墨影二郎丸は影柱(仮)に就任しました   作:トライオ

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投稿が遅れてしまい大変申し訳ありませんでした。

※この話では二郎丸は十六才となっています、番外編なので読まなくも問題ありません

※本誌の188話のネタバレが若干含まれており、蛇柱がかなりキャラ崩壊していると思います。

それが駄目と言い方はブラウザバック推奨です。


番外編
伊黒小芭内


「おーい、伊黒ー。」

 

「む?」

 

伊黒が一人で歩いていると、後ろから誰かに話しかけられ後ろを振り返った。

 

「なんだ、墨影に煉獄か。」

 

話しかけてきたのは同期である墨影二郎丸、その隣には同じく同期の煉獄杏寿郎がいた。

 

「どうしたのだ?」

 

「うむ、俺達はこれから昼食を食べるつもりなのだが、伊黒も一緒に行かないか?」

 

話の内容は昼食への誘いだった。

この二人と知り合ってから約二年、何度も同じ任務に同行し、けして浅くはない仲となっている三人、そうなれば任務外での付き合いも自然と生まれてくる。だが、

 

「すまない、一緒には行けない。」

 

伊黒はそれを断った。

 

「む、何故だ?」

 

杏寿郎は何故かと聞き返してきた。意外と押しの強い二人だ、これだけでは引き下がる筈もないと、伊黒は考えた。

 

「…そうか、行きたくないなら仕方ないね。」

 

「…は?」

 

「二郎丸?」

 

だが意外な事に二郎丸はあっさりと引き下がってしまい、他の二人は呆気にとられた。

 

「よもや、珍しいではないか、何かあったのか?」

 

「…」

 

「…そう言う事か。」

 

不思議そうに話しかけてきた杏寿郎を無言で見つめる二郎丸、その間何も語らなかったが杏寿郎は何かを理解したようだった。

 

「無理を言ってすまなかったな伊黒。」

 

「は?いや、そんな事は」

 

「よし、行くぞ二郎丸!さらばだ伊黒!」

 

「おい人の話を」

 

だが、伊黒が言い終わる前に二人は駆け足で去ってしまった。

 

「…全く、相変わらず話を聞かない奴らだ。」

 

誰に呟いた訳ではないが、不意に口からこぼれ落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

伊黒は二郎丸と杏寿郎の二人と仲が悪い訳ではない、寧ろ他の鬼殺隊士達と比べてもかなり親しいのだ。だが、それでも誘いを断るのは伊黒なりの理由があった。

 

伊黒は普段から顔の下半分を包帯で覆っているが、その下は蛇のように口元から切り裂かれた跡があるのだ、しかも只の傷ではなく、伊黒の抱える忘れたくても忘れられない忌々しい過去に付けられたトラウマを呼び起こす傷だった。そしてそのトラウマは伊黒の記憶に、心に深く広く根付く程のものであった。

 

別にあの二人であれば、この切り傷を見ても馬鹿にする様な事は一切ないと、今までの付き合いで理解していた、が、こればかりは伊黒が持つ二人に対しての劣等感があり、簡単に済ませられる話ではなかったのだ。

 

そんな中で、伊黒は二郎丸と杏寿郎との付き合いを辞めるべきではないかと考えていた。

 

あの二人は余りにも純粋で善良だ、その心は脆い様で何よりも強固なものだ、そして、鬼と対峙した時こそ暴れ馬となる二人だが、その行動原理の根底にあるものは、他者への思いやりだ。二人は鬼の被害者の為に怒るのだ。

自分自身の行き場のない怒りと恨みを鬼に向けている自分とは余りにも違う、ひょっとしたら自分のせいであの二人を穢してしまうのではないか?そんな考えが伊黒の頭を常に過り、離れることがなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「伊黒!」

 

「む?あぁ、墨影に煉獄か。」

 

「うん、はいこれ。」

 

「…なんだこれは。」

 

「「和菓子の詰め合わせ。」」

 

「何故唐突に」

 

また別のある日、伊黒は二郎丸と杏寿郎に出合ったのだが、出会い頭に和菓子の詰め合わせを渡されて戸惑っていた。

 

「この和菓子は全部うまいからな、伊黒にも食べてほしいと思ったんだ!」

 

そうやって嬉々として話す杏寿郎だが、伊黒にはある疑問が浮かんだ。

 

「俺に対して、そこまでする必要はあるのか?」

 

「え、だって友達でしょ?」

 

伊黒が呟いた疑問に、二郎丸はさも当然のように答えた。

 

最も、そうする理由は他にもあるが、二郎丸と杏寿郎は伊黒に話す必要はないと考えていた。

 

「…それだけか?」

 

「え、十分な理由だと思うけど…まさか、伊黒は僕達のことを友達と思ってない!?」

 

「なんと!そうだったのか!?」

 

「なぜそうなる。」

 

伊黒は頭を抱えた。

 

「そう言う訳じゃない、俺だってお前達の事は友だと思っている「なら良かった!なら僕達は任務にいくから!」おい、まだ話の途「次あったら食べた感想を聞かせてくれ!」おい待て!」

 

話を聞かない二人を呼び止めようとするが、流石暴れ馬。そんな事で制止する筈もなく、あっという間に見えなくなってしまった。

そして、一人取り残された伊黒がそこにいた。

 

「…全く、あいつらは。」

 

そう呟く伊黒は、呆れているようで、どこか嬉しそうな表情をしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結局の所、伊黒自身が二人との付き合いをやめることが出来ないのだ。

二人によく振り回される伊黒だったが、それも悪くないと考えていた。

あの二人と関わるべきではないと考えてるが、こんな自分の事を二人が友と呼んでくれるからこそ、共にいることを許されているのだと思っていた。

 

だからこそ、自身が死ぬまでは友と呼んでほしいと、

 

伊黒は密かに願っていた。




※伊黒が誘いを断った時に二郎丸は伊黒の抱えるトラウマを感じとりました(内容までは理解していません)。



188話の蛇柱がマジで辛いです。

番外編はどれを読みたいですか?

  • 隊士訓練で二郎丸が不在時の炎と恋の話
  • スケベ隊服について
  • 炎蛇影の合同任務
  • どうせなら全部書いて
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