Fate/Grand Order 亜種特異点OOO:欲望解放領域 オーズ   作:banjo-da

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前回の話とかで、「タトバ揃ってるのにウヴァ完全体はおかしくない?」と思った方がいたらごめんなさい。
あなたの計算は合ってます。その辺の話は今回していきます。




正解と間違いと映司の後悔

『……以上が私の推理だ。ウヴァというあのグリードは、恐らくドクター真木の撃破後には敵として立ち塞がる筈だろう。

─────ただ、それまでは裏切る可能性を考慮する必要は無い。紫のメダルに加えてコアメダル五種の内の二種をほぼ全て、そして聖杯まで敵が有している事を考慮すれば…まあ、戦力として心強いのは事実だろうね。』

 

「……はい。」

 

通信越しにホームズが語る、最終決戦に向けた重要な考察。

本来ならば集中して聞くべき内容に間違いない、にも関わらず立香は沈んだ表情を浮かべ、何処か上の空である。

 

『……心ここに在らず、と言った所か。君の悩みを当ててみせよう。君は…』

 

『────おっとホームズ、それは流石にデリカシー不足じゃないかな?私も割とロクデナシの部類だけど、流石にそれは引くぜ?』

 

口を開いたホームズの言葉を遮り、回線に割り込むのはダヴィンチちゃん。

 

『藤丸君。君の悩みはこの気取った探偵でなくとも、君の旅路を見届けて来た者なら誰だって分かる。…だけど、敢えて厳しい事を言おう。それは他人が暴いて、知った様な口を利いても解決しないものだ。

─────だから聞くよ。カルデアのマスター…藤丸立香。君は何を考え、何に苦悩しているのかな。』

 

日頃の愉快な声音は鳴りを潜め、ダヴィンチちゃんは敢えて淡々と問い掛ける。

自分の言葉にして、自分で向き合わなければ解決しない…言外にそう告げる彼女なりの誠意と優しさは、彼女という人となりを知ってきた立香にも理解出来た。

故に、立香はぽつりぽつりと心境を曝け出す。そうしなければ、あんな恐ろしい敵と戦う事なんて出来ない…彼はそれを知っているから。

 

「……俺には、映司さんの欲望が間違ってるとは思えないんです。」

 

伸ばした手が届かなかった。

その結果、救いたかったものを取り零した。

映司の欲望の根底に在るもの。その辛さを…その無念を、立香も少しは知っているつもりだから。

 

「初めてカルデアに来た日…爆破された管制室で、もしあの時マシュの手を掴めていなかったら。その事を考えたら、怖くて仕方無くなるんです。だって俺は…その手を掴めないって経験を、もう何度も繰り返してしまったから…。」

 

冬木でレフ・ライノールが立ち塞がった時。あの時自分がもっと強ければ、オルガマリー所長の手を掴めたかもしれない。

時間神殿でゲーティアと向き合った時。あの時自分にもっと力があれば、ドクターロマンという大切な人を失わずに済んだかもしれない。

 

ゲーティアとの最後の戦い。あの中で、自分は一度マシュという掛け替えの無い存在を失った。

もしも彼女が帰って来なかったら…もう二度とマシュに会えなかったとしたら。

そんな事になってしまったら、自分だって映司と同じ様になっていたかもしれない。

 

伸ばした手が絶対に届く…守りたいものを守る為の力が欲しい。

二度と手を掴み損ねたくない。

そんな映司の欲望は、きっと自分にだって…。

 

「…マシュ。ダヴィンチちゃん。ホームズ。…最終的には映司さんから聖杯を返して貰わなくちゃならない。それは分かってる。だけど…!

……あの人の…映司さんの欲望って、本当に間違ってるのかな…?俺にはどうしてもそうは思えなくて…。」

 

『先輩…。』

 

深く項垂れた立香と、彼を気遣うマシュ。

けれどマシュだって、立香と同じ想いを抱いてしまった。だから彼女には、立香に告げるべき言葉が分からない。

 

『……そうだね。藤丸君。そして多分、彼と同じ事を考えているであろうマシュ。君達はこれまでの旅路でとても強くなった。────だけどまだ若い。そんな悩める若人に、人生の先達が答え合わせをしてあげよう。』

 

とても穏やかに、ダヴィンチちゃんは諭す様に語り掛ける。

 

『簡単な事だとも。火野映司君の欲望は間違ってなんかいない(・・・・・・・・・・)。そもそも、欲望というのは人の想いそのものだ。

そこに善きものと悪しきものは存在しても、正しい正しくないという回答を求めるのはナンセンスなのさ。』

 

深く垂れていた立香の頭が、彼女の言葉に反応してゆっくりと上がる。そうして虚空を見上げる彼の表情には、ダヴィンチちゃんの言葉をどう捉えて良いのか分からない…そんな戸惑いがひしひしと見て取れた。

 

『ダヴィンチちゃん…それは、どういう意味で…?欲望にも、正しい正しくないはあるのではないですか…?』

 

『じゃあ聞くが、戦争は良いか悪いか…って聞けば、君達はきっと迷いも無く悪いと言うだろう。その良い悪いという感性は間違っていない。

────なら次だ。戦争、ひいてはそれを引き起こした欲望は正しいか正しくないか。これはどうかな?』

 

「そんなの…正しくないに決まって…。」

 

『そうかな?例えば圧政に苦しむ民が、侵略に心痛めた王が武力で抗ったとして…結果戦争が始まったとしよう。戦争という結果、武力行使という道を選んだ事に対する是非は…ここで議論するべき事ではないので割愛しよう。ああ、別に私は戦争賛成派という尖った思想の持主では無いと断っておく。

─────さて。では行動そのものではなく、その行動を起こすに至った想いが正しいかどうかと聞かれたらどうだろう?ミスター・藤丸、そしてミス・キリエライト。君達は否定するのかい?』

 

『だからホームズ、長いし回りくどいよ。……でもまあ、言いたい事はその通りだけどね。戦争という例えが悪かったかなー…。』

 

結局黙っていられなかったホームズに難色を示しつつも、伝えたかった事は概ねその通りだと溜め息を漏らすダヴィンチちゃん。

とは言え、立香とマシュにも真意は伝わったらしい。二人は一層困惑しながらも、その顔に浮かべた表情は先程までのものとは違う。

 

『…火野さんの欲望が間違いでは無い。なら、私達のするべき事は…。』

 

「映司さんを信じて、付いて行く事…?」

 

『惜しい!彼を信じる、そこは良いと思うよ。確かにこの特異点の修正には、彼の持つ聖杯もどうにかしなくちゃいけない。でもだからって、彼の欲望を否定する事には繋げなくて良い。

 

───────大事なのは、彼とその欲望にどう向き合うかだ。彼に間違いが有るとするなら、欲望そのものじゃない。聖杯を使ってまで、それを一人で抱えようとしてる事だ。思い出して?君達は今までに良い反面教師を見てきた筈さ。』

 

ダヴィンチちゃんの言葉で二人の脳裏に思い起こされるのは、七つの特異点を巡って出会ってきた数々の人物達。

イアソンは王として世界を救う事に固執するあまり、メディアの言葉の真偽を確かめずに破滅した。

獅子王は"人"を救う事を是とし、結果"人間"を救う事をしなかった。

エジソンもオジマンディアスも、民と国を救う想い故にそれ以外を切り捨てようとした。

他にも多くの英霊達と出会ってきた。彼等一人一人が根底に抱く願い…欲望は、決して間違いでは無かった筈なのに、やり方を間違えてしまった。

けれど、エジソンを叱ってくれたエレナのように。獅子王を悪だと断じ命懸けで止めたベディヴィエールのように。近くで支えてくれる者達が居てくれたら…。

 

「……そうか。そう、だったのか…!」

 

『お?気付いた?』

 

立香の顔はもう沈んだ表情ではない。決意を固め、その瞳の奥には強い意志が宿っている。

 

「はい。俺、やっと分かりました。

────欲望そのものに間違いは無い。でも、それをどう叶えるかが大事なんだ。映司さんは皆を守りたいと願って、何処までも届く腕を欲しがった。」

 

『ですが、人間一人に可能な事には限りがあります…残念ながら。私達の手は、この世の全てを掴める程大きくはありません。』

 

「俺だって一人で人理修復を成し得たわけじゃない。マシュやダヴィンチちゃん、ドクターロマン…カルデアを支えてくれた皆や、沢山の英霊達。沢山の人達の力を借りて、今ここに立っているんだ…!」

 

『そうとも!万能の天才たる私だって、その力を万全に果たす為に多くの者達に手を貸して貰ってる。

自分一人の手が届かないなら、別の誰かの手を掴めば良い。そうやって…』

 

『そうやって誰かと手を取り合い、掴みたかったその先に手が届くまで皆で手を繋いでいけば良い。人類史というものは、その繰り返しでこうして積み上げられてきた結果なのだから。Nobody's Perfect(完璧な人間はいない)…という事さ。』

 

映司は言った。俺達の手が届く範囲なんて小さなものだと。それは事実だし、だからこそ目の前の事を一生懸命にやるしか無い。

だが、無理にその手が届く範囲を一人で大きくする必要は無いのだ。一生懸命に伸ばしたその手が掴んだ先に、別の手が有れば…その手はいつか、もっと先に必ず届く。

 

「俺は映司さんの手を掴む。」

 

『ふふっ…なら、私達が先輩の手を掴みます。そして…』

 

────掴んだその手を絶対に離さない。

 

人類最後のマスターとして戦った少年と、彼のサーヴァントとして共に歩んだ少女は。

誰かの手を掴む、その本当の意味を思い出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最後の決戦に挑む前、その最後の一時をここまで見届けてきた。

そして残るは二人。

 

「………なあ、アンク。」

 

「…なんだ。」

 

こちらの陣営に残ったメダルを手に取り見詰めていたアンクは、映司の呼び掛けに素っ気なく言葉を返す。

 

「正直、やり方は不味かった…それは俺にも分かってる。それでも……また会えて嬉しい。」

 

「ハッ!会えて嬉しいか…お前の事だ、それは本心なんだろうがな。だが、やり方が不味い自覚も有ったから俺に会うのが怖かったんだろ?」

 

「そんな事……今は、無いとは言いきれないかな。」

 

アンクと再会した時の、彼の言葉の意味。彼が示した怒りの理由が今なら分かる。

自分は力を求めるあまり、仲間達と知らず知らずの内に距離を置いていたのだ。

 

「お前が力を求めた事に後悔は無かったとしてもだ。悪さがバレるのに怯えるガキみたいな、そんな後ろめたさは残ってたんだろう。そんなお前の妙な律儀さと小賢しさを、聖杯とやらが汲み取った…だからややこしい事になったんだ。少しは反省しろ、このバカが。」

 

伊達や後藤と連絡が取れなくなった…その理由は並行世界の存在だからだと一度は納得した。世界の壁まで越えられる連絡手段を、自分達が有していなかったからなのだと。

だが、そうでは無かった。向こうの時空の仲間達が会えなくなったのは、向こうに居る筈の映司であり。自分が会えなくなったのは、こっちの仲間達なのだから。

 

「真木博士は今も聖杯を持ってる。だけど、元々この現象を引き起こす為に使った聖杯は…俺の中にある物だ。」

 

「ヤツは恐らくこの特異点の維持を、今はもう一つの聖杯でやってる。だからお前に聖杯を渡して、もう一つの聖杯を手に入れるまでの僅かなタイムラグ…特異点の所有権がお前に移った短い間に、お前の心理が聖杯に影響を及ぼした。二つの世界の二人の映司に、アイツらに出会わない為の人避けの結界みたいなモンが生まれたんだろう。

─────火野映司の神隠し事件、これが真相だ。いっそお前がもっと開き直って、真木や鴻上みたいに好き勝手やってる人間なら…こうはならなかっただろうがなぁ?」

 

「悪かったよ…!……きっと、こっちにはこっちの伊達さんや後藤さんが居る。でもグリード復活があれだけ多くの人達に知られてる中で、二人とも出てこないって事は…多分こっちの二人は、単に俺と会えないように設定されてるだけじゃない。負傷とか、俺が壊した鴻上ファウンデーションの後始末とか…何かしらの理由で戦えなくなってる筈だ。」

 

真相を知り、自分の心境に変化があったとはいえ…だからすぐに増援を期待出来る、なんて考えるのは浅はかだろう。

今居る皆で戦うしかない。

 

「こっちのメダルは…お前が持ってる紫が七枚。後はタカ、トラ、バッタ。それにゴリラと、メズールのメダルが七枚。俺とウヴァは九枚揃った完全体…メダルの数だけ見ればこっちが有利か…だが状況は前と違う。

俺達グリードをメダルの器にしようとした前と違って、今の真木が狙ってるのはお前だ。仮に全部のメダルが揃ってても、お前が暴走したらヤツの勝ちだ。映司、その辺分かってんだろうな?」

 

「分かってるよ…だけど、多分これでもまだ力が足りない。俺も聖杯は持ってるけど、真木博士程は使いこなせないと思う。向こうはいざとなれば、俺から聖杯を一度取り上げたら逆転だって出来る筈だ。」

 

「チッ…面倒な事してくれたな、お前も鴻上も。」

 

アンクの苛立たしげな言葉に、映司は意味が分からず小首を傾げる。

 

「鴻上会長?何で今?」

 

「二つ目の聖杯の出所なんざ他に有るか。鴻上は脅しに屈するタマでも無いだろう…ヤツの事だ。」

 

 

 

"素晴らしいッ!!!世界を終わらせるという君の思想には共感出来ないが、その欲望は素晴らしいよドクター真ァ木ィ!!

────良かろう、その聖杯を持って行きたまえ!そして君を打ち倒すべく、オーズは更なる進化を遂げる!!君達の欲望の連鎖が、新しい世界を生み出すのだ!!!"

 

 

 

「"ハッピーバースディ!!"…ってな。見てないが、大方そんな所だろ。」

 

「そ、そうとは限らないんじゃないかな…。けど、全面的に否定出来ないから困るね…。」

 

苦虫を噛み潰した様な顔で、大仰な仕草も含めて物真似を披露するアンク。結局の所それは彼の推測に過ぎないが…その光景は容易に想像出来る為、映司は苦笑を浮かべるしかない。

 

「ま、まあ会長の事は置いといて。アンク…一つ聞きたいんだけど。お前もウヴァも、メダルは全部揃ってるんだよな?けど、俺の手元にはタカもバッタも有る…これって何で?」

 

「フン、やっぱり気付いて無かったか。それは十枚目…お前が一度だけ使った、800年前の王のメダルだ。」

 

アンクは映司の問いを鼻で笑い、嘲笑めいた口調で答えを示す。

映司が再現したのは五体のグリードを形作る、各九枚のコアメダル───だけではない。

爬虫類の力を宿した橙のメダル同様に、真のタトバコンボとして使用したあの三枚も復元していた。だからこそ、アンクとウヴァは九枚ずつ揃えて復活する事が叶った…これが真相だったのだ。

 

「じゃあ、ウヴァから貰ったこのトラは…。」

 

「そっちが本当のカザリのメダル。お前が盗まれたのは真のタトバコンボの方だ。」

 

「え、じゃあこれどうしたの!?」

 

「俺が逃げる時に拝借したに決まってるだろ。真木も厄介だが、次に面倒なのはアイツだったからな…こんな形で役に立つとは思わなかったが。」

 

相棒の変わらぬ抜け目の無さに、映司は乾いた笑いを浮かべ。

 

「で?やっぱり気付いて無かっただろうが、それが分かって何かあんのか?」

 

「……うーん。気付いて無かった…って言われたら確かにそうなんだけどさ。

───うん。記憶を取り戻すまでは確かに気付いて無かった。けど、思い出してからは…薄々気付いてはいたけど、確証が持てなかった。今こうして理解したから、俺の考えは間違ってない…そう思った。」

 

すぐにその笑みを引っ込めた彼が浮かべるのは、何か覚悟を決めた様な真剣な顔付き。

声音に滲み出た違和感に気付いたのだろう。アンクは手元のメダルから視線を上げ、映司の方へと向き直る。

 

「……映司。お前、何を…。」

 

「俺の欲望が、この世界で消えた筈のメダルをもう一度造り出した。それはずっとオーズとして使ってきたメダルだけじゃない…橙色のメダルや、800年前の王が使ったメダルも復元出来たのなら。

俺の中に在る聖杯は、どんなコアメダルだって生み出せる(・・・・・・・・・・・・・・・・)筈だ。」

 

映司の瞳が紫色に輝く。

それに気付いたアンクが止める間も無く、映司は聖杯の力を呼び起こし…。

 

「俺に……もっと、もっと力を!!」

 

彼の内から生み出される、新たなコアメダル。

 

コブラ、カメ、ワニの橙に輝くメダル。

 

────それだけではない。

ムカデ、ハチ、アリ。

エビ、カニ、サソリ。

サメ、クジラ、オオカミウオ。

シカ、ガゼル、ウシ。

セイウチ、シロクマ、ペンギン。

 

爬虫類以外、全てアンクが知らないメダルだ。

聖杯の機能を停止させ、少し疲れた様子で笑う映司に、アンクは怒りの形相で掴み掛かる。

 

「おい映司!!お前、これは何だ!?こんなコアメダル俺は知らないぞ!」

 

「ごめん、俺もよく知らない…多分、お前も知らない過去か…もしかしたら未来のメダルだと思う。」

 

「何だと…!?お前、聖杯に何を願った!」

 

「決まってるだろ…もっと、もっと強い、皆を守れるだけの力を。俺が欲しいと望んだのはそれだけだ!」

 

聖杯を取り込んだ事で、映司には聖杯戦争や英霊召喚の知識が与えられた。

曰く、英霊達は"座"と呼ばれる場所に記録された存在だという事。

曰く、英霊の座には時間の概念が無い…故に、英雄本人が存在している時代や、その英雄が生まれてすらいない過去に未来から召喚される場合も有る事。

 

なら、この聖杯(ちから)が有れば…どんな時代も越えて、真木の知らない更なる力を引き寄せられるのではないか。

 

「そう思って使ったんだ。けど、やっぱり俺じゃ真木博士程聖杯を上手く使えてない…。戦闘中に同じ事する余裕は無さそうだから…多分、これ全部一回きりの使い捨てになっちゃうと思う。けど…!」

 

「─────俺が言いたいのはそういう事じゃない!映司、お前まだ分かんないのか!?お前には懲りるって事は無いのか大バカ野郎!」

 

アンクは怒りと、何処か悲しさを滲ませた声で映司を怒鳴りつける。彼の胸倉を掴み、今にも締め上げんとばかりの勢いだ。

 

「──────懲りたさ!!手が届かないのはもう懲り懲りだ!お前も、あの女の子も!!俺にもっと力が有れば助けられたんだ!!もうあんな思いはしたくない!!」

 

そんなアンクに負けじと、自身の胸倉を掴む手を振り払いながら声を張り上げる映司。

対峙し、睨み合う二人。それは暫く続き…軈て根負けした様に、先に視線を外したのはアンクだった。

 

「それで…お前自身が死ぬ事になってもか。」

 

「…別に俺も、進んで死にたいワケじゃない。けどそうする事で…この手が掴める命が有るなら。俺は迷わず掴む。助けられる手段が有るなら、誰だってそうするだろ?」

 

何処か寂しそうに微笑む相棒に、アンクは物悲しげに目を伏せる。

 

「だが────「やあ!……あれ、取り込み中?」

 

空気を読まない明るい声に、二人の視線はそちらへ吸い寄せられる。

立っていたのは何処から侵入したのか、散々掻き回して消えたあの泥棒だった。

 

「泥棒さん!?何処から!?」

 

「その呼び方は止したまえ。僕は海東大樹…またの名を、仮面ライダーディエンド。

そんな事より敵が動き出した。士も戻って来てね。出撃だ…って呼んでるよ。」

 

使い走りの役目に不満そうに告げると、役目は果たしたとばかりに海東はさっさとその場を立ち去る。

 

「行こう、アンク!」

 

「………ああ。すぐ行く、お前は先行ってろ。」

 

「…分かった!」

 

去った海東の後を追い、映司も部屋を後にする。最後に一人残されたアンクは───。

 

 

 

「誰だってそうする…だと?笑わせんな。そんなワケが無いだろうが…!お前のは、とっくに"誰だってそうする"の範疇を越えてんだよ…!」

 

やり場の無い感情をぶつけるように、その拳を壁へぶつけるのだった。

 

 






尺の都合で省略しましたが、ドクターが二個目の聖杯ゲットだぜ!した経緯はアンクの推測通りです。余計な事ばっかするけど味方としても有能過ぎるし、本人に悪意が無いから何も言えない鴻上会長クオリティ。
つまり本作品の首謀者はドクター、それを操ってた黒幕はリンボ。別に悪い事はしてないし、状況的に仕方無い面も有るけど、それはそれとして余計な事して原因の一部を担ったのは会長。
では次回予告です。


異世界転生ウヴァ!
突如現れた胡散臭い系王子様・オベロン!
彼の魅力とカリスマに虫達からの信頼、そして女性ユーザーからの人気を奪われたウヴァはムシキングの座を追われてしまう!
追い詰められた彼は、飲み屋のツケの精算に追われる賢神グリムとバイトに励む事に!
時代を先取りした『ウヴァEats』で店は大繁盛!だが次なる配達先は、あのモルガンの娘───
バーヴァンシーの屋敷だった!

「まいど!出前の配達だぁ!…配達、だ。」

「貴様…!!」

果たしてウヴァは、激怒するモルガンの追跡を振り払いバーヴァンシーへラーメンを届けられるのか!そして更なる悲劇が彼を襲う!
次回、異世界転生ウヴァ!
『届けろ出前!覚醒のガタキリバエタニティ!』
次回も見てくれよな!

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