墨影二郎丸は影柱(仮)に就任しました   作:トライオ

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六話を新しく投稿したのでそちらの方もよろしくお願いします。


最終選別 後編 弐

「ガハハハ!どうしたどうしたぁ!」

 

「あぁ、もう!邪魔!」

 

離れた場所から長い舌で牽制され、近づく言葉のあや難しい。

 

「はぁ!」

 

「おっと危ない。」

 

「ちぃっ、またか!」

 

舌を避けて、懐に飛び込もうとも驚異的な跳躍力で直ぐに距離を取られてしまう。

 

「むん!」

 

「ふん、きかんなぁ。」

 

「やはり固いな!」

 

何とかたどり着き頚を斬ろうとしても、あまりにも硬く斬り落とすことが出来ない。

 

蛙鬼と交戦する二郎丸と杏寿郎と伊黒、だが未だに突破の糸口を見つけることが出来ずにいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そもそも、この戦闘は、圧倒的に二郎丸が不利だった。

先ず三人での戦闘と言ったが、これは半分間違いである、既に二郎丸は負傷しており、普段よりも動きが鈍ってしまっているのだ。

そして、そして更にひどい怪我を負っている齊藤の存在もあり、庇いながら戦闘をせざるを得なかったのだ。

そんな不自由な戦闘の中で、三人の疲労は増すばかりであった。

 

「どうした、もうお終いかぁ?」

 

既に肩で息をする三人を見て蛙鬼はふと立ち止まり、ニヤリと笑う。

今駆け出しても直ぐに飛び退かれて距離を取られてしまう為、迂闊に近づく事が出来ない。そしてそれを蛙鬼は理解しているからこそ、このように相手を嘲笑う様な態度をとることが出来るのだ。

 

「やはりお前らではこの俺を殺すことは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「水の呼吸 壱の型 『水面斬り』!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

グァ!?」

 

『え?』

 

突如放たれた一刀によって、蛙鬼の脚が切られ、その場で体が崩れ落ちた。誰もが驚く中、蛙鬼の脚を切ったのは、

 

「「「山本(さん)(殿)!?」」」

 

「私だって居るんですよぉぉ!!(泣)」

 

そう、山本だった。この場いた誰もが、それも蛙鬼でさえも気にも泊めていなかったが、それが吉と出て見事蛙鬼に一撃を与えることが出来たのだ。

 

「…よくやった。行くぞ煉獄!」

 

「うむ!了解した!」

 

これを好機と見た伊黒が杏寿郎に呼び掛け、二人は走り出し、最大火力の型を繰り出した。

 

「「全集中」」

 

「蛇の呼吸 漆の型 『邪薙・大蛇(やなぎ・おろち)』!!」

 

「炎の呼吸 玖の型 『煉獄』!!」

 

「ぎゃあぁぁぁぁ!?」

 

「ひいぃぃぃ!!」

 

蛙鬼の絶叫が木霊する、首こそ斬れなかったものの、四肢は吹き飛び、殆ど原型を留めておらず、辛うじで胸部と頭部があることを理解出来る状態であった。

 

「墨影!」

 

「今だ!!」

 

「はあああ!! 全集中 影の呼吸 陸の型 『御影石』!!!」

 

身動きさえもとることが出来ない蛙鬼の頚めがけて渾身の一撃を叩き込む、だが食い込みはしたものの、頚を斬ることは出来ない。

 

「がぁぁ!硬ったい!」

 

「墨影!」

 

「加勢するぞ!」

 

伊黒と杏寿郎が二郎丸の刀の上から自分の刀を叩きつける、だかそれでもまだ切り落とすことは出来ない。

 

「わ、私も!」

 

山本も加わり更に刀は食い込むが、あと少し足りない。

 

「貴様らぁ…!」

 

「ま、不味い!」

 

「押し込め!」

 

「「がぁぁぁあ!!」」

 

見れば蛙鬼の身体は殆ど再生しており、腕脚も生え始めている。この状況で反撃されてしまえばなす術が無い。

 

そんなどうすることも出来ない状況で

 

「ヴオオオオ!!」

 

「え?」 「は?」 「何と!」 「齊藤さん!」

 

立ち上がることすらままならない筈の齊藤がこちらに向かい、そして刀を振り下ろす。そして五人の刀が重なりあった時

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──スパンッ──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

見事に蛙鬼の頚を切り落としたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ぎゃあぁぁぁぁ!?』

 

蛙鬼の頚を斬り落とした反動で体制を崩してしまい五人はその場に転げてしまう。

 

「斬ったのか!?」

 

「頚はどこだ!」

 

「あそこです!」

 

山本が指差した方を見れば、確かに蛙鬼の頚が転がっている。

それを見た二郎丸はある違和感を覚えた。

 

「…泣いてる?」

 

そう、今までの嘲笑う様な表情は一切なく、唯々涙を流していた。

 

「…。」

 

「二郎丸?」

 

「おい待て!」

 

それは唯の好奇心か、それとも二郎丸のお人好しさ故か、二人の制止も聞かずに二郎丸は駆け出していた。

「──」

 

「え?」

 

ある程度近づいた時、蛙鬼の呟きが聞こえ、そとで脚を止め、耳を澄ました。

 

「…やめて…返し、て…帰……り──」

 

だが、その言葉は最後まで紡がれることはなく、蛙鬼は塵すら残らず崩れ去ってしまった。

 

あの蛙鬼とは思えぬ程弱々しかった。そして悲しんでおり、何かに恐れていた。

 

だがその理由は、二郎丸でさえもわからなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくして。朝日が昇ってきた。

「…終わった?」

 

「うむ、終わったな!」

 

「あぁ、そうだな。」

 

「終わりましたね。」

 

「はい、終わりました。」

 

しばらくの静寂、そして

 

『うおおおおお!!!!』

 

全員が叫び声を上げる、その声は限りない程の喜びが満ちていた、が、

 

「ゴッファ!?」

 

「二郎丸!?」

 

「「「墨影((さん))!?」」」

 

二郎丸が血反吐を吐いた事で中断されてしまった。

 

「全く、無理をするな。」

 

「ご、ごめんなさい。」

 

「早く下山して墨影さんと齊藤さんの怪我の治療をしましょうよ!」

 

「うむ、齊藤殿、肩を貸すぞ!」

 

「はい、ありがとうございます、煉獄さん」

「墨影さん、担ぎますよ。」

 

「あー、ありがとうございます。」

 

「俺も手伝おう。」

 

「「え?」」

 

「…俺だって外道ではない、山本、お前だって疲れてるだろう。」

 

「…そうですか。」

 

「おい貴様、何ニヤついている。」

 

そんな言葉を交わしながら、五人は下山を始めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうこうしている内に五人は初日に集まった社にたどり着いた。

 

「おー、僕達が一番乗りみたいだね。」

 

「うむ、そのようだな!」

 

「やっと、戻ってきたんですね。」

 

「皆様、お疲れ様です。」

 

いつの間にか、あまね様がやって来ていた。

 

「貴殿方は見事最終選別を生き残りました。」

 

「…あれ?」

 

二郎丸は疑問に思うことがあった。

 

「…他の人たちはどうしたんですか?」

 

「合格者はあなた方だけです。」

 

「…え?」

 

「…成る程な。」

 

『え?』

 

あまね様の答えに二郎丸は驚いたが、伊黒が納得した様に呟いた。

 

「五日目の夜に襲撃してきた鬼の数が急に増えただろ、恐らくあのときには俺たち以外は既に全滅していたんだろうな。」

 

「そ、そんな」

 

「私たちは本当に危なかったんですね。」

 

齊藤と山本はその事実に青ざめていた。

 

『ガァァァァァ!!』

 

「え?」

 

突如、烏の鳴き声が聞こえて来たかと思えば、一羽ずつ五人の側に降り立った。

 

「その烏達は鎹烏、人の言葉を話し、伝令等を行います、皆様の良き相方になってくれるでしょう。」

「…二郎丸です、よろしく。」

 

『官玖郎ダ。』

 

「それでは皆様、御武運を。」

 

そう言ってあまね様は、また去っていった。

 

「…官玖郎、とりあえず父上達に僕の安否を伝えて来てくれない?」

 

「うむ、俺のもたのむぞ!」

 

二郎丸と杏寿郎は自分の鎹烏にそう頼む。

 

『『承知。』』

 

二人の鎹烏はそう言って飛び立っていった。

 

『『何処二向カエバ良イ?』』

 

だが直ぐに戻ってかてしまった。

 

「…とりあえず、近場の藤の家に向かいましよう!そうすれば二人の治療も出来る筈です!」

 

「そうだな!善は急げだ!」

 

山本の進言に杏寿郎が肯定する、そして再び、五人は下山していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最終選別を生き残った彼らの行く先はそれ以上に危険なものだ。

 

だが、彼らは無意識の内にそれを理解している。

 

そして既に、死ぬ覚悟を持ちながら生き抜く決意をしていた。

 

これから彼らに何が起こるかは一切分からない、だがたった一つだけ、断言出来るものがあるとするならば

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼らの戦いが、今まさに始まった。




齊藤さん
情に厚い、風の呼吸を扱う。

山本さん
影が薄い、水の呼吸を扱う。

次の話で最終選別編は最後になります。

※蛇の呼吸 漆の型も捏造です。

番外編はどれを読みたいですか?

  • 隊士訓練で二郎丸が不在時の炎と恋の話
  • スケベ隊服について
  • 炎蛇影の合同任務
  • どうせなら全部書いて
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