刀使ノ指令ダグオン   作:ダグライダー

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 こんばんは。DAY2です。
 え?もう6日だろうって?リアルとはリンクしてませんからセーフ!(謎理論)
 
 この回でアイドル全員集まりませんでした!申し訳ございません!
 改めて本当に多いなっ!シンデレラのアイドル!



エイプリルフールDAY2 プロジェクトとじドル【目指せアイドルマスター!】

 前回の"とじドル"!!

 

 ちょっと!?タイトルからして変わってるんだけど?!

 

 えー、だってアイドルと言ったらプロデューサーたる俺ちゃんの領分じゃない?

 ならタイトル乗っ取っても良いよネ♪

 

 うわーーーん!!?

 


 

 ━━ダグベース・メインオーダールーム

 

 「要するに、皆さんが居た世界ではデジタルモンスター…通称デジモンと言う生物が電脳空間を通じて存在する異世界に生息しており、(わたくし)達人類が造り出した電子機器に影響を与え事件を起こす事が茶飯事な世界なのですね?」

 

 「茶飯事って言っても10年くらい前までで、ここ最近はまちまちって感じだけどね~」

 

 「ッスね、プロデューサーが選らばれし子供やってた頃はそもそも存在すら不確かだとか囁かれてたらしいでスし、アタシもアイドルするまで都市伝説の類いだと思ってましたから」

 

 オーダールームにて此花寿々花が今回の異変の関係者である女性達──荒木比奈、姫川友紀から事情等を聴取している。

 因みに鎧塚申一郎、衛藤雷火両名は早坂美玲の証言を元にSNSを利用し他のアイドル達を捜索しに出掛けた。

 勿論、万が一の為にと各々刀使の協力者と共に行動している。

 

 「よろしいかしら、その選らばれし子供と言うのは…何ですの?」

 

 「簡単に言うとデジタルワールド…デジモン達が居る世界ッスね。それに選ばれて喚ばれた子供の事を指すッス。まぁ実在が発覚するまではアニメの設定だとばかり思ってたんッスけど」

 

 「その口振りでは、一部の層にはデジモンは認知されていたのですね。しかも大衆娯楽として」

 

 「あっ、麦茶おかわりしていい?」

 

 「「……………」」

 友紀の空気を読まない発言にその場の空気が白けた。

 

 「麦茶でも良いんだ……」

 給仕服(メイド)に身を包んだアルファが、盆におかわりを載せながら呟く。

 

 「置いてないならしょうがないしね!」

 カラカラ笑う友紀に比奈も含め呆れた顔になるオーダールームの面々。

 

 その後も比奈や時折混ざる友紀、乃々・輝子から詳細を聞き取る寿々花。

 余談であるが美玲は"お花を摘みに"行って不在である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ━━秋田県某所

 

 「いやぁ…ありがとう暁。それと鳥喰さんも」

 

 「私からも、ありがとうございます!多分私達だけじゃ迷っちゃったとおもうし」

 

 「や、別に良いけどよ……アタシらも暇してたし」

 

 「はい!優稀もリハビリ復帰後の本格参加に気合い充分です!」

 

 高速の県道を走るバイク2台、片方は白と黄色のツートンカラーのサイドカー。

 もう片方はバリバリに改造を施した紅のビッグスクーター。

 サイドカーを駆るのは衛藤雷火。フルフェイスヘルメットに内蔵されたインカムで並走するビッグスクーターの主に礼を述べる。

 そしてサイドカーのサイド部分に座るのは彼の妹にして最強の刀使の呼び声も高い衛藤可奈美。

 ゴーグル付属のハーフタイプヘルメットを被り、バイク乗り達とチャンネルを合わせたインカム越しに兄に倣って礼の言葉を伝える。

 

 そのビッグスクーターに跨がりマフラーを蒸かせるのは美濃関の制服の上からスカジャンを羽織った紅いメッシュのスケバン刀使(但しスカートは短い)稲河暁。

 始めての長距離感の同乗者有りの移動、高速状況での互いに会話を交えるに辺りスクリュークォーターズ型ヘルメットにインカムを搭載している。可奈美同様ゴーグルで眼だけ覆っている。

 そんな暁の後ろのシートに座っているのは、綾小路の制服を纏う刀使鳥喰優稀。

 彼女のヘルメットはオープンフェイス型で顔面保護はシールドなので、会話の聞取りは良好だ。

 

 さて、何故この面子なのかと言えば、アイドル捜索にあたって人手を欲した雷火が先ず声を掛けたのが妹の可奈美。

 会話の途中出向く場所が秋田だと小耳に挟んだ暁が、詳細を訊ねるとアイドルに関して説明を受け、雷火から出身なら詳しいのではないか?と土地勘を買われ渋々同行したのである。が、そもそも雷火の困った性質を知る暁は外面は渋面を作りながらも、何が起こるか解らない兄妹を放って置くつもり等無く、話を聞いた時点から同行するつもりであった。

 優稀は人手が必要となると聞いて、暁が呼び寄せた。

 

 程無くして都心部に入り、並走から追走へと切り替える。前が暁達で後ろが雷火達だ。

 

 「で、そのアイドル連中はどんな特徴なのか聞いてんのか?」

 

 「姫川さんや荒木さん曰く、着の身着のままで気付いたらいたらしいから、人が集まる場所に行けば手掛かりはあるんじゃないかな?」

 

 双方バイクを駐輪し駅近辺から捜索に入る。

 

 「それじゃあ、僕と可奈美が北側で暁達が南側を──」

 

 「待て待て待て!アホかお前?!何の為の案内役だよ!!?お前ら兄妹だけで、見ず知らずの土地を回るとか迷うに決まってんだろ!!

 いや迷うね!特に雷火!お前は目を離した瞬間には絶対に迷う!!雷火はアタシと!優稀!お前は可奈美の方に着いててやれ!」

 

 「了解です!」

 

 雷火がチーム分けを提案するのだが、そこに暁が待ったを掛けて編成にメスを入れる。

 と、言う訳で改めて雷火と暁、可奈美と優稀で適当に当たりを付けて探索する事2時間少し──

 

 

 

 

 

 

 

「あのぅお客さん、試飲なんでぇあんまり飲まんでいただげるど……(隣の丸いのなんだぁ?)」

 

「姉ちゃん、良い飲みっぷりだんなぁ!!(何かの撮影かね?)」

 

 「ふふ、十和田ワインに天鷺ワイン…どちらも美味ね」

 

 「甘露、甘露。人の造る酒も善き哉善き哉」

 

 「あぁあぁ、し、志乃さん!?バ、バッカスモンさ早ぐしまってくだせえ……!?」

 

 「沙織殿ー、そう慌てずともよろしいかとー。りあらいずの出力容量を絞って顕現しているのですから、バッカスモンもせいぜい着ぐるみ程度にしか見られぬかとー。万が一の時はわたくしが何とかいたしましょうー」

 

 「芳乃ちゃん心強いです!でも流石に志乃さんは止めないと沙織ちゃんだけじゃ大変だし、わたしも応援するから頑張って!ね?卯月ちゃん!」

 

 「はい!島村卯月、頑張って志乃さんを止めたいと思います!」

 

 

 「拝啓、輝次。兄は今己の無力へ直面しています」

 

 見付けた──可奈美と優稀チームが一際目立つ集団盛りを見付け近寄ると、ワインの街頭試飲にて妙齢の美女が謎の赤紫色のマスコットの様な奇妙な生物と共に秋田県産のワインを飲み続けている。

 そんな美女を止めんと眼鏡にそばかす、お下げの少女が慌てふためき、そのすぐ側で着物姿の小柄な少女が間延びした口調で諭す。

 その更に傍らにチア姿の茶髪のポニーテール少女と、これと言った秀でた特徴は無いが美少女である事は間違い無い緩いウェーブがかかった黒髪長髪の少女(強いて言うなら臀部の形が良い)が何処か抜けた返しをしている。

 更に視線を移すと肩口まで切り揃えたセミロングの髪の青年が、何かに打ちひしがれた様に沈んでいるではないか。

 

 「おやー?」

 

 「芳乃ちゃん?」

 

 着物の少女──芳乃と呼ばれた少女が可奈美達を見て、僅かに思案した後、トテトテと此方に駆け寄って来るのだ。

 

 「えっ?えっ?優稀達の方に来てませんか?!」

 

 「もしかしなくてもあの娘達がそうなのかな?ちょっと雷兄に連絡するから優稀ちゃん、話を訊いてみて?」

 戸惑う優稀を尻目に管理局の端末から兄、雷火に電話を掛ける。

 

 「ほー?」

 

 「あ、あの優稀達にご用でしょうか?!」

 

 「そなた達はー、神巫女でしてー?」

 

 「ふぇっ?!」

 

 「うむー、間違いありませんー。そなた達に着いてゆけばあの者や他のアイドル達とも合流出来ませりー」

 喋り方が剰りにものんびりとしているにも関わらず、優稀が返事を返す間も無く話がトントン拍子に進んでゆく。

 

 「可奈美ー!鳥喰さーん!……ってもしかしてその人達が?」

 間も無くして雷火、暁が合流する。

 その間、戸惑う優稀に代わり、打ちひしがれて沈んでいた青年こと、神影吼弌から可奈美が仔細を聴いていた。

 

 「コイツらが例のアイドルか……アイドルって何だよ……」

 あまりにバラエティーに富んだ彼女達に暁の中のアイドル像がゲシュタルト崩壊してゆく。

 その後、この人数をどう移動するかと言う話しになり、雷火の案で人気の無い場に移動し、サンダーシャトルにアイドル達を乗せ、自分達はバイクで地上を走りダグベースに帰還するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ━━徳島県某所

 

 「サテ…と、シータのオッサン曰く四国は徳島県のドッカに反応が有ったらしいが…」

 

 「そこは地道に探索するしかないでしょうね」

 

 「人探しだけなら戦闘とか無い…よね?それにしてもアイドル…アイドルかぁ…ごくり…」

 

 「伊南さん、その考えは浅慮です。目標発見時、荒魂が出現していたと、撃鉄さんも仰っていました。油断は禁物かと」

 

 「そうね。皐月さんの言う通りだと思うわ。決め付けは良くないわよ栖羽」

 

 アーマーライナーより降り立った申一郎、播つぐみ、伊南栖羽、皐月夜見、朝比奈北斗。

 彼、彼女達が捜索の為に徳島県の地に立つ。

 一先ず当然の帰結ではあるが、アーマーライナーを目立たぬ場所に下ろした申一郎は、地方としては手狭な面積であろうとも、この広大な土地を都市部とは言え探さねばならないのかとげんなりしていると……。

 

 「何と衝撃的な光景、事務所にてはーちゃんと駄弁っていたかと思えば光に包まれ生誕の地に凱旋、しかして我が家と愛しのゆーこちゃんが何処にも居ない。はて…?これは新手の神隠しでしょうか」

 

 「なー!微妙に韻を踏んで実は余裕あったりするの!?」

 

 「お、落ち着いて颯ちゃん…。きっと凪ちゃんはみんなを元気づけるつもり……なのよね?」

 

 「ムムム、これは私史上最大のミステリーです!この安斎都、必ずやこの謎を解き明かして見せましょう!」

 

 「都ちゃんは元気ね。ウイッチモン!空からはどんな感じ?」

 

 「それなんだけどレナ、後ろの方にシンカンセンみたいなのが降りて来たわ。そこから今ニンゲンが何人か出て来たけど…」

 

 「もしや…先程の突風がそれでしょうか?」

 

 距離にしておおよそ数kmの地点にて姦しい集団を発見、会話の詳細こそ聞き取れなかったが1人、空の方を眺めていた女性が申一郎達の方へ振り返る。

 

 「アァらら、楽勝で見付かっちゃったヨ。幸先良いのか…それとも悪いコトの前ブリなんかね」

 

 「恐いこと言わないでくださいよぉ~?!見付かったんなら帰りましょう?早く!」

 

 「伊南さんとても必死ですね~、私的にはデジモンなる生命体に興味があるんですが」

 

 「まずは彼女達に接触して、此方の素性や目的を話しましょう」

 

 「そうですね。朝比奈さんの言う通り、我々が彼女達に害のある存在では無い事を伝えましょう」

 申一郎が妙な事を口走るものだから、栖羽がとても怯えながら帰ろうと促す。

 つぐみはつぐみでデジモンに興味津々でハプニングを期待している節があり、まともに話を進めているのは北斗と夜見だけである。

 途もあれ、ジッとしている訳にも往かぬが故なるべく怪しまれぬ様に、まず手を大きく振り、敵意が無いとジェスチャーをしながら歩み寄る。

 

 

 「ええっと…貴方達は……?」

 

 「~♪スゲェ美人!それが二人にカワイコチャンも三人も」

 

 「申一郎氏は相変わらずですね。ある意味呼吹さん並に単純と言うか」

 

 「わ、わっ?!もしかしてナンパ!?しかも既にまわりにイッパイ綺麗な女の子がいる!?」

 

 「わお、いけませんはーちゃん。こんな四又クソ野郎を直視しては教育に悪いぞ」

 近付いた申一郎達を見て、未亡人の様な雰囲気を持つ大人しそうな女性が恐る恐る訊ね、双子と思われる少女達が散々な事を言ってくる。

 

 「安心して下さい。彼と我々はそんな関係ではありません。私達は異世界の日本から迷い込んだ貴女方を保護しに来ました」

 

 (良かったぁ…怖そうな人は居ないみたい。まあ、そうだよね、アイドルだもんね!ぁあ可愛いなぁ!私としてはちょっとマイナーな地下アイドルグループが推せるんだけど…この娘達もイイなぁ)

 

 (この娘はまた妙な事を考えてるわね…)

 栖羽の顔を見て北斗は内心呆れる。

 

 「ふ~む……嘘は付いていない……気がします!しかし異世界!!?ここは異世界の日本だったとは…」

 

 「そう…ですね、悪い人では無いように思えます」

 

 「まぁ…手掛かりとか無いのも事実だものね。ウィッチモン!順兵君を呼んで戻って来て!」

 

 「分かったわ!」

 この中で最もスタイルの良い女性が上空の影に声を掛けこの場に居ない誰かを呼び戻す事を指示する。

 程無くして恰幅の良い人好きする糸目の青年が合流、空からは深紅の魔女が箒に跨がったまま降り、スタイルの良い女性のスマホに消えてゆく。

 こうして申一郎のグループもアイドル達の保護を完遂した。

 一応の戦闘が無かった事に栖羽は心底ホッとしていたが、彼女はそもそも捜索がこの一回だけで済む訳で無い事を正しく理解していなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 ──それから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ━━ダグベース

 

 「う~んみんなが見付けて来たアイドル、この時点でもかなりの人数いるねぇ」

 オーダールームメインコンソールを臨む椅子に座るアルファが溢す。

 共に居るのはダグオンの頭脳、燕戒将と渡邊翼沙。刀使側からは折神紫に此花寿々花、皐月夜見、木寅ミルヤ、柳瀬舞衣、古波蔵エレンそして日高見麻琴。

 

 「先ず俺が紫様、結芽とダグベース近域で保護したのが神崎蘭子、龍崎薫、白菊ほたる、高垣楓、輿水幸子、佐藤心。翼沙達がヘレン、前川みく、高峯のあ、アナスタシア、堀裕子、喜多日菜子、双葉杏。

 龍悟達が、神谷奈緒、棟方愛海、浅利七海、ナターリア、栗原ネネ、桐生つかさ。

 焔也達が…水本ゆかり、喜多見柚、大石泉、諸星きらり、西園寺琴歌、八神マキノ、片桐早苗。そして雷火班が柊志乃、奥山沙織、依田芳乃、若林智香、島村卯月。申一郎班が久川凪、颯の双子の姉妹、三船美優、安斎都、兵藤レナ、古澤頼子の三十七人。此処に撃鉄達が既に保護した五人を含め計四十二人」

 

 「それに加え、御堂輝次、神影吼弌、風羅伊墨、雷門順兵、氷野友暉と言う…アイドル達の世界とはまた違った世界から来たと言う五人、合わせても四十七人なので約四分の一です」

 

 「違う世界同士にも関わらずデジモンを知る…か、その少年達は彼女達のプロデューサーとされる人物の関係者なのか?」

 

 戒将と翼沙が列挙した名前、戒将がアイドルを、翼沙がアイドル達と共に現れた別の異世界人と思わしき少年少女の名を挙げる。

 そして寿々花からの報告含め、デジモンという特異生命体の存在に思考を向ける。

 

 「はい、荒木さんから聞いた話しによれば彼等は彼女達のプロデューサーが何処からかアルバイトとして連れて来たそうですわ。それでこの五人以外に後一人いるとか」

 

 「現在、デジモンに関しては播つぐみさんがここの研究施設を借用しデータを収集中です。高津学長にも手伝って貰って」

 寿々花、夜見が現在判明、または進行中の情報を報告する。

 

 「そうか。アイドル達の方はどうだ?」

 

 「ダグベースに集まったアイドル達はカナミン、ミホミホ、薫…あ、キュートな方と被っちゃいマスね。私達の世界の薫にユイ、ユウキ、キヨカがサロンの方で応対してマース」

 

 「あちらは成人の方も何人かいますから目立った混乱は無いみたいです」

 紫が保護アイドルの現状を確認すればエレン、舞衣が報告を述べる。

 

 「と、なると…残るは未発見未保護のアイドルの行方と件のプロデューサーとやらに別世界人最後の一人、灯拓哉なる少年の確保か」

 

 「未発見の方々については私達日高見の方で私の裁量で動かせる人員を使って捜索しています。私がお役に立てるのはこの程度ですが……」

 

 「肝心のプロデューサー、及び灯拓哉氏ですが管理局本部の方に残って貰っている糸見沙耶香、鈴本葉菜両名の方からもそれらしき人物を見付けたとの報はありません」

 未だ見付からぬ面々への対応、対策に麻琴が舞草に属す自身の派閥を動かして捜索に協力してくれると言う報告だ。

 

 一方ミルヤからは管理局内で荒魂征伐に出た部隊からの報告の中に見慣れぬ人物が居たかどうかと言う物を沙耶香、葉菜を通じて受け取っているが、それらしき人物の情報は無く、現在も手掛かりは無いと告げる。

 

 其処へ結芽が入室して来る。

 

 「ライアンとキッドくんにも頼んだけど…大丈夫かな?」

 

 「直に接触するのは無理でも奴等のセンサーがらしき人物を捉えれば此方に報告が来るだろう。まぁ…彼等が五体満足でいる事を願うが」

 結芽からライアン、ガンキッドの出撃を聞き戒将が答える。

 

 「俺もターボライナーで再び出る」

 

 「私もついてくー!」

 

 「(わたくし)もお供しますわ。紫様、此方の方は後はお任せしても?」

 

 「ああ、管理局本部からの情報、日高見派からの情報も含め私が此処で監督しよう。夜見、ブレイブ星人、手伝ってくれるか」

 

 「承知致しました」

 

 <無論だ。罪無き者達が見ず知らずの地で果てる事となるなど見るに忍びない>

 

 紫からの命令に近い確認ににむべも無く返事を返す夜見と呼ばれ応えるブレイブ星人。

 

 「あれ?ボクは?」

 

 「貴方は何か役に立ちそうな装置を作ってみては?」

 やる事を割り振られなかったアルファにミルヤが雑に提案をする。

 

 さてダグオン達は班構成を微妙に変え、再び捜索に乗り出す。

 中には捜索中、征伐混成部隊からの報告で発見されたアイドル達を回収に行く事も──

 

 

 

 

 

 

 

 

 ━━島根

 

 「失礼を承知でお願いがあります!珠美に、珠美にその刀を触らせては貰えないでしょうか!!」

 

 「珠ちゃんってば必死になってるわね~」

 

 「いやしかし、珠実殿の気持ちあやめも分かりまする。わたくしも目の前に本物の忍者が現れたらと思うと……」

 

 「う~ん?このカード……運命の輪。もうすぐアタシ達にとっての救世主が現れる……って感じの意味かしら?」

 

 「なんだいハッキリしないね朋は」

 

 「でもそこが朋ちゃんの良いとこじゃない?」

 

 「うふふ、きっと大丈夫ですよ。そんな予感がするんです」

 

 「茄子さんがそう言うにゃらっ!……うぅ噛んじゃった…」

 

 「大丈夫ちゃ?」

 島根に現れた荒魂を征伐を終えた混成部隊綿貫隊の前には年齢も疎らな女性達が居た。

 より詳細に表記するならば、和美率いる部隊が到着する前、このアイドル達と共に居た謎の生命体が大型の荒魂2体と取り巻きの小型数体を討伐していたのだが……。

 

 『珠美、相手が戸惑っているぞ』

 件の生命体ことデジモン──脇山珠美のパートナー、ガイオウモンが呆れた声を出す。

 

 『ふむ…皆、一応に腕に覚えがあると見た』

 同じく浜口あやめのパートナー、レイヴモンも見定める様に刀使達を睥睨する。

 この2体のパートナーである珠美、あやめの端末はスマホではなくプロデューサーが持っていた物をダウングレードしたデジヴァイス。

 

 『姫は落ち着いておりますな』

 因みに共にいる丹羽仁美も同様の端末を所持している。その端末より声を出すのは彼女のパートナーデジモン、オウリュウモンである。

 彼だけは戦闘には参加を見送られているのは朋からの待ったが入ったからだ。

 

 「落ち着いて、我々は刀剣類管理局特別祭祀機動隊の者です。まずは話を聞かせて下さい。(何者かは分からないけど…恐らくダグオンに関係しているのでしょう)──それと申し訳ありませんが御刀は不用意に一般の方には触れさせられませんので悪しからず」

 和美も流石にこれまでの経験からおおよそ何に絡んでいるのか察しているのか、事を荒立てぬ様に穏やかな口調を心懸けて諭す。

 

「隊長!来ました!」

 

 隊員の1人が和美にそう声を掛ける。何が来たのか?最早問い返すまでもない。

 ダグオンが到着したのだろう、見ればファイヤージャンボとシャドージェットが上空に飛んでいるではないか。

 しかし目の前の謎の怪生命体と行動を共にする少女達は違う様で、特に垂直にホバリングして降下するファイヤージャンボを目撃し、大いに驚いていた。

 

 

 

 また、同時刻別の場所にて──

 

 

 

 ━━鹿児島某所

 

 「これで終わり…。ふぅ、仕方無いけれど…中々本を読む時間が作れないなぁ」

 美濃関学院の刀使福田佐和乃が隊員が討ち洩らした荒魂を1匹追って討伐せしめた際の事。

 直ぐに仲間の元へ戻ろうと踵を返した時洩らした一言、それに合わせる様に木陰がガサリと揺れる。

 

 「ちょっとあずきちゃん!?」

 「いやだって、ちょっと柚ちゃんに声似てたし…!」

 「分かります。雰囲気なんか全然違うんですけど、似てますよね」

 「あ、穂乃香ちゃんもそう思うんだ。柚ちゃんだけ見つからなかったから、私もちょっと勘違いしちゃったし」

 「皆さん無事でしょうか!!?」

 「わっかんないけど無事しょっ!」

 

 すると最初は何者かの小声での会話が聴こえていたのだが、最後の方でやたらハッキリと聴こえるボリュームで女性の声が佐和乃の耳に届く。

 

 「誰かいるのっ!!?」

 

 鞘に手を掛け、"何時でも抜ける"状態を隠れている側にも判る様に見せる。

 すると声がした場所から慌てた様に飛び出す複数の影。

 

 「わっ!?待った待った!!アタシ達怪しいモンじゃないから待ったーーー!!」

 

 「そうです!私たちは怪しいものではありません!!」

 

 いの一番に佐和乃に待ったを掛けたのは後半に聴こえて来た声のデカい2人の物。

 片や染めているのか金髪のベリーショートにピアスといったパンクな女性。片や小柄だが元気溌剌を体現した様な茶髪の長髪を大きくポニーテールにしている少女。

 普段から声が大きいのか、より大声を発すると耳が痛くなる程声が轟く。

 途もあれ、悪意の有る相手では無いと判断した佐和乃は御刀から手を離し、自らももう敵意は無いと身振りを見せる。

 

 「あの、大丈夫ですから…隠れている方達も出て来て下さい」

 元々人当りの良い人格者である佐和乃は、相手が下手人で無いと分かれば話易い少女である。

 当人の穏やかな人相、他方評価でも評判の良いそれなりのコミュニケーション能力を以てすれば彼女等の目的、状況を聞き出す事も容易く、何よりほぼ数名の者と歳が近いのも事が上手く運ぶ事となった。

 

 さて、では先ず、佐和乃が遭遇したもうた者達だが、先の声が大きい2人──仙崎恵磨、日野茜を筆頭に佐和乃の声にやたら反応を示す桃井あずき、綾瀬穂乃香、工藤忍。

 そして最年長者、川島瑞樹と言った顔ぶれ。特に瑞樹は年長者だけあって状況には困惑こそすれど他の面々の様に逸っておらず、会話もスムーズに進んだ。

 結果、異世界絡みの案件ならば一先ずは部隊の仲間と合流し、管理局に一報を入れ、可奈美や美炎等ダグオンと親しい繋がりがある者に接触を頼めば良いのだ。

 そうして、仲間の元へ合流すれば何時の間にやら同じ部隊に配置された鎌府の玉城真梨江がどうやら佐和乃と同じ様な状況で彼女が遭遇した異世界の少女達と同郷の少女達を連れていたらしく、かなりの大所帯となった。

 真梨江の方は幼年の者が多く、真梨江に手を牽かれていた佐々木千枝を筆頭に、古賀小春、的場梨沙、橘ありす、赤城みりあ、乙倉悠貴、メアリー・コクラン、柳瀬美由紀、日下部若葉、そして保護者と目される西川保奈美の計10名。

 何やら若葉が自分は成人済みと抗議を上げ、保奈美もまだ未成年と主張しているがとてもそうは見えない。

 兎に角詳細を聞くにせよ、管理局へ連絡を取る為に拠点としている宿に戻らなくてはと隊内合意の元異世界から来たアイドルを引き連れ宿屋に歩く事小一時間ちょっと、なんと空からターボライナー、アーマーライナーが此方目掛け飛んで来るではないか!

 生憎と宿の土地がそこまで広く無かったが為に多少離れた場所に着陸したが、佐和乃達としては有難いかな、アイドル達を彼等に任せる事にする。

 ダグオンの方からも彼等と直接共闘する機会の多い刀使を共に連れている上、茜達や千枝達と同じアイドルの女性、または少女を同行させている為、これまたスムーズに話は進み、引き渡す事と相成った。

 真梨江だけが融通が通らず管理局にも報告すべきと主張したが、ダグオン側に同行している寿々花が既に大まかな概要は通達済みと説いた所、不承不承を僅に滲ませつつも引き下がる。

 さてあれ、最後に出逢って僅か数十分程度とは言え、懐かれた千枝との別れを真梨江が惜しみつつもアイドル達はダグベースへと向かう。

 

 そうして幾人かのアイドルは荒魂征伐に派遣された特祭隊刀使の混成部隊と接触があり、多少戦闘に巻き込まれた者も居るものの、パートナーデジモンの力も有って難を逃れダグオンに保護、または管理局経由にて合流という流を繰返し割合にして残り10数名となったのであった。

 

 

 

 

 

 ━━ウイングライナー客車内

 

 「これで残すは後何人だったか……」

 ウイングライナーに同乗した姫和が疲れた声色で呟く。

 「今現在、ダグベースに向かってる報告のあった保護してきたアイドルさん、アイドルちゃん達は並木芽衣子さん!福山舞ちゃん!太田優さん!十時愛梨さん!高橋礼子さん!多田李衣菜ちゃん!月宮雅ちゃん!原田美世さん!篠原礼さん!藤原肇ちゃん!上田鈴帆ちゃん!北川真尋ちゃん!小室千奈美さん!ケイトさん!榊原里美ちゃん!緒方智絵里ちゃん!上条春菜ちゃん、相川千夏さん!伊集院惠さん!愛野渚さん!五十嵐響子ちゃん!大沼くるみちゃん!斉藤洋子さん!城ヶ崎美嘉ちゃん!莉嘉ちゃん!関裕美ちゃん!長富蓮実ちゃん!いやぁ多いですねぇ~!しかもみんなひじょーに麗しい美女、美少女ばかり!申一郎先輩じゃないですけど、滅茶苦茶テンション上がりまくりです!」

 同じく同乗している由依の言葉である。なる程、彼女が言う通り、とんでもない人数だ。

 「由依はいつも通り」

 先頃保護したアイドルを相手にしていた沙耶香が短く言う。

 「さらに私達が新たに見つけたアイドル達も加えたら百人はいきマース」

 同じくアイドルと談話していたエレンも会話に交ざってくる。

 

 「肝心のプロデューサーなる人物は見付からなかったがな…」

 

 「うん、後…灯拓哉って人も居なかった。みんなが来た原因、池袋晶葉?も居ない」

 姫和、沙耶香が言う様にアイドル達はそれなりに見付かったが肝心の重要参考人物とそもそもの発端が未だ見付かっていないのだ。

 

 「プロデューサー……まだ、見つからない…?」

 そんな刀使達の会話に反応して口を挟んだのは、青艶のある姫カットの長い黒髪が特徴的な物静かなアイドルの少女佐城雪美。

 愛猫の黒猫ペロと共に沙耶香と戯れていたアイドルだ。

 

 「プロデューサーも志希ちゃん並にフラフラする時は、ホント見付かんないからね~にゃははは!」

 雪美の反対側の席で簀巻き状態で拘束されているの白衣の少女、一ノ瀬志希が愉快そうに笑う。

 

 「笑い事じゃないっすよ志希ちゃん、や…プロデューサーの事だから荒魂?って言うの相手でも無事かもしんないっすけど」

 その志希の横で彼女を見張って(介護して)いるのは、ボーイッシュなスタイルのストリートアーティスト系アイドル吉岡沙紀。

 

 「プロデューサーちゃまですもの、きっと既に他の方達を見つけているかもしれませんわ」

 その後ろ、上品な佇まいで座る雪美と同年代の金髪の少女櫻井桃華が優雅に告げる。

 

 「ももちゃまの言う通り!あのプロデューサーだもんね。それより秘密基地ってのが未央ちゃんは気になりますよ」

 エレンの隣に座っていた外はね気味のショートカットの少女がやや大袈裟に唸る。

 

 「ライラさんもー」

 そして恐らく良く意味を理解しないまま、同意を示す金髪褐色にターコイズブルーに輝く宝石の様な瞳のライラが可愛らしく挙手する。

 

 「ドーナツあるかなぁ」

 手持ちのドーナツをのそのそ──もといモソモソ食している椎名法子。

 

 「これ、どうやって飛んでいるんでしょう?(ガソリンでしょうか?)」

 キョトンとした顔で窓の外を眺めるは長めの黒髪をポニーテールに纏めた大和撫子、水野翠が胸中で妙にズレた思考を浮かべている。

 

 「新幹線が空を飛ぶか……これもある種のロックかね」

 染めた金髪をリーゼントにした少女、木村夏樹が乾いた笑いを溢す。

 

 「フッ、本当にこの事務所は退屈しないね。まぁ些か突飛な事が多すぎる気もしないでも無いけど…僕は概ね満足さ」

 ニヒルに格好付けているのはエクステを着けた少女、二ノ宮飛鳥。

 この計10名の他、隣を並走飛行しているドリルライナーに財前時子、成宮由愛、涼宮星花、宮本フレデリカ、松尾千鶴、沢田麻理菜、矢口美羽、松本沙理奈、結城晴、松原早耶が新たに同乗している。

 

 「うんうん、皆さん驚いていますね!私も驚きましたとも!サイキックビックリです!」

 新たな保護にあたって顔見知りの同乗者として選ばれた裕子がアホっぽい事を言って感心しているのはご愛嬌。

 これにより現在ダグオン達が接触、保護したアイドルは100名を越える事となった。

 果たして彼等は無事迷い込んだアイドル+αを全て集めきる事が出来るのであろうか───!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ━━鎌倉市内某所

 

 そして件のプロデューサーを含む一行は──

 

 「あー、やっぱり。跳ばされたのは基本デジモンのパートナーが居るかデジタマをデジヴァイスアプリ内に保有してる面子ばかりかぁ、そりゃアイドルは全員跳ばされるわ!」

 

 「ふむ、そうなるとCuP(華籠)CoP(金剛)Pa(陽向)各Pはこちらに。ちひろさんや武内、米内、内匠の3プロデューサー、トレーナー姉妹はあちらに残ったままか」

 

 「そうなる」

 

 「てか、灯って人、一人にして大丈夫なの?」

 

 「問題無し、ノープロマンタイ。自前で自衛の出来る貴重な単体戦力だ。晶葉や加蓮、光に俺が付いてる以上、奴さんは単独で他のアイドルを探させた方が効率が良い─(と言うのは建前で、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、ってのが本音だけど)」

 

 ((またロクでもない事考えてるなぁ))

 

 「プロデューサー!早く他のみんなを探そう!」

 

 「オケ。でも一人はすぐ見付かるぞ」

 

 「うん?」 「あ、それって…」 「まぁ、どういう理屈か解らんが確かに彼女なら…」

 

 「まゆーーーー!!」

 

 「はぁ~い♪うふふ、貴方のまゆですよぉ」

 

 「うわっ!?まゆさん!良かった無事だったのか!」

 

 「うふ、心配してくれてありがとう光ちゃん。まゆはこの通り元気です」

 

 (本当にまゆはプロデューサーが呼ぶと何処からでも出てくるよね)

 

 (未だにあのメカニズムだけは解明出来ん)

 

 という珍道中を繰り広げていた。

 

 (さぁて、都心以外はダグオンにお任せしますかね)

 街頭ヴィジョンを眺めながら、プロデューサーと呼ばれた男は密かにそう企むのであった。

 

 DAY3に続く

 


 

 エイプリル予告(BGM:FIRE!)

 

 えっ?!予告!!?私が?

 

 頑張れ!美炎!

 

 コヒメ……。うん、分かった!私頑張る!

 ダグベースに次々と集まるアイドルの人達!ライアンやキッドも頑張ってくれて大助かり…なんだけど……鳳先輩が見つけたアイドルの人と揉めてるー?!

 ちょっと何やってんの!?先輩!!?

 そこに先輩や番長とおんなじ雰囲気の人が現れて……ええっ!!?変身しちゃったぁぁあ?!

 

 ふわぁ~、ぼこぼこにするー。

 

 ちょっと先輩!大丈夫なの?!

 次回、プロジェクトとじドルDAY3!

 炎の勇者VS炎の闘士!

 ……って誰ぇ?!

 

 ふわぁ…?だれぇ?

 




 更と予告に登場、人外系アイドルキュート代表のあの娘。
 因みに側には保護者役の彼女やユニットを組んだ経験のあるアイドル達が居たり居なかったり。

 現在集まったアイドルの中で究極体のパートナーがいるのは、島村卯月、緒方智絵里、前川みく、輿水幸子、櫻井桃華、高橋礼子、脇山珠美、アナスタシア、高峯のあ、鷹富士茄子、柊志乃、ライラ、神谷奈緒、浅利七海、諸星きらり、城ヶ崎美嘉、莉嘉、浜口あやめ、日野茜、本田未央、ナターリア、佐藤心くらいです。

 そしてアイドルと共に巻き込まれた六人ですが、私の読切りをご覧になった方はもうおわかりかと思いますが…彼等です。

 では次回

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