── 五日目 ──
「伊黒、その鬼で何匹目だ?」
「確か、十五匹目だ。」
「うわ、そんなに倒したんだ。」
夜、二郎丸達五人は鬼の襲撃に対応していた。だが、前日と比べてその数はかなり増えており、苦戦はしなくとも疑問に感じていた。
「あ、齊藤さん、山本さん、そっちの鬼お願いしますね。」
「はい!」
「わかりました!」
昨日助けた二人も、戦えるまでには体力を回復していた。
結果、鬼の襲撃は日が出るまで続き、討伐した鬼の数は二十匹だった。
── 六日目 ──
「墨影さんは何故鬼殺隊に入隊しようと思ったんですか?」
今回は二郎丸と齊藤、杏寿郎と伊黒と山本の二手に別れて狩りをしていた。そして狩った猪を捌いている途中、齊藤は二郎丸に質問を投げ掛けた。
「んー、鬼殺隊の父上が格好いいと思ったからですかね。」
「…それだけですか?」
「最初はそうでしたけど、明確に決心したのは十一才の時ですね。」
「と、言いますと?」
二郎丸は今は亡き杏寿郎の母、瑠火の事を語った。
いつであったか明確に覚えていないが、一家総出で瑠火の見舞いに行ったことがあった。この時の瑠火は病状が更に悪化しており、医者からはもう長くはないと伝えられていた。
しばらくして瑠火は杏寿郎と一朗太、そして二郎丸だけで自分の元に来るように言われた。三人が揃った時、こう言われたのだ。
『弱き人を助けることは 強く生まれた者の責務です。』
あなた達は強さがあるのですから、と、そう言われて三人まとめて抱き締められた。
病気の影響で力も弱くなり、体も冷えていた筈だが、抱き締めるその腕は何よりも力強く、それでいて温かく感じた。
「だからこそ、僕は鬼殺隊になりたいと改めて決心したんです。」
「ずばら゛じい゛でずう゛う゛ぅ!!」
「のわっ!?」
気が付けば齊藤が泣きじゃくっており、二郎丸は驚いた。そして泣き止んだ後、齊藤も自分の身の内を語り出した。
話を聞けば齊藤は孤児であり、その当時はかなり荒れていたようだ。何か才能がある訳でもなく、人付き合いが良い訳でもなく、あるとすれば喧嘩が強いくらいであった。そんな中で今の育手の人に拾われ、その人に剣の技術と礼儀を学んだそうだ。
だが、育手の元にいる内にある悩みが生じたらしい。
育手の人は自分以外の人たちも育てていたそうだが、その誰も彼も鬼によって大事な人たちを奪われており、その意気込みは尋常ではなかったそうだ、だが、自分は鬼に対して恨みがあるわけではなく、育手に拾われたから、鬼殺隊を目指しているだけだ。
はたしてそんな自分が鬼殺隊になって良いのだろうか。
その答えは遂に出ることはなく、そのまま最終選別を受けることになったそうだ。
「その結果があの様です、本当に情けない…。」
「…」
そんな齊藤の話を二郎丸は黙って聞いていた。
「墨影さん、こんな俺が、鬼殺隊に入隊してしまって大丈夫なんでしょうか、本当はあのまま死んでしまった方が「そんな事は断じてありません。」…え?」
齊藤の言葉を遮り、二郎丸は語り出した。
「確かに理由は大事なものです、ですが僕はそれ以上に大事なことがあると思うんです。」
「…それは?」
「行動する意思です、想いがあっても行動に移さなければそれは無いものと同じです。貴方は今まさに鬼殺隊になるために命を落とす危険のある最終選別を受けてるじゃありませんか。」
「いや、それは」
「言ったでしょう、想いがあっても行動に移さなければそれは無いものと同じと、それは誰でも出来ることではない、想いを行動に移した貴方のそれは敬意を表するべき、それでいて貴方自身が誇って良い事です。」
それが鬼殺隊であれば直の事です、と締めた。
それを聞いた齊藤は、また涙を流していた。
「本当に、そう、思っているんですか?」
「もちろんです。」
「俺は、録に鬼に勝つことが出来ないほど弱いんですよ?」
「なら、強くなりましょう、今から行動しても遅くはないです。」
「…ほ、本当に俺が鬼殺隊になっても、」
「それは齊藤さんが決める事です。齊藤さんはどうしたいですか?」
「俺は…俺は、」
そして
「俺は!鬼殺隊になりたいです!貴方の様に、誰かを助けることが出来るなら!!」
そう、大声で宣言した。
「よくぞ言ってくれました、であれば、最終選別を絶対に生き残りましょう!」
「はい!」
「む、齊藤殿、どうしたのだ?」
杏寿郎は疑問に思った。目元を真っ赤に腫らした齊藤を見て、
「改めての決意表明、ですよね齊藤さん。」
「まぁ…はい、そうですね。」
齊藤は頬を赤くしてそっぽを向く。
「なるほど!」
「いや、意味がわからんぞ。」
杏寿郎は納得したようだが、伊黒は納得していないようだ。
「山本さんはどうしたんですか?」
二郎丸も疑問に思った。げっそりとやつれている山本を見て、
「な、なんで鹿や兎を生身で追いかけなきゃいけないんですか?そしてお二方は何故あの森の中で追い付くことが出来るんですか?」
「…御愁傷様だな、山本」
そんな不憫な山本に齊藤は労いの言葉を掛けることしか出来なかった。
※おまけ(他の三人は何をしていたのか)
「む?あそこに鹿がいる、追い掛けるぞ!」
「了解。」
「いやいや、人の足で追い付くわけないじゃないですか!」
──しばらくして──
「「仕留めた」ぞ!」
「何でですか!?」
次の場所では、
「む?兎が二羽いるな、ちょっと狩ってくるぞ!」
「いやいや、二羽同時は無理ですって!」
──しばらくして──
「三羽狩れたぞ!」
「何故増えてるんですか!?」
「ふん、俺は四羽狩ったぞ。」
「なんだと!?負けた!」
「あんたは何張り合ってるんですか!?」
また次の場所では
『プギィィィ!』
「ぎゃあぁぁぁぁ!?」←猪に追いかけられています
「どうしたのだ山本殿?早く仕留めねば。」
「その通りだ、鬼と同じく頚を斬れば一発だろう?」
「いや無茶言わないで下さいよぉぉ!!」
──しばらくして──
「不甲斐ない、これでは鬼すら狩れんぞ。」
「確かに、そうかも知れぬな!ははは!」
「…(鬼殺隊って狩人集団だったのか?)」←対象が鬼になっただけであり、あながち間違いではない
段々と二人に染まって来た伊黒、そしてこ二人に振り回される山本であった。
※齊藤さんは十六才、山本さんは十五才、三人よりも年上なので二郎丸と杏寿郎は敬語を使っています、伊黒は使いそうにないのでタメ口です。モブ二人が敬語を使うのは助けられた恩によるものです。
※現時点の二郎丸と杏寿郎の身長は約160cm、伊黒は150cmにまだ届いてないと想像してください。因に山本さんは二郎丸より少し高い程度、齊藤さんは170cmを越えています。
番外編はどれを読みたいですか?
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隊士訓練で二郎丸が不在時の炎と恋の話
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スケベ隊服について
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炎蛇影の合同任務
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どうせなら全部書いて