Fate/Grand Order 亜種特異点OOO:欲望解放領域 オーズ 作:banjo-da
サブタイがなんか黒棺の詠唱みたいになった。
推理パート入ります。
分岐と結合と世界の終わり
其処は、何処までも続く真っ白な空間。何を光源としているのかは分からないが、影も無くただ其処に立つ者達の姿だけが在る世界。
気付けばそんな世界へ飛ばされていた立香。彼が辺りを見渡すと、同じ様にオーロラカーテンに巻き込まれた者達が立っており安堵の息を漏らす。
「ふむ…此処は一体…?」
「───先輩!?えっと、私は一体…!?」
「マシュ!?ダヴィンチちゃん!それにホームズも!」
同時に視界へ映ったのは、遠く離れたカルデアに居る筈の三人の姿。
驚愕しながら立香は彼等の側へ駆け寄ると、恐る恐るマシュの頬を指でつついてみる。
「ひゃっ!?せ、先輩!?」
「あ、ごめんマシュ!驚いて、本物かと確かめようと…!」
その指先が触れたのは、紛れも無い後輩の柔らかな頬。驚きながら己の指先とマシュとを見比べていると、耳元へ届いた咳払いにより思考を遮られた。
「ん、んっ…感動の再会に水を差してすまない。だが、今は一刻を争う事態だからね。」
咳払いの主はホームズ。その隣ではダヴィンチちゃんが微笑ましいものを見る様に笑っていた。
『ほらほら、イリヤさんもこの機会にグイグイ行かれてはどうです~?ただでさえ今回イリヤさん、影薄いんですから…正統派ヒロインのマシュさんまで参戦して来たら、いよいよ出番無くなりますよ~?』
「……カレイドステッキ・ルビー嬢…とでも呼べば良いかね?今は真面目な話をする場面だ、茶々を入れるのは後にしてくれたまえ。レディ・イリヤスフィールもその辺にしておいて欲しい。」
「私まだ何も言ってないんですけど!?」
悲痛なイリヤの叫びをスルーし、ホームズは空間の中心に立つ男へ視線を向ける。
無論その男こそ、門矢士に他ならない。
「……さて。ではミスター士は約束を果たし、アンク君をこの場へ呼んでくれた。とくれば、次は私が自らの推理を披露する番と言うワケだ。それで構わないかな?」
「最初からそのつもりだ。俺はもうこの事件の大筋は大体分かってる。だが……お前の推理が合っていようが外れていようが、それを聞く事は無駄にはならないからな。」
「ほう。その心は?」
「元警官、元弁護士、そして元チーフコックとしての経験則だ。多角的な見方が時に物事の解決に役立つ。」
『この人良い顔で何言ってるんですかね?』
『姉さん、あまり茶々を入れないよう叱られたばかりですよ。』
ステッキ姉妹のひそひそ話を無視して、士はホームズを軽く顎で指す。それは"始めろ"というサインに他ならず、ホームズは苦笑混じりに口を開いた。
「では…。この事件は幾つもの事象が絡み合った結果、必要以上に複雑化してしまった。なので一つ一つ順番に解き明かしていくとしよう。先のミスター士の発言…火野映司君の事についても気になるだろうが、それは後回しだ。
────ミスター伊達。先ずは今回の黒幕、真木博士の目的からだ。彼の望みは"世界の終末"……人の生を美しいままに終わらせる、これで間違い無いかな?」
問われた伊達は険しい表情で頷き、傍らの映司と後藤もホームズを真っ直ぐに見据えた。
「結構。そしてその為に彼が以前用いたとされる手段は、グリード一体に全てのコアメダルを集めて暴走させる…と言うもの。確かにあれだけの絶大な力が一つに集まれば、世界を滅ぼし得る力と言うのも信憑性は充分だ。
─────だが。この計画、そして真木博士の人物像を聞いた時、私は一つの違和感を抱いた。
「足りない…?ええと、それだけの壮大な計画をもってして、ですか…?」
ホームズの所感に、マシュは驚きよりも先に疑問を浮かべた。他の者達も同様の考えを抱いたものの、ホームズは落ち着き払って続きを述べる。
「そうとも。無論今回の事件が単純に過去の事象のやり直しというのならば、私もその様には考えない。…だが、今回は二つの前提条件がある。一つは彼の計画が一度仮面ライダーとアンク君の手により失敗に終わり、その事を真木博士が把握しているという事。
そしてもう一つ、彼が特異点や並行世界と言った魔術的知識…とりわけ、時空と歴史に関する事象を理解しているという事だ。彼の持つ知識がどの程度なのかは分からないが、そうでなければ今回の様な奇妙な特異点を作る筈が無い。実現可能かは別として、普通に微少特異点を成立させた方が手っ取り早いからね。」
「……すまない。俺は正直、魔術だの並行世界だの、そういった事柄に詳しいワケでは無い。だから端的に聞きたい…仮にその仮説が正しいとして、真木博士はこの特異点で何がしたいんだ?」
「安心したまえ後藤君、今のはホームズが悪い。あの説明で全部理解出来たであろう人物は、カルデア全体を見てもそう多くない筈だ。端的に言ってしまえば───ドクター・真木。彼の目的は、この特異点と本来の歴史…二つの並行世界を強引にドッキングしてしまう事さ。そうだろう、ホームズ?」
批判的な視線をホームズへ向けながら、ダヴィンチちゃんが彼の言葉を引き継ぐ。ホームズはと言えば、向けられた視線にサッと目を逸らしつつ、しかし彼女の言葉には首肯した。
「その通り。それが今回、ドクター真木が態々並行世界を作らなければならなかった理由。本来の特異点は過去の時代に干渉し、起こり得なかった歴史を生み出す行いだ。以前挙げた建物の例にしてみれば、正しい歴史という土地全てを建物で覆ってしまう様なもの。
無論、それでも並行世界自体は存在する。だがそれは言わば…川を挟んだ隣町の様な存在だ。特異点が歴史を変え、結果的に他の特異点へ影響を及ぼす事があったとしても…それこそゲーティアが特異点に変えた人理定礎でも無い限り、一つの特異点が他の並行世界を直接的に壊す事などそう起こらない筈だ。」
「確かに…確証は無いけど、そう言われたら何となく…。」
ホームズの仮説は、立香にも思い当たる節がある。
先の亜種特異点で共闘した宮本武蔵。とある特異点で出会った"死を視る"女性・両儀式。それに現状彼のサーヴァントである
式に関しては確証は無いが…少なくとも魔法少女の三人は、自分の居る世界と異なる世界からやって来た事が確定している。宮本武蔵に関しても、様々な並行世界を渡り歩いて来たと明言していた。下総国で敵対した妖術師…"天草四郎だったモノ"もまた、武蔵同様に世界を巡って来たと言っていた。
仮に特異点の存在が他の並行世界も破壊するのなら、彼女達がその影響を受けずに居たのは妙な話である。
「まあ、この仮説を実証する手段は無い。だから悪いが、この先の推理はこれが正しいという前提で話を進めさせてもらうよ。───この説に則れば、例え一つの世界を特異点化した所で他の並行世界に影響は無い…或いは有っても大した影響では無い。
ただゲーティアの人理焼却については…対象が人理定礎だったからこそ、一並行世界の歴史に留まらず、この星全ての歴史に牙を剥いた。人理定礎とは、例えどの様な並行世界となったとしても"この星の人類史"として基準になる地点だからだ。例え多少干渉した所で絶対に覆らないと決まった結末、だからこそ逆にそれを変える事が出来れば人類史は根底から崩壊する。……失礼、話が横道に逸れた。」
既に何名か知恵熱を出しそうな顔で唸っているのを見て、ホームズは一度言葉を打ち切る。
呆れた視線をダヴィンチちゃん、そして士から向けられた彼は困った様に苦笑した。
「すまない。兎に角一つの世界の中での出来事が、他の並行世界へ影響を与える事はそうそう無い…とだけ認識していてくれれば良いさ。
───しかし今回の特異点は別だ。何せ一つの世界の時間の流れの中に、半端な特異点もどきを作った…川を渡った隣町ではなく、一つの町の中に別の町を無理矢理作ってしまった。」
「町全体を特異点という建物に作り替えるならまだ良い。いや、良くは無いんだけど…まあ、特異点としては本来こうなるべきだ。けれど真木博士は意図的にこんな不出来な特異点を作って、強引に並行世界を成立させたのさ。」
『成程。伊達さんや後藤さんが後からこっちに入れたのは、そんな不完全な並行世界だからですね。その歪さ、不安定さ故に、この世界本来の住人である彼等は二つの世界の壁を越える事が出来た…と。』
『普通なら並行世界を越えるなんて所業、あのジジ…いえ、魔法レベルの大魔術に足を踏み入れる領域ですから。でも無理矢理拵えた世界の壁なら、僅かな綻びから侵入する事は難しくても不可能では無い!って事ですね~。』
どうやらその辺りの事情に詳しいカレイドステッキ達は理解出来たらしい。美遊も神妙な顔付きで頷いている。
「全部分かったとは言えないんだけどさ…何となくは把握したぜ。で、さっき言ってたドッキングって何?」
残るメンバーの理解は伊達が今口にしたのとほぼ同じ。
そしてそれはホームズにとっても想定内だったようで、待ってましたとばかりに口を開きかけ。
「それは「───物と物とがぶつかれば衝撃が生まれる。そしてその衝撃がデカイ程に余波も大きく回りに広がる。一度無理矢理分けた並行世界は、例え元々同じ歴史だったとしても最早別物だ。そいつを今度は無理にくっ付けようって話って事だ…お前は前置きが長いんだよ、探偵。」
士に遮られたホームズはやや不服そうに彼を見る。とは言え伝えようとした内容に違いは無かった。
例え元々一本道だったとしても、一度分岐した道路を再び合流させる様なもの。そこを走る"現在の時間"という車は、二車線から同時に合流してぶつかり合う…そうする事で、どちらの世界も大破するという事だ。
「この方法なら、本来の歴史と真木博士が作り上げた歴史の両方が壊れる───だけじゃない。衝突の余波で周りの時間軸にも大きく影響を及ぼす可能性は否定しきれない。」
「それじゃ、ホームズさんの仰っていた"足りない"というのは…!」
「そう。彼の性格上、悪意をもって今の世界を滅ぼせば満足…では無いと私は感じた。人類全てに美しい終わりを迎えさせる為には、無数に存在する他の並行世界をも巻き込むやり方が必要だったと言う事だ。」
◆
「───以上が僕の推測だけど、どうだい?君が奴に吹き込んだのは大方そんな所だろう。」
『アタック・ライド!ブラスト!』
ネオディエンドライバー、その銃口から射出されるプレート型の弾幕。しかしリンボは顔色一つ変えず、その全てを結界で防ぎ切る。
「ンンン!見事、実にお見事!いやはや…ここでシラを切るのは簡単ですが、貴殿の名推理に敬意を評して正直に申し上げましょう!───その通り!」
銃撃の嵐を凌いだリンボは攻めへと転じる。手にした呪符をディエンド目掛け投げつけ、起爆。それを後方へ飛んで躱すディエンドへ、畳み掛けるべく次なる呪符を飛ばした。
「君が"正直"なんて言葉を使うと背筋がゾワゾワする。柄でも無い事を───チッ!?」
ディエンドの言葉を遮ったのは、呪符が変化した巨大な鎧武者の斬撃。更に追い討ちを掛けるように、リンボは高らかに嗤いながら二体の鎧武者をディエンドへ差し向ける。
「フハハハハ!柄でも、何ですって?」
「式神か!」
悪辣な笑みを浮かべたリンボの問いを無視し、斬撃の合間を縫うようにスライディングするディエンド。そうして式神の密集地帯を脱しつつ、最も手近な式神へ銃撃を撃ち込んだ。
銃弾に武者が怯んだ刹那、即座にディエンドライバーへカードを装填。間髪入れずに助っ人を召喚する。
『カメン・ライド!カブキ!キバ!スカル!』
赤と緑の二色で縁取られた鬼が、さながら歌舞伎役者な見栄を切るかの如き所作で鎧武者と対峙する。
その隣では深紅の鎧を纏った吸血鬼の様な戦士が、ディエンド目掛け突進する鎧武者と正面から組み合った。
突進の勢いに押されて後退る深紅の戦士。だが直後、その上半身を覆う鎧が深紅から紫へと変貌すれば、後退は止まり逆に武者を押し返し始める。
「これは何とも面妖な…いやはや、楽しませて下さる!それで!?一体どの様にして拙僧の授けた策を看破されたのか!」
リンボの指先が宙に五芒星を描く。そこから放たれる、呪いを圧縮させた漆黒の光線。
「大した事はしてないさ。ヒントは充分に有ったし、実を言うと僕は似た様なケースの事件を知ってるものでね!」
凄まじい勢いで迫り来る呪いを間一髪で躱し、ディエンドもまた反撃の弾丸をリンボへ放った。その横では骸骨を思わせる仮面の戦士が、目深に被ったハットを片手で押さえながら武者の斬撃を避け続けている。
「似た様なケース?」
「ここから先の未来、とある科学者が起こした事件さ。失敗したけどね?
並行世界の自分と融合し、不老不死の力を得た上で二つの世界をぶつけて壊す…。
───もっとも彼等は融合させる事に重点を置いていて、世界がぶつかった時に起こる衝撃の余波までは考慮に入れていなかったみたいだけど。大方、どうせ野望が達成されたら自分達は不死身の存在になっているから…って考えだったんだろうけどさ。」
「成程───つまりカンニングの様なものですか!拙僧の称賛は見当違いでしたな!」
「全くだ、実に滑稽だね!」
互いに苛烈な攻めの手を止める事無く、一進一退の戦闘を繰り広げる。
リンボとディエンドの実力は互角。だが互いに余力を残し、相手の隙を窺っている。
『スカル!マキシマムドライブ!』
拮抗した戦況が動いたのはその直後。
必殺を狙い全力で振り降ろされた刃をサイドステップで躱し、骸骨の戦士・仮面ライダースカルがカウンターの要領で武者へと必殺の蹴りを叩き込んだ。
魔力の塵となり霧散していく鎧武者。そこから形成が変わるのはすぐだった。
『ウェイクアップ!』
紫の鎧を身に纏った戦士・仮面ライダーキバが、手にした鎚で武者を鎧ごと粉砕する。
それと同時に赤と緑の鬼・仮面ライダー歌舞鬼が武者を刀で一刀両断。瞬く間に全ての式神が撃破された。
「さあ、化物対決はこちらの勝利だ。それで…次はどうする?」
一気に4対1の戦況へと変わった中、圧倒的不利にも関わらずリンボは寧ろ愉快そうに微笑む。
「ンンン…せめて陰陽師と魑魅魍魎の対決と言って欲しい所ですな。さて…拙僧、貴殿を見くびり過ぎていたようです。此処で始末してしまう算段でしたが、流石にこれは分が悪い。退かせて貰いましょう。」
「まだ全然手の内を残してるクセによく言うよ。それに、大人しく逃げられる筈が無いだろう?」
「さて、どうでしょう…なッ!!!」
刹那、リンボの魔力が急激に上昇する。
危険を察知し咄嗟に後退したディエンド。彼が先程まで立っていた場所に、巨大な骸骨の悪霊…メソポタミアの神話におけるガルラ霊、それを模した存在が顕現した。
「…くそっ!」
やむを得ない。ディエンドは切り札のカードをネオディエンドライバーへ装填。
『ファイナル・アタック・ライド!』
構えたネオディエンドライバーの銃口と、ガルラ霊の間に浮かび上がる無数のプレート。召喚されていたライダー達もそこへ取り込まれ、それらが照準を定めるが如く一直線の道を形作る。
『ディ・ディ・ディ・ディエンド!!』
「───ハッ!!!」
ディエンドが引き金を引く。ネオディエンドライバーの銃口から撃ち出されるのは、先程までの攻撃とは一線を画する圧倒的な力の奔流。ディエンドが誇る最大火力のエネルギー砲は、ガルラ霊を跡形も無く消し飛ばした。
「………ま、逃げられるよね。勝負に勝って試合に負けた…って所かな。」
既にリンボの姿は見当たらない。不満げに言葉を溢すと、ディエンドは踵を返して歩き始める。
もう此処には用は無い。恐らく、もう少ししたら士も決戦の準備を始めるだろう。彼を手伝う気は無いが、便乗して真木にひと泡吹かせるくらいの事はしても良いかもしれない。
「もし本当に世界が終わるなら、そこで士と共闘するのも悪く無い。
気は進まないが仕方無い───仮面の下でほくそ笑みながら、ディエンドはオーロラカーテンの奥へと消えて行った。
オーズ新作前に一先ず一話上げられた…。
士と海東がどういう流れでどの時間軸から来たかは設定考えてます。考えてますけど…話の流れ的に出せれば出す、テンポ損ないそうなら出さないって感じです。平成ライダーはライブ感が大事ってそれ一番言われてるから。瞬々必生!P.A.R.T.Y!