週末の奉仕部内。
メンバー三人と生徒会長・一色いろは、書記・藤沢沙和子の五人が居る。
四人の女子はお互いを牽制している状態。男子一人は、そんなことは気にしてないのか、紅茶をすすりながら、文庫本を読んでいる。
そんな中、一人の女子が動いた。
「ねぇ、ヒッキー」
「ん?」
「今度の土日は何をするの?」
四人が比企谷八幡の答えに耳を傾ける。
「土曜は部屋で勉強かな。日曜は本をあさりに千葉あたりへ行って…、あと新しいラーメン屋があるらしいから、寄ろうかと思ってる」
「ふ~ん」
「聞いておいて、興味無しかよ」
そんなことはない。女子四人はどうやって他の三人を出し抜くか思考を巡らせているのだ。
誰も次の一手を出さないまま、下校の時間となった。
時間は経過し、土曜の夜。
比企谷八幡の携帯が鳴る。
「もしもし」
『比企谷先輩ですか?』
「おう、どうした。藤沢」
『明日、本屋さんへ行くんですよね?』
「そのつもりだが」
『私もご一緒してもいいですか?』
「まぁ、かまわんぞ」
『ありがとうございます』
「千葉まで行くから、駅に11時でいいか?」
『はい、わかりました』
「じゃあ、明日な」
『はい、おやすみなさい』
「おやすみ」
日曜日の朝、比企谷八幡はニチアサを楽しんだ後に支度を始めた。すると、呼鈴が鳴った。
「小町~、お兄ちゃん着替え中だから出てくれ~」
「は~い。どちら様ですか…。これはこれは…、ちょっと待ってくださいね」
兄を部屋に呼び行く小町。
「お兄ちゃん、結衣さんが迎えに来たよ」
「ふぁ?なんで由比ヶ浜が?」
「約束してたんじゃないの?」
「してねぇよ。兎に角、ちょっと待ってもらってくれ」
「は~い」
急いで着替えて玄関に来る八幡。
「ヒッキー、やっはろー!」
「おはようさん。どうした、由比ヶ浜。なんか約束してたか?」
「してないよ。本屋さん、私も一緒に行く」
「え?なんで?」
「ん?なんとなく?」
「なんだそりゃ…」
「何かマズイことでもあるの?」
「いや、そうじゃないんだが…」
「じゃあ、いいじゃん」
「わかったよ…」
小町に見送られ、駅に向かう二人。途中で見知った顔に出くわす。
「あれ~、ゆきのんだ」
「あら、由比ヶ浜さんにモテ谷君」
「誰がいつモテたよ」
「貴方達、どこへ行くのかしら?」
「俺がでかけようとしたら、襲撃されたんだよ」
「ヒッキーの買い物についていくんだ」
「貴方、たしか書店に行くと言ってたわよね?」
「あぁ、そうだが」
「私も行こうと思っていたから、ご一緒させていただくわ」
「雪ノ下も来るのかよ…」
「何かヤマシイことでもあるのかしら?」
「ねぇよ」
平静を装う女子二人だが、心の中は…。
『なんで、ゆきのんが一緒なのかな』
『由比ヶ浜さん、自宅まで行くとは…』
駅に着くと、昨晩電話で約束していた藤沢沙和子と…。
「先輩、遅い!」
「すまん、藤沢」
「いえ、私は大丈夫なんですが…」
「なんで、無視するんですか!」
「なんで一色が居るんだよ…」
「先輩が千葉方面へラーメンを食べに行くなら、おごっ…ご一緒しようかと」
「なんか言いかけたよな?」
「てへっ♪」
「あざとい」
「あざとくないです!」
「つーか、まともにアポ取ったのは、藤沢だけかよ」
「だって、ヒッキー逃げようとするじゃん」
「私は比企谷君の連絡先をしらないわ」
「待ち伏せして、会えたらサプライズじゃないですか」
「お前らな…。好きにしてくれ…」
波乱(?)のデートイベント開幕!