─ 雄英入学前 ─
ヒーロー。それは個性と呼ばれる特殊能力を使い、人々を救う者の総称。個性は人の数だけ存在し、それを悪用する者も少なかれ居る。
そして、又新たに一人、個性を持って生まれた一人の少女が居た。これは、彼女を取り巻く個性と「蒼」を巡る物語───
ヒーローという職業が定着した世界に於いて、ヒーロー志望の少年少女達の登竜門となりうるのが、数々の偉大なるヒーローを輩出してきた雄英高校のヒーロー科だ。但し、長年に渡る人気や入学試験があまりにも難しいのか、偏差値は79という超がつく程の難関である。
「本当に、ここにするのか?」
「……はい。その為に今まで頑張って来たんです。」
「まぁ、お前をずっと見てきた俺が納得出来る程、確かにお前は頑張った。だがな、それでも無理だ。雄英高校にはサポート科や普通科といった他の道もある、決断を下すのは早い。もう少し考えてこい」
「でも、私は…絶対にここに、雄英高校のヒーロー科に行くんです!」
とある中学校の進路相談にて、教師と言い争っているのは金髪と白髪が入り交じった少女。そこいらに居る不良のように染めている、という訳ではなく本人の地毛だ。
それにはとある原因があるが、本人は気づいていない。せいぜい外国人と間違えられる不便なもの、としか思っていないのだ。
「……私の姉さんや兄さんのようなヒーローになる夢、捨てようにも捨てられないんです。止めても私は、絶対に行きます、雄英高校に」
「あのなぁ……いや、分かった。そこまで言うなら俺は引き止めない。頑張ってこい、シエル」
「……! ありがとう、ございます…!」
シエルと呼ばれた少女は担任に頭を下げ、日が暮れて夕焼けが差し込む学校を足早に下校。自宅に向けて自転車を漕ぎ出した。
教室に一人残されたシエルの担任は懐から一枚の写真を出して眺める。そこに写っているのは金髪のガンマン風の服装の女性と赤いジャケット姿の白髪の男性。
昔はぽっと出のヒーローだったが今や知らない人など殆ど居ないプロヒーローの二人、「ノエル=ヴァーミリオン」と「ラグナ=ザ=ブラッドエッジ」だ。知名度で言えば正義の象徴とされるオールマイトよりは遥かに劣るものの、数々の難事件を解決したというのも相まってその名は徐々に広まっていった。当然、シエルが通う中学校でさえ、その名を知らない人は居ない。
「……血は争えない、という事か。全く、なんとかヒーローから遠ざけようとしたんだが、上手く行かなかった。すまない、二人とも」
それだけ呟き、シエルの担任は写真を懐に仕舞う。首に提げている名札には、カグラ=ムツキと、書かれていた…
木椰子区の一角にヒーローの事務所があった。名を
「あ、おかえり。シエル」
「うん。ただいま、姉さん」
シエルを出迎えた人こそ、プロヒーローの一人であり蒼の少女という異名を持つノエル=ヴァーミリオンその人だ。
「今日は遅かったね、シエル。何かあったの?」
「どうしても進路を変えないのかーって、担任言われて。放課後に話してただけ。何を言われても変えるつもりは一切無い、って言ってきたよ」
「……本当に、雄英に行くつもりなの?」
「うん。私が無個性だとしても、姉さんや兄さんのように立派なヒーローになりたいからね」
「ラグナさ…ううん、兄さんには話した?」
「もうとっくに話した。でも、「ヒーローは危険すぎる仕事だ、シエル。幾ら兄弟だろうが、俺達の妹であるお前までこっちの道に来る必要はねぇんだよ」って、こっぴどく言われたよ」
「…まぁ、兄さんは兄さんなりに心配してるって事、分かってあげて? 私もだけど、兄さんにとってもシエルはたった一人の妹…なんだから、ね」
「……分かってるよ、姉さん。でも、もう決めたんだ。絶対、雄英高校に行く」
「…分かった。シエル、貴女の道だもん。私達が口出す必要は無いよね。でも、後悔の無いように。ね?」
「…………うん」
この決意が元となったのかどうかは不明だが、シエルの運命の歯車は噛み合わさり、未だ見えない大きな夢へと回り始めた。
果たして、プロヒーローの妹であるシエルはどのような運命へと辿り着くのか。それはまだ、誰にも分からない。
導入クッソ下手くそなのは許してください…()
こんなのでも読んでくださると嬉しいです。では次回又、お会いしましょう…