刀使ノ指令ダグオン   作:ダグライダー

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 こんばんは。
 3回目の接種による副反応の苦痛と、穴が空いたメンタルのケアに時間を掛けて、一応の復活です。
 ビルディバイドcode♯FFFFのイシュタルテには大分メンタルを癒して貰いました、カワイイ。
 ついでにアイネスとパーマーも来たしで徐々に日常生活的にも回復したので有難い限りです。
 
 はい、ごめんなさい。まだエイプリルフールネタ続きます。
 しかも6月入ってしまったので本編と並行しながら書いていきます。



DAY4 決闘!【それはそれとして刀使、アイドルになります。】

 

 前回の"とじドル"

 

 おいお前、これだけの人数…どう移動させる気ですか?

 

 そこなんだよなぁ、こっちの世界は元の世界以上にデジモンに対して免疫無さそうだし……おや?

 

 Pサマぁぁぁあ!?世界が世紀末になっちゃったんだけどぉぉおお!!めっちゃやむっ!!

 

 夢見、うるさい。

 

 やむ!!

 

 はい、全員しゅーごー!どうやらテクスチャシフトした様なので、みんなでエグザモンに乗って発生源に向かいたいと思います!

 


 

 ━━フィールドテクスチャ・荒野都市

 

 生命の息吹き無き荒野に衝撃と共に上がる火柱。

 原因となっているのは2つの赤い炎、拳と拳、蹴りと蹴りが交わる度に彼等の背後が爆発する。

 

 

 

 

 

 

 

 ━━廃ビル屋上

 

 「うわっ、熱そう……」

 

 「普通の人間が入ったら焼け死んでしまいますね」

 

 遠く離れた廃ビルの屋上で上がる火柱を見て思わず呟く紗南と頬に伝わる冷や汗を拭う有香。

 

 「なんか…カグツチの事思い出すなぁ……」

 

 「いやぁ…あの時はまこっちゃんの身体をカグツチが気にしてたから強襲コンテナでカチコめたけど、ありゃ完全に人間の生存権無いだろ。写シごと丸焼きになるわ、あんなの」

  嘗ての事変を回顧しながら遠い目をする美炎と暁。  

 暁は更に当時の状況と比較して乾いた声を出す。

 

 『フゥム……互いに未熟さがあるとは言え、まだまだ本気には程遠いね』

 

 『そうだなぁ、お互い元が人間だからまだ遠慮が残ってる。あれじゃあママゴトだ』

 

 『我々が止めに入ると予め伝えていてもこれか。しかし、灯少年は人と同じ姿をした者達と多く戦っていただろうに…、素性が只の人間と知れば口では悪態を吐きつつ心内では迷いがある』

 

 2つの炎の激突をしかし、異形の騎士達だけは辛辣に評価する。

 

 「普通は誰だってそうだと思いますケド……」

 

 「まぁでも灯がニヒル気取って人当たりが良くないイメージを与えてるのは分かる」

 

 「Pちゃんに連れて来られたときも口悪かったもんね~」

 

 「でも何だかんだ気にしちゃう辺り、時子さんをマイルドにして混ぜた男の子版麗奈ちゃん的な?或いは千夜さん?」

 

 「れ、麗奈ちゃん…みたく、イタズラはしない…けど、に、似てる…のは分かるかも…」

 

 「「「「「「あー…!」」」」」」

 騎士の言葉を聞いてジト目で良識を口にする砂塚あきら。

 拓哉との事務所での対面時の事を思い出す涼と同意しながらケラケラ笑う唯。

 紗南が身近な知人を例えに挙げ小梅がそれとなく同意し、アイドル達は皆何処か納得する。

 

 「随分と酷評なさってるんですね……」

 焔也は兎も角として、拓哉の方は身内であるだろうに厳しい言葉を列ねる騎士達に舞衣が訊ねる。

 

 『身内だから甘やかすってのは寧ろヤツの為にはならねぇよ。オレらも大将もヤツ含め十闘士のスピリットを受け継いだ連中に期待するからこそ厳しくするのさ。まぁ拓哉の場合、あの天邪鬼で無愛想な性格もあっていっそう厳しくしてるがな』

 

 『期待…と言う意味ではダグオン、君達が先輩と呼び慕う彼の者を含めた戦士にも我々は我が君と同じ様に懸けている。

 ので、もう少し本気になって戦ってくれると有難いのだが……如何せん彼には説明不足が過ぎたか』

 

 『まぁ今回の決闘は、M´Loadがこちらに到着するまでの暇潰しを兼ねた余興の様な物だし、我々も観戦がてら氏素性を改めて君達に説明した訳だし、お遊びレベルの戦闘でも良しとしようじゃないか』

 

 (アレでお遊びレベルだと?確かに何時もの宇宙人共に比べりゃ、戸惑ってはいるが…鳳のヤツ魂依刀使の力を使ったアタシとヤりやった時よりも大分ガチめだぞ!)

 舞衣の疑問に答える騎士達の言葉を傍らで、それとなく聞き耳を立てていた暁は内心叫び出しそうになるのを堪える。

 

 「おおよその事は先に保護していた皆さんから聞いています。デジモンと呼ばれる生物が存在する事、それらを従える人間がパートナーないし選ばれし子供と呼ばれる事、基本的にはアイドルの皆さんの大半はプロデューサーと呼ばれる男性からデジモンに引き会わされたという事、デジモンを題材とした創作物が彼女達の世界ではデジモンが現実に現れる前から存在していた事……貴方達の事は簡単にしか聞けていませんでしたけど…」

 

 『概ね聞いている通りだよレディ。付け加えるならば、我々デジモンは人間が電子機器を発明する前から存在自体はしていた。

 まぁ地球誕生で言うと頃のカンブリア紀等から人類誕生までに該当する時代だが』

 

 『人間がインターネットのネットワークを多様するにあたってデジタルワールドも多大な影響を受け変遷していった。ゲートが頻繁に開く事例が現れたのもこの頃だな』

 

 『で、オレらの大将はまぁ…そう言うネットが発展途上だった時期に小さなゲートからデジタルワールドに迷い込んだんだなぁコレが』

 ロードナイトモンが舞衣の講釈に同意、説明を付け足し、そこにスレイプモンが更に当時の状況を捕捉、アルフォースブイドラモンが遠い目をして思い出に浸る。

 

 「皆さんが言うその人、王様はどうやってデジタルワールド?から戻ってこられたんですか?」

 可奈美が純粋な好奇心から訊ねれば、騎士達は苦笑する。

 

 『一度目は恐怖と警戒心と用心深さからゲート近辺を観察して直ぐに戻ったそうだ。二度目……それなりに物事の判別が付く年頃に今度は好奇心で自ら飛び込んだ』

 

 『んで、飛び込んだ先がなんとビックリ!当時のオレ達の主、ホストコンピューターユグドラシルの真ん前ってんだから不運なんだか悪運が強いのか……』

 

 『それでユグドラシルと対話を交わした結果、我々と各々拳を交え、降し、アイドルプロダクションでプロデュース業を営んでいるのさ』

 

 「待った!?アンタらのご主人様はアンタらと戦ったのか!?」

 

 「話からするとまだ子供ですよね?それも生身の……その方は皆さんに勝ったんですか!!?」

 

 ロードナイトモンの発言に驚愕し思わず割り込む暁と舞衣。対して騎士達は然りと頷く。

 

 『然もなくば我等は此処には居ない』

 

 『拓哉のヤツは大将の事ギャグ漫画の住人とか言っていたが…強ち的外れじゃあねぇかもな!』

 カラカラと笑うアルフォースブイドラモン。そんな談笑を繰り返している内、エンとアグニモンの勝負は佳境へと移っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 『クッソ!?!アイツら焚き付けるだけ焚き付けて殆どながら見じゃねぇか!!』

 

 「なんかあのピンクのヤツ、柳瀬に近くないか……」

 

 ギャラリーの空気に当事者たる戦士達がボヤく。

 

 『あー…クソ、もう良い。負けるのは癪だが、そもそも勝敗の結果については特に言及されてないんだ。見た目だけそれなりに見せてとっとと負けてやる。

 おい、赤いの。何か適当に大技を出せ。当たったフリしておくから』

 

 「いや…え?お前それでいいの?負けるの嫌なんだろ?もう少し必死になってもさぁ」

 アグニモンの仮面から覗く瞳が目に分かる程やる気を失う。

 それに対して勝負と付く物には基本的に全力で挑む心情のエンが抗議の声を挙げる。

 

 『クソ真面目か、それとも単に馬鹿なのか?別に良いだろ、アンタに損はねぇんだから。赤の他人の事に肩入れし過ぎるとロクな目に遭わないぞ』

 言いながら、観戦している側に自分がやろうとしている事を気付かれぬ様にまるでエンに対する牽制に見える様に観戦側の大地に広く炎を展開させる。

 

 『フン…仮初めとは言え、荒野の大地に高熱の炎が何度も燃えたんだ。時節も悪くない、理論上湿度は問題無い筈……賭けの要素が強いってのは気に食わないが、これで弱鏡映蜃気楼くらいは作れるか?』

 展開した炎をコントロールしながらボソボソと呟く、当然勉強が苦手なエンはマスクの奥で顔面を疑問に埋め尽くしている。

 

 「弱?きょう…えい……????」

 

 『チッ…マジで馬鹿だったのかよ。まぁ良い。段取りさえ間違えてくれなきゃ文句はねぇ。

 良いか?俺が隙の大きい技をお前に向けて外れる様に放つ、お前はそれを隙として大技を出す、俺はそれに当たったフリをして吹っ飛ぶ、倒れた俺にトドメとしてお前が殴り掛かる。それに抵抗しようと弱った俺が拳をクロスカウンター気味に繰り出す、が、俺の拳は威力が乗らずお前のそのふざけたヒーローマスクにソフトタッチ、逆に俺はお前の拳がクリーンヒット、決着。OK?』

 この会話の間も小競合い気味に格闘をこなしているが、アグニモンはエンが理解出来る様に1つ1つ噛み砕く形で教えてゆく。

 

 「?お、おう?うん?ま、まぁそこまで言われたら……やるしかない…のか?」

 

 『良し、始めるぞ。サラマンダーブレイクッッッ!!

 跳躍したアグニモンの脚に炎が燃え上がる、宙に跳んだ魔人はその場で身体を横に倒し回転する。車輪の如く回りエンに向けて回転蹴りを放つ……様に見せる。

 当然外れた蹴りは大地を割るに留め、アグニモンは大きく体勢を崩す…様に振る舞う。

 

 「う、うぉぉお!ままよっ!!ファイヤァァァァバァァァドアタァァァァック!!」

 鳳凰に変形し、炎を全身に纏った鳳が体当たりを敢行、アグニモンは地面に埋まったギリギリで脚を抜き出し、今にも避けられない状況を演じ、受け止める姿勢を取る。

 そうして、受け止める事叶わず、鳳に轢かれた()()して自ら後ろに吹き飛ぶ。

 

 『グ、アァァァア!!!』

 迫真の叫びを挙げ罅割れたアスファルトに倒れ込むアグニモン。

 倒れたアグニモンを通り越し、ファイヤーバードから再びファイヤーエンへと戻り、言われた通りにアグニモンに近付く。

 

 「ええ…っと、トドメの一撃…ホントにやって良いのか?」

 

 『は・や・く・し・ろ』

 トドメを躊躇うエンに唇だけを動かして促すアグニモン。戸惑いつつも拳を魔人に振り下ろし、併せて魔人も勇者の拳に応じる。

 狙いは勿論クロスカウンター、しかし彼等の拳が交差を交えんとする間に空から何かが降って来た。

 

 「あえ?」 『っぁんな?!』

 

 エンは自身の拳が何かにめり込んだ感覚に疑惑の声を洩らし、アグニモンは演技とは言え直前まで威力を乗せた拳を受け止められた事に大きく動揺する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ━━廃墟ビル・屋上

 

 「うえっ?!今先輩達の間に何か降ってきた!!?」

 

 「あれは……人?いえ、それよりも上から降って来たのなら………嘘ッ…!」

 美炎の驚きを余所に、舞衣は明眼によって空を見上げソレに気付いた。

 

 雲無き空に浮かぶ奇抜なシルエット、明眼の望遠視で視えるその形は嚇赤錆銀の竜鱗、鐵の突撃槍を右手に携えたその姿は───

 

 「巨大な竜…!?」

 

 「竜?……う~ん…あ、ホントだ!あの辺に何か居る」

 舞衣の声に可奈美もまた空を見上げてその姿を認める。つまる所通常の肉眼でも確認出来る程巨大な存在が真上に飛んでいるのだ。

 

 『来たか。しかし我が君も遊び心が過ぎる』

 他の皆同様空を見上げ、後に戦場へと視線を落とすスレイプモンが困った顔で首を振る。

 

 『あれなぁ……わざとパスを一方通行にしてっから、大将のダメージはオレらに来ないんだよなぁ』

 

 『口惜しい!しかし美しい!我々を慮り敢えて己の痛みは我等に通さず、我等の痛みはその身に受ける……嗚呼!M´Loadの献身が五臓六腑に染み渡るっ!』

 最後のロードナイトモンだけがやはり一々仰々しい身振り手振りでアイドル達からは鬱陶しそうな顔をされたりもしているが、それが寧ろ彼には嬉しい様にも見える。

 

 「おのぉ~…アレって大丈夫なんですか?」

 灼熱の只中、人外の威力を双方向より受けたであろう騎士達が王と呼ぶ主──アイドル達からはプロデューサーと呼ばれる人物の惨状に、恐る恐る美炎が訊ねる。

 

 「あー、初めて見たらビビるよなアレ。でも何故か平気なんだよなぁ」

 

 「ええ、痛みを感じない訳では無いらしいですが……パートナーの全員と感覚を共有してるのに、ですが……共有してるにも関わらず、ツッコむんですよね、ロードナイトモンに」

 拓海が美炎の反応に何とも言い難い顔で軽く頬を掻きながら、戦場に落ちて来た己のプロデューサーの以上性を一言で断言する。

 また、有香も普段から事務所で繰り広げられる光景を脳裏に描き、それに慣れきった自分達や彼等騎士達の異常性に苦笑するより他に無い。

 

 「おい舞衣。上も良いが、下の連中の方もどうなってる?」

 

 「っ…はい、ええっ…と、先輩と灯拓哉さんの間に割って入った人……え、人?」

 

 「どうしたの舞衣ちゃん?」

 暁に促され、再び戦場を明眼で観測する舞衣、しかしプロデューサー某に注視した途端思わず疑問を溢してしまう。

 親友がそんな反応を見せているので可奈美としても訊ねずにはいられない。

 果たして舞衣は何を目撃したのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ふ、良いパンチしてるな。流石勇者シリーズ随一の特撮色強い意欲作だっただけの事はある」

 

 「うぇっ?!あぅえ?!」

 

 自らとアグニモンの間に現れた予想外の人物からの声にエンは臆面もなく狼狽える。しかしそれも無理からぬ事だ、何故ならその男はエンの拳を顔面で受けまるで漫画の様に顔が潰れているからだ。

 具体的に言うと不細工なアスタリスクだ、いったい全体その状態でどうやってここまで明瞭に喋れるのかは謎であるが……。

 

 『チッ…これだから化け物(ギャグ漫画の住人)は………』

 

 「聴こえてるぞクソガキ~?ついでにさっきの会話も聴こえてたぞー?うんん?」

 凹んだ顔面のままアグニモンに詰め寄る様は軽くホラーである。

 

 「んっふ!さて、色々と訊きたい事やら知りたい事やら、お互いにそれなりにあるだろうけども。まずはダグベース行こうゼ!」

 妙な気合いと共に元の顔に戻った男──プロデューサーがアルファも斯くやとばかりにエフェクトを撒き散らしてサムズアップする。

 

 「ええーーーーー…」

 

 『此方の意見ガン無視かよ』

 現れた不振人物のこれまでの流れを全て流して無理矢理にでもダグベースに行く流れに持ってきた事にエンは最早開いた口が塞がらない。

 多少付き合いがあるアグニモンもプロデューサーのノリに白い目を向ける。

 

 (しかし、この人が千佳ちゃんや大槻が言ってたプロデューサーかぁ)

 プロデューサーがアグニモンに意識を向けている間に気を取り直して、エンは改めて件の人物を観察する。

 フォーマルなスーツ姿に隈の濃い眼、身長はアグニモンに届かないものの高い。

 髪は短く切り揃えられ、身体は細身…とてもでは無いがエン達の攻撃を止められる様には見えない。

 それを抜きにしても受ける印象は目付きの不健康さも相まって不審者ではあるが。

 

 「と言う訳でな、クソガキ。お前のふざけた企みが聴こえてたので報酬は減額しまーす。後目線上げるのめんどいから戻れ」

 不審者()()()()()()()が取り出した端末──デジヴァイスと呼ばれていた──がアグニモンに向けられ、トリガーが引かれると炎の魔人は瞬く間に人間灯拓哉へと姿を戻した。

 

 「あ゛?!テメクソッ!?」

 

 「ふむん。成功だな、流石はうちのアイドル!泉には感謝しかない」

 無理矢理元の姿に戻され、報酬の事に抗議を込めて挑み掛かろうとするも空かさず腕を背に捻り上げられ無力化させられる拓哉。

 プロデューサーは担当アイドルへ感謝を述べながらエンに向き直る。

 

 「さ、君も何時までもそんな格好してないで…ってファイヤージャンボ動かすなら生身より変身してた方が都合良かったりする?」

 

 「いや……んなことは無いッスけど……」

 

 「ああ、そう?じゃあここに喚んでくんない?」

 何ともない様にトントンと語り、やはり何ともない様にあっけらかんと言ってのける。

 

 「は?いや無理ッスよ!!?三好が何かしてからファイヤーストラトスさえ呼べないのにファイヤージャンボなんて……」

 

 「あ、そっかぁ。デジタルシフトにまでは()()対応させてないのか、ふーん…管理者って言うのも存外杜撰と言うか、詰めが甘いんだな

 

 「んえ?」

 

 「や、こっちの話こっちの話。しっかし、そう言う事ならお兄さんに任せなさい!!」

 

 「おっさんの間違いだろ…」

 

 ぼそっと呟いた拓哉の腕をより強く固めながら、手にしたデジヴァイスの液晶付近の円状の部位を操作するプロデューサー。

 彼が某かの操作をしている間に、廃墟ビルからどうやったのか巨大になった異形の騎士達の手や肩、背に乗って観戦していた者達、更に空から大きな…とても大きな影が降って来る。

 

 「おおぉぉぉお!?!デケェぇえええ!!」

 

 「ん、ヨシ!この場に居る人間はこれで揃ったな」

 

 驚愕するエンを置いて、妙なポーズを取って安全ヘルメットを何時の間にか被ったプロデューサーが猫みたいな眼で指差し確認している。

 

 「ヨシっ!じゃねぇぇぇええええよ!ど阿呆ぉぉぉおおおお!」

 

 「フンギャロぉぉぉお?!!」

 

 

 絶叫の雄叫びと共にプロデューサー某に突き刺さるレールガンドロップキック。吹き飛ぶプロデューサー某。

 正体は軽いウェーブを掛けたセミロングに、伊達眼鏡の奥の鋭い眼孔、背丈は中肉中背、スーツの下に隠れた屈強な健脚、全体的にはイケメンに分類される彼は、CGプロキュート部門担当プロデューサー華籠恋助。

 名前がキュートにピッタリな要素を満たしていたと言う理由だけでプロデューサー某からCGプロに無理矢理就職させられた選ばれし子供であった者の1人だ。

 

 「せんぱーい!」

 其処へアルフォースブイドラモンの左手に乗った可奈美が大きく手を振る。

 

 「可奈美、それに暁達も一緒かぁ~……」

 目の前の華籠とプロデューサー某のトンチキ騒ぎから逃避する様に同校生達の方へ意識を逸らすエン。

 そんな彼に巨大な竜から異形の左腕を持つ絵に描いた様なザ・ヒーローに抱えられて地上に降りた少女と全身黒鉄に光る装甲を持つ、両肩が左右で赤と青に色分けされた手足の長い人型アンドロイドの様な存在の腕に腰掛けたツインテールと眼鏡が特徴的な少女がエンを見るなり怒涛の勢いで駆け寄って来る。

 

 「スゴい!スゴいぞ博士!本物だ!本物のヒーローがいるぞ!」

 

 「うむ!一体全体どんな技術が使われているのか、実に興味深い…!」

 

 エンと言う存在そのモノに眼を輝かせ興奮する少女は南条光。

 一頻りエンを眺め凄いを連呼した後、彼の手を取り握る。

 

 「はじめまして!あたしは南条光!職業はヒーローアイドル!好きな物はヒーロー!だから会えてとても光栄だ!」

 

 「お、おう……よ、よろしく(めっちゃグイグイ来るなこの子…)」

 振られるがままに手を握られているエンは目の前で尊敬と好機の眼差しを向ける光に内心困惑しながら狼狽える。

 

 「ふぅ~む、スーツの材質、装甲の強度、どれも既存の地球上存在した文明の科学技術を優に凌駕している。

 いや、実に興味深い…。空想科学で有名なアトランティス文明の科学技術とやらもこれに匹敵するのだろうか?むむ、解き明かしてみたい…済まないが分解してみて良いだろうか!?」

 ダグテクターの装甲をベタベタと触りながらひっきりなしに呟いていたかと思えば、いきなりトンデモ発言をかまして来る眼鏡ツインテールの少女。

 

 「いやダメだからな!?」

 

 「何?!ダメなのか!!?そうか……」

 機密の塊であるダグテクターを分解などされては堪らないと声を大にして拒否すると、目に見えて肩を落として落ち込むものだから、何だかいたたまれない。

 

 「南条くん、池袋くん、そこまでしておきなさい。相手の少年が困っているだろう……所で少年であっているかね?」

 そんな2人を嗜めたのは、プロデューサー某や華籠と同様スーツ姿の、しかし着飾り方が明らかに堅気気質では無いサングラスを掛けた男。

 クール部門担当プロデューサー、金剛凍吏。やはりこの男も名前で強制入社させられた選ばれし子供であった者である。

 そして───

 

 「やれやれ、光くんも晶葉くんも自分が夢中になる事には歯止めが効きずらい所は年相応と笑うべきか呆れるべきか……」

 陽を照り返す禿頭が眩しい美丈夫、パッション部門担当プロデューサー、先の華籠、金剛同様の経緯でプロデューサーを勤める陽向照輝が糸目を苦笑の形に変えながら金剛に合流する。

 

 そうして、エンの周りに現在空間内に居る全ての人間が集まった所で、華籠にボコボコにされていた筈のプロデューサー某が何事も無かったかの様に復帰してくる。

 

 「はい、皆さんご注目!これから此処にファイヤージャンボが来ます。それに乗って残りのみんなの所に向かいます!やったね!!」

 

 「「「「「「「「「「「「「「「「おぉー!!」」」」」」」」」」」」」」」」

 

 「いや、だからそれは……」

 

 「良いから良いから!喚べば解るから!ついでにそっちのメッシュの娘のバイクもほら!」

 

 特徴的なデジヴァイスを駐車場の辺りに向けトリガーを引くプロデューサー、すると暁のバイクがフィールドに出現する。

 

 「アタシのバイク!?」

 

 「ついでにそーい!」

 某が更にトリガーを引けば今度はファイヤーストラトスが出現、理屈は理解出来ないがエンはソレをそういう物だと受け入れる事にした。

 

 「ファイヤージャンボ!!

 

 受け入れれば行動は早い、即座に自身が所有する最大のライドビークルを召集する。

 

 「おおぉぉ……本当にファイヤージャンボじゃないですか~!!懐かしいですねー、当時のナナは火鳥さんが初恋だったのでその流れでシリーズも見てましたよ」

 ファイヤージャンボを眺め懐かしさに浸るは、ウサミン星から夢と希望とウサミミをひっさげやって来た歌って踊れる声優アイドルこと安部菜々さんである。

 

 「安部さん……」 「菜々さん……」

 菜々さんの発言に金剛、陽向が額に手を当てたり、天を仰ぐ。

 

 「安部よ、どうしてそうお前さんは自ら墓穴を掘るんだ」

 華籠が独白気味に呟く。

 

 「火鳥?」 「誰?」

 そしてこれには偶々耳にした光や美炎も首を傾げる。美炎に関しては知りようが無いので当然の事だが。

 

 「やー、近くで実物を見ると本当にデカいなぁ。流石歴代主役ビークルで最大の大きさを誇るだけの事はある」

 

 「なぁ…あんたがさっきから言ってるシリーズがどうとか歴代がどうとかってどういう意味で……」

 プロデューサー某が度々口にするワードに遂に踏み込むエン、しかし首を横に向けた時、隣に居た筈の彼は既におらず、視界に映るのは知らぬ間にボディブローを打ち込まれ悶絶している柘哉1人。

 

 「!!?どこに消え──」

 

 「君、スタイル良いね。歳いくつ?良ければウチでアイドルしてみない?あ、これ名刺どうぞ」

 声の行方に視線を巡らせてみれば、スーツの不審者は舞衣ににじり寄り懐より名刺を取り出し口説き始めている姿を発見した。

 

 「あの、お気持ちはありがたいんですけど……私にも職務がありますし、そもそも異世界に行くのは…」

 偶発的に現れた彼等、元の世界に戻った際に自分まで連れていかれては帰還手段の無い舞衣には堪ったものでは無い。しかし──

 

 「ああ、大丈夫。今回は偶発的だったけど、ここの電子機器はウチの世界とは大差無いし、晶葉は天才だし、泉のプログラミングの腕前もプロフェッショナル顔負けレベルだし、こずえと芳乃の協力と蘭子のパートナーの力を借りれば新幹線より行き来は楽勝だって!!」

 しかしこの男は苦もなく軽々と言ってのける。

 

 「それはどういう……」

 

 「むむ!光や唯ちゃんと話してるあっちの娘達も中々良いねぇ…。あ、今の話前向きに検討しといてね!」

 舞衣の疑問を置去りに、プロデューサー某は意気軒昂として、可奈美と美炎の元へと向かって行く。恐らく同じ様にスカウトするつもりなのだろう。

 未だ多くの疑問を懐きつつも、舞衣はエンがファイヤーストラトスに乗り込みファイヤージャンボに格納されるのを見送ると、そのまま一先ずはファイヤージャンボへと添乗するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ━━ファイヤージャンボ・機内席

 

 「すげー!はえー!!たけー!!!」

 ファイヤージャンボの窓に張り付き外を眺めて感嘆の声を上げる童女、市原仁奈の様子を微笑ましげにしながら(※約1名にやけそうになる顔と態度を圧し殺しながら)改めてプロデューサー某達の言葉に耳を傾ける。

 

 「凡その事はウチの騎士や、先に君達が見付けたウチのアイドルから聞いてるだろうからその辺は省くとして、俺達CGプロがこの世界に来た原因は我がプロダクションが誇る天才発明少女こと、池袋晶葉が作った次元観測転移機……名付けて」

 

 「"どこでも跳べるくん"だ!」

 プロデューサーの言葉に続く様に晶葉が自信満々と宣言する。

 「本来ならここまで大規模な転移など起こる筈もなかったんだがな。たまたま近くをユッコがサイキックの練習をしていて、更にこずえがどうゆう訳か"ふわー"をしたんだ。更に更に、装置起動直前…泉の観測でウィルスが侵入していたのが直前に分かっていてな。止める間も無く……詳細は泉本人と会って確認するしかないが……我々のいつもの日常に見られる偶然に、悪意ある第三者が介入した結果…我々がこうして転移したのではないか。と言うのが、私とプロデューサー達との合議で出した結論だ」

 

 「堀のなんちゃってサイキックだけなら精々、同じ世界の別の土地くらいに跳ぶ程度で済んだんだがなぁ」

 

 「そこに遊佐くんの由来不明の謎現象が加わったとしても…既存の異世界に跳ぶくらいだったんだが……まさか我々全員…と言うには語弊があるが、会社に居たデジモン関係者全員が巻き込まれるとは………」

 

 「幸い、プロデューサー陣は僕たち以外はデジモンのパートナーが居ない三人と、外に営業に出ていた元選ばれし子供組は難を逃れたみたいだけどね」

 華籠、金剛、陽向が各々呆れ、黙考、苦笑の反応を交えながら補足を加える。

 

 「でもまぁ見知らぬ世界とは言え、文明レベルや、言語に違いが無かったり、全員が個々レベルでバラバラにならなかったのは僥倖だった。

 何より君達みたいな娘や、ダグオンという信用に値するヒーローが居たのはまさにツキが良かった」

 ファイヤージャンボ内のコックピットに通じる位置の座席で何かを弄りながらプロデューサー某が笑う。

 

 「あの~肝心な事を訊いて無いんですけど…」

 そこで美炎が控え目に挙手しながらプロデューサーに訊ねる。

 

 「何かな?安桜美炎さん?」

 

 「さっきから度々華籠さんや金剛さん、陽向さんの名前は有香さんとか小梅ちゃん、拓海さん達なんかが呼んでますけど、その、プロデューサーさんだけプロデューサーとしか呼ばれて無いんですけど……」

 

 言われて顔を見合わせる某とそれ以外のプロデューサー達、そしてそう言えばそうだったと今更なリアクションを返して、某はコホンと咳払いする。

 

 「改めまして、私シンデレラガールズプロダクションCEO兼ゼネラルプロデューサーをしております。今は皇与一を名乗っておりますモバPと申します。

 以後お見知り置き下さい…。こんな感じかな?」

 

 「へぇ~与一さんって言うですね!」

 

 「待って可奈美ちゃん、そこじゃないよ?!」

 

 「"今は"って何だよ!?今はって!!」

 呑気に受け取った可奈美を余所に、舞衣と暁は疑問の声を上げる。

 

 「まぁウチは個性を重んじるから」

 

 「個性がどうこうってレベルか!!?」

 与一と名乗ったモバPの答えに暁ががなる。

 

 「う~ん何と説明すべきか、ウチはプロデューサー陣の経歴が一部を除いて特殊な訳アリばっかでね~。

 まぁその訳アリってのが全員、選ばれし子供してた連中なんだけど……俺ね、元の世界で子供の頃ちょっと派手に悪目立っちゃってさぁ、幸い名前だけが独り歩きしただけだったから、その辺誤魔化す為に幾つか名前を職務によって使い別けてのね。

 んで、事務所の代表兼プロデューサーとして活動する時の名前が、今言った皇与一って事になってんの。

 んで、アイドル達にはその辺ややこしいから単純にプロデューサーなり、Pなり、モバPって呼ばせてんのよ」

 と、あっけらかんと他人事の様に笑う推定与一。

 納得し難い所もあったが、深く掘り下げるとそれはそれで話が脱線するので暁、舞衣共にそこは目を瞑る事にした。

 

 「貴方方の事は今の話とこれまでの聴取も併せてそれなりに理解はしました。

 その上でお訊ねしたいんですが……先程私を、そのスカウトした際に仰っていましたよね?元の世界との行き来が楽だと…」

 

 「そう言えば私も言われたっけ、蘭子ちゃんやこずえちゃん芳乃ちゃんと合流出来れば晶葉ちゃんの発明でどうにでも出来るって」

 

 「可奈美達も!?私も言われた」

 

 「アタシもだな。ついでに良く分からん事も言われたが…それは今は関係無いか」

 暁だけモバPより声について何か妙な事を言われたが、本筋と関係が無いので横に置いておく。

 

 「晶葉の発明に関してはもう俺でもツッコむのが野暮なくらいの代物だから、置いとくとして。

 蘭子のパートナーデジモン、マスティモンの力を使えば電子機器のサイバーネットワークワールドを通じてゲートを開ける。それだけならウチの面子だけならすぐにでも帰れる。

 まぁそもそも、安全性諸々考慮しなけりゃ、俺達みたいな選ばれし子供はすぐにでも元の世界に帰れたけど、彼女達はそういう訳にはいかないから、うん、本当にダグオンが存在してくれたのは有り難かった」

 またしてもしれっと重要な事を交えて話すモバPの発言に眼を剥きながらも、彼の口が続きを紡ぐのを待つ。

 

 「おや?疑問が挟まるかと思ったが…ま、話が早い分には良いか。

 ダグオンは宇宙警察機構のある種のエリート装備な訳だし、それが存在するなら当然地球上ではオーバーテクノロジーに値する装置がいくつもある筈だろ?

 すると既存の機器をバラして組み上げるよりも、効率的に帰還手段の為の装置を晶葉主導で作れる訳よ。

 唯一懸念すべきはバラバラに散った面子でダグオンが分かるアイドルが比奈と奈緒と菜々さんくらいしかいないのが難点だったんだけど、芳乃とか茄子さんとか他人の善悪を見分けられる人材も居たし、結果良ければ全て良しとさせてもらった訳よ」

 

 「…………。改めて聴くと、行き当たりばったり感強すぎじゃねぇか!!」

 

 「いやいやいやいや!結果的に私達が遭遇したけど、もし悪どい人とかに遭遇したらどうする気だったの!!?」

 暁と美炎が剰りに軽く話すモバPに喰い寄る。

 

 「その為のロイヤルナイツよ!」

 

 「ロイヤルナイツ…って?もしかしてロードナイトモンさん達の事?」

 

 「イェア!その辺はダグベースに着いてから君達の仲間にも纏めて紹介といこうか」

 どうせ紹介するなら纏めて…と言うのがモバPの腹積もりのようで、以降はアイドル達と会話したり、柘哉の意識が戻ろうとする度に気絶させ直したりしていた。

 

 

 

 

 

 数時間後、ダグベースが隠された山間の近辺。

 ファイヤージャンボの格納滑走スペースがある地点に近付いたエン改め焔也はそこで機内に向けて声を発す。

 

 「えっと、ダグベースの近くまで来たんだが……ガイドビーコンも何も出てねぇんだけど…」

 と困った声音で告げると、コックピットの扉をココンとノックする音が木霊す。

 コックピット側でロックを外しノックの主を招き入れる。正体は勿論仮称皇与一を名乗ったモバPと三好紗南。

 

 「ふぅ~!アニメのコックピットとレイアウトはほぼ同じか!!感動ー!」

 

 「プロデューサー気持ち悪いよ?」

 興奮して名伏し難い動きをするモバPに紗南が笑いながらツッコむ。

 

 「あー、なんか用っすか?後なんで三好が一緒?」

 

 「OK!お答えしよう!今、我々が居る空間は紗南の持つデジヴァイスVの機能による疑似デジタルワールドの中!例えるなら鏡の中の世界ミラーワールド!戦わなければ生き残れない!」

 

 「や、仮面ライダー関係無いよね?えっとね、要するにあたしがVで展開したフィールドを解除するから、ダグベース?だっけ?そっちにいる人達からの反応に上手く応対してって言いたいんだよプロデューサーは」

 

 「え、今ので解んの?!まぁ分かったよ」

 焔也の返事を聞いた直後、紗南が腕のデジヴァイスVのフィールドを解除する。

 すると焔也のコックピットシートに備え付いたコンソールから何やら声が飛び、数回何事か会話を交えた後、ファイヤージャンボは断壁のゲートへと着陸、ダグベースに帰還した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ━━ダグベース・メインオーダールーム

 

 「ハローエヴリバディ!初めましてダグオンの諸君エ~ンド刀使諸君。…とついでに管理者アルファ。

 私、シンデレラガールズプロダクション代表の皇与一と申す者です、気軽にモバPと呼んで下さい」

 オーダールームに集まった面々に恭しく一礼するモバP。

 

 「なんかボクだけ声のトーン違くない?雑じゃない?ねぇ?」

 

 「この度は我が社所属のアイドルを保護して頂き誠に有難う御座います。弊社の池袋が帰還の為の装置を製作する短い期間では御座いますが、その間お世話になります。

 無論只でとは申しません。私共に出来る事が御座いましたら謹んで協力致す所存です」

 

 (思ったより真面目なと言うかマトモな対応ですね…)

 (聞いていた話では非常識な不審者と言うイメージだったのだが……)

 (確かに目つきワリィけど、態度はムシロ紳士的じゃネ?)

 (……仕草の所々に、戦闘技巧者の名残が見え隠れしている…)

 (アルファへの対応は…どういう訳か塩が多分に強いがのう…)

 (聞いた所によるとマイマイやかなみん、ミホミホ、イナゴンはスカウトされたみたいデース)

 (節操無しかっ?!)

 (みたいですね~、さっき私もされましたぁ)

 (同じく、スカウトされたわ。丁重にお断りさせていただいたけど)

 (どうやらダグベースに居る刀使全員に声を掛けている様です)

 (ですがあの眼は諦めた者のそれではありませんわね)

 (恐らく、此処に滞在中は何度かアプローチを仕掛けてくるものかと…)

 (まさか私までスカウトされるとはな…いや、所属するアイドルの年齢層を鑑みれば私も範疇なのか……?)

 (私含め何人かは、あちらの事務所がどうのとも呟いていたのを耳に挟みました)

 

 (みんな楽しそうだなぁ~)

 焔也を除くダグオンのメンバーとオーダールームで会議を交える事の多い面々がヒソヒソと内輪で会話を交わす。

 その横で雷火はのほほんと優稀が出したお茶を啜る。

 因みに他の面々も遠巻きにモバPを観察している。

 

 「んぉおんや?そちらの資料……何やら面白い匂いがしますなぁ?」

 オーダールームの大卓、紫の手元にあった資料にモバPは目を付ける。何よりも彼等が驚いたのは、先程まで入口近くに居た男が何時の間にか紫の直ぐ側まで音もなく近付いた事だ。

 

 (何時の間に!!?気配の類いが一切感じなかった……)

 真後ろに立たれた紫に動揺が走る。

 

 (……あまりに自然、故に見逃した…!?まるでそうある事が当たり前だと思う程の動作で折神紫の側に歩み寄った……、隠凝の類いだな…)

 忍のスキルを持つ龍悟が一連の行動に舌を巻きながらモバPの評価を1段階上げるのであった。

 

 「フムフム…選抜刀使によるアイドルプロジェクト…………。良いねぇ、俺好みのイベントじゃあないの。ウチの事務所に所属が無理なら…うん、そうだな。それしかない……決まりだ。我々CGプロはこのプロジェクトに全面的に協力するよ!」

 

 有無を許さぬ勢いで、1人の男が刀使のアイドルプロデュースに名乗り出たのであった。

 

 

 続く

 


 

 次回予告(BGM:14平米にスーベニア)

 

 おい、何でBGMが久川姉の方のソロ曲なんだ?

 

 それはくじ引きで決めたからだね。

 

 まぁ凪くんも予告に参加する様だし、良いじゃないか。

 

 どうも、徳島から異世界に分譲アイドル。凪の方の久川、久川姉です。

 

 これはこれはご丁寧に~、弘名の方の新多こと弘名でぇす。美波さんの方とは漢字が違うのでご注意くださぁい。

 

 不味いな、凪くんと弘名くんを喋らせていたら延々と予告が進まない。

 

 まぁ…そうなるな……、解りきった事だが…。

 

 うん、時間の無駄遣いは良くない。我々でさっさと次回タイトルを予告してしまおう。

 

 次回、プロジェクトとじドルDAY5

 アイドルって一体何なんですか?モバP大奮闘!

 

 これさ、結局僕らも普通にこき使われるんだよね。

 

 まぁ…ヤツだからな。

 

 凪です。既にエイプリルフールどころか5月も終わり、6月に入ってるのに続くとは、これ如何に?

 

 久川ぁぁあ!?メタい発言はヤメロォォォ!!

 

 ではまたぁ~。

 





 今期のアニメ、まちカド、かぐや様、ビルディバイドは当然としてパリピ孔明、であいもん、サマータイムレンダ、勇者、辞めます。は面白いですねぇ。
 乙女ゲーは面白い事は面白いんですが、勿体ないという思いが強く出てしまう…まぁ視聴するんですが。

 勇者、辞めます。は元々ニコニコ静画で読んでいたのでレオの正体最初から知ってたんですが…回想のアクエリアス喋って欲しかったのに後ろ姿だけかぁ。
 まぁ他にも色々と観てます。

 シン・ウルトラマンと五等分の花嫁劇場版も観てきました満足でした。
 ではまた次回

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