墨影二郎丸は影柱(仮)に就任しました   作:トライオ

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最終選別 完

あの後、藤の家に着いたのだが、二郎丸と齊藤は怪我が酷いため、結局帰るのは一週間以上後のことになった。杏寿郎、伊黒、山本は一足先に帰路に着いている。

因みに、二郎丸の安否は杏寿郎が伝えてくれることになった。

 

そして二週間後、

 

「息子が世話になった、礼を言う。」

 

「ありがとうございました!」

 

「いえいえ、お気を付けてくださいね。」

 

骨はまだ完全に繋がってないが、父である零郎が迎えに来たため、二郎丸はそのまま帰宅することになった。

 

零郎のおんぶで

 

「父上、この年で親におんぶされるのは流石に恥ずかしいですよ。」

 

「この方が速いんだ、我慢しろ。どうしても嫌なら横抱きに「おんぶで大丈夫です、はい。」なら良いが。」

 

確かに二郎丸を背負っているが、風が流れるような速さで走り続けている。とても三十七才になった男の身のこなしとは思えなかった。

 

「着いたぞ。」

 

「…本当に速かったな…。」

 

藤の家から二時間弱、零郎は一切休まずに走り抜け、屋敷の目の前で下ろされた。

 

「ただいま。」

 

「ただいま戻りました。」

 

「二郎丸!」

 

「のわっ!?」

 

玄関を開けるや否や、真っ先に母である日向が凄い勢いて飛んできて二郎丸を抱き締めた。

 

「良かった…本当に良かったわ!」

 

「母上、恥ずか「三週間も会えなかったのよ!少しぐらい抱き締めさせなさい!」…はい。」

 

日向に気圧され、ただ返事をすることしかできなかった。

 

「じろーにーさま!おかえりなさい!」

 

「おー、三郎助、ただいま。」

 

遅れて、弟である三郎助も駆けつけてきた。と、ここまで来て二郎丸に一つ疑問が浮かんだ。

 

「そういえば母上、兄上はどうされたのですか?」

 

兄との仲を考えれば、出迎えに来ることは無いと想像出来るが、気配すら感じないのだ。

 

「それがね、遠方の任務に出向いているのよ。」

 

「またですか?相変わらず仕事熱心ですね。」

 

最近、一朗太は積極的に任務に出向く様になったのだ、例えどんな遠方の任務だったとしても。そのため、屋敷に居ない時間が多くなってきたのだ。

 

「少し淋しいけど、鬼殺隊である以上仕方ないことだわ。あ!そういえば今夜の夕食は杏寿郎君達も呼んでるのよ!」

 

「え、本当ですか?」

 

「おかーさま!せんじゅろう君も来ますか?」

 

「えぇ、勿論よ。」

 

「やったー!」

 

「日向、俺も初耳なんだが?」

 

「それはそうですよ、今日呼び掛けたんですもの。」

 

「…そうか。」

 

「…(あぁ、帰って来たんだなぁ。)」

 

他愛ない会話を交わしながら、二郎丸は我が家に帰って来たのだと実感するのだった。

「母上、そろそろ放して下さい。」

 

「ダメよ。」

 

「えぇ…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『いただきます!』

 

声を揃えて言った後、二郎丸と杏寿郎は天ぷらを一つ箸で掴むと勢いよくかぶりつく。美味い!美味い!と更に頬張る二人を零郎達は微笑ましく思った。

ふと、二郎丸は違和感を感じて箸を止める、そして直ぐに違和感の正体に気がついた。

 

「父上、食べないんですか?」

 

「ん?あぁ、食べるが。」

 

零郎、そして三郎助の箸が全く進んでいないのだ。

 

「どうしたんですか?」

 

たずねてみると、零郎は語りだした。

 

「いや…日向がな、二郎丸が帰って来た時のために天ぷらの練習をしていたんだ。」

 

「え?母上は料理が上手なのでその必要はなかったんじゃ無いですか?」

 

「より美味い天ぷらを作りたかったらしい。」

 

「はぁ、」

 

「そして三週間、毎日晩飯として出続けていたんだ。」

 

「…うわぁ。」

 

要約すると、もう天ぷらは食べたくないらしい。

流石にこれには二郎丸も引いてしまった。好物であっても三週間同じ物を食べるのは流石に辛いのだ。

 

そういえば兄上の最終選別の時も帰ってくるまで兄上の好物である牛筋煮込みが毎日夕食に出てたような。

 

「今回に限っては、兄上はもう天ぷらを食べたくないから敢えて遠方の任務に出向いたんですか?」

 

「かもしれんな。」

 

結局、二郎丸と杏寿郎が零郎と三郎助の分の天ぷらも食べ尽くしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「乾杯。」」

 

すっかり夜が更けた頃、零郎と槇寿郎は酒を飲み交わしていた。

 

「遂に杏寿郎と二郎丸君も鬼殺隊に入隊…か。」

 

「そうだな、時が経つのは本当に早い。」

 

夕食が終わった後、杏寿郎達は帰る筈だったが、三郎助がごねてしまい、結局止まることになったのだ。

因みにその三郎助は千寿郎と遊んでいるうちに寝堕ちしてしまい、二人並んで寝ていた。

 

「そういえば、一朗太君も任務をすごく頑張っているそうじゃないか。」

 

「…あぁ、そうだな。」

 

「ん?どうした。」

 

若干声が沈んだ零郎に対して槇寿郎は尋ねる。

 

「いやな、一朗太を見ていると当時の自分を思い出してな。」

 

「…なるほど。」

 

当時の零郎も結婚するまでは、怪我も厭わず身を削って任務を行っていたのだ。その為、一朗太のことを非常に心配しているのだ。

 

「そういえば、お前は杏寿郎が心配ではないのか?」

 

「俺か?勿論心配だとも。」

 

零郎の質問に槇寿郎はあっけらかんとして答える。

 

「だがな、それ以上に杏寿郎自身のの強さを信じているんだ。」

 

「…ほぉ、できた親だな。」

 

零郎はその答えに感心していた。

 

「確かに、どうなるかは本人次第、俺達は信じるしかないな。」

 

「おぅ。」

 

「それに、一朗太も二郎丸も俺の息子なんだ、弱い訳がない。」

 

「そうだな、であれば杏寿郎は俺の息子なんだ、弱い訳がない!」

 

「その通りだ。」

 

「うむ!ならばもう一度、」

 

「あぁ、そうだな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

強き俺達の子供達の門出を祝い

 

乾杯!





前話の後書きで蛙鬼のことを書くのを完全に忘れてたので、ここに載せます。

※蛙鬼

二郎丸達が最終選別で出会った鬼、体が大きく蛙に似た容姿をしている。
鬼になる前は貧しい生活をしており、苛められっ子であった。
ある日苛めっ子に自分の宝物を奪われて森の中に隠されてしまい、夜になって宝物も見つからず、帰り道も分からなくなってしまったところで鬼にされてしまった。
嘲笑う様な態度は当時の苛めっ子のエミュ、ただし割とガバガバ。
因みに宝物は親が買ってくれた蛙の形をした玩具であり、親からの数少ない贈り物だった。

※「帰る」と「返す」にかけたいと言う安直な考えから、蛙鬼になりました。

番外編はどれを読みたいですか?

  • 隊士訓練で二郎丸が不在時の炎と恋の話
  • スケベ隊服について
  • 炎蛇影の合同任務
  • どうせなら全部書いて
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