刀使ノ指令ダグオン   作:ダグライダー

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 こんばんは、ダグライダーです。
 はい、管理者アルファが帰って参りました。本編中ではとある理由から実体化してます。
 ま、しょうがないね。
 後、作中時間は一応一週間経ってるので結芽ちゃんそこそこ馴染んでます。


第六十二話 激走!ダグターボ!!

 前回の"刀使ノ指令ダグオン"

 鎌倉特別危険廃棄物漏出問題に沸く日本。

 ダグオンの若者達は続々と鎌倉の本部へ揃いつつある。

 そこへ忍び寄る新たなる脅威とは……?

 


 

 ━━京都府・綾小路武芸学舎学生寮

 

 親元から離れ暮らす為の生徒へと用意されている整端な建物の一室に1人の青年が荷を纏めていた。

 「これで最後か…」

 彼の周りを見渡せば四方を段ボールが置かれている。

 断っておけば、これは彼がこの学生寮で暮らす為に荷物を持って来たのでは無いと言わせて貰おう。

 寧ろ逆、彼はこれからとある場所へ引っ越しの為に荷造りをしているのだ。

 そこへ開きっぱなしの扉をノックする音が響く。

 其方へ目を向ければ、立って居たのは、この綾小路武芸学舎の学長…相楽結月であった。

 「…燕戒将、少し良いだろうか」

 訊ねておきながら半ば既に話す事が決まっていると言わんばかりの語調だ。

 「構いません。立ち話も何です、大したおもてなしは出来ませんが、上がって下さい。」

 「ああ…済まない」

 既にすっかり片付いたであろうフローリングの床に、仕分けした段ボールの中から座布団を2つ取り出し、寮備え付けの冷蔵庫から、ペットボトルお茶を取り出して紙コップに注ぐ。

 「こんな粗末な物しかご用意出来ませんが…宜しければどうぞ……」

 そう言って座布団の上に正座で座る戒将。結月はそんな彼に内心面を喰らってしまう。

 

 「………その…済まなかった」

暫しの沈黙の後、深々と頭を下げる結月。

 「……済まなかった…とは?」

 敢えてその言葉の真意を訊ねる戒将に結月は頭を下げたまま肝を冷やす。意を決し、頭を上げ戒将と視線を遇わせれば、目の前の青年は酷く落ち着き払っている様に見える。

 「…結芽の……君の妹の事だ。私は…「それでしたら謝罪は不要です」…!?だが!!」

 戒将が被せる様に発した言葉に結月は酷く狼狽える。

 「貴女は私があの娘の見舞いに来ない時、花瓶の花を替えて下さいました。貴女が何を以て妹に対しノロを注入したのかは私には推し量れない事です。ですが、既に終わってしまった以上、最早関係の無い事です」

 丁寧な口調から出る言葉は結月にとって拒絶の様に思えてならない。

 しかし戒将自身は多少の憤慨はあるものの彼女にこれ以上責任を負わせる気は無かった。

 

 あの夜の日、ダグオンとして戦場に居た戒将からすれば結芽は救う事が出来た。

 とは言え、彼女は公的には死亡扱いとなった為、夜が明け、本部へと燕戒将として戻れば、項垂れた此花寿々花から経緯を聞かされ、更に結月から結芽が入院していた当時、紫と共に見舞いに来てノロを渡した事を教えられる。

 無論、戒将自身は既に知っていた事なので取り乱す事も無く淡々と受け入れたのだが、それが却って心配されたのだろう。

 あれ以降結月は何とも複雑そうな表情をしていた。

 

 「考え直す気はないだろうか?」

 「考え直すとは…、この寮を出る事をですか?」

 「そうだ。聞くところによれば、本部に出向していた際の賃貸も解約したそうじゃないか、何か他に行く宛はあるのか?……それともご実家と折り合いが……」

 戒将が寮を出て一体何処で生活するのか気に掛ける結月、実家の話題を口にした瞬間、失敗したと思い到る。

 「生憎、あの家に戻るつもりは毛頭ありません。…何、ご心配には及びません。外に良い物件を見付けたので其方から通うように切り替えるだけです。流石に中退は厳しいですからね」

 苦笑をしながら語る戒将に結月はこれ以上何かを言えなくなる。

 「………そうか、分かった。何かあれば言ってくれ、出来る限り力になろう」

 結局、言いかけた口を閉ざし当り障りの無い言葉に切り替え席を起つ。

 「相楽学長…貴女の罪の意識で私に接しているのでしたら止めて頂きたい。それよりも貴女は学長として正しい有り様で居てください。それだけが今の私の……いえ俺の本心です」

 背を向け立ち去る結月に戒将は最後に素の口調で語り掛けた。

 「…本当に済まない……」

 最後に顔を俯かせつつももう一度謝罪を口にし去る結月を青年は見送った。

 

 

 

 

 「…さて、思わぬ来客もあったが、こんなものか」

あれから改めて備え付けの家具以外全てを片付け、扉を閉め部屋のカーテンを閉める戒将。

 「さて、荷物の転送に何往復かかるか……それに学長にああ言った手前、形だけとは言え何処かに部屋を借りねばな。まぁ、先ずは相談だ」

 その言葉と共にダグコマンダーの転送システムを起動する戒将、数個分の荷物と共にダグベースに転送された。

 

 

 

 

 

 

 

 ━━静岡県某所・ダグベース

 

 ダグオン達の本拠地であるダグベース、そのメインオーダールームに絶叫が響き渡る。

 い"っだだだだだだっ!!

 苦痛に喘ぎ叫ぶ声の正体は少年…或いは少女だろうか?

 「叫び声が出るならまだイケるイケる♪」

そしてそんな彼ないし彼女へその原因となる拷問、石畳を膝に乗せる所業を行っているのは管理者ゼータ。

 「無理無理無理無理無理!!もうむりだからぁ!!」

 泣き喚く性別不詳をニコニコ笑顔で虐めるゼータ、そこへ可愛らしい闖入者が現れる。

 「おねーさん達またやってるー。それ楽しいの?」

 

 「メッチ楽しいよ♪」 「全っ然!楽しくない!!」

 新たな少女の問いにゼータと性別不詳は揃って声を挙げる。

 「何でボクがこんな目にぃぃいいい!?!」

 「え~?だって当然ぢゃん?ライアンだっけ?それを落としても自分で回収しないでダグメンズに頼むわ、いつの間にか雲隠れするわ、その間大変な事起きてたのに…自分は別世界でバカンスしてたんでしょ?そりゃこーなるし」

 「バカンスはしてないから!?最近見付けた新しい世界をその世界の中から観測してただけだからぁ!!?」

 「それをバカンスって言わずして何になるし?」

と言いながら新たな石畳を積むゼータ。そう、このダグベースで現在進行形で拷問を受ける性別不詳の正体は実体化した本来のこの世界の担当者であるアルファである。

 ゼータは彼?を虐めながら指を立て、顎に当てる。

 「何だっけ?その世界に自分と同じ名前の可愛い娘が居て?その上その娘が仕えてる娘も面白いから夢中になってたんだっけ?うん、やっぱ容赦無し♪」

 「ぐぅぅあぅううう!!」

 まぁ、詰まる所アルファの自業自得である。

 さて、そんな2人のやり取りを早々に無視してオーダールームのメインテーブルに突っ伏す少女、彼女の名は燕結芽。

 そう、あの夜死亡したとされる親衛隊第四席の燕結芽である。

 「ひまー。お兄ちゃん早くこないかなぁ」

 簡素な部屋着を身に纏い突っ伏しながら足をプラプラさせ、彼女はこの世で唯1人の兄を待つ。

 〈燕結芽、燕戒将がたった今いくつかの荷物と共に到着した〉

 そんな彼女を労ってかブレイブ星人が転送による戒将の到着を告げる。

 「ほんとっ?!」

その言葉にガバッという音と共に起き上がる結芽。上機嫌に椅子から飛び降りる。

 「ありがと、ブレイブ星人のおじさん!迎えに行ってくるね!」

 そうしてそのテンションのまま、オーダールームを飛び出し、転送システムがある部屋まで駆けていくのであった。

 「結芽っち、元気になったね」

 ゼータが感慨深く洩らす。

 「そりゃね、ボクが作った薬の理論は完璧さ!だからこれどかして?」

 「アルアルそう言うの()()は得意だもんねぇ。後ダメー」

 アルファが瞬間どや顔を晒すも即座にへたれる。

 そう、結芽はあの事件の後ダグベース内のメディカルルームで病巣除去を受け、ノロや病の影響が残っていないか等の精密検査を受けた後、直ぐに目覚めた。

 最初は驚き警戒心を顕にしていたが戒将が顔を覗かせた事により落ち着き、彼から事情を説明され、彼女のなりにかいつまんで理解、この1週間をダグベースで過ごして居たのだ。

 そして1週間をダグベース内で過ごす内に戒将以外のダグオンメンバーとは思いの外早く打ち解け、現在に至る。

 とは言え彼女は表向き死んでいるので、大手を振って外出が出来ず多少はストレスが溜まっているようだ。

 

 転送装置のある大部屋、そこに軽やかな駆け足の音と共に小さな影が躍り出る。

 「おかえりー!お兄ちゃん!」

 「むっ…!結芽、あまり走るな転ぶかもしれん」

 「平気だし、もう大分ここにも慣れたもん」

 兄妹が和気藹々と会話を交わす。そう、戒将が結月を責めぬ理由は結芽本人が生きているからと言う至極単純な理由なのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ━━地球・月軌道間

 

 火星の方向から地球に向け走る光が一条。

 それはまるで弾道ミサイルのような黒い円柱体、ソレが目指す先は日本。

 ソレは衛星の警戒網にすら探知されず密やかに地球へ降り立った。

 

 

 

 

 

 

 ━━神奈川県・刀剣類管理局本部

 

 「いやぁ、真庭学長って結構話分かるんだなぁ~!」

 本部の食堂でテーブルを囲う3人の青年、1人は美濃関の制服を着崩し、2人は綾小路の制服を着用している。

 「オマケに美人だ。高津ガクチョーも美人っちゃ美人だったが如何せんヒスっぽいのが瑕だったからナァ」

 「まぁ、極一部真庭本部長代理に反感…と言うか文句を述べている刀使も居るみたいですけどね」

 テーブルを囲う3人…焔也、申一郎、翼沙が各々会話弾ませる。

 食堂のテレビでは中東の紛争地域で起きた謎の兵器失踪事件が取り沙汰されている

 「あー、あのちっこいのな…。まぁ、知らない仲じゃないみたいだし、多分大丈夫じゃね?……はぁん?紛争地域は不思議な事もあったモンだ」

 「その割りにダイブ隈が酷いことになってたがな、マァ、他の刀使も程度の差はあれ似たり寄ったりダケドナ。…国外のニュースなんか特に今気にするコトでもネェだろ?」

 そんな彼等のダグコマンダーからアラートが鳴り響く。

 「何だ?!」 「敵…でしょうか…?」 「どうせまたザゴス星人だろ?」

 この1週間で散発的に現れるザゴス星人のお陰で些か緊張感に欠ける申一郎だが翼沙は気になるのか立ち上がると、

 「兎も角ダグベースに行きましょう。確認だけでも無駄では無い筈です」

 「だな!」

 「しゃーねぇナ、付き合ってやるよ」

こうして3人は人目の付かぬ場所へ移動した後、ダグベースへと転送された。

 

 

 

 

 そしてダグベース。

 ダグコマンダーからのアラートで本部から焔也、申一郎、翼沙が、平城からは龍悟と編入試験がちょうど終了した撃鉄がオーダールームに揃った。

 「皆、来たか」

 「よぉ戒将、久しぶり。ついでに結芽ちゃん、元気か?」

 焔也が戒将に向け気さくに手を挙げ挨拶を交わす。

 「ふむ、確かに久しい相手も何人か居るが挨拶は後だ。今はこれを見てくれ」

 揃ったメンバーを見渡しながら戒将は中央モニターのコンソールを操作し映像を映し出す。

 「こりゃあ…何だ?黒い新幹線?」

 「現行のどの車両とも違いますね…これは……」

 「ってか…ナンダァ?あの車両に引っ付いてるの」

 焔也達3人は各々黒い新幹線の映像に対して個々にリアクションを表す。

 「……敵か。しかし、何をしている?」

 「何かしら運んどるんじゃろうか?」

 平城の2人は敵の目的を推察する。

 「兎に角、放置する訳にもいかん。出動するぞ」

 「「「「応!!」」」」

 「りょーかい!」 「御チビはワシと留守番じゃ」

 5人の出撃に結芽が混ざろうとして撃鉄に首根っこを掴まれ止められた。

 「えーっ!?」

 「いや、当然じゃろう?ワシは変身出来ん見習い。お前さんは今は御刀すら持たん非力なオナゴじゃ我慢せい」

 アルファが失踪中の間の責苦を受けているので一向に自分のダグコマンダーを貰えないのである。

 それ故に待機に甘んじる撃鉄。何せ襲い来る異星人が全て人間大とは限らない、彼もそこまで無鉄砲では無いと言う事だろう。恐らく…。

 「結芽…大人しく此処で待っていなさい。何、直ぐに解決するさ、終わったら少しだけ外に出よう。まぁ、基地周辺だけだが…」

 「うん…」

戒将に言いくるめられて渋々引き下がる結芽、因みに首根っこは掴まれたままである。

 「しゃっ!行くぜぇ!」

 焔也が音頭を取り仕切る。

 

 

「「「「「トライダグオン!」」」」」

 

 

 

 

 

 ━━東海道線・東京~名古屋間

 

 漆黒の新幹線が誰に憚らぬこと無く爆走する。

 その後ろ本来客車に当たる部位には貨物積載用車両となっており、そこには異形の鳥らしき生物が鎮座している。

 「オホホホホ!良いですぞ!良いですぞ!中々の速さではありませぬか?(ジェット)ーエース殿!このまま暴れ回りましょうぞ!」

 『オード星人、あまり余の上で騒ぐな。貴殿の漫遊の為に降りた訳では無いのだぞ?』

 「オホホ、分かっております、分かっておりますとも。麿の美しい羽根をばら蒔きこの星の猿に恐怖を与えるのが仕事でこじゃろう?」

 『あわよくば、この騒ぎに誘き寄せられたダグオンの始末も…である』

 「オホッ!お任せ下されぇ!」

 漆黒の新幹線に乗るオード星人と呼ばれる異星人はダチョウに近い形の宇宙人であり、その羽根は孔雀の様に鮮やかだが、特大の爆発物でもあるのだ。

 対してJーエースと呼ばれた新幹線の方もまたエデンの囚人である。

 そんな彼等が地球の叡知の結晶の上で爆走していると空から、そして彼等の走る後ろから、それを追う存在が現れる。

 「待ちやがれ!犯罪宇宙人どもぉぉおお!」

 Jーエースを追うファイヤーストラトスからファイヤーエンが吼える。

 『「来た…!」』

2人?の異星人がニヤリと嗤う。

 「まさか、奴等が新幹線の路線を利用するとはな」

 「ってか何ダァありゃ?ダチョウ…いや、孔雀?七面鳥か?」

 「現在の時速350㎞……E5系列よりやや速い速度でしょうか」

 「……後ろの異星人の羽根をばら蒔いているのか…?」

上空の四機、ターボライナー、アーマーライナー、ウイングライナー、シャドージェットの中で4人が口々に言う。

 「どちらにせよ、このまま奴等を走らせる訳にはいかん。シン前に出られるか?我々で挟み込みブレーキを掛けるぞ!」

 「アイヨ!」

アーマーライナーが漆黒の新幹線の前に躍り出ようと降下しながら路線に着陸しようとする。

 『馬鹿め!させぬわ!』

すると漆黒の新幹線が走る線路が本来の線路からはみ出しアーマーライナーを躱す。

 「アァッ?!ウッソだろ?!?」

 「喰らうでおじゃる!」

そして躱されたアーマーライナーにオード星人の羽根が見舞われた。

 「ぐぁぁああ!?」

 「「「「シンッ?!」」」」

 爆発に呑み込まれるアーマーライナー、黒煙が晴れる。

 「っ…てぇ…。オレは大丈夫だ!けど今のは結構効いた、このまま直ぐに追うのは無理だ」

 「解った。ビークルの調子が回復次第追ってこい」

 「そうさせて貰うゼ」

アーマーライナーを置き去りに異星人達を追う4人、ヨクは追跡しながらも思案する。

 「あの羽根、一見無秩序に放っているようなのにさっきはアーマーライナーに集中していた?…つまりある程度コントロール出来る……それに先程からばら蒔いている羽根は爆発に少し間があった……」

 等とぶつぶつ呟き思考していると突然リュウが声を荒げる。

 「…ヨク避けろっ!?!」

 「えっ?」

ウイングライナーの真横から飛来する鋼の拳、リュウからの忠告で操縦桿を切るもその大質量がウイングライナーに激突する。

 「ッァア?!」

 「「「ヨク!」」」

不時着するウイングライナー。そして飛来した拳は自らが来た道を辿るように元の場所へ収まる。

 「直撃。撃墜!得点取得!」

見ればそこには西洋鎧に現代兵器を足したような巨大な甲冑がいるではないか。

 『む?ほう、東監獄の長か。ボスからは独断専行したと聞かされていたが……どうやらこの星の兵器を己に取込み巨大化したようだ』

 Jーエースが甲冑を見やりその姿の変化を察する。

 「残敵、随時撃墜!」

 「ホホホ、何やら知りませぬが…ここはあの者を利用させて貰いましょうぞ。ささ、お早く逃げますぞ」

 そうして加速し逃亡する2人改め2体の異星人。

 「待て!」

 「閉鎖、妨害」

 恐らく笑っているのだろう上ずった声でファイヤーストラトスの行く手を阻む甲冑。

 「くそっ!?邪魔すんな!」

 その状況にリュウがカイへ提案をする。

 「……カイ、先に行って連中を追え。あの異星人は俺とエンで何とかする……。加速した連中に追い付けるのはお前のターボライナーだけだ、それに奴の狙いはどうやら俺たちのようだからな…囮が必要だろう…?」

 「リュウ……了解した。無理はするなよ」

 リュウからの提案の意図を汲み、余計な問答をせず逃げた敵を追うカイ。

 後に残るは不時着したウイングライナーを含む3機。

 「敵一体逃亡…。現敵勢力排除、後、追跡…撃破!」

 甲冑が目の前の貴様等を倒した後に奴をじっくり料理してやると嘯く。

 「そうそう簡単にやられるかよ!融合合体!」

 ファイヤーストラトスからエンが飛び出る。

 変型し巨人となったファイヤーストラトスへ蜃気楼の様に重なるエン。

 

 『ダグ…ファイヤァァアアアッ!!』

 

 ダグファイヤーとなり甲冑と相対する。

 

 『お前が俺達を倒すんじゃねぇ、俺達がお前を倒してやるぜ!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方、逃げた敵を追うターボカイ。ターボライナーを路線へ降ろし地上から加速して追跡する。

 『むむ?余に追い縋るか!オード星人!』

 「分かっているでおじゃる!」

 貨物積載用の車両の上から羽根を飛ばすオード星人。

 数多の爆弾となる羽根の猛攻がターボライナーを襲う。

 

 

 ━━ダグベース・メインオーダールーム

 

 彼等の様子をオーダールームから見守る者達は手に汗を握る。

 「い、いかん!このままではターボライナーもやられてしまうぞ?!」

 撃鉄が焦り叫ぶ。

 「ちょっと~、不味いんじゃないの?」

 「うぅ…戒将君がやられたら日本全国が更地になっちゃうぅぅう…痛たたた!」

 石畳を重ねつつアルファへ目を配せるゼータ、アルファは痛みに悶えているせいか最悪の事態を想像する。

 しかし、此処に1人だけカイの勝利を疑わない者がいる。

 「負けないよ」

 「ぬぅ?!」 「はぇ?」 「あぅう?」

 結芽だ。

 「あんな相手にお兄ちゃんが負けるはず無いじゃん!」

 それは兄の勝利を何一つ疑っていない強さの言葉であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「くっ…ぬぅぅ!まだ…まだぁぁあああああっ!!」

 唸り吼えるカイ。その時彼の魂に風が吹く。

 

 

 

「融合合体!」

 

 ターボライナーの操縦席からカイが左手を腰に宛てた状態で競り上がる。

 分離するターボパック。乗り込み口から座席前面、操縦席に掛かる車輪の部分が上に開き折り畳まれた腕が展開する。

 車両後部が伸び腿に当たる部位が露出する。

 そのまま腰ごと曲がり、シルエットが人型へと変化する。

 背中へ分離したターボパックが装着される。

 カイが立つ後ろから頭部が展開されそこへ融ける様にカイが消える。

 人型へと変型したターボライナーの頭部、その瞳に光が灯る。

 

 

 

『ダグッタァァァボッ!』

 

 

 『「な…なにぃぃい?!!」』

 仕留めたと思った相手が無事な上に変型したとあって彼等は驚愕に声を挙げる。

 『さぁ、此処からが本番だ!覚悟しろ異星人共っ!』

 ダグターボが右手を突きだしJーエースとオード星人に指を指す。

 『ちっ、想定外だぞこれは…』

 「ぐぬぬう!生意気でおじゃる!クエェェェエエエエッ!!」

 怪鳥音を挙げオード星人が羽根を無尽に飛ばす。

 『もうその攻撃は見切った!タァァァボダァァッシュッ!』

 バックパックのターボパックが分離、ボード状のパーツが出てそこへダグターボが乗る。

 スケート或いはサーフィンの要領で羽根が爆発するよりも速く躱し肉薄する。

 『馬鹿なっ?!余に追い縋るどころか並走…いや追い抜く勢いだとぉぉおお?!!』

 『喰らえぇぇ!』

 ダグターボの拳が唸る。ターボピストンナックル…強力な拳の一撃がJーエースを巻き込みオード星人を打ち抜く。

 「ギョェェエエエ!?!?」

 『ま、不味いこのままでは…!』

 悲鳴を挙げるオード星人、焦るJーエース。しかしダグターボは容赦しない!

 『止めだ!』

 その言葉と共にターボパックが背部へ再び装着、ダグターボは右手を装着されたパックの方へ伸ばし、

 

 『ブレイクホィィィイルッ!!』

 

 巨大なホイールタイヤをまるでボーリングの様に投げつける。

 『くっ……こうなれば致し方無し。悪く思うなオード星人、貴様が余に乗っかっていたのが運の尽きだ…チェンジ!

 「何をっ?!…!!」

 Jーエースが何事かを呟くとダグターボからは影となる形で漆黒の新幹線右側が展開し腕を出す、その腕でオード星人を盾の様にして自身とブレイクホイールの間へ自然に滑り込ませる。

 そして──

 

 「オノレェェェエエエエ!?良くも謀ったなぁぁあああ!!

 

 その断末魔と共にブレイクホイールに羽根を粉砕され、身体を切り裂かれ爆発するオード星人。

 Jーエースは再び新幹線状態に戻ると大爆発に紛れ空へと昇っていった。

 

 

 

 『妙な手応えだったが……一応は倒せた様だな』

 敵の消滅を見届けるダグターボ、そこへダグベースから喜びはしゃぐ声が届く。

 『すごい!すごい!すごい!お兄ちゃんすっごく格好良かった!!!』

 ビークルと一体化した頭に妹の声が木霊す。

 次いで撃鉄が関心したように訊ねる。

 『ダグターボ、お主、一体どうしてあの爆発の中無事だったんじゃ?アーマーライナーさえ止まったと言うのに』

 『そう難しい事では無い。奴の羽根が爆発する方法が二種類あったというだけの事だ』

 そうして彼は説明を始める。

 オード星人の羽根は目標に着弾して初めて爆発する状態とオード星人自身がタイミングを見計らって着火爆発させる手段を取っていた。

 漆黒の新幹線から街中にばら蒔いていた時は前者、自分達に追われていた時は後者を使用していたのだ。

 そしてJーエースの上から羽根を飛ばしていたのでターボライナーが加速して追跡して来た際にタイミングを見誤り直撃はしなかった。

 逆に爆風で更に加速し、更にはカイの想いに呼応し融合合体に至ったのである。

 『へぇー』『成る程のぅ』

 結芽はあまり興味無いのか適当に、撃鉄はそれとなく理解したのか深く頷いている。

 『話は此処までだ。俺は皆の援護に向かう』

 再びターボパックをボード状に変型させるダグターボ。

 そして彼は仲間の元へ向かう。

 

 此処に新たなる鋼の巨人──蒼き疾風の戦士が誕生し、ダグオン達はまた1つ頼もしくなったのであった。

 

続く

 


 

 次回予告(BGM:transformation ver融合合体ダグターボ)

 

 オード星人、そして漆黒の新幹線との戦いを演じている間、仲間達は謎の甲冑を前に奮闘していた。

 何とか敵を退けるダグファイヤー達、その後我々は折神紫と会談を設ける。

 

 私は……生きているのか……。

 

 我々は貴女と話がしたい。

 

 そしてエデン監獄では異星人達の暗躍が加速する。

 

 次回"刀使ノ指令ダグオン"

 会合、ダグオンと折神紫。

 

 次回も…「早くこの石どかしてぇぇええ!」……少し話をしないか…?

 「あぇ?あっ!?痛い痛い痛い痛い痛いめり込む指が頭にめり込むぅぅぅうう!?!」

 




 この後、アルファは戒将のアイアンクローの痛みに悶えながら再びゼータから拷問を受けます。
 詳しい経緯は幕間作って書こうかなぁ?
 ともあれ次回でお会いしましょう。
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