい」

どうやら思いの外短かったらしい、気を取り直し、清香に対し謝罪する。

 「5秒…あぁ、そっか……。ごめん!これから最終決戦なのにね…」

 一瞬の内に垣間見た記憶、現実に意識を戻した美炎にはそれが誰の記憶だったのか判然としない。

 「毛っだなんてそんな……戦うって決まった訳じゃ…。赤羽刀の事を知っている人が此処に居るってだけなんですよ?」

 「…はは、そうだね。戦いなんて無い方が良いに決まってるしね」

 そんなやり取りをしていると智恵がこちらに気付き、声を掛けてくる。

 「二人とも、いい?相手は多分、この門の奥で待っているはずよ。気を抜かないでね」

 「あ、はい!」

 「うん、分かった!なせばなるよね!って事で」

智恵からの喚起に気を引き締める美炎と清香、門の奥を見据えながら美炎は己の御刀、加州清光に語りかける。

 この先で待つものはただで終わるとは思えない。そう思えるから……。

 

 

 

 

 そんな彼女達を眺める異形の影2つ。

 「ふん、労せず荒魂が手に入るのは良いが……、この中に赤羽刀とやらを持ったモノがどれ程いるのか」

 荒魂の群れを蹴散らしては数匹をジェム星人の分体に放り込む。

 分体は口を大きく開け、放り込まれる荒魂を口を通して遥か遠く宇宙に存在するエデンへと送られる。

 「ならいっそ、あの連中が入っていった建物の中にいる特別大きな存在は使えないかしら?」

 メイルのぼやきにフィメルが調査隊が入って行った建物に視線を向ける。

 「ふむ、いや待て。何も素直に奴等の指示に従う謂れは無いのだ。この荒魂とか言う生物……いや、ノロと言う物質を利用してやろうではないか。どうせ赤羽刀などと言うオモチャ数本あれば奴等は満足だろう。ならば後は私達の好きな様にさせてもらおうじゃないか」

 「そうね!それはとても素敵な案だわ、ワタシ。これを機に奴等を凌駕する力、手に入れようじゃない」

 何かを思い付き、方針を決めたジェゲンガ星人は集る荒魂を無視して跳躍すると、研究所の屋根へと着地し、中の様子を伺う事に徹するのであった。

 

 

 

 

 ━━旧・第五生理研究所内

 廃墟となった研究所の奥、その中心に何らかの存在を見付けた調査隊。

 「みんな、なんかいる!」

いの一番に声を挙げる美炎。彼女の視線を追えばその先にあるのは大量の錆びた刀の山、そしてその上に座り込む謎の人影。

 「来たか……」

 人影が調査隊を認めて声を発する。

 「誰?」

智恵がその人影に誰何の言葉を投げ掛ける。

 「あの姿は……人と言うには異形が過ぎます。しかし荒魂が話す、などと言うことがあるのでしょうか?」

 ミルヤは今までに無いその存在に異を唱える。その異形はヒトのカタチを成しながら、しかし、荒魂特有の朱黒い肌を持ち、着物の下から見える腕は鱗の様に重なりあい、着物の上から羽織った襤褸から覗く顔は、片側にツノが見える。

 「ふぅ~ん。へっ、やるじゃねぇかウチの学校も」

 「七之里呼吹、それはどう言う──」

呼吹の意味ありげな物言いに、その意図を問おうとしたミルヤ、しかし異形が手にする錆びた刀が赤羽刀である事に気付き驚く。

 「ええ手にしている錆びた御刀、間違いないわ。それだけじゃない、腰掛けている刀の束、あれも赤羽刀ね」

 智恵の言う通り、異形が腰掛ける錆びた御刀の山は一束、100本はくだらない数の赤羽刀の数々。

 「……いえ、私達は赤羽刀の謎を知るものに会いに来たのです。という事は、あなたが()()なのですか?」

 一先ずの疑問を隅に置き、目の前の異形へ、そうなのかと問い掛けるミルヤ。

 「ああ、吾レがそうだ。お前達刀使が捜し、此処へ来たと言うのであれば、それは間違いないく吾レのことであろう」

 異形はミルヤからの問いを是とする。

 「つまり、あなたの足下にあるのは、赤羽刀なのですね」

 「そうだ赤羽刀だ」

 「……我々の勘違いではない。と言う事ですか」

ミルヤが異形からの答えに苦々しく呟く。

 すると話し半分呑み込めていない美炎が待ったをかける。

 「待って!ちょっと待って!それじゃここにある赤羽刀の持ち主は………?」

 「そうだ」

 「あなた……お前がここで?ここから?ばら蒔いて?」

 「そうだ」

 「わかんないよっ!ここに来たら赤羽刀の秘密を知ってる人に会えるって聞いたんだ!なのにここに来たらお前がいて、赤羽刀を持ってて、赤羽刀をばら蒔いてる犯人なんて!」

 期待を裏切られ、感情の赴くまま叫ぶ美炎、纏まらない思考で年長者2人にすがる様に問う。

 「つまりどう言うこと?!ミルヤさん!ちぃ姉!これって何っ!?なんなのさ?!」

 「っ……!」

しかし、ミルヤは答えられない。答えようがない。

 「どうした?黙りこくって?ならば吾レが教えてやろう。つまりこういうことだ」

 すると異形は取り出した赤羽刀を地面に突き刺す。するとノロが集束し赤羽刀を取込み、荒魂が産まれる。

 「どうだ?」

 「なっ…?!」

 「安桜さん!!…あれ、地面に刺さった赤羽刀にノロが集まって……」

 「荒魂になった……?!何これ?つまりあいつが荒魂を生み出してるってこと?」

 異形が生み出した荒魂に指示を出す。

 「さぁ荒魂達、復讐だ!コイツらを排除しろ!吾ガ復讐を阻み、拒む奴等を蹂躙し尽くせ!」

 異形が吼える、生み出した荒魂達が調査隊目掛け襲い掛かる。

 調査隊の面々はいきなりの強襲に声を挙げる間も無く、荒魂達の対応に追われる。否、呼吹だけは楽しそうに笑っていたが。

 

 各員が各々に迫り来る荒魂が斬っては次の荒魂へと対応する。そうする内に呼吹を除き集まる調査隊。

 陣形を組みながら互いをフォローし何とかその場を切り抜ける。

 「……どう言う事なの?荒魂は全部倒したのにスペクトラムファインダーの反応がまだ……」

 智恵が片手の端末を見ながらその反応に首を傾げる。

 「は……はい、反応……してますね…」

清香もまた、その反応の是非に同意する。

 「そうね……さっきよりももっと強く、あの敵から…。これはどういうこと?いったい何者なの?」

 何者かと言う智恵の呟きに近い疑問に異形が応える。

 「何者、か。自ら名告ったことなどは無いが……『スルガ』奴等がそう呼んでいたゆえ、そう答えておこう」

 異形は自らをスルガと名乗る。スルガは言葉を続ける。

 

 「そして何物かと問うならば、こう応じよう。吾レは……お前達と同じ御刀に縛られしモノだ」

 

 スルガは調査隊を指差しながら感情の読めぬ瞳で彼女達と自らが同じモノと断言した。

 

続く

 


 

 次回予告(BGM:輝け!ダグオン)

 よぉ!鳳 焔也だ。

 遂に発覚した赤羽刀をばら蒔いている黒幕、そいつは何と人の言葉を解するヒトガタの荒魂だった!

 っておい!?鎌府何やってんの!?あいつら大丈夫か……?

 何か七之里が笑ってんだけど……。

 次回"刀使ノ指令ダグオン"

 明かされる人の業。スルガという存在。

 次回も"トライダグオン"!

 





 さてさてスルガとの戦闘はどうしましょうか……大まかな流れはイメージにあるんですが、そこをどの様に文に落とし込むのかがイマイチ纏まらないんですよね。
 とは言え頑張ります!
 ではまた次回

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