一応、BLAZBLUEキャラの妹って設定だから後ろになんか付けようかな…?
それではどうぞm(*_ _)m
それから数日が経ち、あの日を境に覚醒したと思われた力は、いつどのタイミングで発現するのかという事すら分からないままであった。
ノエルの上司であり、ヒーローにして科学者、そして猫又のココノエ博士の手による綿密な検査でもわからずじまいであった為にお手上げ状態である。
「……本当に、兄さんや姉さんみたいな力を使えるようになってるのかな…?」
そう呟き、
そんな事も知らずに着替えを済ませていたシエルはノエルに呼ばれ、リビングに来るようにと言われた。何があったんだろうと疑問に思いつつもノエルの元へ。
「何? なんかあったの、姉さん」
「うん、取り敢えずコレ見てくれる?」
そう言い、ノエルはテレビを付けた。丁度、ニュースを放送していたようだ。ニュースキャスターと思われる人物がたった今入ってきた緊急速報を早口で喋っている。発生時刻を見る限りでは丁度シエルが帰宅中の時刻とほぼ同じだった為、ノエルはシエルが事件に巻き込まれたのではないのか、もしくはこの事件を目撃したのではないのか、と思った為、シエルを呼んだのだ。
「……これが、どうしたの? 姉さん」
「シエル、この事件を目撃してない? ないのなら、私もこの場所に行かなきゃならないけど…」
「目撃は…してないよ。こんな事件があったなんて今見て知ったもん」
「…そう。なら、行かなきゃ。兄さんはまだ帰って来ないし、私が行かないと」
そう言い、ノエルは支度を始める。対するシエルはというと、久しぶりに見る姉の仕事モードに少しだけ惚けてしまうも直ぐに我に返り、身支度を始めた。
だが、テレビのあるワンシーンが視界に入ったシエルはノエルより先に飛び出した。そのシーンとは、
「シエル!?」
ノエルが名前を呼んで引き止めようとするも、当の本人は既に自転車で事件現場に向かっていた後だった。慌てて後を追う事に。
加具土命からそう遠くない駅。そこが事件現場だった。事件現場に辿り着いたシエルは、人混みがある場所へと走る。直ぐに見つかるも、そこからは怒号と悲鳴が入り交じった声が聞こえてきた。
どうやら人質を盾に金銭を要求しているらしい。テレビ局のスタッフ達が生放送中の為、その要求は今頃全てのお茶の間に届いているだろう。
「おらぁ! さっさと寄越せやぁ!」
犯人は相当興奮している。それを止めるには力ずくが一番手っ取り早いが、向こうにはシエルと同年代の、赤髪の少女が涙目で此方を向き、助けて、と懇願しているように見えた。
それを目にしたシエルは眼帯を取り、紅く輝く右眼を顕にしながら、人混みを突っ切って犯人に体当たりする。突然の出来事に犯人は人質である少女を手放し、その隙にシエルは少女を抱えて距離を取った。
「大丈夫…!?」
「んの…餓鬼がよくもやりやがったなぁ?!」
「しまっ…!」
人質の分身軽になった犯人は乱入者であるシエルに向けて飛びかかる。対するシエルは先程救ったばかりの少女を抱えたまま。咄嗟に動ける筈も無かった。
このままじゃ私含めてこの子も危ない。そう思った時だ。突如高らかに声が辺りに響く。何事か、と思った矢先、犯人は何者かに吹き飛ばされた。新たに視界に入るその人物は……
「もう大丈夫だ。何故ならば!!! 私が来た!!!」
今や誰もが知る、No.1プロヒーロー。そして平和の象徴でもあるオールマイトだった。
「貴方は……」
「自らの危険を顧みず犯人に突っ込むその勇気は褒めよう。だが、勇気と無謀は違うぞ?」
「……すみません」
「さぁ、ここは私に任せたまえ」
オールマイトがそう言い、犯人はオールマイトの手によりあっという間に取り押さえられる。犯人が連行され、赤髪の少女を親の元に届け、元気に去っていくのを見送っていると、女ガンマン風の仕事服(但し露出は多い)に着替え、走って追いかけてきたノエルの姿が見えた。
「シエル…! 無事だった…!?」
「う、うん。オールマイトの、おかげで…」
「そ、そっか…。良かった、貴女に何も無くて…。妹を助けていただき、ありがとうございます、オールマイト」
「何、ヒーローとは弱き者を守る為に日々戦っているからね。この位当然の事だよ、蒼の少女。いや…ノエル君、だったかな?」
「……あ、私の事、ご存知でした…?」
「勿論だとも。君のお兄さんである死神、ラグナ君とも何度か仕事を共にした事があるからね。それと、ラグナ君とは何度か飲みに行ったんだが、彼は酔うとすぐに妹の話になる。いやはや、ラグナ君の妹達に対する愛情は凄い。思わず、砂糖を口から吐きそうになる程だった…」
それを聞かされた時、シエルとノエルは二人揃って顔が真っ赤になる。それもそうだ、身内の恥ずかしい一面をよりによってオールマイトが知っているのだ。それは恥ずかしくもなるというもの。
暫く話し、オールマイトが去り、そろそろ帰らないといけない時間になった頃。今まで何ともなかった筈なのに急に右眼が熱くなる。それと同時に色々な情報が頭の中に流れ込み、耐えきれなくなったシエルはその場に蹲る。
「……シエル?」
「姉さん…頭、痛い……」
それだけを言い、シエルはその場に倒れてしまう。最後に聞こえたのは、自分を心配する愛する姉の声だけだった。
シエルが気絶したのと同時刻。木椰子区の裏にある、裏木椰子区。そこは法律など関係ない、個性を持て余す者が集まっている、文字通りの無法地帯。そこには、とある男が居た。
今時珍しい、黄色で黒の蛇の模様が入ったパーカーを羽織った男。パーカーの中にはスーツらしき服装を着ており、如何にも、といった感じである。
「この感覚は……遂に覚醒したか…。この日をどれだけ待ち望んだか、楽しみで仕方なかったぜぇ…? なぁ、ラグナくぅん? って、彼奴はここには居なかったか。まぁいいわ、お前の愛してやまない家族、"もう一度奪って壊してやるよ"。それまで楽しみにしてなぁ…!!」
甲高い笑い声を上げながら、謎の男は裏木椰子区を闊歩していった……
翌日。シエルは気絶したまま起きなかった。ココノエの検査で分かったのは、何らかのきっかけでシエルの力が完全に覚醒した事。ただ、その力があまりにも大きすぎて上手くコントロール出来ず、力の逆流が起き、その反動で気を失ったままになっているという事だった。
「博士、シエルは…大丈夫、なんですよね?」
「……今はこいつの回復を祈ってやれ、ノエル。それと、あのバカにも伝えてやれ。お前の妹は無事だとな」
「…はい。勿論です」
「然し…この個性の発現の仕方……考えられるのは、アレしかない、か…」
シエルのデータを見つめながら仕事モードに入ったココノエを眺めていた時。扉が乱暴に開けられ、入ってきた人物に対してココノエはため息をつき、仕事モードから一転、いつもの顰め面に戻った。
「……おい、私の研究室の扉は静かに開けろと何度言ったら分かるんだ。死神」
「ったくよぉ…ヒーロー名だとしてもその呼び名は辞めろよ、長い付き合いだろ。ココノエ。シエルがいきなり倒れたってノエルから連絡があってよ、今日入ってた仕事終えてすぐに急いで来たに決まってるだろうが」
「…はぁ、以前のお前とは段違いだな。安心しろ、シエルは気絶こそしているが命に別状はない。直に目を覚ます」
「……そうか…。それだけ聞けりゃいいわ」
それを聞いたラグナはその場にどっかりと座る。肩の荷が降りたのだろう。肩で息をしている辺り、相当急いで来た事が伺える。
そんなラグナを支えるかのようにノエルが傍に寄り添う姿を見たココノエは「まるで兄弟だな、いや…血は繋がってるからその表現は間違いか」と呟き、再びシエルの検査に取り掛かる。
それから数日が過ぎ、シエルは目を覚ます。身体の影響は何も無いと診断が出され、ノエルとラグナもホッとしたようだ。
当の本人であるシエルはあの日を境に何があったのかは記憶が朧気で、それでも無理に思い出そうとすると酷い頭痛がするようになっていた。その為、それだけは思い出さなくていい、とココノエの手によりその記憶だけ封印を施される。又も倒れたら二人が心配するのは目に見えているからだ。
「……とにかく、だ。シエル。どうせカグラの奴に真正面から絶対ヒーローになるんだって言ったんだろうが、雄英に行くなら無茶はするな。私と、そこの二人を心配させたくないならな」
「…はい。でも、特訓ならいいですよね? これだけは、兄さんと決めた日課ですから」
「本来なら駄目と言いたい所だが…まぁ、そのくらいならいいだろう。ラグナ、程々にしてやれよ」
「わーってるつーの。言われなくてもノエルが見てるんだからな。それと、大切な妹を無下に扱ったりしねぇよ」
それを聞いたココノエは相変わらずだな、といった表情を浮かべ、ノエルとシエルも又、本当なのかな、といった感じで苦笑いを浮かべていた。
だが、この時はシエルは勿論ラグナ達もまだ知らない。シエルの個性の覚醒により、歴史上稀に見るであろう史上最大の悪が動き出したという事を。
そして、シエルを取り巻く物語は大きく動き出す。
力の覚醒のさせ方雑か…!
ま、まぁいいか…。次はお待ちかね、雄英高校入学試験です。そこからは、主人公視点で進める事になります。
それでは今回も閲覧していただき、ありがとうございます。では又次回、お会いしましょう…