こんばんはからのおやすみなさい。
胎動編、完!
そして夏アニメもそろそろ殆どが終わりの様相。
さぁて融合合体編の敵の設定含め色々詰めなくては……。
今、一つの戦いに終止符が打たれようとしている。
しかし、これは終りでは無い。
新たな始まりなのだ。
「紫!久しぶり!」
倒された筈の可奈美、それが再び起き上がった時にはまるで別人の様な雰囲気と振る舞いをする。
タギツヒメは……いや、折神紫はその瞳を揺らがせ狼狽える。しかし、声を発するはタギツヒメ。
いや、最早どちらが主導権を握っていようと関係無い。
1つの肉体に収まる2つの思考は既に乱れているのだから。
「美奈都……有り得ない!」
目の前の現象を否定する為に御刀を振るう
「すげぇ……あいつ…マジで母ちゃんが乗り移ってるのか…?」
『……(確かにあの御刀は特殊だが…だからと言って、死者が生者に憑依するだと?)…ありえるのか……?』
エンは只々圧倒される。そしてライアンは千鳥から感じる力を訝しげつつも、可奈美に美奈都が本当に憑依しているのかと疑問に思う。
「有り得ない…」
「有り得るよ!」
彼等がそうしている間、
「可奈美…」
姫和は豹変した可奈美を何とも如何し難い顔で見る。
可奈美はただ此方をチラリと見て微笑むだけだ。
先程までは6対1…2対1でも圧倒的だった戦いが、今や互角…いや、可奈美が押している。
『呆けているな、ファイヤーエン。好機だぞ』
ライアンが今、この瞬間がチャンスだと進言する。
「っ!…ああ!」
そんな彼等のやり取りに気付かず、狼狽えたまま可奈美を排除せんと異形の腕を伸ばす紫。
「有り得ない…藤原美奈都は死んでいる!」
しかし、排除せんと伸ばされた腕は容易く切り裂かれ力を失う。
「らしいね」
可奈美は変わらず楽しそうに微笑む。
「こんな未来…ある筈が…」
「でもこうして戦ってる!」
紫の攻撃、豪腕の一撃すらあっさり躱す、どれ程その腕を振るっても当たらない。当てられない。
可奈美が跳ぶ、逆側からはエンも駆けて来る。
可奈美が紫と異形を繋ぐ管となった長髪を切り裂きエンが異形の眼にライオソードを突き刺す。
その勢いのまま可奈美は糸が切れたように倒れ気を失う。
「可奈美!」
──ギッ…ギャァァァアア!!
異形の断末魔が空間に響き木霊する。
消え行く四腕を携えた異形の影、それは朱色の光の柱となって天に昇る。
夜空が妖しく染まる。その様はまるで世界最後の審判の日。
完全に消えるまで僅かという様相、怪物の瞳がノロの涙を流し、刺し突かれ潰れた瞳はノロの輝きが消え失せている。
姫和にとって、これが宿願を果たす絶好の機会。
構え、そして未練を断ち切るように眠る可奈美へと柔らかく微笑み、紫電の軌跡を残して紫へと突き進む。
閃光となった姫和の一太刀が紫の胴へ深々と突き刺さる。
「これが私の…一つの太刀だ!」
「見事だ…」
姫和の覚悟、それをタギツヒメではなく折神紫が讃える。
「このまま…私と共に隠世の彼方へ!」
2人を包む空間が加速していく。それは迅移の段階が深くなっていく事の証、このまま行けば姫和は折神紫の肉体に憑依しているタギツヒメと共に永遠の中へ消える事となる。
「駄目!姫和ちゃん!!」
だが…そんな彼女を止める者が居た。眠っていた筈の可奈美だ。
彼女は迅移の光に自身も飛び込み、姫和へ抱き着き彼女を紫から引き剥がす。
引き剥がされた紫の肉体からナニかが飛び出た。
(タギツヒメが…?)
迅移により移った次元の世界で十条姫和が視た最後の光景であった。
朱色の柱からまた光が立ち昇る。暗闇に亀裂を成した様な空が変わる。
青白い光のうねりが三方へ別たれる。
光に照らされるのは死闘を演じた少女と戦士達。
舞衣、沙耶香、エレン、薫とねねはタギツヒメから受けたダメージから眠り、横須賀からは異星人に対応しつつも皆がその光の柱を目にする。
その夜、この国に何処かへ消え行く3本の蛇の様な柱と幾千の流星が瞬いた。
その星を見上げる者は、周りのザゴス星人を片付けたカイと並び立つ寿々花であったり、自失する雪那の側に立つ夜見であったり、最後の最後まで見ている事しか出来なかった真希であったり、囮として警護を惹き付け、果ては異星人とまで戦った調査隊であったりと様々だ。
そして、仲間達が倒れる場所から少し離れた場所で倒れる2つの影。
それは可奈美と姫和……宿命を背負った二羽の鳥。
倒れ伏す2人の手は互いに存在を確かにあるものとするかのように握られていた。
「終わったのか……」
『……私は行く。最早この場に留まる理由は無い』
光の柱を見上げるエンに手に握られているライアンが声を挙げる。
「あ…おい!」
エンの制止など気にも止めず宙を飛ぶライアン。彼はエンへと向き直り……
『貴様達はこれで終わったと本当に思っているのか?だとすれば滑稽だな』
「それはどう言…「それはどう言う意味だ?」…カイ!」
訝しむエンの声に被せて怜悧な声が掛かる。
その正体はターボカイ。
襲い来るザゴス星人を倒し、光の軌跡を目撃しこの場へ推参したのだろう。
『私が果たすべき義理は果たした。ダグオンお前達との約束は守ろう。私が倒すべき敵は既にこの地から去った、故にこれ以上は暴れる必要も無い』
「約束……エンと戦った時の事か…」
「なっ?!仲間になってくれねぇのかよ!」
カイがライアンの発言に思案する傍らでエンはライアンが仲間にならない事へ批難めいた声を出す。
『私が貴様と交わしたのはこれ以上この場で暴れるなと言うモノと祭殿へ共に行き見届ける、或いはもしもの時の助力だ。それらを果たした今、共に行動する謂れは無い。仲間になれとは言われていないのでな』
「ぐっ……確かに言ってねぇけど…」
「これに関しては貴様の確認ミスだなエン。しかし、だからと言って我々は貴殿を簡単に見逃す訳にはいかん」
『……心配せずとも、今後人間を巻き込むような戦いはしない。最も、ノロを受け入れ荒魂へ堕ちると言うのであれば…話は別だが…』
今回の戦いで思う所あったかライアンは出逢った当初よりは物分り良く語る。
少なくとも今後犠牲を許容する戦いはしないと公約した。
「それは願っても無い事だが…」
そこへ2人に通信が入る。ヨクからだ。
『カイ、聞こえますか?!』
「ヨクか、どうした?」
『近辺の星人の掃討が終わったので横須賀港へリュウの援護へシンと共に向かいます。カイ、君はどうしますか?』
「そうだな、エンと共にこの場に残り、念の為他に星人の残党が居ないか警戒しよう。済まないがリュウの元へは2人で向かってくれ」
『分かりました。任せて下さい』
通信を終えれば既にライアンは彼方へ去りエンが失敗したと言わんばかりに頭を抱えていた。
「何時までも過ぎた事を後悔するな情けない。それよりも彼女達は大丈夫なのか?」
貯蔵庫であった場所で倒れ伏す少女達を見てカイが懸念を口にする。
「あ?ああ…そーだな、一応怪我とか確認しないとな」
とぼとぼと歩きながら、やや落ち込み気味に返事を返すエン。
「ふむ……どうやら何かライアンとの件以外であったようだが………。長船と鎌府の娘は問題無いか、其方はどうだ?」
エンが何か別の事で落ち込んでいる事を察しながらもエレン、薫、沙耶香の状態を確認するカイ、残る3人の様子を確認するエンに声を掛ける。
「柳瀬は……多少汚れてるが大丈夫だ。衛藤と平城の十条は……ああ、あいつらも大丈夫そうだな、手ぇ繋いで眠ってやがる」
舞衣の状態を確認し可奈美と姫和の元へ近付くと彼女達の顔色を見て特に問題が無い事を察する。
「そうか、ならば後は残党の捜索だな」
「ああ…俺は奥の方から見てみる」
「ならば俺は来た方向から遡って確認しよう」
貯蔵庫から祭殿へと続く道へと向かうエンとは逆に真希のいる方向へ進むカイ、依然としてへたれている真希を見ると僅かに息を吐き、声を掛ける。
「何時までへたり込んでいる気だ獅童真希」
カイのその声にまるでつつかれた様に反応しゆっくりと顔を上げカイを見る真希、その顔はまるで見捨てられた子供とも全てを諦めた世捨人とも取れる表情だ。
「ボクは……ボク達のしていた事は……」
「見ていられんな……此花も厄介な相手に懸想した者だ……致し方無し」
真希の情けない姿にカイはある決意を固める。
「獅童真希、受け取れ!」
彼が彼女へ何かを投げる。飛んできた物体を咄嗟に受け取る真希、受け取った物を確認する。
「これ…は……」
「本来ならば、貴様に渡すつもりなどなかったが…何時までもそんな姿を曝している?真実に押し潰されたか?ならば刀使を辞めるか?成る程それも手だろう。しかし、貴様はまだ償っていない。それは餞別にくれてやる…だから這ってでも足掻き進め!それが罪を抱え生きると言う事だ」
言いたい事は言ったとばかりに真希の前から去るカイ。
真希は渡された物……結芽の御刀に括り着けられていたイチゴ猫大福ストラップを眺め涙を一筋流した。
一方、貯蔵庫から続く道へ向かうエン独り思い耽る。
(結局、俺はあの時大した事は出来なかった……衛藤があいつのお袋さんに憑依されて出来た隙を突けたに過ぎない………あぁ、もっと強くなりてぇなぁ…あいつらが危なくならないくらい強く、強くなりてぇ…!)
悔しさに握り拳を固めるエン。
と、そこで彼はあるモノを見付ける。
━━横須賀港
「……ちっ、流石に数だけは多い。俺だけでは手が回らんか……」
ザゴス星人を相手に優勢に立ち回るも、人数差に歯噛みするシャドーリュウ。
いくら自分が相手を蹴散らせても他はそうはいかない、流石に厳しいかと思っていたその時、空から聞き慣れたエンジン音がする。
「……来たか…!」
「oh…あれは何だ!?」
空に浮かぶ二両のライナービークルにフリードマンが思わず声を挙げる。
「空を飛ぶ新幹線……あれもダグオンと呼ばれる方達の物なのですね」
報告とネットに流出している情報から解っていた事ではあるが、直接見るとやはり驚きが声に出る朱音、累も口を開けて絶句している。
周囲に目を向ければ刀使も機動隊員もザゴス星人でさえ上を見ている。
そして空を飛ぶ新幹線の片方から緑色の戦士が落ちてくる。
「待たせたナァ!鎌府のカワイコチャン達!ヒーローダグオン見参ダゼ!」
遅れてもう片方からも白い戦士が飛んでくる。
「はいはい、先ずは敵を片付けますよ」
シンの発言に少々呆れ気味にツッコミながら近くのザゴス星人を蹴り飛ばすヨク。
こうして合流した3人の手により、程無くザゴス星人達は倒される。
また逃げ散らばっていたメディアの幾つかがその際、空を飛ぶライナービークルとダグオンの戦いをカメラに納めた事も此処に記述しよう。
この日、世界は確かに変わった。
荒魂の事だけならば日本の問題であった。
しかし、異星人の存在が今回の事件、そして鳥取の動画を改めて精査された事により明るみになる事となった。
否応なく世界は知ったのだ。眉唾染みた存在が実在した事を……。
世界は知ったのだ。そんな侵略者に抗う戦士の存在を……。
しかしそれはまだほんの一角でしか無い。
何故ならばタギツヒメは確かに討たれはしたが、それは多くのノロが流出する一大事となる。
それにより刀剣類管理局は常に荒魂事件に駆け回る事となり日々をてんやわんやと追われる事になるのだ。
そして何よりタギツヒメは完全に討たれ消えた訳では無いのだ。
そしてエデンの囚人達。
彼等もまたあの3本の光の柱が瞬いた時、幾人かを流星に紛らせて地球へと落とした。
先行し降りた鋼鉄の傭兵に合流したと目されるザゴス星人の群れを併せれば驚異は更に増すだろう。
ダグオン達もまた新たな戦いが待っているのだ。
最早、胎動の時は過ぎた。次に開けるのは波瀾の幕だ。
その時世界は再び変わるのか…或いは……
「カイ!来てくれ!」
『どうしたエン?』
「来れば分かる!とにかく早く来てくれ!」
『…良かろう。すぐ向かう』
「エン、一体何があった?」
「いや、それがさ、見付けちまったんだよ!」
「何?……!まさか、生きているのか?!」
「そうみたいだ……一応調べたが荒魂の反応は無かったぜ」
「まさか生きていたとはな……」
「どうするよ?」
「出血は見られないが……念の為、ダグベースで治療を受けさせよう」
「連れてくのか?大丈夫かよ?」
「既に結芽はダグベースのメディカルルームへ移送済みだ。それに彼女をこのまま死なせる訳にもいかん」
「そりゃあそうだが……」
「我々の正体は彼女へは黙っておく。治療が済んだら……そうだな、ある程度話をした後、舞草にでも引き渡す」
「…分かった、確かに見捨てるってのは忍びないしな…」
2人の戦士が足元に倒れる女性を前に語り合う。
彼女は数刻前まで死闘を演じた相手。
「折神……紫……」
続く
次回予告(BGM:transformation verファイヤーエン)
あの日以降、俺達の日常は様変りした…っても忙しそうなのは刀使が殆どで俺は補習するハメに……トホホ。
とか言ってたらもしかして俺も鎌倉へ大手を振って行けるかもって?!って何でお前らがここにっ?!!?
オイオイ、オレ達だってちゃんと学校の許可取って来てんダゼ?
ええ、と言うより僕の招集に申一郎が便乗しただけですけど……。
次回、"刀使ノ指令ダグオン"
変わる世界。変わらぬ物。
次回も"トライ…《トライダグオン!》っあぁ?!てめぇ!!
と言う訳で次回からは新章となります。
それに併せ予告BGMも変更。
ダグオン達がトライダグオンから融合合体、更に其々合体する際のBGMを参照して頂けるとお分かりになるかと。
多分新章上げる前に、パイロット版の作品を投稿する可能性もあるかもしれませんが、一応、とじダグがメインで躓いたらシンデレラ百剣、偶にプロットが纏まればリリスカくらいの予定です。
ではまた次回