Fate/Grand Order 亜種特異点OOO:欲望解放領域 オーズ 作:banjo-da
前の話が日間ランキング載ったり、お気に入り一気に100人くらい増えたりしてビビりました。やはりオーズの力は偉大…劇場公開中に映司とアンク回を持って来れたのが大きかった…。
本当に皆様ありがとうございます!
映司の欲望に応えた聖杯が、万能の願望機としての力を発揮する。
映司の内から生み出される…否、蘇ると言うべきか。
これまでの戦いで破壊されたコアメダル達が、完全な状態で全て揃った。
コアメダルだけではない。映司の欲望を聖杯がセルメダルの形へと変化させ、まるで壊れたスロットマシンの様に多量のセルメダルまでもが溢れ出していた。
「あああ……ぐっ、うおおおおおおお!!!!」
「…素晴らしい。やはり私の目に狂いはありませんでした。これで───おや?」
復元されたコアメダルへ歩み寄る、人間の姿へ戻った真木。
だがそこで一つの誤算が発生する。
「………ここは。俺は…何故だ…?」
蘇ったメダルの内、鳥類の力を宿した赤いメダル。それらが自然と一つに集まり、周囲のセルメダルをも取り込んで一体のグリードを形作った。
「ああ…そう言えば、火野君はアンク君に会いたいとも願っていましたね。どうやら他のコアメダルと異なり、アンク君という個を求めていたからこそ…他のグリード達より自我の復元も早かったようです。」
復活したばかりのアンクに今の状況等分かる筈も無い。だが、目の前で無数のメダルを生成している映司。それを無機質な瞳で見据える真木。そしてアンクの中に流れ込んだ、知らない筈の知識の数々。
「これは…聖杯…?いや待て、聖杯って何だ…何で俺はこんな事を知っている。───真木!お前、映司に何をした!?」
「何をしたかと問われれば、私は彼の欲望を解放し…それを叶える手段を与えたまで。君の復活はその結果に過ぎません。」
「何だと…!?おい映司!聞こえ無いのか!?」
「…俺の腕……力…もっと、もっと…!」
再会の余韻に浸る間も無く、アンクは映司の肩を掴んで揺する。だがその振動も、アンクの声も彼には届いていない。うわ言の様に同じ言葉を繰り返すのみだ。
「クソが…完全に呑まれてやがる!おい映司!正気を取り戻せ!!」
「無駄です。今の彼は進んでその力に呑まれた…いわば、擬似的な器の暴走です。」
「何だと…!」
「────とは言え。ここで君に余計な事をされても困る。復活して早々に申し訳ありませんが、君はここで消えてもらいます…。」
再びメダルの力を解放し、グリード態へと変身する真木。対するアンクは万全の力を取り戻しこそしたが、流石にこの状況では分が悪い。
だが…アンクの復活という誤算が生み出した僅かな時間は、真木にとって更なる計算外を呼び起こした。
『うっ…何だ…。俺は、どうなって…?
────うおぉ!?ど、ドクター!?アンクにオーズまで!?何がどうなっている!?』
復元されたコアの内、一枚の緑のコアメダルに意思が宿る。
アンクを除いて最後に倒されたが故に、他のグリードよりも早く復元されたのか。或いは撃破された際、自身の全てのメダルを含む多くの力を持っていたが為なのか。はたまた単なる生への執着の強さか。
理由は定かでは無いものの、その瞬間ウヴァの魂が蘇った。
「─────上出来だウヴァ!これでも食らえ!」
「しまっ……」
それが原因で生じた恐竜グリードの隙を突き、アンクはグリード態へと変身。腕から火球を放って敵対者の動きを止める。
「話は後だウヴァ!ここは一旦退くぞ!」
『ま、待て!アンク!俺にもちゃんと話を…、
─────うわぁぁぁ!?』
グリードの形を取り戻す間も無く、残るコア共々アンクに掴まれるウヴァ。彼の悲痛な叫びを完全にスルーして、アンクは取り込めるだけのセルメダルをかっさらい空へと飛び立った。
「……逃げられましたか。まあ良いでしょう。こちらも、一度体勢を整えなければならないようですし。」
猛スピードで離れていくアンクへ追い討ちはかけず、人間の姿に戻った真木が見据えているのは映司である。
彼が宿した聖杯が一際大きな輝きを放つと、更に多量のセルメダルが生成されたが…直後、急激にその輝きは消え失せ、新たなメダルの供給も停止した。
そして、映司はそのまま地面へと倒れ込む。完全に意識を失っていた。
「いきなり全開に引き出すのは、やはり火野君と言えど無理が有りましたか…これでは、私の望みを果たすには足りない。」
倒れた映司の傍へ歩み寄り、真木は
それは暗示の込められた呪い。今の映司へと用いれば、解放された彼の欲望はより強くなり…逆にその欲望に取り憑かれている間の記憶は曖昧になる。言わば、メダルが暴走している時の状態を強化するものだ。
呪符は映司の肉体へと入り込み、彼の記憶と精神を犯す。根が善良な彼の事だ。恐らく目を覚ました時には、暴走していた上、仲間に対して後ろめたいこの記憶は殆ど残らないだろう。
「聖杯は君に預けておきます。君がこれに馴染み…完全に扱えるようになった時こそ。君自身が、"世界の終末"をもたらすのです…。」
布石は打った。後は自分のシナリオ通りに導くだけ。
火野映司の力を高め、欲望を全開まで解き放ち、そして聖杯の力とコアメダルの力を一つにする為には戦いが必要だ。
その為にはグリードに相手をさせるのが手っ取り早い。だがいきなり完全体と戦わせて、聖杯に馴染みきっていないオーズが敗北するのは避けたい。
かと言って弱過ぎては話にならない。半端な所で暴走したオーズにコアを破壊されるなんて展開は論外だ。折角全てのコアが復活したのだ、計画を狂わせる要素は排除しておくべきだろう。
「……サーヴァントと言いましたか。人類史に刻まれた、一騎当千の英雄達。やはり、それを使うのが良いかもしれませんね。」
グリードとサーヴァントを混ぜ合わせる。そうすれば能力自体は単なるグリードより格段に強くなるだろう。だが能力値自体が増大したからといって、本来のサーヴァントやグリードより強くなるとは限らない…良い具合に苦戦させて、その上でオーズに敗れる隙も持ち合わせていれば最良だ。
方針は決まった。こうして事に及んだ以上、自分の把握していない所で抑止力のカウンターとやらがサーヴァントを召喚するのは時間の問題だ…そうなる前に自らの手でサーヴァントを召喚し、手駒としておく必要がある。
この時点で本来の歴史…協力者を名乗る胡散臭い陰陽師から聞いた、自分が死亡する歴史とは別の歴史に分岐している筈だ。元々持っていて先程映司に与えた聖杯を使い下地は完成しているが…安定するまで聖杯の力でカバーする必要も有る。
となれば、必然的にもう一つ聖杯が必要だ。特異点化の維持、英霊召喚、そして万が一に備えた保険も兼ねて…求める第二の聖杯、その在処の目処は付いている。
「鴻上ファウンデーション。財団の地下保管庫…その中でも会長以外に開けられない最重要機密の何処かに必ず有る。今なら確信が持てます。」
そもそもオーメダル自体が過去錬金術によって生み出された存在。
それをああも平気な顔をして所有し、グリード復活の際にも魔術師は一人として首を突っ込んでは来なかった。
あの陰陽師から聞いた情報は今の所全て真実。となれば、神秘の秘匿を是とする魔術協会が何の動きも見せなかった事は不自然…つまり、鴻上光生は既に魔術協会と通じていると考えて間違い無い。
そして彼が魔術に関しても知識を有しているのなら…聖杯という、人の欲望を叶える最大の力を求めない筈が無い。
管理の名目で魔術協会や聖堂協会から一つくらい掠めていても可笑しくない…と言うより、間違い無くあの会長は成し得るだろう。
「……そう言えば私は伊達君と違い、正式な退職願いは出していませんでしたね。辞表を出して…退職金代わりに聖杯を頂戴しましょうか。」
向かう先は一つ。ビル自体は火野映司の暴走で崩壊していたが、間違い無く会長はあそこに居る。
急ぐ素振りも見せず、しかし軽やかさは微塵も無い淡々とした足取りで、真木は嘗ての職場への道のりを歩き始めた。
◆
この特異点、そして火野映司という男が抱えていたもの。その真実を目の当たりにした一同は、各々決戦を前に休息を取っていた。
『見せるものは見せた。俺はまだ準備が残ってて忙しい…後はホームズにでも聞け。決戦は二時間後だ。』
そう告げた士はオーロラをくぐり、勝手に何処かへ消えてしまった。まあ口振りからして手伝ってはくれそうだが…その気紛れさには流石に呆気に取られたものだ。
マシュ、ホームズ、ダヴィンチちゃんの三名はカルデアへ帰還。残る面子は拠点の廃工場へと送り返された。
「─────そっかぁ。ミユとアタランテさんは、とっくに気付いてたんだね。ごめんね…私、全然気付いて無かった…。」
事務所の中にある幾つかの小部屋。今は全員が一室の大部屋に集まっている訳では無く、何人かは小部屋に分かれて過ごしている。
映司とアンクも…そして今、こうして向き合っているイリヤと美遊もそうだ。
「ううん…イリヤが謝る事は何も無い。相談しなかったのも、解決出来なかったのも私…だから謝らないで。」
美遊はイリヤに全てを打ち明けた。映司と出会ってから感じていた数々の違和感。夢の世界でアタランテや士と共に目にした、火野映司という男のバックボーン。その全てを
「映司さん…きっと辛かっただろうね。ううん…こんな言葉じゃ言い表せない。私はクロやお兄ちゃん…大切な家族に恵まれて、ミユや大事な友達と一緒で。そして今はマスターさんやマシュさん…それに沢山のサーヴァントの人達、頼れる仲間が居る。きっと私には映司さんの辛さは本当の意味では理解出来ないし、分かった気になっちゃいけない。」
イリヤスフィールは魔法少女とはいえ、本来何処にでも居る様な小学生。それもとびきり心優しい少女だ。
他人の痛みに涙を流せる、そんな親友にとって先程目の当たりにした真相…そして美遊が語った内容は、やはり辛いものだった。目元に涙を滲ませながら、それでも気丈に振る舞おうとする彼女を見て、美遊の心は罪悪感に苛まれる。
「……ごめんなさい、優しいイリヤ。やっぱりイリヤに伝えるのは酷だった…私がどうにかするべき問題だったよね。」
「そんな!?ミユ、それは違うよ!ちゃんと話してくれてありがとう…だからそんな風に言わないで。」
驚き、目元を拭いながら美遊の言葉を否定するイリヤ。しかし彼女に対して、美遊は小さく首を横に振った。
「ううん…違わない。気付いてしまった以上、これは私が何とかしなくちゃいけなかった話…でも、どうしたら良いのか分からない…。私は…!」
俯き、声を絞り出す美遊。
何処か兄に似ていて、その危うさに触れて…美遊が彼を助けたいと願った想いは本物だ。
だけどこの特異点を解決するには、オーズの力は必要不可欠で。それに映司が聖杯を持っている以上、彼の持つそれを回収しなければならない。
今なら分かる…きっと彼は聖杯を手放す選択を取るより、自分一人で全てを解決しようとするに違い無い。世界を取るか、映司を取るか…そんな選択を美遊に選べる筈が無い。
考えが纏まらない。心と理性が不安定になって、どうして良いのか分からない。
「──────ミユ!!」
そんな思考から彼女を引き戻したのは、大切な親友だった。
イリヤは美遊の肩を掴み、目を潤ませながらも…。
「イリヤ……?」
「どうしてそんな風に考えるの!?何でミユ一人で背負おうとするの!」
─────目を潤ませながら、彼女は怒っていた。
「い、イリヤ…?落ち着いて…」
「落ち着けるワケないでしょ!バカ!バカミユ!!確かに私は頼りないかもしれないけど…それでも!私はミユの仲間で、友達なんだよ!何で私にも背負わせてくれないの!?」
イリヤは止まらない。気圧される美遊の目を真っ直ぐに見据え、心の底から大切な友達へ訴えかける。
「私だけじゃない!アタランテさんだって、映司さんの事は知ってるんでしょ!映司さんの過去を知らなくたって、マスターさんもオルタさんも!ランサーさんも!ハサンさんも居る!伊達さんや後藤さんだって居るじゃない!!何でミユ一人で全部どうにかしようとするの!?
────それじゃまるで、ミユが救いたい映司さんと一緒だよ!!」
イリヤの言葉が美遊の胸に刺さる。彼女は漸く自分の状況に気が付いた。
そうだ…これでは何も変わらない。彼と同じ事をしている自分の想いが、映司に届く筈が無い…そんな事にも気付かない程、自分は思い詰めていたのだと気付いたのだ。
気付いた途端に美遊の目から一筋の涙が零れ落ちる。そんな彼女をイリヤは強く抱き締めた。
「……ごめんなさい。イリヤ…でも、私にはどうすれば良いのか分からない。」
「…大丈夫。……ねぇ、ミユ。どうしたら良いのか…じゃなくてね。ミユはどうしたいの?」
そっと身体を離し、美遊を見据えるイリヤ。
その顔はもう怒りの表情では無い。何度も助け合ってきた、大切な友を想う…優しい表情を浮かべていた。
そんな暖かな友を前に、美遊もまた素直な本心を打ち明ける。
「私は…映司さんを助けたい。でも、この特異点も修復しなくちゃいけない。オーズの…映司さんの力は必要だし、あの人から無理矢理メダルや聖杯を奪ったりしたら…きっと映司さんはもっと壊れてしまう気がする…。世界か映司さんか、どっちかを選ばなくちゃ…でも…!」
「─────違うよミユ。どうして、そんな悲しい選択をしなくちゃいけないの?」
「………え…?」
言葉の意味が分からず、美遊は一瞬呆気に取られる。
そんな、ぽかんとした様子の親友にイリヤは満面の笑みを浮かべて両腕を広げて見せた。
「世界か、映司さんか…なんて、決めなきゃいけないって誰が言ったの?そりゃ難しいかもしれないけど…!
───でも、私達は魔法少女なんだよ!どんな無茶だって乗り越えられる、空想を現実にする!そんな存在なんだから!どっちかじゃなくて、世界も!映司さんも!…って、ちゃんと欲張らないと!!」
「ちゃんと…欲張る……。」
小さく、イリヤの言葉を繰り返す。そんな美遊にイリヤは微笑み掛けた。
「そう!空を飛ぶ練習をした時の事、覚えてる?あの時、ミユは中々上手くいかなかったでしょ?普段は私なんかより、断然魔法少女の力を使えてたのに!」
「う、うん…。それは、人間は空を飛べないって固定観念に囚われてて…。」
「それと一緒!"難しくても出来る!"って考えないと…最初から出来ないって決めてちゃ何も始まらない!ほら、それこそ映司さんも言ってたじゃない!"欲望ってのは大きな力を持ってる"って!
ミユがちゃんと欲張らないと!」
他人が聞けば、現実が見えていない子供の絵空事と思うかもしれない。
けれど美遊は知っている。本当は優しくて、争いを好まず、年相応の弱さも持っている彼女が…こうして幾つもの困難を乗り越えて来た事を。
そうだった。そうやって困難に向き合い、諦めずに乗り越えて…そうやって助けに来てくれた兄と、隣に並び立ってくれたイリヤに救われたのだ。その事を美遊は思い出した。
「………ありがとう。…ねぇ、イリヤ。」
「ん?ミユ…何?」
「私、決めたよ。ちゃんと欲張る…だけど多分、難しい道だと思う。だから、もしもの時は…」
涙を拭い。遠慮がちに問い掛けながら美遊が伸ばした手を───────。
「大丈夫!必ず、私がその手を掴むから!」
穏やかに笑うイリヤが、その手を強く握った。
聖杯厳重管理してるカルデアですら、クリスマスイベントで何故か食料保管庫に聖杯転がってるくらいだし…冬木の大聖杯ぶん取りでもしなきゃ大事にはならんやろ!いけるいける!『藤丸立香はわからない』でも聖杯割と普通に貰えるつってたし!公式が出してる漫画で言うならへーきやろ!マルタさんは水着が好き!(二個目の聖杯投入)