Fate/Grand Order 亜種特異点OOO:欲望解放領域 オーズ 作:banjo-da
『魔法少女プリズマ☆ォエージ』開幕
???「そんな夢でしか生きられないのであれば、抱いたまま溺死しろ!」
どうなる第五話!
─────嗚呼、何と嘆かわしい事か。
愛しき我が子達…魔術師の少年と、サーヴァントと思われる二人の少女。ええ、魔術師だろうとサーヴァントだろうと構いません。重要なのは、我が愛すべき子供達か否か。彼等は間違いなく前者でしょう。
そんな彼等が目障りな連中に惑わされ、今この母に刃向かおうとしている。
ええ、ええ。赦せる筈も無い。
けれど、道を違えた我が子を導くのも親の務め。
反抗期の様なものと大きな器で受け止め、正しい在り方を教えてあげるべきなのでしょう。
そうすれば、彼等は自らの過ちに気付くでしょう。
その時、私はきっと。
─────坊や達から溢れんばかりの愛を受けられる。
─────彼等に無償の愛を注ぐ母親と成れる。
───────この
嗚呼、そうに違いない。
ならば一時彼等に恨まれようとも。
この身を、メダルの畜生へと堕とそうとも。
私は────────。
◆
「変身!」
「さあて…ボクも行こうか。ハアァ……!」
源頼光───もとい、メズールの触手から繰り出される水の弾丸を避けながら、映司は腰に付けたオーズドライバーへメダルを装填。ドライバーに備え付けられたオースキャナーでその力を読み取り、引き出す。
同時にカザリもグリードの力を解放。全身がセルメダルに包まれたかと思うと、それらが光を発しながら異形へと姿を変えていく。
カザリを包む光が収まると。そこにはアレキサンダーの姿をした人物ではなく、獅子を思わせる厳つい風貌の怪物が立っていた。
「あれが…グリード。カザリの本当の姿…!」
驚愕する立香の目の前で、映司もまたその身を眩い光で包み込む。
『タカ!トラ!バッタ!』
宙に出現した赤・黄・緑の光の輪が一つになり、輝く映司の身と重なれば。
『タ・ト・バ!タトバ!タ・ト・バ!』
彼を包む光が弾け、オーズが姿を現した。
「何よその変な歌!」
「歌は気にしないで!」
自在に伸縮し、自身目掛けて振るわれる触手。それらを手にした剣で捌くオルタと、両手に備わったトラクローでいなすオーズ。軽口の様な短い言葉を交わしながらも、彼等は目の前の敵に集中し、絶え間無く繰り出される連撃を確実に凌いでいる。
八本の触手全てが彼等へ向けられている隙を逃さず、カザリは低く身を落とし───メズール目掛けて駆け出す。
あっという間に間合へと斬り込むカザリ。だが、メズールは動じる事無くその手に太刀を構え、カザリ目掛けて振り下ろす。猫特有のしなやかさで咄嗟に身を捩り回避するカザリだったが、メズールは手を止める事無く幾度も刃を振るい続けた。
「チッ…!」
堪らず後退し、距離を取るカザリ。けれどメズールはそれすら許さず、今度は彼女から距離を詰める。
咄嗟にアレキサンダーの愛剣を手に取り、打ち込まれる刃を防ぐカザリ。その隙を突き、メズールを左右から挟み込む様に陣取ったイリヤと美遊が、メズール目掛けて魔力弾を放つ。
─────然し。カザリと鍔迫り合いを繰り広げながら、メズールは魔力弾を一瞥する事すら無く、触手をそれぞれに一本だけ割き弾き飛ばした。
「「えっ!?」」
「あらあら…母へ攻撃を仕掛けるなんて、おいたが過ぎますよ?」
余裕さえ感じさせる淑やかな笑みを湛えながら、頼光は直ぐ様触手をオーズとオルタの元へと戻す。驚嘆すべきは、当然の様にその間もカザリ、オーズ、オルタへの攻撃は緩まず続いていた事だ。
「これは…想像以上だね。コア全部揃ったらどうなるか…考えたくも無い。」
「これで万全じゃない…って事…!?だとしても、強過ぎる…!これだけの手数、幾ら英霊でも同時に処理するには多過ぎる筈なのに…!」
「多分これ、頼光さんのスキルだ…!」
『無窮の武練』─────源頼光の持つスキルの一つ。
ひとつの時代で無双を誇るまでに到達した武芸の手練。武装を失うなど、たとえ如何なる状況であっても戦闘力が低下することはない。
同じスキルを持つ湖の騎士・ランスロットは、この能力を有する事で狂化してなお円卓最高峰の技量を発揮した。
彼女もまた、狂化と欲望に呑まれながらも頼光の武芸とメズールの力を十二分に発揮している。
「だったら…!俺達全員を相手取れる程相手の対処が正確なら、全員同時なんて出来ない程の力をぶつける!」
要するに、力と判断を分散させられないだけの火力で突っ込む───結局のところ、力ずくのゴリ押しでしかない。
だが、それでも戦況に変化をもたらすなら構わない。映司はドライバー中央で黄色く輝くトラメダルを抜き取ると、代わりに灰色のメダルを挿し込み即座にオースキャナーへと読み込ませた。
『タカ!ゴリラ!バッタ!』
オーズの両腕からトラクローが消え失せ。代わりにガントレット状の武器『ゴリバゴーン』で覆われたゴリラアームへと変化する。
迫り来る触手の一本を、先程までとは段違いのパワーで殴り飛ばすオーズ。そのまま、彼は勢い任せにメズール目掛けて走り出す。
腕の重さ故に先程よりやや敏捷性は低下したものの、バッタの脚力でそれを補い強引に特攻するオーズ。彼を脅威と見なしたのか、オルタへ向けられていた触手も全て彼へと向けられた。
「はあ!?ちょ、正気!?」
「映司さん!?」
オルタや立香が困惑するのも無理は無い。今の彼は先程までの様に軽快に腕を振るう事は出来ず、頑丈なゴリバゴーンを盾に突っ込む事しか出来ない。
それでも。ゴリラの腕力で迫り来る攻撃を跳ね返し、危険なものは腕でガードしつつ、避け切れ無かった攻撃を食らってなお構わず突撃を続けたオーズは、じわじわとメズールへ距離を詰めて行く。
「あらあらまあまあ…羽虫の割には潔い攻め方をするではありませんか。
────けれど、それで何時まで持つのかしらね?オーズの坊や。」
触手を器用に操りながら、哀れむ様に嘲笑うメズール。彼女は手にした太刀を構え。
───────その刀身に、
「なっ…!?まさか、ウヴァのメダルを…。」
「私があの様な虫けらの力を使うとでも?
受けなさい────これぞ、我が身に宿りし帝釈天の雷!」
メズールの持つ水の属性と、頼光の有する北野天神の雷。
彼女が太刀を振り抜けば、オーズ目掛けてその両方が放たれる。
「ぐっ……うぉぉぉぉぉ!!!!」
苦痛に凄まじい叫び声を上げながらも足を止めぬオーズ。だが、その体へ何本もの落雷が降り注ぎ、まるで洪水の様な激流が彼の肉体へ叩き付けられる。
軈て、凶悪なまでの水流と電撃が彼の身体を、それらの巻き起こす轟音が彼の叫び声すらも掻き消し、周囲は彼を完全に見失ってしまう。
「嘘……!え、映司さーんッ!!」
「終わりましたね。…馬鹿な坊や。けどこれで……」
溜め息を吐きながら言い掛けたメズール───その動きが止まる。
彼女の一撃が巻き上げた煙が晴れれば、水流が辺りの機材を粉砕し、落雷が地面を抉り尽くしたその中心で。
あまりのダメージに膝を地に着けながらも、その全てを耐え切ったオーズが未だ存在していたからだ。
「…勝手に殺すなよ。」
「……つくづく愚かな坊やですこと。いっそ、あのまま散ってしまった方が楽だったでしょうに。」
肩で息をしながらも、呆れた様に言うメズールを睨み付けるオーズ。
「おあいにくさま。楽して助かる命なんて無い…そんなの、とっくに知ってるからな。」
「そう─────では、苦痛の果てに助かったその命。改めて散らせて見せましょう。」
冷たく言い捨てると、再び太刀を構えるメズール。
今度こそこれで終わりだ…そう確信するメズールは、失念していた。
刃を振り下ろそうとしたその瞬間─────彼女の本能が最大限の警鐘を鳴らす。
咄嗟に背後へ振り向けば、そこには目と鼻の先まで迫った虎の爪。
「しまっ…!」
それ以上の反応すら許さず、カザリの爪は彼女の脇腹を深く切り裂き抉り取る。
多量の血と魔力…そしてセルメダルを撒き散らしながら絶叫するメズールに構わず、彼女の背後へ着地したカザリは満足そうに手にしたメダルを眺めた。
「ごめんね、メズール。君のメダル、貰ったよ。」
「貴様…穢らわしい獣の分際で!返せ…ッ!」
挑発するかの如く、敢えて手にしたメダルを彼女へと見せ付けるカザリ。そんな彼目掛け、憤怒の形相を浮かべたメズールが飛び掛かった。
狂気。欲望。それに加えて怒りにも支配されたメズール。或いは、先程までの彼女なら気付く事が出来たかもしれない。
だが、今の彼女には最早カザリ以外見えていなかった。
だからこそ。
「…これは憎悪によって磨かれた我が魂の咆哮───」
メダルを奪い返そうと振るった一撃を、カザリの軽快な身のこなしで避けられ歯噛みし
─────漸く彼女は、自身の置かれた状況を理解する。
「ぐっ…!」
怒りに震えながらも退避しようとするメズール。
だが、遅過ぎた。
「"
ジャンヌ・オルタの放つ、呪いを帯びた業火。オリジナルのジャンヌ・ダルクを焼き尽くした"魔女の火炙り"を思わせる、憎悪と憤怒と激情を包み込んだ焔は、苦し紛れにメズールの放った水流を容易く蒸発させる。
「が…あぁ…!こ、の…!」
例えその本体がメダルであったとしても。サーヴァントの霊基と一体化したメズールの肉体は、灼熱の炎とそこに刻まれた呪いに蝕まれる。
ジャンヌ・オルタのこの宝具は『復讐者の名の下に、自身と周囲の怨念を魔力変換して焚きつけ、相手の不正や汚濁、独善を骨の髄まで燃やし尽くす』というもの。
つまり。
「良いザマね!さあ、この私がここまでお膳立てしたのです─────当然、仕留められるんでしょうね?」
炎の中で藻掻きながら、オルタの言葉にメズールが視線を上げれば。
そこには何時の間にか距離を詰め、オースキャナーを構えるオーズの姿。
『スキャニングチャージ!』
オースキャナーから声高に発せられる、終幕への合図。
それを腰へ戻したオーズは、炎の外からメズール目掛けて両の拳を構え────彼が両腕を振り抜くと、勢い良くゴリバゴーンが射出された。
「うぉぉぉぉぉ!!!!」
「ぐっ……!おの、れぇぇぇ!!!」
咄嗟に太刀を投げ捨て、自身目掛けて炎の中を突き進む拳を両手で受け止めるメズール。平安最強の神秘殺しと呼ばれた武士は、その膂力を狂化によって底上げし───それでも足りず、全ての触手を地に撃ち込み必死に踏み留まろうとするも。
ゴリラの力を宿した二つの拳を止め切る事は出来ず、彼女の身体は無惨に宙を舞う。
メズールを弾き飛ばしたゴリバゴーンは目標を失い、勢いをそのままに空高く舞う。
その行く先は決まっている
─────
宙を舞うメズールが、薄れゆく意識の中目にしたものは。
バッタの跳躍力を全開にし天高く飛び上がったオーズと、収まるべき腕目掛けて飛翔する二つの拳。
「おのれ…おのれおのれおのれおのれおのれ!!!800年前同様忌まわしきオーズ!!私は、
「はあぁ……セイヤァーーー!!」
自身の元へと戻って来たゴリバゴーンを、オーズはバッタレッグの脚力をフル稼働させ、
先程以上の勢いで撃ち込まれるゴリラの拳を受け止める事など出来ず。正面からそれを食らったメズールの身体は、燃え盛る炎の中央へと叩き付けられた。
直後、巻き起こる爆発。オルタの宝具とは異なる炎と、衝撃で崩れ去ったコンクリート片を巻き上げたそれは、多量のセルメダルを撒き散らしながら凄まじい衝撃をその場に放った。
「くっ…!」
「マスターさん!ルビー、お願い!」
「サファイア、貴女も!」
『『お任せを!!』』
イリヤと美遊の指示で、立香を守る様に展開される物理保護の障壁。その防壁を襲う衝撃は暫く続き…漸く収まった時、立香の目に入ったのはクレーターの様に抉られた『工場の床だった』荒れ地。
「助かったよ…ありがとうイリヤ、美遊。」
魔法少女達に感謝を述べ、苦笑する立香。オルタ、オーズ、カザリも彼等の元へと集まって来た。
「やれやれ…容赦無いねぇ。」
「お前こそ、ちゃっかりメダル回収してただろ…。」
「さて、何の事やら?それじゃ、メズールのメダルを頂くとしようか。」
「やらせると思うのか?」
睨み合うオーズとカザリ。一つの戦いが終わった直後にも関わらず、彼等の纏う空気は既に一触即発ものだ。
「やらせて貰わなくても、やるよ。目的は達したし、ボクはここで─────」
気怠そうに共闘の解消を告げようとしたカザリの言葉は、最後まで続く事は無かった。
身体を何かで貫かれた─────その事をカザリが理解するまで、そう時間は掛からなかった。傷口から漏れる魔力と崩れ落ちたセルメダルを見て、カザリは表情を歪める。
カルデアからの通信が入るのは、それとほぼ同時だった。
『まだです!敵勢力、未だ消滅していません!いえ、それどころか…これは…!』
切羽詰まった様子のマシュ。だが、彼女からの通信を聞く迄も無い。
「……私がお膳立てしたのに、仕留め損ねたってワケね。後でアンタ燃やすから。」
「それは怖いけど、そうなる事を祈ってるよ…先ずはコイツを何とかしないと、その"後で"も来ないからね…!」
そこに居たのは、最早思考や理性すら失った欲望の塊。
言葉を交わしたり、剣を交えたりする必要すら無い───未だ頼光の形こそ保っていたものの、最早彼女は先程迄とは別物だと、その場の全員が理解していた。
「ワタシの…コドモ達……!ワタシの……メダルゥゥゥ!!返せェェェ!!!」
その手に太刀を。背にした触手には刀・弓・槍・斧を携え魔力を全開にした狂戦士が、彼等を睨み付けていた。
筆者「前書きのあらすじ?全部が全部嘘ってワケじゃない。
映司くん正義の味方っぽくてヒヤッとしたし、この先やべぇなとも思ったよ。」
次回のネタバレすると、メズールさん罠に嵌まって網で捕獲されるよ!ついでにウヴァさんは落とし穴に落ちるよ!
信じるか信じないかは貴方次第!