刀使ノ指令ダグオン   作:ダグライダー

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 こんばんは、今回はほぼハイライトなノリでクレープと祭の下り短縮です。
 こっからプロット色々練り返しながら進めなきゃなぁ。
 



第四十七話 舞草壊滅!?悩める若人

 前回の"刀使ノ指令ダグオン"

 あれ?シーちゃんいないの~?ま、いいや!

 ミルヤちんと智恵ちーが激ヤバになって、そこにそーらく学長とうじょーして、話してー、帰ってー、みんなでクレープ食べに行くことになってー、みんなでクレープとかマジウラヤマ~。アタシも食べに行きた~い!

 ダグメンズ達も一旦基地に帰るし、剣はどっか飛んでっちゃうし、アルファもいないし、ひーまー

 


 

 スルガを倒し、写しとは言え南无薬師景光を手にいれた調査隊は今、クレープに舌鼓を打っていた。

 姦しくはしゃぐ美炎達中等部トリオを尻目に、智恵はまだミルヤを今一つ信用出来ないでいた。

 

 

 

 

 また同じ頃、舞草の本拠地である隠れ里では可奈美達が一時の急速を味わっていた。

 早朝の連携訓練の後、舞草の里に常備されている天然の露天風呂温泉。

 温泉にて鋭気を養う彼女達、エレンが沙耶香を甘やかし、それを薫が嫉妬とも何とも言えぬ筆舌に尽きがたい顔で眺める。

 湯浴みを終えた5人が脱衣場に出れば制服が無くなっていて、ねねが疑われる等、一悶着あったが、真実は制服をクリーニングに出し、これからも始まるであろう祭の為に浴衣を用意していたと言うもの。

 陽も高い内から響く祭囃子、可奈美達は用意された浴衣に身を包み、其々が各々に祭を楽しんでいた。

 

 りんご飴、射的、金魚すくい、型抜き、国民的スーパーヒーローのシリーズお面、チョコミントバナナ……まさに祭の定番を楽しむ彼女達、楽しい時間は続いて行く──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ━━静岡県某所・ダグベース

 そしてこちらも何時も通りのダグベース、赤羽での戦闘を終え、今一度帰還した彼等、気絶したままの撃鉄を医療ポッドに放り込み、5人はオーダールームで今回の件で起きた事……主にライアンの事をアルファから聞き出そうとしていた。

 「管理者!出てこい!!」

 入室して早々、怒鳴るように叫ぶ戒将。

 それも致し方無い、何せ話に聞いていたモノは仲間になるどころか下手をすれば敵に回りかねない存在だったのだから……。

 「戒将のヤツ……結構アタマにキてんだな…」

 「……解らなくも無い、俺たちが探し回っていたモノの正体があんなカタチで現れた上に……あの結果だからな……」

 「正直、僕も色々と物申したい気分です」

 「ってか、いつもならあいつ…呼ばれなくてもすぐに声掛けてくるよな?」

 戒将の後に続くように続々と入室する彼等、しかし何時もなら余計な口上と共に現れる馬鹿(アルファ)が居ない。

 「おーい、ブレイブ星じーん!」

不審に思った焔也がブレイブ星人の名を呼ぶ。

 すると暫くして彼等の前に投影されるブレイブ星人の立像。

 <良くやった若き勇者達よ>

 「労いは不要だ。奴はどうした?」

ブレイブ星人からの言葉も一入に戒将はアルファの所在を訊ねる。

 <彼の者の居場所は残念ながら私にも解らない。アレは我々が存在する次元の更に上位の次元に位置する者だ>

 「ってことは何かァ?!あのヤロウ、今は居ねえのカヨ!?」

 ブレイブ星人からの返答に5人は意外そうに驚く、普段は鬱陶しいくらい絡んで来る存在がどういう訳か居ない上に、聞きたい事が聞けないのだから彼等の調子の梯子がずれるのもやむ無しであろう。

 「ではブレイブ星人、貴方に代わりに聞きたい事があります」

 <私に答えられる範囲であれば答えよう>

 「ありがとうございます。ではまず、あのライアンというのは……一体何なんですか?」

 不在であるのらば仕方がないと切り替えて翼沙はブレイブ星人に質問を投げ掛ける。一体アレは何モノなのか……と。

 <彼…ライアンは管理者の手により生まれた存在だ>

 「ンナこたぁ解ってンダヨ。ようはアイツが何で荒魂相手にあそこまで敵愾心バリバリなのかを知りてーのよオレらは」

 ブレイブ星人の端的な答えに申一郎が物申す、するとブレイブ星人も流石に考える素振りを見せる。

 <……フム、では私の個人的な話になるが構わないだろうか?>

 「……それがライアンとやらに関係があるのなら……一見の価値はあるだろう…」

 龍悟の言い様に他の4人も首を縦に振る。

 <解った。では話そう……そもそもライアンとは私が以前存在していた世界にて、諸君の前任と共に戦った異星人の名だ>

 「前任…?」

 「前任とはつまり、僕達の前のダグオンと言う事ですか?」

 前任と言う言葉に戒将は首を傾げ、翼沙は話の先を促すようブレイブ星人に問う。

 <そうだ。諸君同様、現地の地球人の若者を私が任命した。彼等はサルガッソの囚人達から見事地球を守り戦い抜いた。その戦いの中で彼等はある一人の剣星人と心を通わせた……その剣星人の名こそ>

 「…ライアンと言う訳か……」

 <そうだ。そして管理者はそれを基にし人造の剣星人を造り上げた、それが諸君が探索し遭遇せしめた()()()()だ>

 「ようはアイツは管理者のヤツがオリジナルを真似て作ったコピーってワケか」

 「だがそれだけでは彼奴が荒魂に向ける感情の説明がつかん」

 <これは私の推測でしかないが、恐らくは基礎となる人格プロトコルを組む際、早々に諸君の戦力となるようモデルとなる人格の魂を探していたのだろう。そしてその際、未完成であった彼を過去の時間に落とし、諸君らへと捜索の助力を願い……>

 「結果、俺達は不要な苦労を背負った訳か」

 <そして過去の時間に取り残された彼は恐らく周囲に散らばった死者の念を取り込み、そこから人格を形成したのだろう>

 ブレイブ星人の過去、そしてこの世界のライアンが何故あの様になったのかを聞き、翼沙は考え込む。

 「魂に…死者の念……ですか……」

 「オッ?非科学的ってヤツ?」

 「確かにかなりオカルトですが、そもそもそれを解明するのも科学の仕事です。むしろロマンがあります」

 「……だが、この間管理者に非科学的な事はあり得ないと言っていなかったか…?」

 「アレは彼があまりにも無用心で無遠慮、無神経だったからです」

 龍悟の質問に翼沙は眼鏡を抑えて答える、眼鏡が光を反射して視線が見えないその顔は、綾小路で悪名高きマッドサイエンティスト渡邊のそれだ。

 「ライアンに関してはおおよそ理解した。では次だ、我々が戦った異星人犯罪者はノロを吸収し力を増した。そして荒魂も異星人の血を含み同様の事が起きた。アレは何だ?」

 戒将がライアンの話を一先ずは解ったと切りおき、次の質問、ジェゲンガ星人と荒魂スルガのパワーアップについて問う。

 <残念ながら、それは私にも解らない。荒魂に関しては情報が足りない。エデンの囚人達に関しては……偶々その囚人の持つ能力がノロと相性が良かった事によって起きた現象であるとしか言えない>

 「それってつまり何も解んねぇって事か?」

 <そうだ>

焔也の要約に即答するブレイブ星人に5人は黙り混む。

 彼が知らない以上、アルファも然して知り得ないだろうと5人の思考は一致していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ━━舞草隠れ里

 陽も暮れ、夜の闇が広がる中、祭は佳境へと入っていた。

 フリードマンと合流した可奈美達6人はそこでまさかの人物に再会する。

 その人物、恩田累はあの沙耶香襲撃の後、警察に捕まり事情聴取を受け拘留されていたが、美濃関の羽島学長の口利きにより釈放、舞草に合流するに至ったのである。

 

 累を加えた一行は祭の主題たる神社のノロを祀る奉納神楽を眺めながら、フリードマンの語る御刀とノロの歴史に耳を傾ける。

 

 元々ノロとは御刀を造り出す際、珠鋼より排出される不純物を含む金属であり、御刀同様の神聖を帯びている

、未だ人間の技術でそれを完全に消滅させる事は不可能、それ故、放置しておけはスペクトラム化により荒魂が誕生してしまう。

 それを防ぐ手段として人類は全国各地でノロを社に祀り、巫女が舞を奉納する事で鎮めて来た。

 しかし明治以降、経済的な理由により日本国政府は合祀、そうなればノロはその総量が増え結合し荒魂が生まれる確率が格段に跳ね上がる。

 そこでそうならないよう、当時の折神家が厳密にノロを管理して防いでいたのだ。

 

 しかし時代が進み文明が発展するにつれ聴こえる戦争の足跡、これにより軍部の判断を中心としたノロの軍事利用が叫ばれる事となる、それによって箍がはずれた人類は刀使の力を解明、軍事兵器として利用を目論む。

 結果は謂わずもがなであるが、戦後…米軍が研究に加わった事によりノロの収集は加速、それは表向き危険性の高いノロを分割しておくよりも一括で管理する方が安全であるとして日本中から集められる。

 だがそれはより多くのノロの結合……スペクトラム化を促し、知性のある荒魂を生み出す事となってしまった。

 結果、生まれた大荒魂は人類にコントロール出来る筈もなく、相模湾大災厄の様な事件が起きる原因となる。

 そもそもあの災厄はアメリカ本国にタンカーでノロを輸送しようと大量のノロを一度に満載した結果である。言うなれば人の業が起こした人災。

 その事を語るフリードマンの顔は己が犯した過ちを後悔するもの、彼もまた当時、あの場に居合わせ、沈没したタンカーに同乗、からくも命を拾う事が出来たのである。

 彼は自らが体験し、得た教訓を彼女達へ語る。

ノロ……荒魂もまた人の傲慢と強欲による犠牲者なのだと、だからこそ舞草は現折神体勢に反抗し、嘗ての様にノロを各地へと分祀する事を目的としているのだと。

 しかしそれは現折神体勢の下、教育を受けてきた彼女達……特に舞衣にとっては衝撃的な話であり、元々舞草に属するエレンや薫、篝の手紙により紫の正体を知った姫和などよりもショックは大きい。

 或いは、なまじ優等生であったが故の衝撃か……アルファより真実を告げられたダグオン達でもここまで取り乱す事はなかった。これも又、刀使とそうで無いものの違いなのか、ともあれ事実を受け入れる他無いのだ。

 

 祭の余韻を残しながらも、うら若き刀使達は其々に語られた事実を受け止め、思い思いに夜を過ごす。

 可奈美と姫和は己の出会いが運命であった事に…互いの母が今の自分達と同じ様に祭を過ごしたのかを語る。

 

 舞衣と沙耶香は浄めの焚火を眺めながら、今後の身の振り方を考えている。

 特に舞衣は今まで学び、信じ、勉めて来たモノが覆ったのだからその懊悩は推し量れない。

 彼女や可奈美と親交の深い刀匠科の先輩男子(どこぞの問題児)ならば単純にモノを言うのであろうが、そんな彼は此処には居ない。

 果たして事実を知ったからといって、可奈美達に着いていっても良いのか、それで自分に何が出来るのかと考え込む舞衣、そんな舞衣を沙耶香は舞衣は何でも出来ると励ます、沙耶香は既に覚悟を固めている様で、そんな彼女を舞衣が放っておける筈もなく、また彼女自身悩みながらも()()()()()()()()()()()()()前へと進む事を決めた。

 

 エレンと薫…そしてねねは神社の階段から花火を眺めながら軽口を叩き合いながらそれぞれの思いを語り、何れ来る未来を想って互いの健闘を祈り称える。

 ついでに射ち上がった花火を見てエレンが鍵屋を口にしたのもご愛嬌。

 

 そして、朱音とフリードマンと対面し自らの意思を伝える彼女達。

 朱音は彼女達が舞草と共に戦う事に些か険しい表情で物言いたそうにしていたが、フリードマンのある種、合理的な意見に辟易する。

 そんな中、突如孝子が現れ急報を告げる。

 

 舞草の隠れ里に機動隊が展開し、出入口を封鎖する。

 祭の最中、突然の事態に祭に参加していた住人達は困惑するばかり、長船の刀使達は既に数名が拘束され、御刀は没収、このまま此処に留まるのは得策では無い。

 フリードマンと朱音は可奈美達と孝子をはじめとする数名の護衛の刀使と共に、潜水艦で逃亡を謀る。

 聡美を含む残りの長船の刀使が敵を足止めする役を買い神社に残る。

 

 

 

 

 

 

 同じ頃、鎌倉へと向かう調査隊の中で智恵は言い様の知れぬ不安に胸騒ぎを憶えていた。

 それと言うのも、本物の南无薬師景光の手掛かりは無く、闇雲に動く事は出来ない。

 未だ相楽結月の思惑は知れず、ミルヤを信じきる事は出来ず、判断を仰ぐ為、連絡をするも誰からも応答が無い……いくらなんでもおかしい、そう思った智恵はしかし、荒魂の襲撃に思考を中断され、一先ずはは迎撃する。

 だが、舞草へ連絡が取れなかった事が尾を引いていたのか動きに精彩さを欠ける事をミルヤに指摘され、美炎には顔色が悪いと心配を受け、清香もそれに追従して智恵を労る。

 呼吹は……素っ気なくしているが美炎と清香に弄られている。

 その中で出た『仲間』と言う言葉、しかし智恵はミルヤを見ながら心の中で美炎に謝罪する。

 (『仲間』か……だけど美炎ちゃん、ごめんなさい。私は彼女の事そんな風には思えないの……。少なくとも……今はまだ……)

 一見、順風満帆かと思われた調査隊の関係も、その実智恵の中では危うい均衡を保ったままであった。

 

 

 

 

 

 そして、舞草の隠れ里では防衛にあたり残った長船の刀使達が全滅していた。

 成す術無く倒れ伏す彼女達、残った聡美は対峙する相手の強さに戦慄する。

 彼女の前に立つのは親衛隊第四席、燕 結芽。

 結芽は写シすら張らずに瞬く間に聡美を除く長船の刀使を戦闘不能まで追いやったのだ。

 そして聡美もまた結芽の敵では無く、彼女の前に健闘虚しく敗れ去る。

 

 

 一方で潜水艦が待機する桟橋から続く洞窟の庵に辿り着いた可奈美達と朱音一行。

 しかし、此方も既に管理局の手が回っており、機動隊が展開されている。

 彼等が手にしているスペクトラムファインダーは細工が施されており、舞草の刀使が持つ御刀に反応する様になっている。

 このままでは荒魂として処理されてしまうと言うフリードマンの言葉に、姫和は荒魂が自分達を荒魂扱いする事に嫌悪感を露にする。

 朱音は彼等もまた騙され利用されているだけだと言う。しかしそれでみすみすやられる訳にはいかない。

 孝子をはじめとする護衛が機動隊の前に飛び出る。

 機動隊も困惑しながらも此方を荒魂として認識している。少なくとも殺害許可も降りている可能性が高い。

 現に機動隊の装備は、刀使の写シを想定した特殊なボーガンの矢があり、孝子に突き刺さったソレは写シこそ剥がしていないが、写シが切れた瞬間、当たり処によっては致命傷となることは間違いないだろう。

 刀使と機動隊で戦力に開きがあるとはいえ、彼方は数で圧してくる。

 孝子を筆頭に護衛の刀使達は潜水艦への道を斬り拓く。

 朱音、フリードマン、可奈美、姫和、エレン、薫、沙耶香、そして最後に舞衣が乗り込むまで殿を務める孝子。

 その身体には対刀使用の矢が刺さったままだ、そして彼女達が来た道筋より現れる結芽。

 

「先に行け。朱音様を頼む!」

 最後尾の舞衣に先に行くよう促し後を託す孝子。結芽は逃げる潜水艦に興味を示さず、ゆったりとした歩みで孝子の前に立つ。

 「あーあ、間に合わなかったかー。残念」

特に残念に思っていない口振りで語る結芽に孝子は問う。

「神社にいた刀使はどうした…!?」

 「刀使?あれが?全然手応えなかったんだけど。でも…この御刀を持ってた人はちょっとはマシだったかな~」

 煽りとも取れる物言いで聡美の御刀を手に弄ぶ結芽、そんな彼女を前に孝子は御刀を構え戦闘態勢を取る。

 「やるの?そんな状態で?待っててあげるからその矢抜いたら?なんなら手伝ってあげようか?」

「必用無いっ……!荒魂に頼ってるような刀使に負けはしない!」

 右肩鎖骨辺りに刺さった矢を自らの手で抜きながら結芽に啖呵を切る孝子、だがそれは彼女にとっては悪手だった。

 「あっそ…」

孝子の言葉に僅かに眉根を寄せ、しかし次の瞬間には写シを張り迅移と共に間合いの内側に踏み込む結芽。

 孝子を滅多刺しにし、彼女が倒れた所でトドメの一刺し写シを破る。

 倒れる最後まで写シを張り続けた孝子も見事と言えば見事であったが、やはり相手との実力に差がありすぎた。

 「私戦いに荒魂なんて一ミリも使って無いもん!これはぜーんぶ私の実力なの!」

 倒れ付した孝子を見下ろしながら、淡白に…どこか拗ねた様な面持ちで独り語ちる結芽、彼女はそのまま大海へと消え行く潜水艦を眺め見送る。

 

 こうして舞草の本拠地は制圧され残った長船の刀使達は投降、拘束され、御神体のノロは折神家の手の者が回収、主要人物こそ逃したものの、舞草と言う組織は事実上壊滅した。

 

 手水舎の前で咳き込む結芽、その手には血がべっとりとこびりつく、それは彼女の命の残り時間。

 病は確実に彼女の身を蝕んでいる。その時、彼女の脳裏に過ったのは果たして……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ━━ダグベース格納庫区画

 ライナービークルの補給、整備の状況を望む事が出来る展望室で燕 戒将は1人、手元のタブレットパッチを眺めながら、これを渡された時の事を思い返していた。

 

 それは沙耶香が逃げ出した直後、彼が鎌倉の管理局本部にいた時の事。

 結芽が夜更けに外へと出掛ける所を見掛け、その目的を気にしつつも突如アルファに呼び出され、返事の有無を許さずダグベースへ速やかに来るように言い含められた彼は、その事に辟易しつつも転送システムにより即座にベースへと到着。

 一体何の要件だと溜め息を吐きながらオーダールームへと入室する。

 ≪遅い!遅いよ戒将くん!!呼んだらすぐ来なきゃ!!≫

 「無茶を言うな……此方も仕事やらの用向きがあるんだ。それで…一体何の用だ?」

 アルファの無茶苦茶で謂れの無い謗りを受ける戒将、そんな物言いに呆れながらも呼び出され理由を問う。

 ≪実はね、結芽ちゃんの事なんだけど≫

 「結芽がどうした……?!」

 ≪怖っ!?何でいきなり目付きが鋭くなるのさ!!≫

 「良いから先を言え!」

いきなり出てきた妹の話に、先程の事を思い出し不機嫌になる戒将、怯えるアルファの文句を一蹴し先を促す。

 ≪君達が伊豆の山で回収したノロや真希ちゃん、寿々花ちゃんの血液サンプルを元に暫定的なモノを作ったんだよ。後は結芽ちゃんのカルテだけど……その辺はボクがちょいちょいっと…ね、とにかくあの娘を助ける為の特殊薬の第1号が完成しました!どんどんパフパフ~≫

 「…!?」

その内容に思わず立ち上がり拳を握る戒将、遂に待ちわびた瞬間が来たかと歓喜する。

 ≪た・だ・し!これはまだ仮の段階、薬を彼女に投与すれば病の進行は抑えられるけど、同時にノロも抑制する効果があるから、結芽ちゃんは仮死状態になります≫

 「…………何?」

しかし次の瞬間、歓喜は憤怒に替わる。

 「それは俺に結芽を殺せと言う事か…!?」

 ≪いや悪魔でも仮死状態だし、投与されたナノマシンの効果だし、そうしなきゃ確実に病気で死んじゃうし!!≫

 「………くっ!」

戒将とて彼女の病がどういったモノか理解している為、口を閉ざす他無い。

 ≪とにかく薬は医務室に置いておくから、使うならなるべく早く決断してね!それじゃ!≫

 そう言い残して気配が消えるアルファ、戒将は独り佇むのであった。

 

 そしてその後の事は知っての通り、あの後鎌倉へと帰還した戒将は結芽を追い、星人と戦闘に突入。

 怒りにより退け、結芽を前に薬の事を引摺り、ターボカイとして彼女に声を掛ける事すらせず、立ち去る他なかった。

 

 そして今もその手に薬を持ち、伏しているのである。

 元より願っていた事だと言うのに迷いが生まれる。果たしてこの様で本当に結芽を救えるのか……己のエゴで既に他の4人を巻き込んだ。

 (……っ、今更…何故また迷う!望んだ事だろう。これは……)

 もたれ掛かった手摺を強く叩く。

 鬼の風紀委員、疾風の燕、男に生まれた事だけが神の悪戯などと言われ、それでも尚己を研鑽して来た青年は、その16年の人生の中で妹の病を知り得た時以上に苦悩する。

 

 全ての決着は近い──

 

続く

 


 

 次回予告(BGM:輝け!ダグオン)

 遂に動き出した折神紫……タギツヒメ。智恵は舞草壊滅に動揺を露にし、可奈美達一行は決戦を覚悟する。

 そしてダグオン達は──

 

 次回"刀使ノ指令ダグオン"

 鎌倉へ!決戦の時近づく。

 

 アルファァァァァア!!貴様どこへ消えたァァァァアッ!!!

  




 因みにアルファは胎動編が終わるまで帰って来ません。
 次の彼の出番は胎動編と波瀾編の間。ダグオンの残り4人の◯◯◯◯の回の時です。
 ではまた次回
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