Fate/Grand Order 亜種特異点OOO:欲望解放領域 オーズ 作:banjo-da
そして何より、オーズ新作に歓喜しました!キャストの皆さんがオリキャスでまた出演して下さるの嬉し過ぎ……いや老けてないにも程があるでしょ。ジオウの矢車さんといい、時間の流れおかしくない???
(更新して無かった間の話全部ぶち込むスタイル)
空間が歪む。
オーロラの様に揺らめくそれは突然現れた。
そして段々とその中に影が浮かび上がり。
最後には、その歪みの中から大勢の人間と一体のグリードが飛び出した。
「────うわっ!?ここ、は……。」
「拠点に戻って来たらしいな。マスター、身体に不調はねぇか?」
一瞬の内に廃工場事務所へ帰還した一同は、その出鱈目な現象を把握し切れず周囲を見渡している。
「大丈夫…俺は何とも無い。皆は?」
「少なくとも、今の妙なオーロラで霊基に異常受けたりはしてないわよ。どうせあんたらもでしょ?」
先の撤退が不満だったのか、少々機嫌悪そうに鼻を鳴らすオルタ。とはいえあの行動が最善だった、それは彼女自身理解している。故に大人しく手近な椅子へと腰掛け、他のサーヴァント達へも声を掛けた。
オルタの言葉に頷くランサー、ハサン、美遊。ただ美遊は不安げに赤い仮面ライダーが担いだ映司へと視線を向けており、何処か上の空だった。
「随分な物言いだな。やれやれ…助けてやったのに失礼な奴等だ。」
美遊の視線の先───緑色のグリード・ウヴァと並んで立ち、肩に気絶した映司を担いだ赤い仮面ライダー。彼は呆れた様に肩を竦めると、映司をソファへ寝かせ。
そうして腰に備え付けた、マゼンタのバックルからカードを引き抜く。
彼の全身を覆う異形の装甲が消え失せ、マゼンタのトイカメラを首に提げた美青年が姿を現した。
「あ、えっと、ごめんなさい!失礼な事言って!」
慌てて頭を下げる立香と、尊大に溜息を漏らす青年。
そんな彼等の間に、ハサンと苦笑浮かべた伊達が割り込んだ。
「貴殿の助力には感謝する。気分を害されたのであれば申し訳無い…しかしながら、我等は貴殿の正体も、どの様な力を用いるのかも知りませぬ。故に、警戒を怠れぬ事は何卒御容赦頂きたい。」
「そうそう。俺ら、アンタが何者なのか分かってねぇんだ。まして、ウヴァと一緒に居るんだし警戒もするだろ?」
ちら、と一瞬ウヴァへ視線を向ける伊達。対するウヴァは特段反応を見せず、伊達もまた直ぐに青年へ視線を戻し。
「だからさ、あんま藤丸ちゃんイジメるのは止めてくれねぇかい?」
伊達の諭す様な言葉に、青年は顔を顰めて見せた。
「人聞きの悪い事言うな。俺は意地の悪い事をしたつもりは毛頭無い。───大体、そんな話をしている暇も無いだろ?策は上手くいったが、持って数時間だ……そろそろ、この特異点を片付けにかからなきゃ間に合わないぞ。」
肩を竦めながら青年は寝かせた映司に近付き。
「とっとと起きろ。手伝ってやってる俺を差し置いて、いつまでもグースカと寝てんじゃない。」
頬に往復ビンタを食らわせ始める。
気付けのつもりだろうが、いきなりの事に周囲は呆気に取られて制止すら掛けられない。唯一人彼と行動を共にしていたウヴァのみ、止めるつもりは無いものの、流石に思う所はあったのか小さく目線を逸らした。
「や、やっと着いたぁ…。」
「貴様、私達を置き去りにして帰るとは聞いていなかったぞ…一体何を────いや、本当に何をしてる!?」
ぎぃ、と弱々しく扉を開きながら入って来るイリヤと、彼女を追い越し今にも青年へ掴み掛かる勢いのアタランテ。
そんな二人が目にしたのは真顔で映司の頬をペシン!ペシン!と勢い良く叩く青年と、うなされながら頬を腫れ上がらせた映司。特殊なプレイにすら見えるそんな光景にドン引きしつつ、アタランテは慌てて青年を引き剥がしに掛かるのだった。
「………ごめんね皆。俺がまた暴走したせいで迷惑掛けたみたいで…所で、何か頬に違和感有って喋りにくいんだけど、俺の顔変な事になってる?」
「気にするな…と言いたい所だが、マスター。いい加減自分の身を省みない戦い方は控えてくれ。あと頬は気にするな。」
気不味い顔を浮かべて頑なに視線を合わせないアタランテ。そんな自分のサーヴァントに首を傾げつつも、気を取り直して映司は青年へと向き直る。
「それと…助けてくれてありがとうございました。え、と…。」
「門矢士だ。礼は良い。あのままお前がやられてたら余計面倒な事になっていたから助けた、それだけの話だ。」
ソファへと腰掛け尊大にふんぞり返りながら、青年───門矢士はなんて事ないとばかりに素っ気なく返す。
『ふむ、その口振り。君はこの特異点について我々より情報を握っていると考えて構わないかな?我々にもその内容を開示して貰えると有り難いのだが…どうだろう。』
ホームズから通信が入る。その内容はこの場に居る全員の意思を代弁した内容であり。
『おっと、申し遅れた。私はシャーロック…』
「挨拶は良い、知ってるからな。そこに居るレオナルド・ダ・ヴィンチと…マシュ・キリエライトについても同様だ。俺はずっとお前達の旅路を見てきた。」
通信を遮り、なんて事ないとばかりに言い放たれてしまえば、沈黙が訪れるのも当然である。
『……何だって?』
「別に驚く事でも無いだろ、探偵。お前だってロマニ・アーキマンを警戒して表舞台には中々出てこなかった───だがカルデアや人類史の置かれた状況は理解していたからこそ、裏でコソコソやってきたんだろ?俺も似た様なモンだ。」
呆れた表情を浮かべて尊大に告げると、士はマゼンタに染まったバックル───ネオディケイドライバーを取り出して掲げて見せる。
「俺達仮面ライダーの力と歴史は、そもそも本来お前達の挑んだ聖杯探索とは無関係な事柄だ。魔術王を自称したビーストに利用された訳でも無い…下手に介入したら話が拗れて逆に面倒になる。だからこそ、俺や一部のライダー達は敢えて手を出さなかった。」
次に士が掲げて見せたのは、異形の戦士が描かれた数枚のカード。その中には先程彼自身が身に纏い、『クウガ』と呼んでいた姿もある。つまり…カードに描かれた異形こそ、仮面ライダーと呼ばれる存在なのだろう。
「───もっとも、殆どの連中はそもそも手出し云々の前に巻き込まれて消えたけどな?ライダーの力は強力だが、歴史ごと焼却させられちまったら対抗出来る奴は限られる…流石に幾ら強くても、舞台に上がれなきゃどうしようもないだろ。」
当然とばかりに彼が語った内容は、確かにその場の全員が納得出来る筋の通ったものだ。この特異点で目にしたオーズやバースの力を見れば、特異点で出会えていたのなら頼れる仲間になっただろう…だが、実際に出会う事は無かったし、これまで出会ってきた数多の英雄達を思い返せば、個の力が如何に優れていようがそれだけで解決出来る事件で無かったのも事実。
ただ裏を返せば、彼の物言いはそれすら引っくり返し得る者達も居るということ。仮面ライダーとは一体どれ程の存在なのか、思わず聞き入っていた一同は目を見開く。
「───だが今は、そんな話はどうでも良い。重要なのは俺達が出張らなきゃならなくなった状況だ。この特異点、その真相についての話をするべき。……違うか?ホームズ。」
虚空を、或いはその先のホームズを見据えているのか。険しい顔で問う士に、通信の向こうから息を飲む音が聞こえる。
暫し無言の後、やむを得ずといった声音でホームズが口を開いた。
『……了解した、ミスター士。君の言う事はもっともだ。私も、私の考え得る限り全ての推理をここで明かす。
────だが、私の推理が正しければ。あと一人、最後のピースにして最重要人物が足りていない。そして恐らく君は彼を連れて来ているね?』
「話が早いじゃないか。……そういうワケだ、そろそろお前にも出て来てもらうぞ。」
理解の追い付かない一同をスルーして、士の傍に再び
その波紋の奥から、ゆっくりと近付いて来る人影は人間らしい形。だがその輪郭がハッキリと見て取れる所まで近付いて来た時、伊達と後藤は────そして映司は。
「─────相変わらずボロボロだな、映司。お前…未だ懲りずにバカやってるみたいだな。」
オーロラの奥から姿を現したのは、猛禽を思わせる鋭い目付きと、鳥類の鶏冠の如き髪型が特徴的なガラの悪い男。
「アン……ク…?」
対峙する映司の表情からは、その内面を読み取れない。
ただその顔は心底驚いているようでも、歓喜しているようでもあって。
そして同時に。
「映司…さん…?」
「………やっぱりそうか。映司、お前。」
─────そんなに、俺と会うのが怖かったか?
喜びと、驚愕と、そして
酷く苛立ったように、アンクと呼ばれた男は告げた。
◆
「ンン!まさに破滅へと一直線!単なる破滅願望を持つ人間ならば、何時の世も一定数存在しますが。流石に破滅こそが美しいと語り、憎しみでも怒りでもない───純粋な願いとして、世界を滅ぼそうとする怪物はそう多くはおりますまい。」
暗い、暗い闇の中。美しき肉食獣は醜悪に嗤う。
憐憫の獣は"この星に生きる命には終わりがある、故に今のままでは無価値だ"と憐憫を抱いた。
カルデアは、"終わりがあるからこそ、今を懸命に生きる事が出来る"と諭した。
対して、あの男は"終わりこそが最も美しい。だから美しいままに終わらせる"と断じた。
なんという巡り合わせ。これが笑わずにいられるだろうか。
「────それが、貴様があの男に手を貸した理由か。だがリンボ…そこまでだ。我等の神を降臨する、その目的を差し置いてまで優先される事柄では無い。趣味の時間はそのくらいにしておきたまえ。」
「……おや?」
覚えのある声に振り返れば、そこには一人の神父の姿。無論よく知る相手、所謂同僚と呼べる男だ。
「これはこれは。拙僧に何か御用ですかな?」
「言葉通りの意味だとも。我等にはやるべき事が有る…下総国は異星の神の意向もあって放置していたが、流石にこれは遊びが過ぎるのではないかね?」
言葉こそ問い掛けの体を繕ってはいるが、実際のところは呆れ果てた様子で吐き捨てる神父。
けれど相対する肉食獣は、然して気にした様子も無く。まるで鼻歌でも奏でる様に、微笑みながら軽やかな口調でそれへ応える。
「…これは手厳しい。まあ御安心めされよ。拙僧はあの男へ少しばかり…ええ、ほーーーんの少しばかり!魔術と聖杯の知識、そして拙僧なりの知恵を授けたまで。既に彼の地は我が手中には無く、放棄せよと仰るのであれば受け入れますとも。」
「その割には随分と執心していたようだが?私とコヤンスカヤ君に仕事を押し付け、自身は地獄絵図が出来上がる様を鑑賞しているとは。」
「拙僧自身の手でどうこうしようという意思は無くとも、眺めて愉しむ分には申し分無い状況でしたので。───とはいえ、流石にそこまで言われてしまえば拙僧も居心地が悪いというもの。ンンン…やむを得ませぬ。汚名返上、拙僧も本来の勤めへ戻るとしましょうか。」
よよよ、と白々しくも嘆く振りをして見せ、肉食獣───アルターエゴ・リンボはその場を立ち去ろうとする。
「─────へぇ。そういう事か、この特異点……と言うか、特異点もどきの根底は君の暇潰しだったと言うワケだ。」
「おや?」
だがそこへ待ったをかける青年の声。異星の神の使徒二騎の前へ立ち塞がる仮面ライダーディエンドの姿。
招かれざる客の登場に、リンボは神父へ視線を向けた。
「言っておくが、私の手引きでは無い。私がどうこうするつもりも無い。リンボ、君自身の失態だ…煮るなり焼くなり、君が対応したまえ。」
それだけ告げると、神父は二人に目もくれず悠然と歩き去って行く。
ディエンドの方も彼には興味が無いのか、ただリンボだけを見詰めて動く気配は無い。
「やれやれ…好き放題言って退散されるとは。───それで?貴殿は拙僧に何か御用でも?聖杯、メダル…貴殿の為に用意したつもりは有りませんが、欲しければ好きに持って行かれると宜しいかと。」
「まあ、そのつもりだったけどね。結局失敗したし、腹いせに君にも屈辱を与えておこうかと。」
仮面の下で表情は見えないが、声音から憮然とした表情を浮かべているのは明らか。そんな眼前の異形に、リンボは呪符を携えながら高笑いした。
「フ、フハハハハ!!ンンッ、清々しいまでの八つ当たり!!!この芦屋道満、他人の恨みを買う事は数有れど…これ程までの理不尽な待遇は初めてですぞ!」
「なら良かったじゃないか。直接的な非は無いのに貶められ、裁かれる───君がよく他人にやる事だろう?」
ディエンドもまたその手にカードを持ち、対の手に握ったネオディエンドライバーの銃口をリンボへ向けて。
一瞬の後、辺りに銃声が鳴り響いた。
◆
「俺が…お前に会うのを怖がってた?何言ってるんだよアンク…お前、冗談言うタイプじゃないだろ?」
困った様に困惑した笑みを浮かべている映司。
けれど、対するアンクは鋭い目付きを崩さない。それどころか、あからさまに苛立ちを隠さず舌打ちする。
「チッ…バカもここまで来ると病気だな!いや、そもそも自分でも気付いて無いって事か。」
呆れた様子で吐き捨てられてしまえば、流石の映司も少し苛立った様に、アンクへ詰め寄る。
「黙って聞いてたら…アンク、お前何の根拠が有って!俺にも分かるように説明してくれよ!」
「なら聞くが映司─────お前、
だが詰め寄った映司は、逆にアンクに胸ぐらを掴まれ問い掛けられる。
そして突き付けられた問いに、彼は言葉を詰まらせた。
「……ッ!それ、は…復活したグリード達と…!」
「お前は戦っただけだろうが?そこの連中がやって来るまで、お前はガメルと戦い…そして町の連中の噂からメズールの事を知った!それだけだ!鴻上も、あの里中とか言う女も居ない。それどころか鴻上ファウンデーションも壊滅してた!伊達も後藤も居なかった!カザリも真木も、カルデアの連中と合流して初めて再会した!"復活したグリードの様子が普通じゃない"程度なら気付けたとしても……だ。
─────オーズドライバーを持つまで単なる一般人だったお前が、聖杯戦争なんて儀式やらサーヴァントの事やら知ってるのが、そもそも異常だって未だ気付かないのかこのバカがッ!!」
捲し立てる様なアンクの言葉に、傍らで聞いていたオルタは以前のやり取りを思い出す。
『それに…立香君と一緒に居る君達がサーヴァントだって言うなら、さっきの戦闘も
『もっとも、ここで起きてるのは真っ当な聖杯戦争何かじゃない。サーヴァントのクラスも滅茶苦茶、マスターも存在しない。』
『そう言えば、オルタちゃんの名前って…ジャンヌ・オルタだよね?確か…サーヴァントは同じ英霊を元にしても、別の側面が別のサーヴァントとして呼ばれる事があるんだよね。そういう感じ?』
そうだ。いずれの場面でも、彼女は映司がサーヴァントという存在を理解していると思い込んでいた。そしてそれは彼女に限った話では無い。後に合流したランサー達は勿論のこと、立香ら最初に彼と出会ったメンバーも同様だ。
"映司は何かしらの出来事を経て、聖杯戦争にまつわる知識を獲得した"────これまで特異点で遭遇したはぐれサーヴァント達がそうだったのと同じ…そう思い込んでいた。
だが冷静に考えてみれば、そんな事は有り得る筈が無いのだ。彼は魔術師でも、聖杯から知識を与えられるサーヴァントでも無いのだから。サーヴァントの霊基と融合したグリード達とは話が違う。
『………では、火野映司さん。彼が聖杯戦争の知識を獲得したのは一体何処で…。』
恐る恐る問い掛けるマシュ。するとそれまで黙っていた士は鼻を鳴らし、その手を頭上高くへと掲げる。
「そんなもの決まってる。
彼がその手を振り下ろすと、事務所内全てがオーロラカーテンに包み込まれた。
◆
一面を氷と吹雪が覆い尽くす極寒の地。永久凍土を思わせる氷の大地を、獣の雄叫びを背に神父は歩く。
リンボとディエンドが対峙する空間を後にした神父が進むのは、未だカルデアが知り得てすらいない『失われた人類史』。獣国と化したロシアで、神父は一人不敵に嗤う。
「……これまでの三つの出来事。
一つ。死力を尽くした戦いの末、カルデアのマスターとサーヴァント達…そして仮面ライダー達は、紫のメダルを持つ真木を倒した。
二つ。そんな彼らの奮闘も虚しく真木は復活、門矢士という乱入者の助けを以て命からがら戦線離脱。
そして三つ。門矢士、ウヴァ…そして最後のグリード・アンクの登場により、彼等は───正しくは火野映司、彼は本人も気付かぬまま拒み続けてきた真実と…遂に向き合う事となった。」
誰に向けたものでも無い、単なる独り言。だが神父はそんな事に構わず、歩みを止めて瞼を閉じる。
「リンボにあれこれと苦言を呈したものの、私自身正直彼等の行く末に興味が無い訳では無い。己が空虚と向き合い、歪な在り方を受け入れ、それでも歩みを止める事は出来ない…そんな存在を前に、目を奪われたのも事実だ。」
それは、神父自身も知らぬ彼の性か。或いは彼の依代と成った
「……私の案内は此処までだ。この先の結末は、諸君ら自らが見届ける他無い。名残惜しいが、
そうして目を開き、神父は再び歩き出す。
もう彼が立ち止まる事は無かった。
ユーリさん、キエフ出身で聖剣でアヴァロンに居たとか型月適正高い。ニキチッチちゃんには膝枕して欲しい。