Fate/Grand Order 亜種特異点OOO:欲望解放領域 オーズ   作:banjo-da

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ピグマリオン王「彫刻の娘を溺愛してたら本当に命が宿りました!好き!」
カンザキシロ王「溺愛してた妹が亡くなったけど、鏡の中の妹が命をくれました!好き!でも二十歳で消えちゃうのでお前ら戦え!」

秋葉原楽しい。ガラテアちゃん可愛い。




仮説と世界と仮面ライダー

 

「成長途中?」

 

『そうとも。この特異点、これまで藤丸くんが旅して来た物との大きな違いは二つ有る。無論、未だ確証の無い私の推測に過ぎない…という点は頭の片隅に置いておいて欲しいがね。』

 

ホームズの言葉に、これまでの旅路を知らない映司ら三名とアタランテは勿論、カルデアからこの地を訪れたメンバーも首を傾げる。

そしてそれは現地の面々だけでは無く、通信の向こうに居るマシュも同じ疑問を抱いたらしい。彼女はおずおずと、控え目に問い掛けた。

 

『あの、ホームズさん…これまでの特異点との違い、というのは?恐れながら、これまで私達が攻略して来た特異点も、レイシフト時点では完成に至ってはいなかった筈では。』

 

『まあ、完成してたら我々の特異点攻略はより難易度が上がっていただろうからね…というか、下手をしたらレイシフト時点で既に詰み、だったんじゃないかな?』

 

マシュの意見にダヴィンチちゃんも同調。

そんな彼女らに、しかしホームズは諭す様に語り掛ける。

 

『いや、違う。そもそもマシュ、ダヴィンチ。君達の言う特異点の完成と、私の言う完成とでは前提条件が異なるのだよ。』

 

「まどろっこしいな。俺らにも分かる様に言っちゃくれんかね?」

 

ジト目で虚空を見上げながら、欠伸交じりに苦言を呈するランサー。

ホームズはといえば、そう言われるのも想定内とばかりに落ち着き払った声音を崩さない。

 

『今から説明するさ。そもそも、何をもって特異点の完成とするか。マシュの言う"完成"とは、特異点を成立させた聖杯の持ち主…その人物の宿願が達成され、本来とは異なる歴史が定着してしまう事を指す。そうなれば人類史に矛盾が生じ、人理は崩壊する───ゲーティアが取ろうとした手法は正しくそれだ。ここまでは良いかな?』

 

一度確認を挟み、立香ら全員が頷いた後。"よろしい"とホームズが話を再開する。

 

『対して、私の言う"特異点の完成"とは。そもそも、特異点そのものが成立した、という事実を指している。ミスター・映司、伊達、後藤…それにミス・アタランテの四名には申し訳無いが、後程解説するので話を続けさせて貰うよ。

────さて、今述べた四名以外…つまりこの地で出会った彼等以外は、これまでの戦いを思い出して欲しい。冬木、オルレアン、ローマ、オケアノス、ロンドン、アメリカ、エルサレム、バビロニア。それに新宿、アガルタ、その他諸々の微小特異点。規模の大小に差は有れど、その全てが"どの時代"の"どの場所"という形で既に成立していた筈だ。さながらグラフの様に、時代を示す縦の座標と場所を示す横の座標、その両方が固定され、特異点としてある程度の強度を有していた。』

 

「…言われてみりゃそうだな。だからこそ毎回其処へ飛んで、その範囲外に出る事なんぞそもそも必要無かったワケだ。」

 

『その通り。この特異点…そうだな。冬木の特異点Fに準えて、便宜上"特異点O"とでも呼ぼうか。これまでの微小特異点とこの特異点Oとの違いとして、そもそも成立した上で強度が小さかったのがこれまでの微小特異点だ。歴史の修復力に流され勝手に改善されるレベル…或いは手を加えて修正する必要こそ有れど、その強度は七つの特異点と比較して微弱なもの。特異点として完成しながら、それでも尚不安定だったからこそ、カルデアで観測した際にも揺らぎが見えた。……ボロボロの傷んだ小屋をイメージすると分かりやすいかもしれない。一応完成はしている。"特異点"という名の建造物として成り立ってはいるが…そもそもが脆い。だから人類史という名の嵐が、修復力という風を吹かせれば……』

 

「あっという間に吹き飛ばされて、崩れる。特異点観測で見られる揺らぎは、その風に吹かれて揺れている様…という事。」

 

『正解だ、レディ。美遊君の言う通り、それこそが通常の微小特異点。…だがこの特異点Oの場合、そもそも完全に成立すらしていない。先程述べたグラフの例で言えば、場所を示す横軸の座標は文字通りX…未確定なのさ。カルデアで我々が観測し、諸君らを送り出した座標はあくまでその一部に過ぎない。前提として、この特異点の反応が揺らいでいた理由が他とは異なるんだ。』

 

ホームズの解説に納得した表情の者半分、いまいち把握し切れていない者半分といった反応の一同。ランサーは納得した側だが、向かいの立香は未だ首を傾げている。

 

「えっと、ごめんなさい…つまり、どういう事?」

 

同じく理解が追い付いていないイリヤも、困った様に解説を求める。その瞳は潤み、一目でキャパオーバーなのが伝わってきた。

 

「私達は、"この特異点が辛うじて残っていると言っても過言ではない不安定さ"を持っている…そうダヴィンチから聞かされて来た。それは覚えてる?」

 

そんな彼女の頭をナチュラルに撫でながら、優しく美遊が諭す。本人同士は至って真面目だが、仮に黒髭でも居たら拝み始めそうな絵面だ。

実際アタランテに関しては、大真面目な表情を保ちながらも、よく見ると尻尾の先端がピクピクしてる。

隣の席は映司。彼は気付いてしまったが

─────敢えて見なかった事にした。

 

「うん…なんとか。」

 

「良かった。その不安定さは、他の微小特異点だと弱過ぎて安定してない…さっきのボロ小屋の話みたいな状況なのが原因。だけど今回に関しては、そもそも"特異点"って建物が組上がって無いの。どんどん規模を広げる為に、柱を次々立てていってる状態…建物の規模が随時更新されてる。だから、安定してない様に見えた。勿論それだけだと歴史の流れで消えてしまうから…本当に大事な大黒柱だけはしっかりと設置した。後はまあ、その柱の範疇だけは床も作ってるかもだけど…どっちにしろ、壁はまだ完成してない。そんな状態。」

 

「あ、そっか!じゃあ、カルデアで観測したのは…!」

 

『美遊君の言葉を借りれば、"特異点"という建物そのものでは無く、柱に囲まれた建設予定地に過ぎない…という事になるね。とっても小さくて弱い建物だと思ってたら、そもそも外側がまだ未完成だったというワケか。すっかり騙されたよ…!』

 

『その通り。それがこの特異点がこれまでと異なる一つ目の点。そしてもう一つ…この特異点が未だ成立しきっていない、揺らぎに満ちているからこその厄介な点。それは、この特異点Oの中に"正しい歴史"と"特異点として歪められた異なる歴史"が混在しているという点だ。より正確に言うのであれば、同じ座標に二つの町が存在している。』

 

美遊とダヴィンチちゃん、二人が纏めた言葉を肯定しつつ、次なる仮説を披露するホームズ。

 

『折角なので、先程の建築物の例えを続けるとしよう。本来の歴史が、何も建物の無い風景だとする。空、大地、何一つ遮るものの無い景色が正しい人類史だとして……特異点を生み出す事は、その土地に本来存在しない建築物を建ててしまう行為だと仮定して。建物の中は"歪められた歴史"という、本来と異なる空間が成立してしまう。

────結果、人類史という風景は本来と異なるものになる。』

 

「それじゃ不味いから、特異点って建物を撤去する作業が俺達のレイシフトっつーワケだな?」

 

「成程…言われてみれば、その通りかも。」

 

頷くカルデアの一同。

 

「…なあ後藤ちゃん。なんか、あの姉さんの尻尾ピクピクしてなかった?」

 

「……俺達には今の話、全部は分かりませんでしたからね。きっと何か思う所が有ったんでしょう。」

 

その端でヒソヒソ話をする伊達と後藤。アタランテに無言で睨まれ、二人はサッと視線を逸らした。

 

『通常の特異点がそれなら、この特異点の場合はどうか。柱だけが立っている状態、という先程の例えに合わせるなら…特異点という建物の中に有るべき空間と、正常な外の景色という空間が混在しているという事だ。壁が完成していないからね。』

 

 

「はい先生!するとどうなるんでしょうか!」

 

どう見てもアタランテからの視線をやり過ごす為にしか見えない、芝居がかった仕草で。けれど至極真っ当な疑問をぶつける伊達。

 

『するとどうなるか、それは諸君らが既に経験した様な現象が引き起こされるのさ。完成はしていないものの、特異点と化した町が君達の今居る場所。その外側には正常な町。その両者の違いは、当然特異点化した理由の事象が起きたか起きていないか…例えそれが小さな差で有っても……』

 

「だから!!勿体ぶらずに早く言いなさいよ!」

 

『……要は、その二つは異なる歴史を持つ、並行世界の様な状態になる。だから特異点外と中との連絡が途絶えた。普通の電話や通信機で異世界の壁を越えられる筈もない。

それに、同じ場所に居たのに会えなかった…という現象も、恐らくそのせいだ。その場所が完全な特異点だったのなら、或いは未だ特異点化の影響を受けていない場所なら話は違っただろうが。

────同じ場所へ向かったとしても、実際には違う町に居たみたいな話だよ。此処は特異点の様であり、その実並行世界が混在してるみたいな状態なんだ。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

外からの陽射しが僅かに差し込むだけの、薄暗い屋敷の中で。熱波を纏った深紅の閃光が、太古の王者の力を持つ怪人へと襲い掛かる。

 

「振り切るぜッ!!」

 

手にしたエンジンブレードを、恐竜グリード目掛けて振り下ろす赤い仮面ライダー『アクセル』。斬撃というより重く叩き付けるかの如き苛烈な攻めを、しかし恐竜グリードは一歩後退するだけで躱す。

 

「─────!」

 

後退した先に待ち構えていたのは黒い仮面ライダー『オーガ』。

居合の様に構えた彼は片足を踏み込み、その手に握ったオーガストランザーの刃を眩い光が包み込む。王者の裁きを予感させる神々しいそれは、進化した生命体たるオルフェノクすら灰塵に帰す流体光子エネルギー『フォトンブラッド』の輝き。そしてその輝きは、単に剣へ纏われるに留まらず。本来のオーガストランザーの間合い、その先へ高濃度のフォトンブラッドで構成された刃を形作った。

 

「絶望がお前の……ゴールだぁぁぁ!」

 

「終わらせる…!」

 

一気に得物を振り抜かんとするオーガ。そしてアクセルもまた、最悪オーガの攻撃を食らう覚悟で強引にグリードへ追い討ちを掛ける。

あくまで彼等はシアンの仮面ライダーが召喚したコピー。それ故に可能となる一手、本来ならこれで詰みだ。

 

────けれど。

 

「………惜しい。全くもって惜しい話です。」

 

「なっ…!?」

 

オーガが居合いの構えから抜刀するまでの、一秒にも満たぬ僅かな間。恐竜グリードは即座に彼へと距離を詰め、剣を振り抜く直前の腕を抑え込み、強引に動きを止めさせた。

そして、間髪入れずに全身からメダルのエネルギーを放出。通常であれば、如何に贋作と言えどこの程度で止まる仮面ライダー達ではない。だが、振り下ろしたエンジンブレードを構え直す間も無く、強引に特攻を仕掛けたアクセルにとっては事情が異なる。

 

「チッ…」

 

「先ずは一人。」

 

動きを封じたオーガを蹴り飛ばし、威力を込めた魔力弾をアクセルへ放つ恐竜グリード。防御も回避も間に合わず、破壊のエネルギーを正面から受けたアクセルは消滅した。

 

「貴様…!」

 

「本当に惜しい。君達の能力だけで見れば、オリジナルの本人なら私にその刃を届かせられたかもしれません。」

 

蹴りを受け吹っ飛びながらも、寸での所で踏み留まったオーガ。すぐに体勢を整え攻めへと転じようとするも、彼もまた一手遅かった。

 

「フンッ!」

 

戦闘の中で破壊され、そこに転がっていただけの机の残骸。それをオーガ目掛けて放り、彼が再度の攻めへ移行する事を阻む。オーガもまた咄嗟にそれを払い除けたが、そのタイムラグは致命的。

 

「しかし所詮ホログラム。言葉こそ発していましたが、本物の"命"と比べて"欲望"が足りない─────君達の力は私には届きません。」

 

次の瞬間、オーガが目にしたのは。

無慈悲に爪を振り上げ、目と鼻の先へと迫った悪魔の姿だった。

 

 

 

 

 

 

「うーん、流石に厄介か。トライセラトプスやエラスモテリウムと戦った二人を選んだが、失敗とはね。」

 

生い茂る木々の中、大して落胆した様子も無く青年───海東大樹は手にした『ディエンドライバー』をくるくると回す。

勝敗が決した時点で即座に退散し、既に屋敷から充分な距離は取った。次はどうするか、懲りずにそんな事を考えていた矢先。

 

「……エラスモテリウムは恐竜じゃないだろ。ありゃ確か…」

 

「言われる迄もないよ、士。偉そうに蘊蓄を披露しようとするのは止めたまえ。僕はいつぞやのコショウの恨み、忘れてはいないからね。」

 

木々を掻き分け、海東の傍へ歩み寄る一人の青年。海東もまた彼の接近には気付いていたらしく、憮然とした表情で応える。

 

「そんなもん知るか。それを言うなら、俺はお前が余計な事して色々引っ掻き回した後始末させられた回数を忘れて無いからな。」

 

「それこそ僕の知った事じゃ無いさ。

───それで?君の方から僕を訪ねて来るなんて珍しいじゃないか。嬉しいよ、士。」

 

呆れ顔の青年『門矢士』に対し。膨れっ面から一転、不遜な笑みを浮かべる海東に、士の表情がより苦々しげなものへ変わる。

 

「お前に会いに来たワケじゃない。俺は俺なりに色々調べてたら、出先でまた余計な事してる知人を見付けて頭抱えてただけだ。」

 

心底嫌そうに言う士だが、海東には何処吹く風。寧ろ一層顔に喜色を滲ませた様にすら見える。

 

「僕はお宝が欲しいだけさ。それ以上でもそれ以下でも無い。君達みたいに、抑止力のお使い(・・・・・・・)なんて面倒な役割はゴメンだね。世界が滅ぶなら、お宝だけ全部僕に寄越して勝手に滅びたまえ。」

 

「別にそこに縛られてるワケじゃない。にしても…俺よりよっぽど"世界の破壊者"っぽい事言ってやがるな。お前、実は愛玩の獣(・・・・)のグルか何かか?」

 

「一緒にしないでくれたまえ。僕は人類悪も、人理焼却も空想の根にも全く興味は無い。だからと言って、抑止力側に立つつもりも無いってだけだ。」

 

『抑止力』─────またの名をカウンターガーディアン。

互いに優先順位の異なる『アラヤ』と『ガイア』の二種類が存在するが、双方共に"星の滅亡の回避"を目的とする、言わば地球に備わった安全機構(セーフティ)

人類の存続を脅かす物を排斥する機能である反面、例えそれがどれ程"万人を幸福にし満ち足りた世界を生み出す存在"で有ろうと、その先に待つ人類史が"完成された幸福"という停滞ならば容赦無く排除する。

実態を持たぬ彼等は、時にその時代に生きる人間を後押しし、時にサーヴァントの様な代行者を立て、時には自然現象として猛威を振るう。

 

即ち。太古から蘇った戦闘民族の虐殺遊戯も。目覚めた神が遣わす天使の断罪も。進化した一握りの人類が今を生きる人々を滅ぼすか"完成された生命体へ変える"という二択も。動物達の祖が争った末に目覚める世界の終わりも。過去幾多の種族を滅ぼした一族による人間の支配も。既に屍と化した者がもたらす"永遠(エターナル)"も。

 

─────世界を滅ぼす程の力すら備えた秘密結社。彼等の世界征服、そしてそれに伴う破壊行動も。

数多の並行世界で起きた、世界の破滅の予兆。それを回避するべく抑止力がもたらした現代の英雄…それこそが『仮面ライダー』。

 

「……別段、後押しされてる感覚も、無理強いされてるつもりも無いけどな。」

 

「どっちにしろ、誰かに強制されるのは嫌いさ。抑止力が何だろうと、僕はあくまで僕の自由の為に動いてる。

……で?そんな話をしたくて来たワケじゃないんだろ?士、君の確かめたい事は分かったのかな?」

 

小さく鼻を鳴らし、オーロラの様な不思議な壁を出現させる海東。どうやらもうここには用は無いらしい。

 

「まあな。」

 

「そうか。それじゃ、精々僕の邪魔だけはしないでくれよ?また会おう、士。」

 

自分から聞いておいて、特段その内容には触れず。言うだけ言ってオーロラの中へと消えて行った海東を見送り、士は溜め息を漏らす。

 

「いつも余計な事するのはお前の方だろうが……ったく。」

 

そんな彼の独り言に、応える者は誰も居なかった。

 

 




一応資料色々調べながら書いてるけど、独自解釈マシマシてんこ盛りフォームなので間違ってそうで怖い。型月ワールドは難しいぜ!
まあ最悪間違ってたら鳴滝さん呼んで全部ディケイドのせいにしてもらうの手が有る。(すっとぼけ)

追記:門矢士誤字ってました。本当に申し訳ない…!(修正済み)
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