「DVD準備できました」
「すぐ行くから、再生していいぞ」
「いいんですか?」
「大丈夫だ。『EM○TION』とか『Anipl○x』とか出るから本編までには行ける」
「わかりました」
今日は八幡さんとアニメ鑑賞会。ご両親は仕事、小町ちゃんは『あとは若いお二人で。あ、今の小町的にポイント高い♪』と言いながら出かけて行った…。
手を繋いだり、腕を組んだり、…キスも…えへへ。でも、ひとつ屋根の下で二人きりは…、ドキドキする。
「お待たせ。ほい、コーヒー」
「ありがとうございます」
今日はテレビシリーズの劇場版だ。
うん、誰も不幸にならなくてよかった。途中、心配になったけど。
「なんか『ご都合主義ここに極まれり』って感じだな」
「もう!ハッピーエンドでいいじゃないですか」
「先輩が主人公かばって車にひかれた時は、ヤバかったけどな」
「確かにそうですね」
「俺も一歩間違えてたらそうだったのかな…」
「八幡さん、事故にあったことがあるんですか?」
「あぁ、沙和子は知らないのか」
入学式の事故、奉仕部の方々との出会いを初めて聞いた。
「そんなことが…」
「まぁ、今はどうでもいいんだけどな」
「八幡さん…。ちょっとそこに座ってください」
「え?座ってるけど…」
「八幡さん、自己犠牲も大概にしてくださいね」
「いや、あれはそんなんじゃなくてだな、体が勝手に反応したというか、脊髄反射的にだな…」
「それでもです!私は八幡さんが傷ついたら嫌です」
「お、おう…」
「八幡さんが傷ついたら、私だって心が痛いです。…きっと雪ノ下先輩や由比ヶ浜先輩だって」
「そう…だな…」
「それに、修学旅行の話、海老名先輩に聞きました」
「うぐっ!」
「決して誉められる方法ではなかったと思います」
「でも!」
気がついたら、八幡さんに抱きついていた。
「先輩は出来る限りの精一杯をしました」
「沙和子…」
「今は私がいます。私を頼ってください」
「しかしだな…」
「頼ってもらえないもの、傷つくんですよ」
八幡さんは頭を軽くかいた後、抱きしめてくれました。
「わかった、極力頼るようにするよ」
「約束ですよ」
「おう」
「約束の意味も込めて、八幡さんからキスしてください」
…何を言ってるんだ、私!調子に乗りすぎだよ!
「じゃ、じゃあ…」
「…はい」
我ながら大胆だったとは思うけど、結果オーライかな。
「ただいま~♪」
小町ちゃんが帰ってきた。危なかった~。
「プリン買ってきたよ」
「小町、でかした」
「お兄ちゃん達は何観てたの?」
「江ノ島のあたりが舞台のヤツだ」
「あれね。手紙の話のヤツは?」
「今からだけど一緒に観るか?」
「えぇ、邪魔しちゃ悪いよ」
「小町ちゃん、一緒に観ようよ」
「ほら、沙和子も言ってるし」
「じゃあ、お茶淹れるね」
「頼む」
「ん?お兄ちゃん、藤沢さんのこと名前で呼ばなかった?」
「い、いいだろ別に。か、か、彼女なんだから」
「お兄ちゃん、藤沢さん、あとで詳しく」
夕食の時間まで、小町ちゃんに根掘り葉掘り聞かれました。
…恥ずかしい。