今日は図書館で八幡さんと勉強会。
「八幡さん、ここ教えてください」
「ん?ここはな…」
隣同士で勉強とか、嬉しすぎる!
しばらくして八幡さんが体を伸ばして。
「少し休憩しようか」
「そうですね」
お茶を飲みながら、大学の話になる。
「私、八幡さんと同じことを大学に行きたいです」
「う~ん、気持ちは嬉しいが、それじゃあダメだ。俺は沙和子の夢や目標の妨げになりたくない」
「そう…ですよね…」
八幡さんなら、そう言うと思っていたけど、少し寂しい。
「八幡さんは、将来はどうしたいんですか?」
「ん?専業主夫…」
ガクッ!
「と、思っていたんだけどな。なってみたい職業があるんだ」
「教えてもらってもいいですか?」
「笑うなよ」
「笑いません」
「俺…、教師になってみたいんだ」
「理由を聞いてもいいですか?」
「誰にも言うなよ」
「はい」
「実は、平塚先生に憧れていたんだ。美人だし格好いいし趣味も近いし」
「そ、それは異性としてですか?」
「今思えば、それもあるかもな」
むぅ!私というものがありながら!
「怒るなよ。今は沙和子一筋だから」
「じゃあ、許します」
「話を戻すぞ。異性として見ていたのと同時に、俺みたいな捻れたヤツを気にかけて導いてくれて…。そんな大人になりたいと思っていたのが、いつの日か教師になりたいって思うように変わっていてな。だから、大学は教育学部があるところだな」
「じゃあ私、やっぱり八幡さんと同じ大学に行きます!私も先生になりたいんです」
嬉しい。八幡さんと同じ目標なんて。
「なんか、嬉しいな。沙和子が同じ目標だったなんて」
八幡さんも同じように感じてくれていたんだ。
「よし、同じ目標に向かって、頑張るか」
「はい!」
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時は流れ、八幡さんが卒業する日がやってきてしまった。
「八幡さん、卒業おめでとうございます」
「ありがとな。沙和子のお陰で良い高校生活になったよ」
「八幡さ~ん、やっぱり卒業しないでくださ~い」
思わず本音がでてしまった。
「そんなこと言うなよ。それにこんなに涙を流して。可愛い顔が台無しだ」
「可愛くなくていいから、八幡さんと離れたくないです」
「何を言ってるんだ。別れる訳じゃないんだから」
「そうですけど…」
八幡さんが頭を撫でてくれる。
「いっぱいメールしてくれますか?」
「もちろん」
「いっぱい電話してくれますか?」
「あぁ」
「いっぱいデートしてくれますか?」
「その為に、バイトするよ」
「浮気しませんか?」
「沙和子一筋だ。沙和子は可愛いから、俺の方が心配まである」
「じゃあ、じゃあ…」
何か言おうとしたら、八幡さんが抱き締めてくれた。
「沙和子、先に大学で待ってるからな」
「…はい!」
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八幡さんは大学へ、私は三年生になった。
約束通り、メールも電話もデートもいっぱいした。
…奉仕部のお二人と交流がまだあるのは、要注意ですが…。
八幡さんと同じ大学に合格し、私の卒業式の日になった。
生徒会やクラスで別れを惜しんでいると、なにやら騒がしい。クラスメイトに聞いてみよう。
「どうかしたの?」
「あのね、凄いイケメンが校門で花束持って立ってるんだって。誰かの彼氏かな?」
…まさか。
校門に行くと、見慣れた人が緊張しながら花束を持って立っていた。
「沙和子、卒業おめで…んん!」
思わず抱きついてキスをしてしまった。
校舎の方から黄色い声が凄かった。
「沙和子、ビックリするだろ」
「嬉しくて、つい…」
「まぁ、いいか。もう帰れるのか?」
「はい」
「んじゃ、行くか」
「お父さんとお母さんが、八幡さんが来るの待ってますよ」
「マジか。まだ緊張するんだよな」
そんな話をしながら、母校をあとにする。
私の青春ラブコメ、間違ってないよね。
最後、駆け足になってしまいましたが、これで完結です。ありがとうございました。