僕のヒーローアカデミア~蒼を継ぐ者~   作:常磐戦兎

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さて、今回でシエルの個性の詳細が分かります。
まぁ…序章でちょこっと触れたんで(´・ω・`)

それではどうぞ


一章
─ 雄英高校入学試験 ─


 雄英高校。ヒーローに憧れる人なら絶対に入学したい高校。かくいう私もその一人であり、担任の先生の制止も振り切ってここに来た。

 プロヒーローの兄さんや姉さんの妹が無個性、という事で小さい頃から迫害を受けてたけど、それももうおしまい。今の私には個性がある。それも果てしなく大きなもの。でも、姉さんの上司であるココノエ博士にこう念を押された。

 

『お前の個性は強い。だが、明らかにお前自身の耐えられる負荷を超え過ぎている。故に私がリミッターを施しておく。間違っても、そのリミッターが壊れる程の力を使うな。いいな?』

 

 今、私の頭には小型の丸い装置が二つ着いている。はたから見たら変わったアクセサリーに見えるだろう。だけど、これがリミッターなのだ。解放し過ぎると警告音が鳴り、最悪の場合は電流が流れる仕組みになっている。幾ら身を守る為とは言え、電流は流石にやりすぎだと私は思ってるけど、自分が命を落とす事になるよりはマシだろう。

 それに、兄さんや姉さんを特訓に付き合わせて、自分が今出せる力の範囲を見極めた。時折暴発するけどそれも範囲内。それだけ頑張って来た、という事である。

 

「……よし!」

 

 意気揚々に、私は雄英高校の門をくぐる。周りを見れば色々な制服を来た人達が居る。見た目も大きく変わるのも又、個性が織り成すものらしい。実際、怪物地味た見た目の女の子や男の子も居る。でも、見た目で判断するのは失礼。皆、私と同じ人なのだ。

 

 会場に入り、プロヒーローの一人であるプレゼント・マイクによる試験の説明が始まった。長すぎて殆ど頭に入ってこなかったけど、概要としては15分の試験時間の中で四種類の仮想敵を倒してポイントを稼ぐというもの。但し、その中には0ポイントも含まれている。それはあまりにも巨大だから一目見れば分かるようになっているようだ。それともう一つ注意事項として、ヒーローを志す者として受験を受ける以上、ヒーローらしからぬ行動は取るなというもの。当然と言えば当然だ。

 

 一通りの説明が終わり、皆それぞれの試験会場へと向かっていく。ぞろぞろと人が捌けていく中、私も慌てて実技試験会場へと向かう。

 会場に辿り着いた時、その大きさに思わず「凄い…」と口から出てしまった。なんと、街がまるまる一つそこに収まっているのだ。こんな大規模なものを幾つも所有している雄英高校はどういう風に資金提供を受けているんだろう、と考えていた時。

 

『はーいスターート!!』

 

 プレゼント・マイクの掛け声により、実技試験が始まった。唐突に始まった為少し出遅れたものの、躊躇う事なく門をくぐり、迷いなく走る。

 

《目標捕捉! ムッコロス!》

 

「早速来た…!」

 

 胸辺りに「1」と書かれたロボットが私目掛けて襲い来る。その腕から繰り出される一撃を躱し、自分の右腕を闇で覆う。

 

「…闇に喰われろ!」

 

 異形の腕でロボットを掴み、自身の影から噴き出す闇で瞬時に破壊する。その後も何体かわらわらと出てくる為、今度は影で作った大剣(モデルは兄さん愛用の大剣)でなぎ払い、群がる敵を一掃した。

 

「……うん。ちゃんと使えてる。流石兄さんのスパルタ特訓だな…。ヘトヘトになるまで付き合わせたのは私だけど」

 

 8~9体くらい倒した所で、ここら辺の敵は倒しきったのか、もう仮想敵が出る気配は無かった。更なる敵を探しに、私は奥へと走っていく。

 

 

~モニタールームにて~

 

 

「……彼女、凄いね!」

 

「シエル、と言ったか。フルネームは不明だが、聞くところによれば木椰子区のヒーロー事務所加具土命の看板ヒーロー、ラグナ=ザ=ブラッドエッジとノエル=ヴァーミリオンの妹らしいな」

 

「なるほど。あの力は兄譲りの力か?」

 

「じゃあ、そろそろ0ポイント…出してもいいんじゃない?」

 

「ん、そいつを出すのは少し早い気もするが…」

 

「このくらいが丁度いい時間の筈さ。さぁ、行くよ!」

 

 ネズミ顔の男(果たして人と見ていいのかどうか)が手元にある赤いボタンを押す。それと同時に、会場全体が大きく揺れ始めた。

 

 

~試験会場~

 

 

 いい頃合い、と思ったその時。突如会場全体が大きく揺れ始めた。地震とかではない事を察すると、人為的に引き起こされた揺れだろう。

 

「……なんだろ」

 

 思わず辺りを見回すと、揺れにザワついた他の受験者達が空に向けて騒いでいた。

 

「な、なんだよアレ……!?」

 

「あれが、0ポイント?」

 

「いやデカすぎだろ!? とにかく逃げろ、潰されるぞ!!」

 

 蜘蛛の子を散らすかのように続々としっぽを巻いて逃げる受験者達。だけど、私は見逃さなかった。0ポイントが現れる際に近くのビルを押し倒したのだが、ビルが倒れていく方向には、瓦礫に当たったのだろうか怪我をして蹲る人の姿が見えたからだ。

 

「お、おいそこの女! 何やってんだ、逃げるぞ!」

 

「ん? 嗚呼、私はいいよ。貴方達だけでも逃げて」

 

「「はぁあ!?」」

 

「彼処に人が居るから、あの人を助けてあのデカブツも倒す。そうすれば皆助かって万々歳。でしょ?」

 

「何言ってんだ、さっさと───「大丈夫だから。このままじゃ貴方達、潰されるよ?」……っ!」

 

 私を強引に引き止めてた受験者を後ろに下がらせ、影を利用したアシスト+脚力ブーストで倒れていた人を抱き起こして一旦その場から離れる。

 

「あ、ありがとう…」

 

「ううん、御礼はいいよ。私はシエル、シエル=ヴァーミリオン。貴女は?」

 

「私は麗日お茶子、宜しくね、シエルちゃん」

 

 軽い自己紹介を済ませた所で(そもそも生死の境目でする事じゃないのは嫌でも分かる)私はお茶子を抱えて安全な所まで避難させる。

 その後で、此方に向かってくる0ポイントを見据える。どっからどう見てもタフな奴にしか見えないが、所詮は仮想敵。壊したとしても何も文句は言われまい。

 

「お茶子ちゃんはここで待ってて。私はあのデカブツ倒して戻るから」

 

「…え、う、うん。気をつけて、ね?」

 

「もち!」

 

 サムズアップをした後、私は0ポイントに向けて走り出す。私を敵として認識したのか、0ポイントは如何にも化物らしい声を上げて襲い来る。街への被害云々を考え、最適な方法を探し出した私はそれを即座に実行へ移す。

 

「力だけじゃ勝てないって所、見せてあげるよ…」

 

 力を引き出し、影で形作った二丁拳銃(モデルは勿論姉さん愛用の拳銃)で影の弾丸を放ち、駆動部へ正確に撃ち込む。

 動きが鈍った所で影の大剣を作り、一息に飛ぶ。その時に大剣を大鎌に変形させ、黒い刃を露出させた。

 

「……あるのは無、だけ」

 

 影の刃で何度も斬り付け、トドメに貫く。中心に大きな風穴を作った0ポイントは崩れるように倒れ込む。その際生じる衝撃波で街が被害を被る事が無いよう、剣圧で抑制する。それにより、完全に鎮圧出来た。

 

「さて、試験の続きをしなきゃな」

 

『終〜了〜!!!』

 

 と思った所でプレゼント・マイクによる試験終了の合図が流れる。

 

「…あ。終わっちゃった」

 

「シエルちゃん、凄いね! あのデカブツ倒しちゃうんだもん!」

 

「い、いやぁ…それほど、でも?」

 

「でも、試験終わっちゃったね」

 

「うん。あのデカブツに気を取られた感が半端ないな…。流石0ポイント」

 

「あ、帰る前に連絡先交換しておこう?」

 

「ん、ありがとう」

 

 15分はあっという間、だった。最初は出だしが良かったものの、途中で出てきた0ポイントに残り時間を全て使い、合計で20くらいしか稼げていないかも、と気がつくのは帰ってからだった。

 

 

~雄英高校会議室~

 

 

「さて、大方決まった所で残りの合格者を決めるんだけど。皆、異議は無いね?」

 

「ある訳無いでしょう。彼女のとった行動は正しくヒーローだ」

 

「然し、一日で0ポイントが二体破壊されるとはな。並大抵の個性では破壊出来ないようにしていたんだが…。これは予算会議、荒れるぞ」

 

「まぁまぁ、その話は後にするとして、シエル君には救助ポイント60、緑谷出久には60点を付与するよ。これで残りの合格者は決定! この二人の成長が楽しみだね」

 

 そう言い、ネズミ顔の男が二人の書類に「合格」の判子を押す。こうして、残りの合格者であるシエルと緑谷出久、二人の合格が決まった。

 

 

~シエル宅~

 

 

 雄英高校入学試験から数日が経った頃。一通の手紙が届いた。姉さんが私に手紙を手渡す。

 

「あれ? 手紙にしては……軽いけど。コレ、本当に雄英高校からだよね…?」

 

「早く開けてみてよ、シエル」

 

「分かってるよ、姉さん」

 

 思い切って封を開け、逆さにすると平べったい機械が転がり出てくる。用途が不明な機械に対し、二人して首を傾げていると、夜勤明けなんだろうか、欠伸をしながら兄さんがやってきた。

 

「……んぁ? 何してんだ、お前ら」

 

「あ、兄さん。雄英からの手紙が来ててさ、中身がこれだったんだけど…」

 

「あ? んだこりゃ。まぁ、適当にいじくりゃいいだろ?」

 

 兄さんが機械を弄りまわすと、何か押された音が聞こえる。その瞬間、その機械から映像が投影された。

 

『私が投影された!!』

 

「えっ、あ、オールマイト!?」

 

『やぁ、久しぶりと言えばいいかね? ノエル君とラグナ君。まさか君達の妹が雄英を受験していたとはね! 驚きだよ!』

 

「……なぁ、ノエル。なんで、オールマイトが投影されてんだ?」

 

「わ、私に聞かないでよ。兄さん…」

 

『おっと、時間も無いので巻きで説明させてもらうよ! 筆記試験も申し分無し、実技試験も優秀な成績を収めた! 勿論、文句なしの合格さ!』

 

「……えっ、つ、つまり…?」

 

『雄英高校教員一同、君が来るのを楽しみにしているよ! では! また学校でね!』

 

 その言葉を最後に、投影されたオールマイトの姿は消える。私達兄弟は何があったのか理解するのに時間を要したが、直ぐに我に返る。

 オールマイト直々に私の雄英高校合格を報せに来たのだ、間違いないんだろう。思わず喜びの雄叫びを上げる程に嬉しさを隠しきれなかった。

 

「夢、じゃないんだよね…?」

 

「バーカ。あのオールマイトが嘘を言う訳ねぇだろ? 良かったじゃねぇか、シエル。頑張れよ?」

 

「流石、私と兄さんの妹だね…。よし、今日はお祝いしようか? ねぇ、兄さん?」

 

「…ん、嗚呼。そうだな。今日はシエルの合格祝いだ、なんでも好きなもん食わせてやるよ」

 

 こうして、私の雄英高校合格が決定した。あの後直ぐに担任の先生にも伝え、よく頑張ったな、と褒められた。あの時知り合ったお茶子ちゃんも合格通知が来たらしく、電話でその事を互いに伝えて喜びあった。

 

 でも、この時はまだ知らない。裏では、大きな陰謀が渦を巻いているという事を。そしてそれは、何れこの世界全部を巻き込む大事件になる事を。




あ、何故仮想敵の台詞がブッ〇すじゃなくてムッコロスなのかはお察しくださると嬉しいです。

それでは、今回もお読みいただきありがとうございます。私の小説をお気に入りに登録してくれている方には多大なる感謝を。それでは(・ω・)ノシ
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