Fate/Grand Order 亜種特異点OOO:欲望解放領域 オーズ 作:banjo-da
アイドルイベント良いですね。みんな可愛い。
ミス・クレーンは想像以上にブッ飛んでた。
北都の気持ち悪いガチ恋勢ドルオタで耐性付いてなかったら即死してたのだわ。
「───しっかし、随分な大所帯になったな。」
「ま、俺らずっと二人だったからな。っと、後藤ちゃん妬くなよ?」
「妬きませんよ。俺を何だと思ってるんですか……。」
町を行く一行。メンバーは立香、映司、伊達、後藤、ジャンヌオルタとランサー。
「アタランテさん、そっちはどう?」
『問題ない。イリヤと美遊の周辺に特段敵らしき存在は見られないぞ。』
イリヤと美遊は別動隊として彼等を追う形を取り、町中では目立つアタランテは霊体化して彼女等と同行。
『魔術師殿。そろそろ映司殿の仰有って居た地点に到着します。今のところ敵影は見られませんな。』
「了解。ありがとハサン、注意して建物の周囲から索敵をお願い。」
『心得た。』
同じく目立つハサンだが、彼はアサシンの能力を活かし先行して一同の"目"としての役割を果たしている。
一行が向かうのは町外れの廃墟。ウヴァからの情報が正しい、というのが前提にはなるが…そこに居るかもしれないカザリを討伐する為だ。
「罠かもしれないけどね。グリードって連中、どいつもこいつも敵なんでしょ。」
「罠だとしても行く価値は有るよ。俺達を罠に嵌めてまで、ウヴァの奴が何を企んでるのか知れたら御の字だ。」
「時には危険を犯してでも、攻めに転じる必要が有る…という事だな。それに、その為の総力戦だ。」
映司と後藤の反論に、オルタは鼻を鳴らしつつも異は唱えない。そもそも彼女自身も別段この作戦に反対はしていない。他に状況を打破する選択肢が無い事は彼女も重々承知しているが故、一応可能性を挙げたに過ぎないのだから。
「そろそろだけど…。」
「─────皆様、お待ちしておりました。現状、周囲に特段異常は有りません。」
映司の案内に従い、それらしき建物が見えてきた辺りでハサンが合流する。元々廃墟という事も有り、そもそも人通りは皆無ではあるが。それを差し引いても周囲は静寂に包まれている。
「本当に居るの?冗談抜きで騙されただけなんじゃない?」
「……いや。グリードの気配は有る…!」
映司の瞳が紫に染まる。それこそ、彼の身に宿った力の一端を解き放ち、
「よし…行こう…!」
立香の号令に、一同が頷き。今まさに、廃墟へ乗り込もうとしたその時。
『─────!待つんだ!その建物から強大な魔力反応が……』
切羽詰まった声音のダヴィンチちゃん。しかしその警告が言い終わるより先に、凄まじい炸裂音と共に廃墟の壁が土煙を巻き上げながら吹き飛ぶ。
「「「変身!」」」
『タカ!トラ!バッタ!』
『タ・ト・バ!タトバ!タ・ト・バ!』
即座に異常を察し、変身を遂げたオーズとバース、そしてプロトバースが最前線へ並び立ち。彼等の隣にランサーが、そしてすかさず立香を守る様にオルタとハサンが展開。
彼等が臨戦体勢を整えるのと、土煙が晴れそこに立つ人物の姿が露になるのは、ほぼ同時のタイミングだった。
「……ほぅ。君達がカザリくんの居場所を掴んでいたとは…些か想定外でした。」
姿を現したのは太古の王者。
紫のメダルに宿る力を解放した恐竜グリードが、その無機質な瞳を一行に向けた。
「ドクター…おひさ。アンタ、まだこんな事やってんのか。」
そんな彼を真っ直ぐに見据え、少しだけ寂しそうな声音で語り掛けるプロトバース。対する恐竜グリードはといえば、プロトバースを一瞥し、相変わらず抑揚の無い口調で応える。
「伊達くんに後藤くん…君達も来ていた事は知っていました。君達の事は正直嫌いでは無かった…ですが生憎、私の興味は君達には有りません。」
ただ純粋に事実のみを冷たく告げると、彼はその手に一枚のメダルを掲げて見せた。
「それ…カザリの!」
「少々計画に狂いが生じまして。カザリくんには退場して貰う事にしました…残念です。」
恐竜グリードが手にしたメダル、その色は黄色。それは正しく、カザリというグリードを構成する一部。
「じゃあカザリはもう……。」
「おや、彼を討伐しに来た君達がそれを言いますか?…まあ良いでしょう。残念ながら、取り逃がしてしまいまして。とはいえ、これを含め彼のメダルは粗方回収済み…最早彼は手負いの獅子ですら無い、弱った仔猫も同然。君達が倒してくれるのなら、お譲りしても構いませんよ───無論、メダルは頂戴しますが。」
「舐めんな!!」
挑発する意図等毛頭無い、淡々と告げられる恐竜グリードの意思。だがそんな彼の言葉こそ、先に苦汁を飲まされたオルタには効果抜群だ。一気に沸点を通り越した彼女は周囲に炎を纏った剣を展開、恐竜グリード目掛けてそれらを放つ。
しかし恐竜グリードの方はそれらを全て叩き落とした。
「バカ!ったく、一人で突っ走って勝てる相手でもねぇだろ!」
「まあこうなった以上は仕方ねぇ!倒すにしろ逃げるにしろ、大人しく帰りますってワケにもいかないだろうしな!」
舌打ち混じりにオルタの援護へ回るランサーと、苦笑気味のプロトバース。
ランサーは恐竜グリードの側面へ回り込み、プロトバースは正面からバースバスターで狙撃。攻撃を防がれたオルタも止まる事無く、旗を片手に正面から突撃する。
「面倒な…。」
呆れた様に肩を竦めると、先ず正面のオルタとプロトバース目掛けて魔力弾を放つ恐竜グリード。それは問題無く両者に回避されるが、そのせいでオルタの進行もプロトバースの銃撃も僅かに止まる。そうして生まれたタイムラグの間に、側面から斬り込んでくるランサーの槍を突き出した拳で弾いて躱す。
だが相手はケルトが誇る最上級クラスの英雄、一度逸らされた程度でその槍が止まる事は無い。深紅の閃光と化す勢いで槍を引き戻すと、そのまま流れる様に次の一撃へと移行する。一発、二発、三発…神速が如き槍の連撃に、流石の恐竜グリードも守勢に回らざるを得ない。
「成程なァ!確かにテメェは強いが、そりゃ圧倒的なスペックに物言わせた制圧戦に限った話だ!技量や場数は足りてねぇ!!」
「ッ…!黙りなさい…!」
苛立った声音でランサーの指摘を切り捨てると、彼は全身からメダルのエネルギーを放出。その程度の悪足掻きで押し切られるランサーでは無いが、流石に手を止め後退を余儀無くされる。
その隙を突いてグリードは片手を地に翳し、周囲へ強烈な冷気を発生させた。
「何だと…!?」
たった一撃で、辺り一面が氷に包まれる程の冷気。オルタは咄嗟に炎を起こし、立香をそこから庇ったものの…。
「クソッ…!こんな、氷程度に…!」
「チッ!動きが…!」
「オルタちゃん!クー!」
マスターを優先し、自らの防御が疎かになっていたオルタは全身の殆どが氷漬けに。危険を察知し回避した筈のランサーすら、接近し過ぎていた為全ては避け切れず、下半身が氷に覆われている。
「先ず二人…!」
「───させない!」
『スキャニングチャージ!』
間髪入れずに一番近いランサーへ突撃する恐竜グリード、だが彼は自身目掛けて迫り来るオーズのキックを防ぐ為の停止を余儀無くされる。
「セイヤァーーー!!」
「無駄な事を!」
眼前に迫った必殺のライダーキックへ、紫の魔力を纏った拳を叩き込み相殺。オーズは吹き飛ばされたが、流石の勢いに恐竜グリードも鑪を踏んで後退る。
「俺らの事、忘れて貰っちゃ困るぜ!」
「準備は整った!」
『『ブレストキャノン!!』』
恐竜グリードが体勢を整え直すより早く響き渡る機械音声。
立香を庇う様に並び立つ二人のバースが、胸部に展開したブレストキャノンへエネルギーを集約させ恐竜グリードへと狙いを定める。
「「────ブレストキャノン、シュート!」」
『『セルバースト!!』』
凍り付いた地面を溶かさんとばかりの勢いで放たれる、セルメダルから抽出した凄まじい熱量。それでもグリードは、解放した無の欲望を以て二発同時に受け止める。
「ぐ……!」
だが。この立て続けに撃ち込まれる必殺技を前には、流石の彼も苦悶の声を漏らした。
万全の状態で在ればグリードすら容易く葬る彼に、本来バースの必殺技では届かないのが道理。だがこの場に居るのはバースのみならず、そして今の彼は万全では無い。それでも耐え凌ぐ勢いの彼は確かに強い。
けれど───────
『スキャニングチャージ!!』
「なッ…!?」
「俺達はまだ終わってない!セイヤァァァ!!!!」
弾き飛ばされたダメージに声音を荒くしつつも、セルメダルを装填したメダジャリバーを振り下ろすオーズ。
空間すら切り裂く必殺の一閃。完全に虚を突かれ、セルバーストの直撃を凌いでいる恐竜グリードにそれを防ぎ切る事は敵わず、遂にその身が吹き飛ばされる。
「がっ…!?馬鹿、な…!」
『効いてます!敵勢力、大幅に魔力の減少を確認!』
肩で息をしながらも、未だ起き上がり戦闘続行の意思を示す恐竜グリード。だが、マシュからの通信を聞く迄も無く、その身は既に限界を感じさせる程ボロボロで。この特異点で出会って初めて見せた、最強のグリードが追い込まれる状況。それでも一人として、気を緩める者はこの場に居ない。
「揃いも揃って小癪な真似を…!私が、この程度で…!」
苛立ちを籠めて吐き捨てながら、周囲の敵を一掃すべく全身からメダルの力を噴き出させる恐竜グリード。
"────ああ、そうだろうとも。汝がこの程度で止まらぬ事は、他ならぬ私がよく知っている。"
だが、その胴を貫く一筋の光。数秒遅れて彼は、その正体が自らを穿った神速の矢であったと気付く。
「これ…は…!」
貫かれた腹部を抑えつつ、恐竜グリードは攻撃された方向へ視線を向ける。だがそちらには聳え立つビル郡が見えるだけ…敵影は一切彼の視線に入らない。
「アタランテ殿の狙撃だ。貴様が踏み躙った誇りを取り戻すべく、此処まで機を狙っていた…かの麗人の強い覚悟には感服する他有るまい。」
「─────!」
「そして機を狙って居たのは私も同じ!如何に堅牢な肉体であろうと、魂は等しく飴細工同然
────眠れ。"
あの真っ黒な目立つ装束を、一体何時から見失っていたのか───そんな疑問を抱くより早く、反射的に振り向いた恐竜グリードの胸に触れる異形の掌。
その手を敵が捉えるより早く引き戻したハサン。先のヤミーとの戦いでは不発に終わった彼の宝具だったが…今、彼の手には正しく心臓が握られていた。
「矢張り───貴様は真っ当な人間の肉体に、グリードの力を宿した者。グリード同様コアの一枚が残れば存在出来る…というワケでは無い。ならば!」
「それを潰して倒せるとでも?思い上がりも甚だしい…!」
ハサンが心臓を握り潰すより早く、恐竜グリードはメダルの力を全開に。
どれだけ優れた鎧も意味を成さない彼の宝具、その正体は呪殺。疑似心臓を作り出された以上、本来待つべき未来は"死"以外無い。
───だが恐竜グリードはメダルの力を限界まで解き放つ事で、呪いに抗う対魔力を高めつつ、より純粋なグリードへ近付き"人を罰するもの"であるこの宝具の効果を薄めて凌ぐ───屁理屈染みた強引過ぎる荒業で、必死に踏み留まっていた。
「こ、の…!」
「潰させは…しない…!消えなさい!」
形振り構わぬ抵抗を受け、手にした疑似心臓を潰せず苦戦するハサンへ、恐竜グリードは片手を向ける。一瞬の内に掌へ集まる魔力量は、ハサンを消し飛ばして余りある程のエネルギー。
「───令呪を以て命ずる!ジャンヌ・オルタ!この氷を溶かし尽くせ!」
「ハッ、上等よ!!」
凍土と化した戦場に火柱が上がる。それは全身に張り付いた氷を一瞬で打ち消し、そのままの勢いで周囲を呑み込む魔女の炎。
そうして味方すら巻き込む程の灼熱は、ランサーの半身を覆っていた氷塊も容易く消し去って。
「クーー!」
「─────任せな!」
強過ぎる熱に僅かに身を焦がしつつも、神速で恐竜グリードへ迫る光の御子。手にした呪槍が獲物を前に紅く輝き、太古の王の片腕を斬り落とした。
「ぬぅぅぅ!!」
「テメェの心臓が硬そうって事なんぞ、こっちはとっくに想定済みなんだよ!
────合わせな、嬢ちゃん!」
腕を落とされてなお緩む事の無い覇王の力。その力を纏った無事な方の腕で、ランサー目掛けて爪撃を放つ恐竜グリードだったが、その一撃が届くより早く。
「────クラスカード
恐竜グリードの死角から飛び出す小さな影。その正体はクー・フーリンの力の一端を纏った美遊。彼女の手にした
「その心臓、貰い受けるッ!!"
「「─────"
二人の
「こんな…有り得、な…があああああああ!!??」
「────さよなら、ドクター。次会う時は、楽しく酒でも飲もうぜ…。」
「……お世話になりました。」
心臓を完全に破壊され、暴走したエネルギーで全身から火花を散らし。それでもなおメダルの力で堪えようとする彼に、二人のバースが静かに別れを告げる。
『セルバースト!!』
再度放たれた二発同時のブレストキャノン。その力は、軈て紫のメダルが持つ力───欲望を無に帰す性質を上回り、恐竜グリードの全身を覆い隠す程の大爆発を巻き起こした。
◆
「終わったか…。」
激しい戦闘の後、その場に残ったのは先の戦いの残骸。
破壊されて見るも無惨な姿と化した戦場跡、その端───恐竜グリードが爆発した地点には、眩い光を放つ杯が一つ転がっていた。
「あれは…?」
『あれこそ、散々話に出てきた聖杯さ!みんな、本当にお疲れ様!後は藤丸君があれを回収すれば任務完了だね!』
「へー!これ、徳利型とか鍋型とかも有る?日本酒と、おでん入れられそうな形!」
「いや、流石にそれは無いでしょう……。」
各々が武装を解き、漸く一同に穏やかな空気が流れる。
興味津々に問う伊達に、呆れ顔で突っ込む伊達。
そんな彼等を見て笑いながら、映司は念話でアタランテへと呼び掛けた。
「アタランテさん、お疲れ様。あの時の矢、本当に助かっ…」
『────気を抜くなマスター!私もイリヤも奇襲を受けた!止め切れなかった
「え…?」
───直後。理解が追い付く間も無く、周囲に撃ち込まれる数発の銃撃。
直接彼等を狙ったものでは無かったが、正体不明の攻撃を受け全員が一気に周囲を警戒。
そうしてふと、今の一瞬で聖杯が消失していた事に気付く。
「あれ!?せ、聖杯!!どこ!?」
『落ち着いて!反応自体は消失してない…藤丸君のすぐ後ろだ!』
ダヴィンチちゃんからの通信に、全員が一斉に視線を向けた先。其処には─────
「やあ。お疲れ様…いや、本当に素晴らしい戦いだったよ。随分と無理しただろう…そんな君達に、お宝を持って帰る所までやらせるのは酷だと思ってね。」
片手に聖杯を持ち。対の手で奇妙な形状の銃をくるくると回して弄ぶ、一見爽やかな美青年。
「感謝したまえ。これは僕が、責任を持って預からせて貰うよ。」
青年───海東大樹は、朗らかな笑みを浮かべながら、至極当たり前といった様子で宣言した。
もやし「ええ…?」
※まだ普通に続きます。えっちゃんは可愛い。