Fate/Grand Order 亜種特異点OOO:欲望解放領域 オーズ 作:banjo-da
しっかり進めてもう今頃ラストの話とかやってるつもりだったのに…リュウソウジャーの話とかもやりたいとか思ってたのに、リュウソウジャーどころかキラメイジャー終わっちまったよ。時間の流れって早いですね。
鍋と食欲と明かす者
これまでの三つの出来事。
一つ。ガメルはアーチャーのサーヴァントであるアタランテと共に映司達と対立するが、復活した真木の手によって滅ぼされた。
二つ。美遊・エーデルフェルトは仲間になったアタランテと共に、謎の仮面ライダーに導かれ映司の過去を知る。
そして三つ。映司達と合流した伊達、そして後藤の口から告げられた事実により、映司に関する謎が深まった。
映司とカルデア。真木。そして残るグリード達。各々の思惑が絡み合い、物語は加速し始める。
……無論、私は表舞台に上がる事は無いがね。あくまで中立の傍観者として、彼等の行く末を見届ける。それが私の務めなのだから。
◆
ぐつぐつと煮込まれる多種多様な素材達。
ほぼ茶色一色に染まった鍋からは鰹出汁の良い香りが漂い、周囲の者達の食欲を刺激する。
「さあ、食え食え!伊達さんお手製おでんだ!大根こんにゃく玉子がんも、しらたき厚揚げはんぺん巾着!お嬢ちゃん達にはウィンナーやロールキャベツも有るぜ!」
─────おでん。
夏のこの特異点では季節外れも良いところ。おまけに彼等が拠点として使っている廃工場事務所内、当然空調も使えない密室に大人数集まった状態なので暑い事この上無い。
「いやもっと他に何かあるだろ。何でこの状況でチョイスがおでんなんだよ。」
「俺の好物で十八番だからな!そう言いながら槍の兄さんも大根めっちゃ食ってるじゃないの!」
呆れた様子で突っ込むランサーに、良い笑顔で応える伊達。他のメンバーも困惑気味な中、苦笑しつつ後藤が口を開く。
「正直、この暑い中でのおでん…チョイスには少し俺も思う所は有る。だが、伊達さんのおでんの味は確かだ。それに君達、こっちに来てから殆ど何も食べてないのだろう?」
一応、立香の手元にはカルデアから持参した補給食は残っている。とはいえ、まともな食事と言えば最初に映司とファミレスで食べた物以来だ。それを思い出すと立香は急に空腹を覚え、遠慮がちに鍋へと手を伸ばした。
「……!美味しい…!」
味のよく染み込んだ具材は、咀嚼すると容易く崩れて口内を旨味と程良い塩気で満たしていく。一口目以降、立香の箸は止まらなくなった。
そんなマスターの姿につられ、イリヤと美遊も箸を手に取り鍋を囲み始める。
「……!…これは…。」
「!お、美味しい!これすっごく美味しい!お兄ちゃんやエミヤさんに負けないくらい美味しいかも!」
「ははっ、気に入って貰えたなら良かったぜ!腹が減っては戦は出来ぬ、だからな!生身の藤丸ちゃんはちゃんと飯食わねぇと元気出ないし。サーヴァント?の皆は飯要らねぇらしいが食えないワケじゃ無いんだろ?」
『オルタさんは食べないんですか~?お箸使えないならスプーンも有りますよ?』
『姉さん、スプーンだと少々取り辛い物も有ります。ここは、フォークの方が良いかと。』
「黙りなさいポンコツ共。折って粉々にして鍋にブチ込むわよ。」
一部煽りや過激な発言も出てるものの、概ね穏やかな一時。課題や突き止めるべき謎も多いが、皆がひとまず体と心をリフレッシュさせる中で。
アタランテは一人部屋の端で考え込んでいた映司に気付く。
「マスター。汝も輪に加わったらどうだ。問題は山積みだが…どのみち今考えても仕方無い。これからその解決の為に動くのだから、今は腹を満たしておかねば体も、気力も持たないぞ?」
アタランテの呼び掛けに顔を上げる映司。だが彼の浮かべていた表情は苦笑気味だ。
「ありがとう、でも大丈夫。俺、今少し食欲無くて…。」
「……それは、心労のせいか?悩んでいても仕方無い、と簡単に割り切れ無い事も有るだろうが…無理にでも何か腹に入れておかねば。」
「それも有るけど、元々近頃あんまり食欲湧かないんだよね。心配しなくても、後で何か……」
「─────それはお前の中の紫のメダルのせいか?火野。」
掛けられた声に二人が顔を向ければ、険しい顔の後藤と美遊が。
「……どういうこと?」
怪訝そうに聞く美遊に、後藤は少し迷った後ゆっくりと口を開く。
「…君達も知っての通り、火野の中には紫のコアメダルが宿ってる。そのせいで、肉体のグリード化が進んでるという事だ。」
「ちょ、後藤さん!俺は別に…!」
「気付かないとでも思ったか。心配を掛けまいというお前の考えは尊重したいが、お前は絶対に自分からは言わないだろう?彼等はもう仲間だ…お前のその秘密主義がどれだけ比柰ちゃんを心配させたのか、もう忘れたのか?」
慌てて否定しようとする映司に、ぴしゃりと厳しい口調の後藤。彼等のやり取りに、不安げにアタランテが口を挟む。
「ガメルは…食事を楽しんでいた様に見えたが。どういう事だ。」
「グリードは欲望だけは巨大だが、それを感じ取る感覚が酷く脆弱だ。味なんて殆ど分かっていないと思う。…それでも、だからこそ刺激を求めている。殆ど分からないながらも僅かに感じ取れる味、食感、温度。元からグリードならそれでも僅かに満たされるかもしれない。
───だが、火野は人間だ。急激な変化でそんな状態に陥れば、それまでとのギャップで食欲が落ちても何ら不思議じゃ無い。」
ずっと美味しく食べてきたものが、急に味の無い何かに変わってしまう様な感覚。この場で映司以外にそれを体験出来る者は皆無だが、想像を巡らせば確かに食欲が落ちるのは容易に理解出来る。
まして彼が抱く欲望は"力への執着"、その一点に集約されている。ならば、グリードへ変わりつつあっても食欲が落ちる…という現象に矛盾は生じない。
「いや、違いますって!俺は大丈夫!ただの不調だからそんなに心配しないで平気ですよ!」
それでも尚、笑って誤魔化そうとする映司。だがプトティラコンボの暴走を目にした今、美遊もアタランテもその言葉を素直に受け入れるのは無理があった。
「……分かった。納得はしていない。だが、マスターが単なる不調だと主張するなら、尚更栄養補給は必要だろう?カルデアのマスターに後で補給食を貰っておくから、必ずそれは食べておけ。良いな、マスター。」
困った様に嘆息しつつ、妥協案を提示するアタランテ。本当に僅かな付き合いだが、こうなっては彼は素直に認めたりしないだろう。
ならいっそ、という感覚だ。味覚が落ちて食欲が湧かないなら、味より栄養価の高い物を優先した方が良いという判断でもある。
「これ以上の譲歩は出来ないぞ。アスクレピオスなら今すぐ点滴でも打つべくマスターを取り抑えてる所だ。……汝が栄養失調で倒れて、サーヴァントである私にも共倒れしろと言うなら話は別だが。」
「いや、そんなつもりは…!……分かった、ありがとうアタランテさん。」
漸く首を縦に振った映司を、三人は酷く不安そうな表情で見詰めていた。
◆
「今度こそ、美しいままに世界を終わらせる。我が宿願、私の願う最も美しい世界の形…。」
古びた洋館の中で、男は独り呟く。
何の因果か、一度は阻まれた計画を完遂する機に恵まれた。その為の力も、道筋も既に手にしている。未来から来た邪魔者達は倒す迄も無い。自らの邪魔をする者には容赦はしない────だが、彼等もまた世界をより良く、美しくするべく戦い続ける者達。自分の信念、進む道とは決して相容れぬ相手ではあるが、その一点は認めている。
ならば彼等もまた、その美しく魂を失う前に"終らせて"やるべきだろう。自身の前に立ち塞がれば滅ぼすのもやむを得ないが、別段躍起になって排除したい訳では無い。叶うなら、美しくままの世界と共に消えていって欲しいものだ。驕りでも嘲りでも無く、世界を導く者として純粋にそう思う。
「─────いや、清々しいまでの有難迷惑だよ。大きなお世話とは言うけれど、流石に世界規模となると脱帽だね。僕には関係無いが。」
咄嗟に声の方へと振り向きつつ、同時にグリード態へと変身を遂げる真木。恐竜グリードへの変異を完了させた彼は、館内の暗闇に紛れた人影目掛けて躊躇無く紫の光球を放つ。
無の欲望、何もかも呑み込む力を宿した破壊のエネルギー。常人では回避はおろか反応すら間に合わぬ勢いで放たれたそれを、しかしその男は華麗に身を翻して避けてみせた。
標的を外れ、光球はそのままの勢いで壁を破壊する。壁の一部は勢い良く吹き飛び、ぽっかり空いた穴から陽の光が館の中へと射し込んだ。
「……何者です、君は。カルデアの仲間…という訳でも無さそうですが。」
表情の変わらぬグリード態の姿でありながら、明らかに邪険にしている事がハッキリと分かる声音で問う真木。問われた男と言えば、外からの光で明るみになった顔に余裕の滲んだ不遜な笑みを浮かべていた。
「僕かい?そうだな…通りすがりの仮面ライダー、彼を追う者かな。カルデアとかいう連中とは関係無いから安心したまえ。」
上から目線で言いながら、男が取り出したのは銃の形をした何か。彼はそこへ、真木に見せ付けるかの如く一枚のカードを差し込むと。シアンに染まったその銃身を、天井目掛けて掲げてみせた。
「手荒い歓迎ありがとう、グリードくん。僕はカルデアも、特異点も、何なら人理焼却だの世界の終わりだのも興味は無い───が。君の持つお宝には興味が有るんだ。」
「……宝、ですか?」
「そう。800年前の遺産たるコアメダル。そして世界の形すら作り変える力を持った聖杯。どっちも欲しくなっちゃってね。
─────大人しく僕に譲りたまえ。変身!」
『カメン・ライド!ディエンド!』
男は、構えた銃『ネオディエンドライバー』の引き金を引く。辺りに響いたのは銃声ではなく電子音声、そして弾丸の代わりに打ち出されたのはホログラムめいた戦士の像。オーズやバースとも異なる戦士のホログラムが三体、男を中心に重なり合えば。
「……要するに、消して何ら問題の無い存在という事ですね。それだけ分かれば充分です。」
「それは勘弁かな。僕はお宝が欲しいだけなんだけど。」
『カメン・ライド!アクセル!』『オーガ!』
流暢に語りながら、今度は二枚のカードを銃身へ装填。
シアンの仮面ライダーは、恐竜グリードへ銃口を向けて引き金を引く。
咄嗟に防御の姿勢を取る恐竜グリードだったが、敵が行ったのは攻撃ではない。放たれたと思った攻撃の代わりに、打ち出されたのはまたしてもホログラム。それらはすぐに実体化し、燃える様な赤い仮面ライダーと、王の風格を纏った黒い仮面ライダーが出現する。
「ドラゴンスレイヤーならぬ、恐竜スレイヤーだ。精々足掻けとか三下な台詞は言わないから、早くお宝を寄越したまえ。」
「小賢しい事を…!」
シアンの仮面ライダーが召喚した二人のライダーは、剣を構え───恐竜グリード目掛けて駆け出す。振り下ろされる二本の剣と、それを迎え撃つグリードの爪撃がぶつかり合い、薄暗い館内に火花を散らした。
◆
「さあて…腹拵えも済んだ所でだ。グリードの事、それに俺達と火野が音信不通になった原因。考える事は山積みだな。」
『あの…そもそもの疑問なのですが、お二人は火野さんと連絡は取れなかったんですよね?火野さんですら、聖杯戦争の事は知っていても、私達カルデアの事は御存知無かったのに…お二人はどうやってその情報を得たのですか?』
食後、ミーティングを再開した中でマシュがおずおずと問い掛ける。
対して後藤と伊達はといえば、ひどく難しい表情で口を開いた。
「……それが。おかしな話だが教えてもらったんだ、ウヴァに。」
「あの昆虫野郎、生きてたと思ったらワケのわかんねぇ事言い出してな…。」
「ウヴァ…って確か、昆虫のグリードですよね。何で敵の筈の二人に…?」
立香の疑問も尤もだ。だが二人ともその理由までは把握していないらしく、揃って首を横に振った。
「分からない。あの戦い…世界の終末と呼ばれる、ウヴァにコアメダルを大量に投入されて生まれた意思の無い破壊兵器。それと、それが生み出す大量のヤミー。そして首謀者である真木博士との決戦。
火野とアンク…こちら側として戦っていた鳥のグリードだ。彼等は真木博士を倒して終末を止める為に。俺達は無差別に送り込まれるヤミーを倒す為、別行動を取った。」
アンク。その名が後藤の口から出た時、映司の顔が一瞬強張る。それに気付いたのは伊達と後藤、そして美遊とアタランテのみ。
しかし彼等は敢えてそこには触れずに話を続ける。
「その後、火野やアンクと連絡が取れなくなった。数日音信不通が続き…俺達は、最後に彼等が居たと思われる工事現場へ向かったんだ。そこで奴に出会った。」
─────バースか。虫ケラ程度の戦力でも、居ないよりはマシだな。
「……ってな。戦う気も無さそうに、偉そうな感じでさ。ったく、虫ケラ野郎はお前だっての!」
思い出して腹が立ったのか、大きく鼻息を鳴らしながら言う伊達。とはいえ、本気で苛立っているという訳でも無く、気を取り直して後藤の言葉を引き継ぐ。
「俺達は当然アイツと戦おうとした。けどアイツはそんな俺達に色々話始めやがった。特異点、サーヴァント…君達カルデアの事もだ。正直最初はあの野郎、暴走の後遺症で、頭イカれちまったのかと思ったね。」
「じゃあ、この特異点の謎については…!」
期待の籠った視線を伊達へ向ける立香。けれど伊達は申し訳無さそうに首を横に振った。
「いんや、正直俺らが知ってる事は…ここに居る全員の知ってる内容と大差ねぇ。だが一つ、気掛かりな事は有るけどな?」
「気掛かり…?」
「ああ。話すだけ話してウヴァにはすぐ逃げられちまった。それはまあ良いとして…問題なのはその後だ。俺達も引き上げよう、って話になって町へ戻った。町の景色こそ何の変わりも無かったが…そっから今度は俺達が比柰ちゃんや会長───俺達の仲間な?彼らと連絡も取れなきゃ、探しても会えなくなった。」
「俺達が君らと出会ったのはその後だ。幸い俺と伊達さんは連絡が取れるから二手に別れて…伊達さんがヤミーと戦うクー・フーリンさんと合流。俺はその後も一人で探索を続けて、猫ヤミーとの戦場で藤丸くん達に出会った。」
「それって…!」
『つまり、この特異点に関して二つの仮説が挙げられるというワケだ。
一つ目。この特異点は幾つかのエリア分けがなされていて、互いに不干渉地帯と化している。或いは二つ目…彼等は特異点の外からやって来た。恐らく、連絡が取れないのはそのせいだろう…特異点の外と通信が遮断されるケースなら、我々もこれまでの旅路で嫌と言う程経験している。……ただ、特異点外から内部へ迷い込むなんて事象についてはなー…藤丸くんが出会ったという例外─────幾つもの世界を転々とする宮本武蔵、彼女を除いて例の無い現象だ。』
むむむ、と小さく唸るダヴィンチちゃん。
新たな事実に一同が驚きを浮かべる中、彼女は言葉を続ける。
『さて、我々はこの特異点の核心に近付きつつある。その一方、情報が交錯して混乱しているのも確かだ。それを整理する意味でも────そろそろ仮説の一つや二つ、話したって罰は当たらないと思うぜ?ホームズ。』
『……別に私は自分の趣味嗜好で話をしていない訳では無いのだが…。まあ、ここまで来たらやむを得ないか。』
彼女の言葉を引き継ぐ、映司達は初めて耳にする声。しかし、彼女が口にした名前から声の主はホームズと呼ばれた男である事に違いない。その名を前に、三人は揃って目を見開いた。
「ほ、ホームズってあの、シャーロック・ホームズ!?世界的に有名な探偵の!?」
「ほ、本物!?マジで!?あの八つ墓村とか、犬神家の!?」
「伊達さんそれ金田一耕助です。だが…シャーロック・ホームズは架空の人物だと思っていたが…?」
『ハッハッハ、これ程までに驚いて貰えるとは…光栄だ。初めまして。ミスター映司、ミスター伊達、そしてミスター後藤。自己紹介は必要無さそうだが…一応、私は君達の言うそのホームズさ。世界最高の顧問探偵、あらゆる謎を解き明かす探偵達の祖。以後、お見知り置きを。』
三人の反応が気に入ったのか、通信越しに笑うホームズ。
対して、普段の彼を知るカルデアメンバーといえば。
純粋に驚きと尊敬で目を輝かせる彼等を、何とも言えない表情で見詰めていた。
「気を付けなさいアンタら。そいつ、全部分かった上でイライラする程焦らしてくる変態よ。」
『ふむ、これは手厳しい評価だ…ミス・ジャンヌオルタ、初対面の人間に悪評を吹き込むのは勘弁して欲しい。』
笑い声が一転、"勘弁してくれ"と言わんばかりの声音に変わったが、オルタは表情を変えない。
通信の向こうから溜め息が漏れる。
『はぁ…まあ良いか。さて、ミスター後藤…私が架空の人物ではないか?という話については、今回はご想像にお任せしよう。───とはいえ、英霊とはそういうものだ。人々の記憶に刻まれ、語り継がれた英雄……実在したか否かに関わらず、"そういう話が確かに存在した"、その事実が我等の源になる。そうした事実が情報として英雄の座に刻まれ、登録されたその情報を元に例え架空の人物であっても召喚される事は有るさ。
それはその架空の人物そのものであったり、モデルとなった人物だったり。はたまた、その逸話に最も近しい条件を満たした"誰か"が、その架空の人物を殻に被って召喚される事も有る。』
気を取り直し、努めて真面目な声音で語るホームズ。
サーヴァント。ひいてはそのオリジナルである英霊とは、英雄の座に刻まれた情報が根底に存在する。
時間の概念を持たない座に、人々の間で語られた伝説、逸話が存在さえすれば、極論
それ故に、ジャック・ザ・リッパーは召喚されたクラスによって姿を変える。ついぞスコットランドヤードも正体を掴む事が出来なかったその殺人鬼には、様々な正体の憶測が付いて回ったから。
それ故に、ヴラド三世は人の英雄としても怪物としても召喚され得る。史実では紛れもない護国の英雄であるにも関わらず、『吸血鬼ドラキュラの正体』である彼の像が人々の間で確立してしまったから。
それ故に佐々木小次郎は、本人では無く名を借りた無銘の剣士が召喚された。生前一人で剣を振るい続け、燕を斬らんと身に付けた絶技も一度たりと果たし合いで披露する事の無かった侍は、その技量を『佐々木小次郎』の名を冠するに相応しいと認められたから。
『……そういうワケで、私が架空の人物なのか。はたまたモデルとなった別人なのか、どちらの可能性も有るのさ。無論、私はその答えを知っているが…生憎今披露すべき話では無い。
─────話を戻そう。この特異点、ミスター伊達とミスター後藤の体験は、その謎を解く大きな鍵と言える。私の見立てでは…恐らく、この特異点はまだ未完成だ。』
「未完成…?でもそれは、微小特異点で…放っておいても自然に消える可能性が有るって話だったし…当然じゃない?」
ホームズの言葉に美遊が首を傾げる。美遊のみならず、その場の全員が同じ反応を見せた。
『失礼、私の言葉選びが適切では無かったかな。ではこう考えると良い。
──────この特異点、我々カルデアが観測したのは核となる部分に過ぎない。
伊"達"さ"ん"の"!お"でん"!
ソ"ウ"ル"を"ひ"と"つ"に"!!お"い"し"いぞッ!!!
本当はガメル/アステリオスのステータスを書きたかったけど、途中で消えて心折れたのでまたの機会に…