Fate/Grand Order 亜種特異点OOO:欲望解放領域 オーズ   作:banjo-da

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前回の御感想で頂いた、グリードサーヴァントのステータスやらスキルやらはタイミングを見て載せようかと思います。
頂いた感想は有り難く読ませてもらってます…ただ、返信はネタバレに繋がるのは伏せてってなると、結局何がネタバレになるか分かっちゃうので…。
でも嬉しいのよ!感想、嫌いじゃないわ!何時もありがとね!!嫌いじゃないわーーー!!!






欲望と腕と正義の味方

 

 

「これはまた…奇妙なパーティーになってきたねぇ…。」

 

カルデア内、レイシフト中の立香達をモニタリングしながらダヴィンチちゃんは呟く。

 

「ダヴィンチちゃん…その、あのカザリという方は…信用出来るのでしょうか。」

 

彼女へ不安そうに問い掛けるマシュ。

結論から言えば、立香達はカザリと一時的な共同戦線を張る事を決めた。だが、映司の話を聞いていた以上…どうしても不安は拭えないのだろう。

 

「ふふっ。相変わらずマシュは真面目で素直だなぁ。

─────そりゃ勿論、信用なんてしてないよ(・・・・・・・・・・)。」

 

あっけらかんと言い放つダヴィンチちゃんに、驚いた表情を浮かべるマシュ。本当に素直なその反応に、ダヴィンチちゃんは思わず苦笑する。

 

「それは…彼がグリードだから、でしょうか?」

 

「んー…それも有るけど、実はそこは大して重要でもない。未知の勢力、我々とは異なる存在というだけなら、それこそ映司君もそうだろう?」

 

無論、映司の話からグリードが警戒すべき相手だという事は疑いようがない。

だが、真に重要な点はそこではないのだ。

 

「彼自身も言っていただろう?組まないかって。そして彼は聖杯戦争の参加者だ。要は、『バーサーカーが邪魔だから、利害の一致してる者同士で共闘しよう』って腹積もりだよ、あれは。状況だけ見れば冬木でキャスターと共闘した時に近いけど…カザリ君の場合、隙有らば裏切る気満々だぜ、あれ。」

 

少なくとも目的を達成するまでの期間、尚且つ彼がこちらを見限らない限りは共に戦ってはくれるのだろう。こちらへ提示した情報も嘘では無い筈だ。

だが、あの言動を見る限り、そう簡単に信じて良い相手で無い事も確かだ。あくまで彼とは表面上の共闘と割り切っておかねば、何時こちらを出し抜いて寝首を掻きにくるか分からない。

 

「そういう意味では…信用出来ないと言うより、信頼しちゃいけない…って表現の方が適切かな。」

 

「成程…。」

 

そこまで言うと彼女は態とらしく咳払いし、後ろを振り返る。

 

「それで?美少女二人の会話を盗み聞きなんて…中々な趣味をお持ちじゃないか。」

 

その発言につられてマシュも背後を振り返れば。

そこに居たのは小さく顔を顰めながら、観念した様に歩いてくる一人の紳士。

 

彼の名は『シャーロック・ホームズ』。世界最高にして唯一の顧問探偵。

探偵という概念の結晶、"明かす者"の代表。まさに探偵や推理家と呼ばれる存在の中の頂点と言える。

そんな彼は第六特異点にて立香やマシュと出会い、紆余曲折を経てカルデアへとやって来たのだった。

 

「……ふむ。仕事柄、尾行や密偵にも自信が有ったのだが。」

 

「うーん、流石だ全く反省していない!そして、カルデア内…しかもこの至近距離でキャスターの私に気付かれていないのであれば、君はもう探偵じゃなくて暗殺者(アサシン)を名乗った方が良い。

──────なんて話はさておき。君の事だ…どうせ既に、この事件の大枠ぐらい掴んでたりするんじゃないのかい?」

 

「ふむ…まあ、おおよその予想はね。」

 

「うっわ、マジか。この探偵、それを淡々と言うから腹立つなぁ…。」

 

勝ち誇るでも無く謙遜するでもなく、ただ普通に振られた話へ返すホームズ。そんな彼にダヴィンチちゃんは心底嫌そうに顔を歪める。

 

「も、もうですか!?流石ですホームズさん!…差し支え無ければ、その内容をお伺いする事は…?」

 

対して、驚愕と尊敬に目を輝かせるマシュ。

そんな彼女に微笑みながらも、然しホームズは首を横に振る。

 

「ミス・キリエライト…残念だが、それは不可能だ。今回の事件、大枠こそ読めたが…完全に解明するのは未だ不十分だ。」

 

「と、仰いますと…?」

 

「第一に、この事件の元凶…それが何故今回の事を引き起こしたのか。そこに至る過程や動機が分からない。」

 

「黒幕の、動機…。」

 

納得した様に頷くマシュ。けれど、そんな彼女へホームズは再び首を横に振る。

 

「その表現は不適切だね。私は"この事件の元凶"とは言ったが、黒幕とは一言も言っていない。」

 

「?つまりこの件を起こした人物と、裏で操って暗躍する黒幕が別に居るという事かな?」

 

「そういう事だ。そしてそれが第二の理由。

─────この事件、未だ役者は出揃って居ない…例えば、今彼等が討伐に向かっているメズールというグリード。それにカザリ君以外のグリード達。関連人物が全て出揃っていない現状、黒幕を見極めるのは不可能だよ。」

 

「……つまり裏を返せば。動機や経緯は不明だが、この特異点の元凶と成った人物は見極めた(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)…って事だよね。」

 

意味深に問い掛けるダヴィンチちゃんの言葉は耳に入っていないのか、或いは気付いた上で聞こえぬふりをしているのか。

モニターを無言でじっと見詰めるホームズの真意は、マシュにもダヴィンチちゃんにも分からなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カザリを先頭に、メズールの棲家を目指す一行。

「目立つから」という理由で現代風の衣装を身に纏った彼は、やはりというか何と言うか…アレキサンダーの姿も相まって、老若男女問わず目を引く美少年ぶりを発揮している。

とは言え、当の本人は全く興味が無さそうなのだが。

 

「さて、状況を確認しておこうか。メズールが動き始めるのは基本的に夜だ。彼女は夜、欲望のままに大暴れする…マスターも居ないバーサーカーである今、過度の消耗や本能的な身の危険以外で引く事は無い。

で。ひとしきり暴れた後、大体深夜とか早朝辺りに棲家へ戻って行く…勿論、神秘の秘匿だの何だのへの気遣いでも無ければ、何かしらの思惑でも無いよ。単なる魔力切れだ。」

 

「それで昼間は巣に籠りながら、ヤミーでセルメダルを増やして魔力回復に務める…って事か。」

 

「そういう事。流石に夜やり合うのは部が悪いからね…真昼の内に攻め込もうって算段だよ。」

 

ひらひらと片手を振りながら、軽い調子で言うカザリ。

対する映司や、後を追うカルデアの面々の顔は厳しい。

 

「なら、朝一狙った方が良いんじゃないの?態々昼間、多少回復した所を襲うメリット有るワケ?」

 

「別に?ボクには全く無いけど。」

 

訝しむ様なオルタに対しても、カザリは何処吹く風と言った様子で平然と返す。

 

「けどオーズも君らも、今夜一晩メズールを見逃して明日の朝に攻める…って作戦、提案した所で呑まないだろう?犠牲者出るのに指咥えて待ってる、っての見過ごせない性格だろうし。────それにヤミーがメダルを集めてメズールの元へ戻るのは夕暮れ辺りからだ。朝行こうが、今行こうが大差は無いよ。」

 

「成程な。つまりお前の目的は、ある程度セルメダルが集まってから(・・・・・・・・・・・・・・・)メズールを倒す事…ってワケか。俺達と一緒にメズールを倒した後、メズールのヤミーが集めたセルメダルも横取りする気だろ?」

 

「さぁて、何の事やら?」

 

対照的な表情を浮かべながら腹の探り合いをする二人。

正直ちょっと怖い。イリヤも滅茶苦茶怖がってるし。

等と考えながら、その場を見守る立香。

 

結局、これ以上この場でそれを議論しても意味が無い…そう判断した映司が引き下がる事でその場は収まった。

 

安堵し、ほっと息を吐くイリヤ。そんな彼女へ 映司は申し訳無さそうに苦笑する。

 

「ごめんね、イリヤちゃん。カザリはグリードの中でも特に頭の良いヤツだから、つい俺も用心深くなっちゃって…。」

 

「あ、いえ…大丈夫!

───────そう言えば、映司さんには欲…って有るの?」

 

「え?…俺の…欲?」

 

唐突に振られた話題に、一瞬ポカンとした表情を浮かべる映司。

 

「うん。えっと、ホントに何と無くなんだけど…この特異点に来てから、欲望って言葉が沢山出てきて、それで気になったんだ。映司さん、何か欲とか無さそうに見えるから。」

 

「成程ね。そうだな…俺の欲。確かに、ちょっと前までは無欲だったかも。いや、そう思い込んでただけと言うか…ちょっとのお金と明日のパンツさえ有れば良い…ってね。」

 

「ぱ、パンツ…!?」

 

「そ。男は何時死ぬか分からないから、せめてパンツ位は一張羅を常に身に付けておけ!…って、俺のおじいちゃんの教えなんだ。」

 

「へ、へぇ…。」

 

『中々に独特な感性のお爺様ですねぇ。』

 

予想外の教えに、少し…というかかなり困惑した様子のイリヤと、しみじみと言うルビー。とは言え他人の家の教えで有る以上彼女らにとやかく言う筋合いも無ければ、実際オーズとして戦う彼を見ている以上納得も出来る。……何故パンツなのか、は多少引っ掛かりはしたが。

 

「……ちょっと前まで、という事は今は欲が有る。そういう事?」

 

しみじみと懐かしむ様な映司へ、イリヤの隣から美遊が問い掛ける。正直、基本的に他者へ興味を持つ事の無い彼女が自ら問い掛けた事にイリヤは驚くも。彼女の聞いた事はイリヤ自身も気になっていたので、興味深そうに映司へ視線を向けた。

 

「……そうだね。今、俺の欲しい物…いや、ずっと欲しかった物は…"何処までも届く俺の腕"、かな。」

 

彼の言った事がよく理解出来ず、揃って小首を傾げる二人。

イリヤの脳裏に某有名海賊漫画の主人公の姿が浮かぶが…多分そういう事では無いだろう。

 

「比喩的過ぎて伝わらないかな?……俺はね。誰かが助けを欲してる時、手が届くのにその手を伸ばさなかったら、絶対後悔すると思ってる。…だけど、俺の手が伸ばせる範囲なんて凄く短い。

─────だから俺は、欲しい。どんな人にも…何処までも届く俺の腕。……助けられるだけの、力が。」

 

「へぇ、立派な考えですね…欲望って言うと、どうしてもネガティブに捉えちゃうけど、映司さんみたいな人も居るんだなぁ…。」

 

「ハン!ホントに御立派な考えですこと。立派過ぎて甘ったるいったら無いわ…あの聖女サマといい、どいつもコイツも…。」

 

映司の言葉に感心した様な立香と、呆れた様に言い放つオルタ。それぞれ異なる反応を示す二人に苦笑しながらも、イリヤ自身は彼の想いを好意的に捉えていた。

まるでヒーロー…正義の味方(・・・・・)の様だ。

 

「凄いね、映司さん。ねっ、ミ…」

 

だからこそ、彼女は戸惑った。

───────直ぐ隣に居る美遊が、驚愕に目を見開いていた事に。

 

 

 

 

 

 

火野映司。

最初の印象は、変な人。

あの未知の怪物を簡単に倒す力を持つ戦士、オーズ。そんな彼の人間としての姿は、コロコロと表情の変わる愉快な人間。始めは緊張感の無い人に見えたけど、話していく内に彼には彼なりの使命感が有る事も。何処か食えない、底知れない一面が有る事も分かり、少し興味が湧いた。

だけど、自分でも他者への感心が薄い事は自覚してる。だから、それだけでこの人に興味を持った…というのは、何だか腑に落ちなかった。

 

───────彼の、欲望を知るまでは。

 

何処までも届く腕…どんな人も助けられるだけの力。

よくある作り話、子供のお伽噺ならそれでも良い。だけど…そんなもの、現実には有りはしない。一人で助けられる人間なんて限界も有るし、だからこそ、人は助け合う。

そんなものを本気で望むなんて、普通じゃない。

仮にそれが手に入ったとして、それを振るうのはもう人とは呼べない。

それは、おおよそ人らしい存在とは言えない…ただ、人を救う為に動くだけの装置─────宗教なんかでよくある、都合の良い神様(・・・・・・・)に他ならない。

 

「ああ…そっか。」

 

彼女は知っている。

小さな犠牲に目を瞑ってでも、大勢の幸福を救おうとした一族(エインズワース)を。

 

彼女は知っている。

そんな道を選んだ義父の後を追い、嘗て一つの命と世界全てを天秤に掛け迷った少年(おにいちゃん)を。

 

彼女は知っている。

本人から直接聞いたワケではないが…クロとの会話から、何と無く察してはいた。戦場では頼れる弓兵として、カルデアでは皆を世話する人の良いお母さんの様なポジションで親しまれる赤いアーチャー。

そんな彼は、嘗ての兄と違い誰一人の犠牲も良しとせず、万人を救おうと足掻き続けた成れの果て(エミヤシロウ)なのだと。

 

昔の兄やその義父、そして自分を欲したエインズワースとも違う…映司の理想は、エミヤと同じ様に誰もを救おうというものだ。もしかしたら、何処かの平行世界に同じ様な想いを抱く"衛宮士郎"が居るのかもしれない…だけど、彼等も、映司も。

その想いは、きっと彼自身を───────。

 

「……ゆ?ミユ…?」

 

「……!え、あ…イリヤ…?」

 

「ど、どうしたの…?何だか、凄く考え込んでたみたいだけど…もう着くみたいだよ。大丈夫?」

 

「あ……大丈夫。ごめん、大丈夫だから…。」

 

心配そうに覗き込むイリヤに、美遊は微笑み掛ける。

見れば、アジトにはおあつらえ向きな廃工場の目の前。今は目の前の敵に集中すべき、と美遊は思考を切り替えた。

 

 

 

 

 

 

「メズールはこの中だ。ま、どうせ向こうも気付いてるだろうし…素直に正面突破が良いと思うよ。」

 

「よし…行こう。」

 

先陣を切り中へと進むカザリと映司に続き、立香達も工場内へと足を踏み入れる。

 

廃材や機械の放置された工場内部。まず目に入ったのは、その中心に腰掛ける一人の女性だった。

 

『間違い無い、彼女の霊基自体は源頼光のものだ。だけど、頼光本人の物じゃない…カザリ君同様、通常とは異なる形に変質している。』

 

「頼光さん…!」

 

不意に、名を呼ばれた彼女がこちらを向く。

そうしてこちらを見た彼女は、心底愛しいものを見るかの様に目を輝かせた。

 

「─────あらあらまあまあ!これはこれは、ようこそお越し下さいました。ええ、ええ!初めて会う方ばかりですが……母には分かりますとも!

そこの坊やは魔術師ですね?それに、傍らに居る幼き少女達も。ここに居ればもう安心ですよ…可愛い坊や、それにお嬢さん。母が守ってあげますからね。」

 

「守…る?」

 

話に聞き想像していたより穏やかな、というより何時もと何ら変わらぬ頼光の姿に困惑しつつ、立香は問う。

 

─────瞬間。慈愛に満ちた彼女の顔が憤怒に染まり、まるで鬼の様な形相へと変貌した。

 

「ええ、ええ…そうですとも。忌々しい王の力(オーズ)を持つ坊や。百歩譲って彼は良いとしても…可愛い我が子に色目を使う魔女と、こそこそメダルを狙う目障りな獣。嗚呼…可愛い我が子の周りに、こんなにもおぞましい羽虫が!母が全て叩き潰してあげますからね…!」

 

怒り狂った様に言う彼女がその霊基を変化させれば、彼女の背からタコの様な八本の触手が出現。同時に、禍々しい程の魔力を一気に解き放った。

 

「はあ!?ちょっと、アンタの目節穴!?何処をどう見たら、私がそういう評価になるのよ!人の事、売女みたいに言うの止めてくれます!?」

 

「やれやれ…マトモに聞くだけ無駄だよ。彼女はもう何を見ても、可愛い我が子かその敵としか映ってない。」

 

「お前の場合は自業自得だろ!」

 

「どっちだって良いわよ!決めました

────コイツは必ず私が燃やす!」

 

メズールの力を解き放った頼光に気圧される事無く、応戦の体勢を整えるカルデア勢。

オルタの放った炎と、頼光(メズール)の放った水流が宙でぶつかり合い─────戦いの火蓋が切って落とされた。

 

 

 





鬼ヶ島、英霊剣豪、水着…思えば変質する事に定評の有る頼光さん、新フォーム獲得。

そしてfgo版UBW開幕()
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