刀使ノ指令ダグオン   作:ダグライダー

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 こんばんは。
 いやぁ、今回も色々難産でした。台詞は兎も角、地の文が一番悩むんですよね。
 それはそれとして、エレン[禊]来ました。ついでに戦乙女ひよよんも来ました。


第四十九話 鳴動!?鎌倉決戦その1。

 前回の"刀使ノ指令ダグオン"

 壊滅した舞草、警察による強制捜査が行われる美濃関、平城、長船。

 困惑する可奈美達、茫然とするダグオン達、そして焦りを見せる瀬戸内智恵。

 智恵はその焦りをミルヤに指摘される。

 しかしミルヤが彼女らしからぬ無茶を行った事で智恵は己を省みる。

 そして再び訪れた原宿は青砥館で新たに仲間に加わる刀使"山城由依"

 彼女は変態であった。

 


 

 山城由依の活躍もあり、然したる苦労も無く荒魂を退けた調査隊、由依と美炎が和気藹々としているとそこへ突如店から血相を変えて飛び出した陽菜が現れる。

 「みんな大変なことになってるよ!?早く来て!」

陽菜の切迫した言葉に圧され店内に戻る調査隊の面々、美炎は陽菜のあまりの慌てっぷりに首を傾げる。

 「なんだろう?」

 「こんな時に大変な事…?嫌な予感しかしないわ」

 「テレビ、テレビ、テレビ見て!」

 智恵がそこはかと無く嫌な予感を感じていると調査隊メンバーを急かすように陽菜はテレビを見る様に言ってくる。

 「テレビ?」

陽菜に言われた通り、何事かとテレビのモニターを見る、するとそこから流れる情報に彼女達は震撼する事になる。

 【各県警は大規模テロ関与の疑いで、伍箇伝の長船女学園と美濃関学院に強制捜査に入りました。当局によりますと、両校共に刀使による戦闘部隊を編成し、テロ行為の準備を進めていた模様です。警察は複数の学校関係者の身柄を拘束し…現在、取り調べを行っております。なお、警察はこの事件について深く関与していると思われる折神家関係者の女を、重要参考人として、その行方を追っています】

 このニュースを見て一番ショックを受けたのは智恵だ。

 「そんな……どうして……?」

 

 

 ニュース視聴より数十分後、話し合いの余地が出来たところでミルヤが話を切り出す。

 「…やはりこの捜査は舞草としての活動が、御当主様の知るところとなったと考えるのが妥当でしょう」

 「舞草の拠点とも連絡が付かない。このニュースを見た限りじゃあ…拠点も恐らく武力制圧されてる可能性が高い」

 ニュースから得られた情報を元に推測を挙げる陽司、その事に更にショックを受ける智恵。

 「そんな……舞草は……壊滅したんですか?」

 「どうだろうな?朱音様だけでも脱出出来てると良いんだが…」

 そこで陽司の口から出た『朱音様』と言う名にミルヤが目敏く反応する。

 「朱音様?その方が舞草のリーダーなのですか?」

 「朱音様は折神紫の実の妹にして最大の切り札だ」

 「御当主様の妹?姉妹なのに敵対しているんですか?」

陽司が言う『朱音様』が折神紫の妹である事、そして敵対している事に清香が信じられないといった顔で訊ねる。

 兄と仲が良い彼女からしてみれば兄弟、姉妹仲が悪いどころか敵対まで発展している事が信じられないのだろう。

 「朱音様は二十年前のあの日から紫様が変わってしまった事に気付かれていた。文字通り別のモノにな」

 「二十年前?二十年前と言うと……大災厄ですか?」

 陽司の言う二十年前の事、大災厄。ミルヤはその年に一体何が起きたのかと彼に話の続きを促す。

 そこから語られるのは舞草と合流した可奈美達反逆者やダグオン達が聞いた話とほぼ同等の内容。

 その内容は調査隊の者達にとっても衝撃的な内容であった。

 「俄には信じ難いですが、それなら親衛隊がノロを体内に飼っている事も説明が尽きます……。ですが、我ら刀使の頂点たる御当主様が大荒魂………それでは、今まで私達が──」

 陽司の口より語られた二十年前の大災厄の内容に筆舌し難い衝撃を受けた彼女達、ミルヤは動揺を抑え頭を整理しながら次の言葉を紡ごうとしたその時、それは起こった。

 

 

 

 「「「「「!?」」」」」

 

 

 調査隊がその不可思議な現象を感じ取る。それは正しく突然だった。

 まるでもう一人の自分が前に立っている感覚、そして後ろを振り向けばそこにも自分が居る。

 前と後ろ、自分は確かに此処に居るのに、体が前に…或いは後ろに押し出された様な形容し難い感覚。

 「なに……今の…感覚……?みんなも感じた?!」

 「ええ、体が前に押し出されたみたいな……違和感を」

 「私もです。慌てて後ろを振り向くと、私の姿がそこにはありました」

 「お前らもか…。何だってんだ今の感覚は……いったい?」

 たった今起きた謎の現象に当惑するばかりの調査隊、そこへ陽司が何か思い当たる節があるのか、顎に手を充てながら訥々と語り出す。

 「そういやこの現象、舞草の古株の奴に聞いた事がある。二十年前の時も全く同じ事が起こったらしい」

 そして、舞草と言う邪魔者が居なくなった今となっては折神紫……その中に居る大荒魂が何を仕出かすかは分かったモノじゃあないと続ける。

 「それって大災厄の再来って事…?!紫様が大荒魂だって言うなら、私達で何とかしようよ!」

 陽司の話を聞き、美炎は自分達で紫を止めるなり倒すなりしようと言い出すが、それに陽司が待ったを掛ける。

 「残念だが、そいつは無理な話だ。大荒魂は通常の方法では倒す事は出来ねぇ。これまで戦ってきた荒魂達と同じってワケにはいかねぇんだ」

 その言い様に清香が不安そうに訊ねる。

 「それじゃ…打つ手が無いって事ですか…?」

しかし、それも否定する陽司。

 「いや、折神家には代々、大荒魂を鎮める伝承があるって話だ。それを使えば……言っとくが俺はそれがどんなもんか知らねぇよ、つまり…お嬢ちゃん達に出来る事はねぇって事だ。悔しいだろうがな」

 その話で先程の意味を察し納得するミルヤ。

 「成る程、折神朱音様が最大の切り札と言うのはそういう事ですか。その秘術をご存知なのは朱音様のみ」

 そのミルヤの言葉に頷く様に陽司は美炎が言い出した事に釘を指す。

 「…お嬢ちゃん達が策もなく敵地に飛び込んでも無駄死にするだけだ」

 「そんな……!」

それを聞いた美炎は悔しそうに歯を噛み締める。事は既に自分達の手に負えないのだと否応なく納得するしかないのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ━━太平洋日本近海・潜水艦内

 ここで時計の針を戻そう。

 舞草が壊滅し、自らの母校が封鎖され、ショックにショックが重なる可奈美達。

 艦内の乗組員寝台室に集まった6人の空気は重い。

 「私……戦いたい」

俯いていた舞衣が決意を固めた声を溢す。舞草壊滅以前、温泉で姫和と交わした会話、戦う為の理由が無い事を思い悩み迷っていた舞衣に姫和は理由が無ければ戦う必要性は無いと言われていた事をずっと考えていたのだろう。

 「私は可奈美ちゃんに追い付きたくて、沙耶香ちゃんをほっとけなくてここまで来た。ただそれだけで、状況がどうなっているのかも……紫様の事も実感が無くて…でも、聡美さんや孝子さん、他にも沢山の舞草の人が戦う姿を目の当たりにして改めて思ったの。これ以上目の前の人が傷付くのは嫌だって!」

 寝台から立ち上がり、皆の前で己の思いを打ち明ける舞衣、彼女の脳裏に過るのは今日までに触れ合ってきた人々。

 「私の力では全ての人を助ける事は出来ないかもしれない。けど、せめて見える範囲の人達だけでも助けたい。それが私の戦う理由だって」

 そして、そんな舞衣の決意に続く様に沙耶香が自らの意思を伝える。

 「私も……私にはそれしか出来ないから」

今まで人形の様に、命ぜられるがまま、刃を振るってきた沙耶香にはせめて自分の意思で戦う事しか出来ない。

 だから初めて出来た心の底から信頼する仲間の為に共に戦うのだ。

 寝そべりながら彼女達の決意を聞いていた薫もまた、戦う理由を語り出す。

 「俺も里のみんなの仇を討つって決めた。このまま黙っていられるか」

 そんな3人の決意表明にエレンが慌てて止めに入る。

 「ちょっと待って下さい!残った刀使は私達だけなんデスよ?そもそもこの状態でどうやって……」

 「この艦を降ろしてもらって孝子さん達の無事を確かめに行きます」

 一度覚悟を決めた舞衣の行動力はどうやら凄まじいらしい。まだ、敵方の手の者が居るだろうに中々無茶な事を言ってのける。

 「それから鎌倉に戻る」

そして沙耶香も同行するつもりで舞衣の言葉を補足した。

 「敵は一人じゃありませんよ!大荒魂に辿り着くまでにきっと沢山の障害があります!」

 「十条さんは一人でその障害を掻い潜って紫様に一太刀入れました」

 冷静になるよう嗜めるエレン、何時もの片言が抜けるくらいには舞衣の思いきりの良さに動揺している。

 その舞衣は姫和を引合いに出し、断言する。

 「そのぺったん女に出来て、俺たちに出来ないはずはない」

 「はぁ…やれやれデス。解りました、五人だけでは頼り無いですから私も一緒に行きますよ!」

 隣で寝そべり反っていた薫までその気になっているのでエレンは短く嘆息すると、しょうがないと言った具合で5人に同行する事を表明する。いや、姫和の方を向いた時に見せた顔から察するに、こうなる事は何処か予感していたのだろう、エレンも結局の所、此処にいる皆と同じ気持ちなのだ。

 「ねねー!ねねねー!」

そして自分も居るぞと言わんばかりにねねが薫の頭上で胸を張って主張する。

 「姫和ちゃん!みんなで行こう!」

 「良いのか?」

可奈美が姫和に仲間達と共に戦おうと言う。姫和はそれを自分の個人的な理由から始まった戦いに付き合ってくれるのかと問う。

 エレンはサムズアップし、薫は右手を控え目にガッツポーズする。可奈美は云わずもがな、舞衣と沙耶香には最早問う必要性は無くなった。

 そんなみんなの意思が纏り空気が良い方向に変わった瞬間、誰かの腹の虫が鳴る。

 「今のは…」

 「お腹の音だよね?」

 「ひよよんデスか?」

 「違う!」

別の意味で変わってしまった空気に薫、可奈美、エレンが姫和に目を向けるが姫和はそれを否定する。

 「…私……」

果たして音の出所はと言うと、沙耶香が自ら名乗り出た。

 「そう言えばお昼食べるの忘れてたね」

舞衣はそんな沙耶香を微笑ましく思いながらもフォローを重ねていく。恥ずかしそうに身を竦めた沙耶香は何とも可愛らしい。

 「腹が減っては戦は出来ません!潜水艦の非常食なら沢山ありマスヨー!」

 「あんまり美味く無いがな…」

エレンが艦に貯蓄してある非常食の存在に触れるが、薫はそれを気落ちしたトーンでボソリと付け足す。ねねも心なしかげんなりしている。が、本来非常食とはそう言うモノだ。これでも日本は味に恵まれている。まぁこの潜水艦の所属は米軍ではあるが……。

 そして、そんな和気藹々とした活気が皆に伝播した瞬間、その現象は発生した。

 

 「「「「「「!!」」」」」」

 

 自分が前後にブレてズレる感覚、それは調査隊が感じたモノと同じ物。

 「何だこれはっ?!」

未知の現象に姫和は声を挙げる、それに答えられる者はこの部屋には誰も居なかった。

 

 

 

 

 一方で鎌倉の刀剣類管理局本部に居た親衛隊達もこの現象には当惑する他無かった。

 「なに!?」

真希が突如起きた変化に声を挙げる。

 「何ですの!?」

寿々花が未知の現象に驚き辺りを見回す。

 

 夜見が横になっている病室でも同様の現象が起きている。

 

 

 「あはっ!これって」

綾小路の刀使との引継ぎを行っていた結芽がこの変化に好奇心を刺激される。

 

 

 

 この不可思議極まりない謎の現象は日本全国で起こっていた。

 「これは……。一体何が起こってるんだ……」

美濃関に帰還し、封鎖された学院の中で目の前の刀使に起きた現象に本人と同じくらい目を丸くしながら雷火はぽつりと溢す。隣に居た里香は何とも無いので、この現象は御刀に選ばれた刀使や嘗て刀使だった者達にのみ起きているのだろうと里香や他の後輩を宥めながら周りを観察し結論付ける。

 (可奈美……。いや、あの子は大丈夫、それよりも今は…)

 兎も角驚き怯える後輩達のケアに尽力する事にした雷火であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ━━日本上空

 『この感覚……嘗ての時と同じ。やはり生きていたかタギツヒメ!良かろう、ならば私は貴様を滅ぼすだけだ』

 黄金の剣はそう言って鎌倉がある方角へ飛んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ━━静岡県某所山中・ダグベース

 陽も傾き始め、空が茜色に染まり始めた頃の山中、ダグベース内では外の異変など届く筈も無く、若者達はこの異変に未だ気付いてはいなかった。

 「帰るに帰れないから待機とは言え……やることねぇなぁ」

 「ンダベ?ゲームとか無いのかよ?」

 「お前と違ってここに住んでる訳じゃねぇから」

焔也と申一郎は互いにやる事も無く、オーダールームで駄弁っていた。

 「そう言ァ翼沙はドーシタよ?」

 「何でもやっと従姉と連絡が取れたらしくて、今、別の区画に居る…らしい」

 「ハーン、ま、下手に誰かと一緒に居る声が聞こえたら不味いだろうしナァ」

 因みに現在オーダールームに居るのはこの2人だけである。

 「戒将はどこいったんだよ?」

 「例の見習いの様子を見に行ってる。しっかしヤル事なぁんもネーナ」

 男2人ややだらしない態勢で椅子に腰掛けながら会話に興じる。そこへ龍悟と翼沙がほぼ同時に入室して来る。

 「た、大変です!?」

 「……お前たち、揃っているか…?」

翼沙は慌てて、龍悟は表情こそ何時ものそれだが声のトーンが何時もより切迫していた。

 「オ、オウ…どうしたよ?そんな血相変えて……」

 「何かあったのか?」

 「戒将は!?居ないんですか?!」

 「今、撃鉄の様子を見に行ったらしくて……」

と、4人が話し込んでいるとその戒将が撃鉄を伴って現れた。

 「随分騒々しいな。何があった?」

 「お主らは本当に愉快なヤツじゃな!ヌァッハッハッハッ!」

 「……ちょうど全員揃ったか、好都合だ」

 「どうやら…非常事態の様だな。聞こう」

龍悟の、そして翼沙の表情から軒並みならない状況を察した戒将が皆に話す様に促す。

 無言で頷き、ガードホークのカードを手にオーダールームのメインコンソールを操作し、端末に差し込む龍悟、すると中央のモニターに映像が映し出される。

 「これは…?」

 「……この近辺にある刀使の養成校を捉えた映像だ…」

 「なるほど……。うん?龍悟お前、何でそんなもん持ってんだよ?」

 「…日課の散歩だ」

彼の言葉をもう少し要約すると、平城に帰れないので、ガードホークの頭部に立ちながら外を散策していたのだが、その際地元の刀使が通う伍箇伝貴下五校以外の学校で龍悟はその現象を目撃した。それをガードホークに記録させたのだ。

 「……この後だ。この後に不可解な現象が起きた……!」

 龍悟の言葉に5人がモニターを食い入る様に見詰める。

 「「「「「?!」」」」」

 そして彼等もその異変を目の当たりにする。

 「これはっ?!」

 「オイ……何だコリャ……誰か説明してくれ……」

 「ぬぅ?!」

 「やっぱり……」

 「一体どうなってんだ……」

戒将、申一郎、撃鉄、翼沙、焔也と其々に相応の反応で驚愕する彼等。

 そして翼沙の言葉に戒将は目敏く反応する。

 「翼沙、やはりと言うのは…お前はこれを知っていたのか?」

 「いえ、正しくは先程知ったばかりです。こちらを」

そう言って翼沙が差し出したのは彼のスマホ。

 そこには翼沙宛にエミリーからのメッセージが記されたチャットのログが表示されていた

 

 [やぁやぁ、我が親愛なる従弟(おとうと)やっと連絡が付いたかと思えば、今度はこっちが大変厄介な事になってるという儘ならなさ。それはそれとして、今翼沙は何処に居るのかな?うん?そうそう、実は今、とても興味深い現象が目の前で起きてるんだよ。うちの刀使の子達がまるで分身みたいな事になっていて…嗚呼!こんな時に設備を自由に動かせない事が実に口惜しい!という訳で、私はこれから一度彼らと交渉しようと思う。そう言う訳でアデュー♪]

 なんと言うか、言いたい事を一方的に言って切った様なメッセージに焔也と申一郎は目を点にしている。

 撃鉄も微妙な表情をしてメッセージを見ている。

 「……個性的だな」

 「お前の身内の事は置いておくとして、このメッセージ内にある興味深い現象とは龍悟が見せた映像に関係があるとみて間違い無いな?」

 「ええ。エミリーからのメッセージは龍悟が持って来た映像の現象を指している事はまず間違い無いでしょう」

 戒将からの質問に翼沙が真剣な顔で同意を示す。

 「刀使にのみ起きている現象……一体何が原因なのか…」

 戒将が顎に手を添えて考え込む。他のメンバーもその言葉を聞き思案する、しかし彼等ではその原因を知る由も無い。

 「ンー、多分もうそろそろ中継が始まるからそれを視たら解んじゃないかなぁ~」

 「もうそろそろって……何でそんな事解る……って、お前誰だよっ!?」

 そこへ突如割って入った声、焔也がその声に応える様に喋って途中で聞き覚えが無い声に反応しツッコミと共に振り向く。

 その視線の先に居たのは見覚えが無い女性。

 「何者だ貴様!?」

 「や~ん、睨まないで欲しいなぁ~。アタシィ別に怪しいヤツじゃないし」

 「怪しいヤツは大抵そう言うゼ?(デケェ……そしてカワイイ)」

 「申ちゃんは分かりやすいねー。とりま、自己紹介。アルファの代理で来たゼータちゃんで~す、よろぴこ♪」

 「そのアルファと言うのは……?」

 「え?マジ?!知らないの?うっそー!」

 「……待て、そのふざけた様な口調の調子、お前……管理者の関係者か……?」

 「っげ~!龍悟くんめっちゃサッシ良い~。そうそう、アタシはその管理者アルファの代理なワケ」

 最後の龍悟の指摘に肯定の意を返すゼータと名乗る女性は軽い調子でオーダールームの中央に歩み寄って来る。

 「まさか奴以外の管理者がこんな人物だとはな…」

 「もしかして管理者って奴はみんなこうなのか?」

戒将と焔也はゼータの態度に軽く頭痛を覚えた。

 「あの…ゼータさん?先程の言葉の意味は……」

そんな微妙にシリアスが外れた空気を何とか修正しようと翼沙がゼータと名乗る管理者に先の言葉の意図を訊ねる。

 「ツバッティーの疑問の答えはこれだ!」

パチンとゼータが指を鳴らすとモニターにとある港が撮し出される。

 「これは……どこの港だ?いやそれよりも、あの潜水艦は……」

 「アリャ、あん時、ペッタンチャン達が乗ってったヤツダヨな?」

 申一郎の言う通り、テレビに映るのは反逆者2人と舞草のエージェント2人を乗せて逃亡した潜水艦、その船上には1人の女性がヘリの照明に照らされていた。

 「あれは折神朱音様!?」

 「何?!あれが御当主の妹……」

 「おいおい、何か大事になってんぞ?!」

 「ヤバくねぇかこれ」

 「……このタイミングで一体何をする気だ彼女は……?」

 「辺りを機動隊と鎌府の刀使に囲まれとるのう、最早逃げ場無しか…」

 6人の若者が口々に映像から見て取れる情報を元に意見を口にする。

 しかしゼータは朱音が何をしようとしているのか分かっているのか黙って笑っている。

 

 『皆さん!私は折神朱音です!私の話を聞いて下さい!』

 テレビの中の朱音は周りに怯む事もなく堂々とした立ち居振舞いでモニターの向こう側の誰かに語りかける。

 『今この国には大きな危機が迫っています!20年前、いえ、それ以上の大災厄が起ころうとしているのです!20年前の災厄の元凶、大荒魂は再び甦ろうとしています!』

 

 「これは……横須賀港か!」

戒将が港の立地から場所を割り出す。

 その間にも朱音の話は進む。そして彼女の背後、潜水艦のミサイル発射口が解放される。

 計六機、黒い鋼の塊が飛び出した。

 『これは攻撃ではありません!今飛び立ったのは…』

空を見上げ仰ぐ朱音、その瞳は残された僅かな希望に一縷の望みを掛けた者の願いが籠められたモノ。

 朱音は飛び去っていく六つの望みを万感の思いで語る。

 

 『私達の希望なのです!』

 

 刀使の正しき在り方を取り戻す為、そして過去から続く因縁の決着を着ける為、鋼の翼は最後の希望を乗せ鎌倉へと向かう。

 だが希望は彼女達だけでは無い。

 「どうやら遂にその時が来た様だな」

 「いつでもいけるぜ!」

 「……万全は期した」

 「やってヤルよ!」

 「終わりにしましょう!」

戒将が、焔也が、龍悟が、申一郎が、翼沙が、遂に来た時に覚悟の顔となる。

 今此処に……刀使とは異なる五色の希望が大荒魂の下へ向かう。

 それはとても力強いモノ、人類と荒魂の戦い、その大一番の幕が上がった。

 

続く

 


 

 次回予告(BGM:輝け!ダグオン)

 あ、青砥陽菜です!ちょいと偉い大変な事になったよ!?

 朱音様の元から飛び立った6人、そして調査隊の娘達も決意を新たに折神家へ!

 そして例の五人組も……って、何!?あの剣!大きい!飛んでる?!喋ってる!!?

 

 次回"刀使ノ指令ダグオン"

 激動!!鎌倉決戦その2。

 ちょっとオトン!あの剣近くでじっくり観たいんだけど!!




 次回は今回の別視点を挟みつつ、折神家強襲まで行けたら良いなぁ。
 

 虎の穴、地元から撤退しちゃった……選択肢メロンと駿河屋しか無くなっちゃった……あ、いや、通販あるんですけどね。
 ではまた次回
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