今回の外伝初の幕間。幕間まで長くなる始末……。
この後次回投稿される本編で冥次元の女神云々をねぷ子さんから直接解説でもしてもらう予定。
そして今回さらりと語られたダグオンの選考の8割を占めたアルファの理由……。
そんなだから迷惑扱いされちゃうんだよ。
ネプテューヌ達、異世界からの来訪者がダグベースに招かれ管理者アルファとゼータの2人により施設内を案内されている頃、結芽を寝室に運んだ戒将を除くダグオン達はサロンにて会話に興じていた。
「そーいやぁ、兵藤先輩とか木場先輩とかアルジェント先輩の……せ、せ、セイックリドギアだったか?アレってどういう事なんだろうな」
その中で焔也がふと思った事、彼等の自己紹介の際に出た単語"神器【セイックリド・ギア】"に疑問を浮かべる。
「アー…そう言えばアルジェントチャンが言ってたな。ヤロー共も…。聞いた感じモノスゴイ武器とか道具ってなトコか?」
「……彼らの世界で重要なモノと言うのは、それとなく理解したが……」
そこに申一郎と龍悟も加わる。
3人はその疑問を視線で翼沙にぶつける。
「う~ん。僕の私見を語るより本人達に訊いた方が早い気もしますが……、戻ってくるまで時間も掛かりそうですし、それでも推測レベルで構わないのなら」
それでも良いのかと確認を取る翼沙に3人は頷く。
「そうですね、なら……撃鉄」
それを受け、翼沙は先程から悶々としている撃鉄に声を掛け、現実へと引き戻し、彼にとある質問を投げ掛ける。
「なんじゃい?」
「君は神器と聞いて、まず何を思い浮かべますか?」
「あぁん?そりゃあ、三種の神器じゃろ。日本で神器っちゅうたら天皇陛下に下賜される三つが有名じゃ」
神職科としては基礎どころか一般教養よ。と吼える撃鉄。
それに対し翼沙もその通りですと頷く。
「一般的に僕達が知る神器とは、大体がこの三種の神器と呼ばれるモノになります」
「おうさのう、草薙剣、八咫鏡、八尺瓊勾玉じゃな」
「あー、剣と鏡と勾玉な。それは俺も聞いたことあるわ。じゃあ先輩達のも
焔也が何となしに頭の中であやふやな像の神器を思い浮かべながら翼沙に問う。
「そこです。先程聞いた神器の名称……ブーステッド・ギアやソード・バース、更にトワイライト・ヒーリング等ですが少なくとも僕は聞いた事がありません。いえ、もしかしたら名称が違うだけでこの世界にも似たようなモノがあるかもしれませんが……」
と翼沙の講釈が詰まってしまった所に静観していたデルタが、何処からかホワイトボードのフリップとマジックを取り出し、何やら書き始める。
ホワイトボードにはこう書かれている。
"赤龍帝の籠手" "魔剣創造" "聖母の微笑"
「……これは?」
「儂、イプシロン。デルタが言いたかったのはあの坊や達の神器【セイクリッド・ギア】を漢字に興すとこうなる。そう伝えたいらしい」
龍悟のデルタの行動に対する意図の解をイプシロンが代わりに答えた。
「ハ~ん、ナンつーかぶっ飛んだ字を充ててんナ」
「儂、イプシロン。この三人以外の神器保有者は今回迷い込んで来た中だと後はギャスパー坊、ヴァーリ坊、曹操坊とヘラクレス坊、ジャンヌ嬢、レオナルド童くらいか」
申一郎の淡白な反応も何のそのイプシロンは続けて今回の客人たるネプテューヌ一行の神器保有者の名を挙げる。
それを受けデルタはホワイトボードへ更に文字を書き足す。
"停止世界の邪眼" "白龍皇の光翼" "黄昏の聖槍" "巨人の悪戯" "聖剣創造" "魔獣創造"
新たに6つの単語が加わる。
「これはまた……何ともバラエティーに富んだ名前ですね。名称からおおよそ能力を察せられるのは聖剣創造と魔獣創造、それに停止世界の邪眼くらいですか」
「これにも正式な呼び方があんのか?」
翼沙が書き足された神器の名称を見て、それらの内からある程度の能力を推測し始める。
そして焔也が管理者達に充てられた字の読みを訊ねた瞬間、デルタが嬉々として目を輝かせ口を開く。
「うむ!まず魔獣創造であるが、これは【アナイアレイション・メーカー】と読む」
「あな……何だって?」
「アナイアレイション・メーカー!」
((長ぇよ!))
焔也、申一郎は魔獣創造の名称を聞いた瞬間、その文字数の長さにゲンなりする。
「何とも……良くもまぁ長ったらしいモノを短い字に纏めたのう」
「呼び方はともかく、能力は文字通りで良いんでしょうか?」
撃鉄が感心とも呆れとも取れる態度でホワイトボードを眺め、翼沙は彼の神器の能力が如何なるモノかとデルタに訊ねる。
「然り、彼の神器は魔なる獣を産み出し、従え、更には敵対者其々に対抗する能力を持たせる事が出来るのだ」
意気揚々語るデルタ、だが龍悟は所有者たる幼い少年を思い浮かべ発言する。
「……しかし、持ち主がああも幼くてはな…。下手をすれば悪人に利用される可能性もある……」
「六角君の言う通り、レオナルド少年はその身に強大な力を宿した未熟な種と言っても過言ではない。だが、彼の側に居る人間はクセは強くとも極悪人では無いよ。まぁ、本来は曹操少年含め英雄派と呼ばれる勢力はテロリストであったのだが、これも世界の在り方の一つと言う事か」
「「「「?」」」」 「……」
シータが龍悟の懸念に答えつつ、レオナルドの仔細を小さく呟く。その言葉は焔也達には聴こえなかったが、龍悟の耳はしっかりと捉えていた。
そんなサロンに結芽を部屋に送り届けた戒将が帰還する。
「随分と盛り上がっているな」
「おっす、おかえり」
「ヨォ。結芽っちに付いてなくてダイジョーブか?」
「今、彼等の神器の話で湧いていた所です」
「……アルファと違い一々茶化さないから、話が進んで助かる……」
「つうてもまだ一つ名前と能力が解っただけじゃが」
その場に居残ったメンバーから次々、言葉が飛び交う。
「成る程。ならば此処からは俺も混ぜてもらおう…さぁ、続きを頼む」
サロンの長椅子に腰掛け講釈に加わる戒将、シータ、デルタ、イプシロンは然りと頷き解説を続ける。
「聖女の神器は文字通り聖なる剣を無数に創り生み出す事が可能だ。読みは【ブレード・ブラックスミス】」
「聖剣とは言っても高名な物を真似るのではなく、完全オリジナルの剣を創るモノだがね」
「儂、イプシロン。割りとオーソドックスなタイプの神器で似たようなのが他にもあるらしい」
三者から次々語られる名称、能力、備考。それらに戒将はほぅと顎に手を当てながら目を細める。
「聖女に由来した能力では無いと言う事か、しかし刀鍛冶とはまた…直球な。それで…先程から気になっていたのだが、黄昏の聖槍とやらはもしや…神の子を貫いたと言う槍の事か?」
「御明察。その名もトゥルー・ロンギヌス…正に今燕君の申した通り、神器の最たる上位種、神滅具…その代名詞にして最高位の聖遺物の一つだ」
戒将が半ば確信を以て断じた答えに肯定を返すシータ。
そしてその反応を聞き翼沙がまさかと驚愕に眼を開く。
「十字教の聖遺物を中国三國志の子孫、それも槍で著名な武将ではなく為政者として高名な曹操の子孫の元に在るとは……あちらの世界の基準はどうなっているんですか!?」
「儂、イプシロン。ぶっちゃけ解らん。十字教の主神……ヤハウェイが世界中の神話、伝記、逸話の武具、防具、器物なんかを無節操に己のシステムに取り混んだのが原因としか言えない」
イプシロンが彼にしては珍しく苦々しい顔で言葉を紡ぐ。
「正しく、十字教の宣教に際し行われた土着信仰に対する弾圧の如く…か。ギリシャ神話、北欧神話、ゾロアスター等、当時弾圧され悪魔に貶められた神々と同様に神器とやらも十字教の枠組に納めた結果が皮肉にも最たる聖遺物を無関係の傑物が手にしたと言う訳だ」
老人の苦渋に戒将は深く頷き自らの知識を元に結論を導き出す。
その後も管理者達の講釈は続く。
ギャスパーの停止世界の邪眼【フォービトゥン・バロール・ビュー】やヘラクレスの巨人の悪戯【バリアント・デトネイション】ヴァーリの白龍皇の光翼【ディバイン・ディバイディング】
といった残る神器の呼称や能力。
邪眼は文字通り、視界に入ったモノの時間を停止させると言う代物。悪戯は攻撃で接触した箇所を爆発、光翼は力の半減と吸収と言った具合にダグオン達へ異邦人の持つ力を解説していく。
「なるほどねぇ、俺らが戦って来た囚人達より厄介な能力もあるな」
「……時間停止が我々からしてみれば厄介なモノだろうな…」
「う~む、爆発だの剣だの槍だの獣だのは力づくでやればまぁ何とか出来るが、吸収半減とやらと停止、回復治癒辺りは敵に居たらキツいのう…」
「ですがあの時、ルシファー君の神器の能力でも星人の張った壁を無力化する事は出来なかった……つまり」
「連中にはより厄介な能力を持った者も居ると言う事か」
「かー!メンドクセー!!マジでよく捕まえられたな宇宙警察」
若者達が各々意見を飛ばし合う横で、管理者達はボソボソと…今度は龍悟にさえ聴こえない様に短音に込めた思念波で語り合う。
≪ああは説明したが、今までのモノは飽くまで彼の神器が通常状態で能力を発した場合だ≫
≪うむ、神器の更なる力を解放せし禁手化、或いは亜種禁手化。此については講釈を省いてしまった≫
≪儂、イプシロン。まぁ今のD×D連中がどの辺りまで力を使えてるのか分からない以上、こっちの坊達を混乱させる事も無いじゃろうて≫
彼等は語らう。神器の遥かな可能性による強大な力を……。
そしてこの世界に迷い混んだ者達は果たしてどの程度まで力を制御出来ているのかを──
一方、アルファによってダグベース内を案内されているネプテューヌ達も目の前を先導する少年にこの世界の事を詳しく訊ねていた。
「ねぇねぇ、さっき自己紹介の時、青い人……確かかいしょーくんだっけ?その人が言ってたゴカデンって何?」
ネプテューヌが戒将の発言に混じっていた単語をアルファに問う。
「そう言えば…私達が遭遇した制服の女性達も名乗ってました」
ネプテューヌの言葉で小猫がミルヤの事を思い出す。
「んふふ、よくぞ訊いてくれたね!まず伍箇伝の説明の前に刀使に関して教えなきゃね!」
アルファが語らう刀使の歴史。
刀使とは珠鋼によって造られた特別な刀剣、"御刀"を振るう巫女であると言う事。
御刀は決して折れず錆びず、欠けず、といった特徴を持つ事。
刀使の使命は荒魂と呼ばれる怪物を祓い清める事。
古くは戦国乱世よりも前に存在していた事。
そうして今の時代までに受け継がれている事等を説明する。
「それで伍箇伝は文明が現代基盤に至った時、現在の刀使の大元締たる折神家が日本全国に五校設置した中高一貫の特別な訓練校の事さ。伍箇伝に所属する刀使はそのまま刀剣類管理局に属する事になる。管理局は警察組織だから彼女達は学生であると同時に公務員としても扱われる訳だね!」
「へぇ、私達で言う所の教会所属のエクソシストに近いのかしら?」
イリナが己の知識から最も身近な例えを出す。
「当たらずも遠からずかな」
「だが、この基地に居る彼等は男性だ。刀使とやらは巫女なんだから男はなれないのだろう?」
ゼノヴィアがふと疑問を呈する。
「簡単さ、刀使以外にも伍箇伝には役割があるんだ。本人達が自己紹介で言っていたろ?刀匠、技巧、警邏、研究、神職って」
「なるほど……前線で戦う刀使の方達以外にもサポートする役職の方達が居るのですね。彼等はソレだと」
朱乃が得心が言ったと言う顔でアルファに確認を取る。
「その通り、伍箇伝の内三校は共学だからね!あの子達はそこからボクが選んだのさ!」
「三校?では残りは女子高なんですか?」
祐斗が当然の疑問を挟む。
「焔也君の美濃関学院。龍悟君、撃鉄君の平城学館。戒将君、申一郎君、翼沙君の綾小路武芸学舎の他、鎌府女学院、長船女学園って言うのがあってね。君達が会っただろう刀使の特徴…覚えてる?」
対しアルファはあの時あの場に居た刀使の事を記憶しているかと問い返す。
「確か……赤と白の制服が三人、黒っぽい緑色の制服が二人、明るいカーキ色の制服が一人、白い制服が一人、オレンジで胸元の白いブラウスが目立つ制服が三人だったかしら」
それに刀使と遭遇した組の面子であるジャンヌが自身の記憶を探る様に呟く。
「うんうん。赤白は美濃関。黒淡緑が平城。カーキが鎌府。白が綾小路。そんで最後オレンジが長船だね」
ジャンヌの答えに満足したのか頻りに頷くアルファ。
「成る程な、確かに言われて見れば彼等の制服も先に挙げられた刀使なる少女達と似通った部分がある」
曹操が変身を解いた際のダグオン達が着ていた服装を回顧する。
「ブレザー、学ラン、白ランだったな。あの撃鉄とかって奴は他と着こなしが違ってたが」
ヘラクレスが撃鉄の番漢姿をその様に評した。
「撃鉄君は元々、伍箇伝の生徒じゃなかったからね。ダグオン(正確には見習いになった時)に選ばれた時転入したんだよ」
「三年生から転入なんて大変ね」
「まぁその辺は特殊な学校だからある程度知識なりがあって入学の意思があれば通るもんなのさ」
アルファがそう締めれば皆一様にふーん等と返事を返す。
「あの…アルファさん、では荒魂とは何なんでしょうか?」
アーシアが次に荒魂について訊ねる。
「荒魂ね、荒魂は珠鋼を御刀に精製する過程で生まれた砂鉄に含まれる不純物"ノロ"が結合する事で誕生する怪物さ。君達の世界で言う怪異あるいは妖怪もしくは物の怪、幽霊がこれにあたるね。こっちの世界の日本ではある特別な事例を除きほぼ全ての妖怪や怪異の伝承の正体が荒魂って事になる」
アルファは少女の問いに詠うようにさらりと言ってのける。
「私達の世界とは大違いね……」
リアスが自らの住まう世界の妖怪達を回想しながら相槌を打つ。
「で、君達が来るつい最近までこっちの世界のこの国じゃあちょっと大変な事件があってね。本来伍箇伝は対応地域が決まってるんだけど、今はのっぴきならない事情で担当に関係無く混成部隊で活動しているんだよ。もし気になるようなら、此方のネットで軽く検索してみるといいよ」
そう語るアルファの頭の中は折神家襲撃事件、世間では【鎌倉特別危険廃棄物漏出問題】と言われる出来事を回想する。
「あのぅ…肝心なこの基地とかあの人たちの事とか、悪い宇宙人の事がまだなんですけど……」
そこへギャスパーがおずおずと手を挙げながらアルファに問い掛ける。
それを聞いた瞬間、アルファが不敵に笑い始める。
「ふっふっふっ……よくぞ訊いてくれたね♪待っていたよその質問!」
バッと振り返り大仰なリアクションを取るアルファ。質問したギャスパーが思わず怯む。
「まず、この世界には本来ダグオンは存在しなかった。だけど!ベータの奴がボクが管理する世界の一つから極刑を受けた宇宙の凶悪犯罪者達が拘留されてる巨大衛星監獄エデンをこの世界に誘導したんだよ!するとこの世界の宇宙進出技術はおおよそ他の世界の現代日本と変わらない。いや技術的には実は結構進歩してるんだけど……扱う人間がそれを十全に理解仕切れてない、するとどうなると思う?簡単さ!囚人達の手によりこの星は瞬く間に滅ぼされる。そうなれば特異点が消える訳だから文字通り"世界"が消失する。そんな事を黙って見過ごす訳にはいかない!いかないよね!?だからボクは決心したんだよ!この世界を守らなきゃって!だからベータがエデンを持ってきた世界からブレイブ星人の魂と宇宙警察機構の技術を持ってきて、対抗策を講じたのさ」
そう長々と語って一瞬息を吸うと彼は力強く宣言する。
「つまりあの緑色の全身タイツみたいな人も異世界人?」
ネプテューヌがホログラフィーのブレイブ星人を思い起こしながらアルファに問う。
「ま、異世界人っちゃ異世界人だね、死んでるけど」
「えぇ?!死んでるんですかぁ!?」
最後にボソッと加えられた一言にギャスパーが怯む。
「焔也君達、この世界のダグオンとは別に元々ブレイブ星人が居た世界にもダグオンが居たのさ。あ、ここトイレね」
説明を続けながらさらっと施設を案内するアルファに彼女彼等も調子が狂う。
「ブレイブ星人の居た世界では宇宙監獄サルガッソーが宇宙嵐の事故で囚人達に乗っ取られて、ブレイブ星人はそれを追っていたんだけど…向こうの地球をサルガッソーの囚人達が侵略し始めて、ブレイブ星人ってば現地の高校生を適当にダグオンに任命しちゃってね。ま、彼等はそれでも最後までサルガッソーの宇宙人達と戦い続けて勝利したんだから凄いよね~!」
ご機嫌に語るアルファの背中を眺めながら朱乃は彼に質問を飛ばす。
「その口振りですと貴方は意図して彼等を選んだのですか?」
「そだよ。少なくとも撃鉄君を除く五人はボクが観察した上で選んだ意思と覚悟を持った者さ。撃鉄君もそうだったのは儲けモノだけどね♪」
「ほう?彼等は皆、共通の意思と覚悟があったと?」
ヴァーリがアルファに対し猜疑を込めた声で確認を取る。
「焔也君も戒将君も、申一郎君、翼沙君、龍悟君も刀使とは深い関係や立ち位置にいて、自分が無力な事に心の底で憤ってた。ま、決め手は荒魂に襲われていた子供を一心に助けようとした時だけどね。何はともあれ紆余曲折あったりしたけど……彼等は見事に今日まで異星人との激戦に勝利してきた、ボクの期待以上に」
再び振り返った少年の笑顔、その瞳に一瞬狂気が見えた気がしてすぐ近くに居たアーシアは息を飲む。
「その、意思と覚悟だけで彼等を選んで戦いに巻き込んだの?」
「後は名前かな…?戦う意思と、恐怖に負けない覚悟も大事だけど、やっぱり名前は重要だよ」
今度はリアスから振られた質問に八重歯を覗かせ意気揚々答えるアルファ、その顔には狂気など見え隠れしている様子は無く、心優しき少女は先程のモノは見間違いだと己に言い聞かせる。
「名前?それって重要なの?」
ネプテューヌがほんのちょっと、明日の天気を訊ねるくらい適当な気持ちでそれを口にした途端アルファは立ち止まりガバッと勢い良くネプテューヌに接近する。
「重要!超重要!!もし前者の条件を満たしていても、名前がダメだったらご破算なくらい重要なファクターなんだよ?!」
よく漫画で見られる顔がでかくなるデフォルメを比喩にするくらいの勢いである。
「えーっと……何でなの?…後、ネプテューヌが引いてるから」
イリナがアルファを引き剥がしながら疑問を振るう。
「簡単さ!元の宇宙警察機構があった世界の地球のダグオンも高校生だったのは説明したよね?で名前がファイヤーエンは大道寺炎、ターボカイが広瀬海、アーマーシンが沢邑森、ウイングヨクが風祭翼、シャドーリュウが刃紫竜、ドリルゲキが黒岩激って、それぞれに変身前の名前があってね!」
語られる別世界のダグオンの名を聞き、一行はまさかと一斉に思う。
「まさかとは思うが……鳳、燕、鎧塚、渡邊、六角、田中氏を選んだのは……その元々の世界の彼等同様の字が入っているからなのか!?」
ゼノヴィア、思わず声に出してしまう。
「?そだよ、それ以外に無いじゃん!」
その、何当たり前の事を訊いているの的な態度を見て、皆、この世界のダグオンである彼等に同情を禁じ得なくなった。
因みにアルファは語らなかったが、嘗てその地球で活動していたダグオンは7人、最後の1人サンダーライと呼ばれた戦士が居たのだが、現時点で此方の世界では候補が見付かって居ない為にアルファ自身も教える必用無しと判断したのである。
そしてアルファも知らぬ事であるが、この世界の衛藤可奈美の兄の名は……これをこの管理者が知るのはまだ先の事であった。
何は途もあれ、一通りダグベース内を案内していると通路の対面側からゼータに連れられたネプギアと遭遇する。
「あ!良いところに来たし。アルファ、選手交代ね。アタシじゃ専門的な事解んないし」
どうやらゼータはネプギアにねだられラボ区画とメンテナンス区画を案内して来た様だが、彼女は担当世界的に知識が足りない為、ネプギアの満足がいく解説が出来なかった様だ。
「フフーン!しょうがないなぁ。ま、ボクに任せなよ!!」
アルファの軽くウザいどや顔にゼータの笑顔に十字型の血管が浮き出たが、当のアルファ本人は気付かない。
「さぁさぁ、じゃあここからはボクが案内してあげよう!着いて来たまえネプギアちゃん!」
「ア、ハイ」
少年はネプギアを連れ、彼女がゼータと共に来た道を辿る。
残されたゼータとネプテューヌ達はそれを見送り──
「ぢゃ、一回、ダグメンズのとこ戻ろっか?」
ハイライトが消えたゼータの薄ら笑いにこくこくと頷きながらサロンへ向かうのであった。
三種の神器の話で夜桜四重奏を思い出したシリウス本誌読者(立読み勢)。
焔也的にはゲーム知識。戒将は勉強と本の知識。申一郎は女の子と話を合わせる為の引き出しの1つ、翼沙も勉強と本の知識、龍悟は世間一般的程度の知識、撃鉄は神職に携わる者としての当然の知識。
そんな知識の差具合です。
そしてその頃の雷火、あっち側の世界で迷子継続中。
ではまた次回