Fate/Grand Order 亜種特異点OOO:欲望解放領域 オーズ 作:banjo-da
いや、ホントめちゃくちゃ間空いてしまいましたね…。お待たせして申し訳ありません。もう需要あるかは分かりませんが、また少しずつゆっくり、ゆっくり(ここ重要)進めて行きますのでお付き合い頂ければ幸いです。
「セイヤーー!!!」
三色の輪を潜り抜け、オーズのキックがシャムネコヤミーを貫く。
セルメダルを撒き散らして爆発するヤミー。幸いにもウヴァからトラメダルを受け取っていたお陰で、宿主は既に救出済みだ。アタランテと美遊のサポートも有り、比較的厄介なこのヤミーも対処自体は容易だった。
ただ、トラクローで地道にメダルを剥がしていかなければならなかった為、酷く時間が掛かってしまったのは痛手だ。
変身を解除した映司は、彼等を観測しているであろうカルデアに向け慌てて話し掛ける。
「ごめんなさい!遅くなっちゃった!!立香君達の所に急いで向かいます!」
美遊がヤミーの宿主に治癒魔術を施したのを確認すると、彼等は急ぎ合流地点へと駆け出す。
だが、カルデアから返ってきたのは思わぬ返答。
『その事だけど…何とかなったみたいだ。だから、うん。今の所は大丈夫!』
「───え?」
『と言っても、私も確認したい事だらけなのさ。焦らなくて良いので、安全第一で藤丸君達と合流してくれたまえ。』
予想外の内容に困惑し、顔を見合わせる三人。ともかく、何が起きてるかは実際に目にするまで分からないだろう。
戸惑いつつも、彼等は合流地点を目指す。
「何とかなったって…ヤミーを倒したって事かな…?」
「分からん…。だが、あれはマスターやグリードの様なメダルの力を扱う者にしか倒せぬのだろう?以前私もガメルのヤミーと手合わせしたが…実力は兎も角、コアメダルを得てない私では倒せなかった。実力は兎も角。」
「いや、そこ主張しなくてもアタランテさんが強いのは知ってるからね…?」
フンと鼻息鳴らし、若干不服そうに告げるアタランテ。そんな彼女に苦笑しつつ、映司はフォローを入れる。
そうこうしている内に合流地点へ辿り着くが、辺りを見渡しても誰も居ない。
「……あれ?まだ来てないのかな…?」
「場所は合ってる筈。ダヴィンチ、これはどういう事?」
『あ、大丈夫大丈夫!もう直ぐそこに────』
「火野!」
ダヴィンチちゃんからの通信を遮り、横から響く男性の声。
美遊もアタランテも聞き覚えの無い声だったが、映司だけは異なる反応を見せた。
顔を強張らせ声の方へと振り向く映司に倣い、二人も其方へ視線を向ければ。
「火野ォォォ!!!!」
「ご、後藤さん!?」
此方へ向かって来る立香達と、そんな彼等を置き去りにして全力ダッシュして来る男性の姿。
癖毛と生真面目そうな顔付きが特徴的な、映司と歳の近そうなその男性は。
「火野ォォ!お前って奴はッ!!!」
「後藤さん、無事だったんで───へぶっ!?」
────ドン引きする美遊とアタランテを他所に、その勢いのまま映司目掛けてドロップキックを喰らわせた。
◆
「痛たたた……。」
「……しっかりしろマスター。ほら、終わったぞ。メディアやアスクレピオスと違って、私は治癒に関してはからっきしだからな…後に響く様な怪我が無くて幸いだ。」
「ありがと…アタランテさんは手当てしなくて平気?」
再び拠点へ戻った一同。現在そこに集まって居るのは映司、立香、アタランテ、美遊の四人。
事務所のパイプ椅子に腰掛け、上半身裸の姿で映司は溜め息を漏らす。
その体の所々には包帯や絆創膏、湿布が貼られている。アタランテが手当てを施した痕跡だ。
「私達サーヴァントの負傷は、魔力供給で自然と治癒するから気にするな。マスターが私と縁を結んでくれた時点で、私を手当てしてくれたようなものだ。
───そもそも、如何にマスターと言えど私が肌を簡単に晒すとでも?」
「あっ…ご、ゴメン!そうだよな、俺みたいな素人より、ちゃんと知識有る人にやってもらわないと。」
「……そういう意味では…いや、こういう男なんだったなマスターは。」
本心なのか敢えてはぐらかしたのか、何れにせよトンチンカンな答えを返す映司に、アタランテは呆れた様に肩を竦める。元々野生の狩人…獣としての側面を持ち、人の美醜感覚に然したる興味を持たない彼女ではあったが。男女の空気が微塵も流れなかった事には、流石に少し複雑な気分にもなる。
そんな乙女の感情を軽く頭を振って払うと、不思議そうに小首傾げる映司へ問い掛けた。
「それで…改めて説明して欲しい。マスター、あの後藤とか言う男は…。」
「あ、うん。あの人は後藤さん、俺の仲間です。さっき行った鴻上ファウンデーション……まあ、何故か廃墟になってたんだけど。あそこには本当は大きな会社が在って、後藤さんはそこに所属する仮面ライダーなんですよ。」
「仮面…ライダー。」
夢の世界であの青年が口にした単語。
その言葉から自然と夢で見た光景を思い返してしまい、無意識の内に彼女の表情が強張る。
だがそんな事など微塵も知らぬ映司は、アタランテの変化を異なる意味で捉えた。
「ああ、ごめん!仮面ライダーってのは、俺達変身してグリードと戦う戦士の事だよ。もっとも、世の中には他にも色んな仮面ライダーが居るらしいけどね?」
「へぇ…そんなに沢山、グリードと戦う人達が?」
横で話を聞いていた立香が、興味津々といった様子で問い掛ける。
「いや、俺達の敵はグリードだけど…他のライダーの敵もグリードとは限らない。…例えば前に出会ったのは、ドーパント?って怪人と戦う探偵さんだったな。」
「つまり、正確には…怪人と同じ力をルーツとしながらも、人々の為に怪人と戦う戦士の事…それが仮面ライダーだな?」
映司の話を簡潔に纏めるアタランテ。彼女自身は何気無く呟いたつもりだったが、その言葉に映司は驚きに満ちた表情を浮かべた。
「え?な、何でそこまで分かるの!?確かに探偵さん…ダブルも、そのドーパントって怪人も同じ力を使うらしいけど…。」
「……勘だ。汝も、バース?というライダーも、メダルを使うのだろう。そして敵はメダルの怪物、何と無くそう思ったに過ぎないさ。」
思わぬ所で口を滑らせてしまったらしい。まさか夢の中で他のライダーに教わったとも、多分その『仮面ライダーダブル』も知ってると思うとも言える筈が無く、彼女な曖昧な言葉で誤魔化す。
幸い映司も納得したらしく、特に突っ込んで来なかった事に安堵した。
「…それで映司さん。話が逸たけれど、何で後藤さんの事は教えてくれなかったの?他にライダーが居たなら、もっと早く協力し合えたのに。」
事情を知る美遊も、内心では若干焦りつつ。何とかこれを隠し、話題の方向修正を図る。対する映司はというと、困った様に首を傾げていた。
「いや…隠してたとかじゃないんだ。ていうか、俺自身よく分かってないんだよね。後藤さんも伊達さんも───もう一人バースに変身出来る人の事ね?二人とも連絡取れなくて…ていうか二人に限らず俺の仲間達全員行方不明?みたいな状態で…」
「─────何を馬鹿な事言ってる。行方不明だったのはお前の方だぞ、火野。」
「そうそう。ったく…皆どんだけ心配したか分かってんのか?」
美遊と映司の会話に割り込む二人の男性の声。
そこには、オルタやイリヤ、ハサンと共に戻って来た後藤。そして映司にとっては初めて見るアロハシャツ姿の男クー・フーリンと、逆に映司以外は初めて会う男性の姿が。
「伊達さん!!良かった…伊達さんも無事だったんですね!」
「だからぁ…そりゃ、こっちの台詞だっつってんだろ。お前、マジでどうしちゃったワケ?」
安堵の表情で彼等を迎え入れる映司。対する伊達はと言えば、そんな映司に戸惑いを隠せない様子。
「まあ落ち着けよオッサン。その辺の事情確認する為の合流だろ?」
「大体、こっちもあんたらの事知らないし。そこの信号機男がまーーーた隠してたのか知らないけど、もういい加減慣れたわ。とっとと話終わらせて、あのクソ猫燃やしに行くわよ。」
伊達と共に帰還したランサーとオルタが、二人の会話に制止をかける。
ランサーはケラケラと笑いながら。オルタは相変わらずの仏頂面で手近な椅子に腰掛け、二人して立香と映司へ視線を向けた。二人に倣い、他のメンバーも次々に手近な場所へと腰を下ろし。
彼等の視線を受け、先ず映司が言葉を切り出した。
「えっと…俺がこの異変に気付いたのは、立香くん達にも話した通り数日前。そろそろ一週間…って所かな?と言っても、俺が覚えてる範囲では…なんだけど。」
「覚えてる範囲?」
「最後に伊達さん、後藤さん…それに此処には居ない仲間達と会ったのは多分もっと前だと思うんだ。"世界の終末"───真木博士の計画のせいで暴走し、グリードですらなくなったメダルの怪物が、この世の全てを呑み込もうとした。俺達はそれを止める為、全員で力を合わせて立ち向かった。」
「槍の兄さん以外、お前らも真木博士には会った事有るんだろ?あのドクター、根は悪い奴じゃあ無いと思うんだけど…ちょいとばかし、とんでもないド変態でさぁ。"世界は生きている限り、段々と醜くなっていく。だから美しい内に滅びるべき"…って持論で、終末こそ一番美しい世界の形だと思ってるんだと。ったく…全部が全部間違ってるとは俺は思わないけど、にしても結論が極端過ぎるってぇの。」
首を傾げるイリヤに、補足説明を入れる映司と伊達。何だかなぁ、と頭を抱えて渋い顔の伊達とは対称的に、話を聞いたカルデアの面子は驚嘆に満ちた表情を浮かべている。
「それ、普通に悪い人では…?」
「いやいや!槍の兄さんに聞いたぜ?君達だって、世界を救う為に色んな所旅して来たんだろ?
───悪人は一人も居なかったか?不条理を感じた事は無かったか?お前らは本気で、
「それ、は…。」
ぽつり、呟いた立香に待ったを掛ける伊達。確かに彼の言う通りなのかもしれない。
大本は魔術王の企みとはいえ、様々な特異点で悪意に満ちた者達とも戦ってきた。セプテムやキャメロットの敵達の様に、一言で悪と断じる事も出来ない存在も多く居た。けれど…アガルタで戦ったあのライダーや、下総国で相対したあのリンボの様に、悪意に満ちた敵も居たのは確かだ。
─────それでも。
「それでも…良い人達も、美しい物も沢山有った。優しい人達だって大勢居た。どんな特異点でも、皆必死に生きていた。それを無視して、勝手な理想で世界を滅ぼそうとするなんて…間違ってる!」
悩みながらも精一杯足掻き続けた彼は、伊達を真っ直ぐに見据えて言う。
対する伊達はといえば。
「だよな!よーするに、そこが君達とドクターの差だ。」
その答えに満足げな笑みを浮かべて見せ。思わぬ反応に戸惑う立香へ、落ち着き払った声音で語る。
「あの人は根っからの悪人じゃあ無い。あの人なりに良かれと思ってやってる。……何が有ったのか、とうとう聞く機会は無かったんだけどさ。多分、ドクターだって君達みたいになれたかもしれない。
───けどアイツは折れちまった。藤丸ちゃん…お前みたいに、苦しくても希望を信じて進むって事を放棄しちまったんだ。……だから忘れんなよ?今のその気持ちは大事なモンだ。結構グッと来たぜ~!」
伊達はその強面に見えなくもない顔に、とびきりの笑顔を浮かべてサムズアップして締め括ると。
「で?火野、その後お前は何してたんだ。」
表情を引き締め直し、映司へ続きを促す。
それを見守る後藤や美遊、アタランテの顔付きも険しい。無論立香達も神妙な面持ちではあるが、映司の本性を知る者達はその顔に幾ばくかの心配が滲み出ていた。
「……気付けば、俺は最後に戦った場所に転がってました。アンクと…アイツと一緒に、真木博士と戦った場所に。町に戻ってから確認した日付では、あの戦いの二日後…つまり、二日近く気を失ってたみたいです。ただ…。」
「ただ?」
「ダメージが大きかったせいなのか、あの日のから暫くの記憶が曖昧で。皆に会おうとクスクシエにも行ってみたけど、誰も居なかったし。ホント、皆を置いて俺一人町に残ったみたいな状態になってて。」
「───待て火野。それはおかし…」
「後藤ちゃん、ストップ。俺も気になる所は有るけど、先ず全部話を聞いてからだ。途中で議論してちゃ先に進まなくなっちまうからな?」
その場に立ち上がり、映司へ待ったを掛けようとする後藤。そんな彼を伊達が片手を挙げて制する。
そんな彼の意見に後藤も納得し、ゆっくりと着席し直す。
「…すまん。火野、続けてくれ。」
「あ、はい。えっと…それで、どうしたもんかと困ってたんですけど、俺自身のやる事は変わらない。だから俺は、あの日の戦いの結末とか、その後メダルがどうなったのかとかを調べてたんです。そんな中で…」
『復活したグリードや、聖杯戦争の事を知ったワケか。うん、一応話の筋は通ってる。所々記憶が曖昧って箇所に、情報の補填が欲しい所だけどねー。』
通信越しにダヴィンチちゃんが映司の話を締め括ると、彼もまたその言葉に首を縦に振る。
話を全て聞き終わり、顰めっ面で考え込む伊達と後藤。
そんな彼等に、立香は恐る恐る問い掛けた。
「あの…伊達さんも後藤さんも、どうしてそんなに納得してない感じなんですか?行方不明だったのは、映司さんが意識失ってた期間があったからで…そのクスクシエ?って所に行った時は、たまたますれ違ったとかでは…。」
「コイツ、パンツとメダル以外最低限の物しか持ってないしね。携帯も無いんじゃないの?」
「うん、持ってないよ。一応公衆電話使ったり、カンドロイド───お助けメカみたいなやつね。これ使ったりはしたんだけど。」
「いや本当に持ってないのかよ!?お前さん、この時代の人間にしちゃ変わってんなぁ…。」
揶揄い半分のオルタの言葉。然し映司が大真面目な様子で頷くものだから、思わずランサーは突っ込みを入れる。
だが、そんなやり取りに後藤は"そうじゃない"と首を横に振った。
「違うんだ。確かに奇跡的に運が悪ければ、藤丸くんが言ったみたいな状況も起こるかもしれない。けどそうじゃない。」
「連絡にしたって…俺はともかく、後藤ちゃんや比奈ちゃんがそう何度も出ないハズが無い。真面目の塊みたいな子達だぜ?それが繋がらないって事は、何らかの不調が有ったって事だ。」
困り顔の後藤と、大きく溜息を漏らす伊達。二人は暫し思案した後、互いに顔を見合せて。軈て後藤がゆっくりと口を開く。
「……結論から言う。俺達は誰も、お前からの連絡を受けてない。もっと言えば……。
居たんだよ。お前が戻ったという日に、俺達全員クスクシエに。────────けど誰も、お前に会ってないんだ。」
次回、仮面ライダーオーズ!
「メズールさん、貴女にはエロスを極める素質が御座いますわ。────申し遅れました。私、殺生院キアラと申します。」
「ガメルの教育に悪いから帰ってくれない!?」
───そのコンボは危険だ!
「ハッハッハ三匹目フィーーッシュ!!」
「さあ、お姉ちゃんが行きますよ!!」
「水着と言えばメイド。覚悟しろ御主人様!!」
「ここが…カルデア…!」
「いやそうだけどそうじゃない!!!」
───訪問のタイミングを間違えた映司!!
『というかもう九月ですよ。』
「ちゃんと宿題はやったか?最終日に絵日記残すとワンダー地獄だぞ!」
「この銀ピカの人誰!?」
────そして現るワンダーな戦士!!
次回、『水着とイベントと落ちない礼装』!