刀使ノ指令ダグオン   作:ダグライダー

6 / 126
こんばんおはようございます。ダグライダーです
六話目になりました。
新たに今作を閲覧し、お気に入りに登録して下さった方々ありがとうございます。
 また、感想も戴けて嬉しく思います。
六話も又々長くなってしまいましたが、楽しんで頂けたら幸いです。


第五話 覚悟の証。己の答え

"前回の刀使ノ指令ダグオン"

 

ダグオンとなった彼等に襲い掛かる、凶悪な宇宙犯罪者。

 トラルク円盤人は、尖兵に過ぎない!

我々の知らぬ間にも異星人達の思惑は進む。

 時同じくして、刀剣類管理局にもダグオンとトラルク円盤人の戦いが知れ渡る。

 彼女達の困惑を他所に、世界は廻る。

 

 一方、当事者達は未だ一つに成りきれないでいたのだった……。

 


 

━━━太陽系 木星周辺

 音の無い宇宙にプラズマが迸る。

それは、しかし、プラズマではなく白い亀裂。

空間を割る様に現れたのは、月を優に凌ぐ大きさの小惑星。地表はまるで生きているかのように鳴動し、中からは無数の影、影、影。

小惑星の正体は嘗て全宇宙の凶悪犯罪者を収容していた牢獄、"タイプサルガッソ小惑星型次元圧縮監獄エデン"。

今や様々な次元の犯罪宇宙人の巣窟となっている。

 地表に変化が起きる、大地が割れ機械的な部分が露となり、大きなカタパルトが出現する。

 「どこいくの~?」

場違いなまでの明るい声が響き渡る。

声の主は一見、幼い子供の姿。少年とも少女ともとれる容姿は、奇妙な色気を醸し出す。

 相対するは…昆虫のような異形。螳螂と鍬形を足したかのような二足歩行姿、そんな彼は訊ねた子供に言葉を返す。

 「ダリモツノンナハタガスノソ」

 「かわいいでしょ?あのほしのぶんめいをつくったげんせいせいぶつのすがただよ♪」

「…ムシルクニイカリ」

 平然と行われる妖精と異形のやり取り。妖精が異形に目的を問う。

 「あのほしにあそびにいくの?いいなあ!ついてていい?たいくつなんだ」

 「カキウョシ?ゾスカタクゴジ、チマチタハココバレレナハガマサキ」

妖精の懇願に対し驚きを表す蟲人、彼からすれば信じられない事を宣うのだ。無論、そんな勝手は許される事ではない。

 「ヨセウョチジ、ハレコノシタワ、ダジシノツヤ…」

「むう、ざんねん。それじゃあおしごとがんばってね?」

 素直に注言を聞き入れた妖精は踵を反し去って行った。

見届けた蟲人……斬殺宇宙人ギロザバス星人は、やがて小型宇宙船に乗り込み地球へ向かったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

━━━静岡県 某所、ダグベース

 昨日のやり取りを経て、人気の無いダグベース。

やがてメインオーダールームに3人の影が現れた。

焔也、翼沙、龍悟の三名である。

 「まさか、渡邊せんぱいが来るなんてな、あんた他の2人程じゃないがイマイチ乗り気に見えなかったし」

 

 「昨日の話し合いで、君達に諭されてからは、僕も一応戦う事は決めていましたよ?」

 

 「でも、進んでって訳じゃないんだろ?」

「それは……まぁ、はい。出来れば侵略者の方達には穏便にお帰り願いたいですね」

ーそれと翼沙で良いですよと、焔也と会話する。

龍悟は眼を閉じ、壁に背中を預け佇むだけだ。果して、次に現れたのは戒将、観たところ表情に迷いは見られないようだ。

 「お前達、先に着ていたのか」

「……来たか」

「おはようございます。燕さん」

「おっす!先輩。結局あんたも戦うつうことで良いんだよな?」

 「ああ。私的な事ではあるがな……戦う事自体にもう迷いは無い」

 「これで後は、あのナンパ野郎か…」

こうして、4人は再び戦う道を選んだ。そこへダグベース内にブレイブ星人が現れる

 <良く戻って来てくれた、ダグオン。早速だが君達に見せたい物がある。>

着いてきてくれと言葉を残し、姿を消すブレイブ星人。彼が消えた跡には床に矢印の誘導が彼等を導くように出現する。

 「おっ…おい!?」

「仕方あるまい。この矢印に従って移動するぞ」

焔也が声を上げるも、時既に遅く。戒将が皆に指示し部屋をでる。

 暫くして辿り着いた先は、何やら車に新幹線、飛行機が並ぶ格納庫であった。

 「此処は…?」 「…見た所、格納庫のようだな…」

「でもよ?あるのは普通のパトカーとか新幹線にジェット機だけだぜ。ヒーローのメカにしちゃあ普通っていうか……」

 格納庫で見た物に対し、僅かに不満げに疑問を口にする焔也。しかし、翼沙があることに気付く。

 「これは…!?皆さん、よく視てください。パトカーは日本車種では無いようですし、新幹線は三両共既に現役引退済みの車両です。それにジェット機にしては妙な型です」

 

 翼沙のいう通り、パトカーは"ランチア・ストラトス"をベースにした"ファイヤーストラトス"。

 新幹線は其々、"300系のぞみ"ベースの"ターボライナー"。"E1系Maxやまびこ"ベース、"アーマーライナー"。"400系つばさ"ベース、"ウイングライナー"。各車後部車両が着く筈の部分には其々のダグオンの特徴があるパーツが付属している。

 そしてジェット機は"Fー15イーグル"をベースとした紫色の"シャドージェット"。翼沙の言う妙な型とは、シャドージェットの背面の竜を模した部分の事だろう。

これらを一望する彼等にブレイブ星人は告げる

<これは君達ダグオンの戦力となるライドビークル、ダグビークルだ>

 「ダグビークル?」

「確かに、特殊な部分は在るが…これが本当に我々の戦力となるのか?」

「見た目は地球の乗り物そのものですしね」

「……強いて言うならば、あのジェット機が最も戦闘向きではあるがな…」

 4人が各々に言う。

<心配は無用だ。ダグビークル達はどれも高い性能を誇る。そして、六角龍悟…君にはこれを渡そう>

 

 皆の反応を余所に、ブレイブ星人は淡々と告げ、龍悟に三枚のカードを渡す。

 「…これは?」

<ガードアニマル。君の手助けをする獣型のロボットだ。普段はカード状にして収納している>

渡されたカードには其々、狼、虎、鷹のイラストが描かれている。

 

「何い!?六角だけずるいぜ!俺にはなんか無いのか!?」

<無い。ガードアニマルはシャドーリュウ専用だ>

焔也の言葉に即答し切って棄てるブレイブ星人。

<君達ダグオンが更なる覚悟を決めた時、ダグビークルは起動し最大の切り札となるだろう>

 

「最大の切り札…」 「一体、どうなんだ?」 「少なくとも、僕達には想像もつかない事なんでしょう」 「……」

 その時、ダグベース内に警報が鳴り響く!

【緊急事態、緊急事態】

「何事だ!?」

<どうやら、新たな犯罪宇宙人が地球へ来たのだろう>

「何ですって!?」

 「まだ全員揃ってねえぞ……」

「…だが、放置は出来まい。行くぞ…!」

 

出撃するダグオン達、1人欠いた彼等の次なる戦いが始まるのだった。

 

 

 

 

 

 

━━京都 綾小路武芸学舎

          

 所替わって綾小路の校舎、鎧塚 申一郎は自らの日常を過ごしていた。

 「ヘイ、彼女!今からオレとお茶しな~い?」

「何あの人…」 「やだ…ナンパ…?」 「…汚らわしいわぁ~

 女子生徒から軽蔑の視線と声が向けらる。

「ソコのキミ達~!どうだい?オレが奢るからさぁ~!」

 

 (これだよ…、これがオレの"何時もの"なんだよ……。ヒーローとか柄じゃネェ。……だってのに、ナンでモヤモヤしてンだよ)

 女子生徒へ声を掛けながらも、心中は暗いモノが渦巻く。

そんな申一郎に声を掛ける女子生徒が1人。

 「また、ナンパしとるんどすか?鎧塚はん。」

「おっ!?……って、何だ仲野ちゃんか。もしかして、オレに付き合ってくれるとか?」

「ヤやわぁ~、冗談はそのお顔だけにしておくれやす。」

 「ヒデェ!?」

女子生徒の名は"仲野 順"特祭隊の前線で活躍する刀使の1人だ。

以前、お互い一年生の時に申一郎からのナンパを受けて以来、稀に話し合う関係になったとかならなかったとか。

 「こんなイケメン捕まえて、そのセリフはないぜ……」

鎧塚申一郎という男、確かに顔立ちは悪くないが如何せん美女、美少女とみたら口説き始める為、異性からの評判はあまりよろしくない。

 「そうなん?何や…何時もみたいな鬱陶しさが

感じられへんよ?」

「…!?…」

図星を言い当てら動揺する申一郎、そこに腕のダグコマンダーから敵襲来の報せが鳴る。

 「ッやべ!?」

「何なんそれ?すまーとうぉちにしては大きない?」

「何でもネェって、んじゃオレはこれで…!」

順の質問に誤魔化すように答えその場を離れる申一郎。

 

 

暫くして校舎の人気の無い場所に逃げ込む。

 「クソ!止まれってンだよ」

コマンダーを操作するも音は中々鳴り止まない。色々と四苦八苦している内に通信の受信機能がオンになる。そこから聴こえてきたのは、昨日会った4人の悲鳴。

 

 

 [ぐあああっ!][こいつ!?][接近戦は危険です!][…手強い]

 恐らく戦闘中であろうやり取りに驚く申一郎、彼はその場にしゃがみ耳を塞いで踞るも、コマンダーは腕に装着されている為、意味を成さない。

 その間にも通信越しの音は強くなる。

[せめて、遠距離からの攻撃と耐久力に特化した者が居れば…]

[んなこと言ったって!?]

[…無い物ねだりをしても使用がない]

[鎧塚さんが来るのを信じましょう。彼も心に熱いモノは持っているのだから]

[…フッ…]

[そうだな!何だかんだであの時あいつも戦ったんだもんな]

[であれば、今は自分達に出来ることをするより他に在るまい]

まるで、自分を責めるかの様に聴こえるやり取りに顔歪める申一郎、遂にコマンダーを外そうとする。

 しかし、直後聴こえた翼沙の言葉に手を止める。

そこから更に、3人の言葉が続く。

 

 「ダァあああ?!クソっ、何なんだよ!ドイツもコイツも、人の気ィなんざ知らねぇで勝手に好き放題言いやがって!!」

 (ああ、そうだよ。あの時オレはこの力なら守れるって思った。女の子ばかりが危ない目に遭うなんて間違ってる…そう思ったんだ!だから…)

 遂に覚悟を決め腹を括った申一郎、改めて今度は変身するために左腕のコマンダーに手を掛ける。

 

 

 「トライ!ダグオオオオン」

 

 「アァアアマアアアシィイインン!!」

 「ヘッ…待ってろよ、オレ様が今行くからな!」

 

アーマーシンはそう言い捨て駆け出す。

果して、シンは間に合うのか?

 

 

続く

 


 

 次回予告(BGM:輝け!ダグオン)

 やあ!管理者だよ♪

やっと覚悟を決めた申一郎君。遅い遅いよ!?

君もっと軽い奴なんだから、ウジウジ悩むなんてらしくないよ!

 さて、合流して5人になったダグオン達、シンの火力とパワーが敵を圧倒する。

 良いぞ!その調子!!ボクも頑張ってファイヤージャンボ組み立てるから、君達も頑張れ!

 

 次回、"刀使ノ指令ダグオン"

   集結。そして胎動へ。

 

次回も"トライダグオン"だよ!

 




如何でしたでしょうか?
 今回出て来た。とじみこのキャラは仲野順さん、とじともに登場する綾小路のサポートキャラですね。
 京言葉難しいです。間違っていたら申し訳ありません。

いよいよ、ダグオン序章編もクライマックス、胎動編が見えて来ました。
 う~ん、なるべくとじみこ本編は原作に沿いたいとは思いますが、ダグオン達が絡むので多少台詞等が本編とは違うモノになると思います。ご了承下さい。では

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。