Fate/Grand Order 亜種特異点OOO:欲望解放領域 オーズ   作:banjo-da

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復活のコアメダル公開中投稿。
未鑑賞の方もいらっしゃると思うので、ここでは我慢して何も語りません。この小説の感想は募集中です。今更ですけどバレンタインイベは出雲阿国ちゃんが可愛い過ぎた。

プリヤのネタバレありますのでご注意下さい。
(二回目)




崩壊と渇望と壊れた道しるべ

「さて、ここまでが真木博士の目的だ。では次に、この特異点の…」

 

前提条件となり得る真木の目的。それを明かし、次なる推理へ進もうとしたホームズ。

 

「────おい、いい加減にしろ!!時間も無いのにまどろっこしい!」

 

だが、そこへ割って入ったのは他でもないアンクだった。

虚を突かれたホームズや、いきなりの怒声に目を丸くしたカルデアの面々達を無視し、アンクはずかずかと映司の眼前へ歩み寄る。

 

「ちょ、アンク!落ち着けって…」

 

「黙れ!!映司…お前もなんとなくは理解してるんだろうが!」

 

そのまま映司の胸ぐらを掴み、苛立った様に吐き捨てるアンク。

 

「おいアンク!止せ!」

 

「映司さん!あなた、何してるの!?」

 

すかさず伊達と美遊が割り込もうと駆け寄るが、それすらアンクは意に介さない。

 

「ごちゃごちゃうるさいんだよお前ら!分かってないのか、分かった上で見て見ぬフリしてるのか知らないがな…そもそもの原因はコイツなんだよ!違うか映司!」

 

「─────え?俺…が……?」

 

空気が凍り付く。

映司はその言葉の意味を受け止めきれず、驚愕…なんて言葉では言い表せない表情を浮かべた。

伊達も美遊も、彼等に続いて駆け出していた後藤やアタランテも脚を止める。

当然だろう。それだけアンクの告げた答えは無慈悲で、衝撃的なものだった。

 

「……アンクとやら…汝、それは本当か…?」

 

「…いやいやいや!流石に冗談にしちゃ笑えねぇよ!おいアンコ、一体どうしちまったんだお前!」

 

絶句する面々を冷めた目で見渡し、アンクは隠す事無く舌打ちする。

 

「チッ…揃いも揃って間抜けか。」

 

「その辺にしておけ、アンク。お前も予想してただろ。オーズには、その自覚すら無いとな。」

 

意外にも制止を掛けたのはウヴァだった。アンクと異なり怪人態の姿のまま、感情の読み取れぬ無機質な目で辺りを見渡す。

 

「おいディケイド。それと、ホームズとやら。お前らはもうとっくに気付いているんだろうが。俺はオーズを断罪するつもりも庇うつもりも無い…さっさと話を纏めろ。」

 

「ふむ…ウヴァ君、冷静な判断に感謝する。諸君も一度落ち着きたまえ。アンク君の言葉は、私の推理とも合致する。だが…ミスター映司が悪人で黒幕、という話でも無いんだ。」

 

「探偵、言って聞かせるだけじゃ全員納得はしないだろ。……仕方無い、俺が真相を見せてやる。お前は適度に解説しろ。」

 

呆れた様に溜め息を漏らす士。彼が片手を翳せば、全員を取り囲むオーロラカーテンが出現する。

そのまま士は有無を言わさず、オーロラによる転移を起動した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『手段は美しいとは言えませんが…もたらす終末はきっと美しい…!』

 

『これ以上は止せ…!俺は暴走する気は無い…!』

 

『こんなのどうやって戦うの!?』

 

『方法は一つ…とにかく倒す!』

 

それは、地獄絵図と呼んで差し支えない戦場だった。

 

「ここはオーズ達と真木の最後の戦い…その記憶だ。何が起きようとダメージは無い、ビビって見逃したりするなよ。」

 

嘗て起きた、映司達と真木の最終決戦。

爬虫類系メダル。既に破壊されたカザリ、ガメル、メズールの意思が宿ったコアメダル。そして映司とアンクの持つメダル。

これらを除く全てのメダルが、真木の手によりウヴァへと集約され…そしてウヴァは苦悶の叫びをあげながら、最早元の姿の原型等微塵も無い力の塊へと変貌する。

 

「あれが…世界の終末?コアメダルの暴走とは聞いていましたが…。」

 

「もう生き物の形すらしてねぇよな、アレ。どう見ても無機物の類じゃねぇかよ。」

 

『五十歩百歩程度の差ですけど、まだ魔神柱の方が生き物感ありましたね。古代の錬金術師がメダルを作ったって聞いてましたけど、一体どういう魔術家系からあんな物が生まれるのやら…ひょっとしてメイド・イン・アトラス院ですか?』

 

「そこまで知るか。」

 

これまで映司達の言葉でしか知らなかった、真木の目指した先の正体。

想像を越えるその絶大な力は、立香達が過去撃破してきた魔神柱にも劣らない…寧ろ、それ以上にすら感じられる。

 

「俺は嫌だ……ぷぷっ、何よあの命乞い…!」

 

「黙れ突撃女!あれは……チッ。…本当に大事なのはこの先だ、黙って見てろ!」

 

 

 

恐竜グリードと化した真木。プトティラコンボを使うオーズ。そしてカルデアの面々やアタランテは見覚えの無い、鳥の意匠を持つ赤いグリード───アンクだ。

彼等が縦横無尽に大翔を舞い、空中戦を繰り広げた先。

舞台は地上へと移り、オーズが捨て身の策で恐竜グリードを捕らえた。

 

『今俺の中には…貴方を絶対に倒せるだけの力がある!』

 

『映司…まさかお前、この為にメダルを…!』

 

火野映司という器に宿った、本来なら絶対に人の身に収まりきる筈の無い程のセルメダル。

その全てをメダガブリューに喰わせ、文字通り命懸けの斬撃を放つオーズ。

 

 

 

「……ここだ。ここからが、本来の歴史と異なる展開になる。」

 

 

 

『馬、鹿……な…!こん、な…がっ……!?』

 

全てを乗せた一撃を食らい、恐竜グリードは地に伏せる。制御を失ったエネルギーが全身にスパークを起こし、夥しい血とセルメダルを撒き散らした。

 

『やっ、た……か?

──────ガッ!?うわぁぁぁぁぁぁ!!!』

 

けれど、命を懸けた一撃の反動は大き過ぎた。オーズの変身は強制解除され、絶叫しながら映司は人の姿へと戻る。

 

『─────映司!!クソッ、この馬鹿が!無茶し過ぎなんだよ!』

 

人間態に戻ったアンクが映司の傍へ走り出した、その刹那。

 

『─────この時を…待っていました。』

 

最早死に体と言っても過言では無いその身で、しかし怪人としての姿を保ったままの真木は。

紫のコアが持つ力を凝縮させた、絶大な魔力の光弾を映司へと放つ。

 

『──────ッ!』

 

アンクがどうしてそうしたのかは、実際の所本人にも分からない。人間の肉体を借りている状態では、走ってもグリード化しても間に合わない。そんな合理的な判断からかもしれない。

……或いは。映司と、そして比奈と約束したからなのかもしれない。

 

ただ、一つの事実として。

 

アンクは肉体を…泉信吾の身体を捨て、腕だけとなったその身で映司を光弾から庇った。

受け止められたのはほんの一瞬。すぐに光弾へ込められたコアメダルの力により、腕の形を成していたセルメダルが消し飛ばされていく。

そして──────。

 

『………じゃあな、映司。』

 

『──────アンク!!!』

 

最後に残った赤いコアメダルは、欠片一つ残さず粉々に消し飛ばされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『………よくも。』

 

そうだ─────思い出した。

 

『…絶対に許さない……!』

 

俺はまた、手が届かなかった。

助けられなかったどころじゃない。

 

『俺は……貴方を…そして俺自身を…!』

 

俺のせいで死んだ。

あの女の子も、アンクも。

俺に力が足りなかったから…死なせたんだ。

 

『───────絶対に許さないッ!!!!!』

 

怒りと、哀しみと、憎しみと、絶望と、虚無と。

そして。

今度こそ…世界中、何処だって届く力への欲望。

あの瞬間、その全てが自分の中で爆発した。

 

『うおおおおおおおおおおお!!!!!!』

 

オーズドライバーすら用いる事無く、"俺"は自分に宿ったコアメダルの力を解き放つ。湧き上がる衝動に身を任せて、目の前に立つ"火野映司"は恐竜グリードへと変貌した。

 

『……凄まじい力ですね。だが良いのでしょうか?…アンク君が我が身を犠牲に救ったのは、君一人では無かったと思いますが。』

 

理性の全てを衝動に委ねる、その寸前。

辛うじて耳に届いた真木博士の言葉に、俺は倒れたままの信吾さんの事を思い出した。

 

『それに…私を倒した所で、アレは止まりません。世界に良き終末をもたらすまで、欲望のままに全てを喰らい尽くします。』

 

『…………あぁ…アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!』

 

獣の様な慟哭をあげながら、過去の"俺"は信吾さんを離れた物陰へ移す。

真木博士の妨害は無かった。

信吾さんを避難させ終えた"俺"は…"恐竜グリード(火野映司)"は咆哮しながら宙に浮かぶ"世界の終末"へと向かって行く。

そこから先は…こうして見返してもよく覚えていない。けどそれも当然だと思う。

無限に吐き出される屑ヤミー達を鏖殺し、巨大な"世界の終末"を少しずつ、少しずつ破壊していく"俺"。

幾つもの建物を巻き込み、沢山の物を壊しながら……最後の一欠片を打ち砕いた俺が見た物は。

 

 

 

『お願い……映司君…!』

 

 

 

泣きそうな顔で祈る、比奈ちゃんの姿だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

火野映司さん。

自分の命をどうとも思っていない。

他人を救うために力を求めて、その手が届かない事を心から恐れている人。

辛い過去を引き摺りじめじめと腐っていく人は大勢居る。それは多分、良い事では無いのだと思う。

でも、映司さんの場合は…そっちの方がまだ何倍も良いと思ってしまった。

彼の心はじめじめ腐っていくのと真逆。渇いて、渇いて、砂の様に渇ききって…そして、砕けて壊れてしまったのだ。私やアタランテが抱いた危機感は間違っていなかった。

 

ひょうきんで、少し抜けてて、明るくて、優しい。

 

そんな彼が─────。

 

『オオオオオオオオオオオオ!!!!』

 

人であることすら躊躇い無く捨て去って。

 

『倒す…倒す……倒す!!』

 

確かに何処までも届くかもしれない。

けど届いた所で、最早何一つ抱き締める事の出来ない腕を振りかざして。

 

『今度こそ…皆を守る…!俺の腕…力ッ!もっと、もっと、もっと!!!!』

 

きっとその手じゃ掴んだ物を全て壊してしまう。そんな事にも気付かずに、映司さんは戦い続けた。

 

 

 

『皆を…助けなきゃ…。真木博士を倒して……信吾さんを助けて…伊達さんや、後藤さんを助けて…比奈ちゃんを……!』

 

『素晴らしい。見込んだ以上です。』

 

「───────映司さん!!」

 

ここが過去の記憶の再現、呼び掛けに意味が無いと理解していても…叫ばずにはいられなかった。

世界の終末を打ち砕き、人の姿へと戻った映司さん。ボロボロになって尚…他人を助けようと進む彼は、背後を取られた事に気付かなかった。

 

『がっ……………!』

 

恐竜グリード…真木博士の鋭い爪が、映司さんの腹を背後から貫く。

映司さんの身体を貫通したグリードの手。グリードがその手に持っていた物は…聖杯。

 

『殺しはしません。……私は初めからこうするべきでした。』

 

『何……を…!?』

 

グリードが貫いた腕を引き抜く。だがそこに、握っていた筈の聖杯が無い。

まさか───私は過去の映司さんの正面へ回り込むと、貫かれた筈の腹部から金色の光が漏れ出している様子を目の当たりにした。

 

『グリード以上に欲深い。初めからグリード達なんてアテにせず、君を器にしてしまえば良かったのです。』

 

『真、木…はか……俺に…なに、を……。』

 

『私が君に埋め込んだ物は、聖杯と呼ばれる万能の願望機。鴻上会長ではありませんが…敢えて問いましょう。君の欲望は何ですか?』

 

「ダメ…映司さん!止めて!!!」

 

脳裏に過去の光景が蘇る。まだ私が幼い頃…殆ど覚えてはいないけれど、お兄ちゃんと出会った切っ掛けの出来事。神稚児の力を暴走させ、私の世界(・・・・)の冬木に大きな爪痕を残した惨劇。

 

同じだ。今の映司さんに聖杯を与えれば、きっと彼の願いは彼自身に牙を剥く。伝わらないと分かっていても、私は叫ばずにはいられなかった。

 

『憎い私を滅ぼす事が望みですか?

─────違う筈です。君の欲望はもっと大きな物でしょう。さあ…その欲望、解放しなさい!』

 

『俺は……アンクに、もう一度会いたい…!そして……今度こそ、欲しい…!』

 

「ダメ!!映司さん!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『──────何処までも届く俺の腕!』

 

 

『──────世界中の人達を守れる力!!』

 

 

『俺は────────それが欲しい!!!』

 

私の声は届かない。

映司さんは全霊を込めて声を張り上げる。

 

 

 

彼の身に宿った聖杯が、その願いを受諾する。

辺り一面が眩い光で包み込まれた。

 

 

 




「我が命を懸けて世界を守る」がヒロミさん。
ヒロミさんが「我が…」って言ってる間に命を懸けるどころか投げ捨てて全力ダッシュするのが映司くん。

それを見ながら「命は大事にしなきゃダメだろ。映司さん、そんな馬鹿な真似は止せ……なんだよセイバー。遠坂も。」ってヒロイン達に白い目向けられるのが衛宮士郎くん。
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