こんばんわー!
明日、はたらく細胞と荒野のコトブキ飛行隊を劇場に観に行くので、その間の多少の手間で書き上げた幕間です。
うん。て言うか伊波ちゃんこと伊波栖羽、もしくはスーさんなんですがね、きっと彼女、あの夜は横須賀の方に居たんじゃないかなぁと思いましてね?
だってほら、あんな性格だし、写シの回数は異常だけど基本フツーの腕前(本人談)じゃないですか、ならきっと警護じゃなくて包囲の方かなぁって…ね?
てな訳で書きました。
基本、私は伊波栖羽の事は伊波ちゃん呼びですが敢えて名前で呼ぶならスーさんです。スーちゃんではなくスーさんです。(謎の拘り)
横須賀港、舞草に提供された米潜水艦、強襲コンテナを打ち出し、語るべき事を語った事により機動隊に補導される折神朱音、以下リチャード・フリードマン、恩田累。
3人は手錠を掛けられ無抵抗で連れられていく、周囲を囲むのは警察と刀使の特別祭祀機動隊、高津雪那の命により主に鎌府の刀使が中心となり警戒を続ける。
その中には嘗て沖縄で起きたS装備──より正確には珠鋼搭載型試験用S装備の騒乱に関わった刀使、伊波栖羽も居た。
──うぅ…なんだか嫌な予感がひしひしするよぉ…。早く終わってくれないかなぁ……私は普通の女子高生活を送りたいのになぁ……やだなぁ、どうしてこんなお仕事しなきゃなんないんだろう
と頭の中でぐるぐるとネガティブな事を思っては、しかし口にする訳にもいかずただ緊張に支配された様相で事の経緯を見守っている。
と、其処へ海上に何かが落下したような大きな音が鳴り水飛沫を飛ばし荒波を起てる。
「な、何?!何んですか?!」
港湾近海で起きた突然の異変に栖羽だけでなく周りの刀使達や警官達も騒然とする。
朱音の手引きで集められた報道陣など次々起こる事に大騒ぎしている程だ。
果たして、幾度かの大きな荒波の後、水面が落ち着きを取り戻した時にそれは起きた。
「ひゃぁぁぁあああああ!!化物ぉぉおおおお!」
突如として挙がる悲鳴。
皆が其処へ視線を向ければ報道陣の女性の1人に荒魂とは違う、蟻の姿形をした人間大の生物が今にも襲い掛からんとしているではないか。
「下がって!」
そこに1人の機動隊員が手に持ったポリカーボネート製の盾でその化物へ体当たりを敢行する。
そうして、化物を抑えつつ女性を逃がす時間を稼ぐ、彼女が安全圏まで退避したのを見届ければ、彼は有らん限りの力で蟻の化物を押し返そうと力を込める。しかし多少前後するものの押しきれない。
「くっ……それなら…!」
手振りで待機していた他の隊員に指示を伝えると、その意図を理解した隊員が小銃を化物の躰へ向ける。
ダダンッ!と短い発砲音の後、盾に掛かっていた重量が失くなる。
暫しの沈黙、蟻の化物は立ったまま動かない。
「やった……のか…?」
盾で化物を抑え込んでいた隊員…神奈川県警機動隊の小隊長の1人、得賀健介は思わずそう口にする。
だが、その期待を裏切るかのように化物は再び動き出した。
「ギィィィィィィイイイイイイヒィャァガギァァアアアアアアア!!」
その体躯の何処から出るのか不快感を感じさせる大きな叫び声を挙げる化物。
その声が呼び水となったのか港の水面から次々現れる目の前の個体と同じ蟻の化物達。
その光景に怯えつつもカメラを回していたりリポートを続けていたメディアの報道陣が恐怖で我先に慌てて逃げ始める。
封鎖を行う制服警官の制止も虚しく混乱を極める横須賀港。
特祭隊も多少の混乱の中何とか対応しようと動き出す。
(ひっ?!何なんですかアレ!?荒魂じゃないよね?!機動隊の人の銃も効いてないし、恐いよぉぉぉ)
その混沌とした混乱の中で伊波栖羽はへっぴり腰で立ち竦んでいた。
そんな彼女の心中等関係無い蟻の化物──ザゴス星人は仲間と共に暴れ回る。
「くっ?!撃て!撃て!」
機動隊の一部が隊列を組み、上陸したザゴス星人達に発砲するも精々歩みが止まるだけで大した効果は無い。
鎌府の刀使達も対応に回っているが何分未知の相手故攻めあぐね、受け身にならざる負えない。
「我々の攻撃では拉致が明かないか……。各員!展開している刀使と連係しながら対処せよ!我々が足を止め彼女達にトドメを任せるんだ!」
健介が膠着しかける状況を打破する為、新たに小隊へ指示を下す。
それに倣って他の機動隊も刀使を中心としたフォーメーションに切り替わる。
現在展開している刀使と機動隊を併せて果たして100人に届くかと言う程度の数。
対して横須賀港に現れたザゴス星人は大気圏の熱で死亡した外壁寄りの数十匹を除けば、900強。しかも銃は一切効果が無いと来れば苦しい戦いだろう。
人間側が孤立すれば直ちに殺られてしまう。
未だ報道陣の混乱冷めやらぬ中でマトモに動ける警官は少なく、此方が数十人で一匹に対処せねばならぬ状況に対しザゴス星人側は刀使の御刀にさえ注意すれば良いのだから、これが如何に絶望的な事かお分かりだろうか?
そんなカオスを栖羽は涙目で出来る限り逃げながら、なるべく強そうな班に守って貰おうと遁走する。が、どういう訳か数匹のザゴス星人が追ってくるではないか!
「いゃぁぁあああああ!!?何でついてくるんですかぁぁあああ!??!」
彼女は涙と悲鳴を漏らしながら必死に逃げる。
その間に手隙になった人員が他の援護に回れるのだから全体的には助かるのだが、逃げる方は堪ったモノではない。
「誰かぁぁああ!助けてくださぁぁぁぁい!!誰かぁあ!北斗さぁぁぁああん!!」
遂には此処には居ない、嘗て共に任務に就いた平城の刀使に助けを乞う始末。
頑張れ伊波栖羽!君が逃げ切れば多少は他に余裕が出来る。
そう遠く無い内に逆転の1手も来る!だから頑張れ!頑張るのだ伊波栖羽!
「無理ですぅぅぅうううう!!」
頑張れ伊波ちゃん!リュウが助けに現れるまで逃げ切るんだ!!
序でにとじともからサポートメンバーの得賀健介第二小隊長も登場。
ああいう裏方って良いですよね!ま、本人達は刀使以上に命懸けになる事もありますけど…。
こういう話の機会でも無ければ出せない人なんで……おめでとうございます隊長!伊波ちゃん同様頑張って生き残って下さいね!
そう言えばDARPAのリディアさんも重症を負ったとは言え生きてるんですよねぇ…作中の時間軸だと何してるか不明ですけど……これは使えるかなぁ………(頭の中の異星人が悪巧みする音)