墨影二郎丸は影柱(仮)に就任しました   作:トライオ

18 / 24
合同任務

その後、二郎丸は葬儀をおこなった。一人で行うつもりであったが、この件で責任を感じていた杏寿郎が任務を断り一家総出で参加していた。杏寿郎は二郎丸の事を非常に心配していたが、葬儀を終えた後の二郎丸は余りにもいつも通りだった。

幼い頃から飛び抜けて明るい訳ではないが、暗くなる事は一切ない二郎丸だが、それでも杏寿郎は心配になり、大丈夫なのか?後悔はしてないのか?と聞いた。

 

「確かに後悔はしてる、今までで一番辛いよ。けどね、僕以外にもこんな、あるいはそれ以上に辛い想いをしている人はいる筈だからね。そんな人達を、あるいはそうなるかも知れない人達を出来る限り助ける為には、ウジウジしている場合じゃないでしょ?」

 

父上達もそれを望んでいる筈だから

 

その答えはある意味、自分より他人を優先する二郎丸らしい返答だと杏寿郎は思った。

 

「そうか、ならいいが。これからどうするつもりだ?」

 

杏寿郎は今後の任務の予定等を聞いたつもりだったが。

 

「いつも通り、今まで通りにするつもりだけど、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いつか必ず兄上の頚を斬る。」

 

「…え?」

 

二郎丸は違う意味で捉えたようで、その表情は今まで見たことの無い怒りや憎悪がない交ぜになった決意の表情をしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「杏寿郎、二郎丸、宜しく頼むよ。」

 

「「御意!」」

 

二人は御館様直々の命で合同任務にあたることになった。

 

やや遠方の村で行方不明者が増えており、その調査を、そして鬼であったならばその討伐をするように言われたのだ。

 

「よし、どうする?」

 

「そうだね、」

 

早朝から出発して、昼前に到着した二人は何をするか考えるが、答えは殆ど決まっていた。

 

「「飯屋を探そう。」」

 

そして二人は都合よく通りかかった若夫婦に話を聞くことにした。

 

「すみません、この近くに美味しい料理屋はありますか?」

 

「できれば、よく人が賑わう所であれば、嬉しいのだが。」

 

そして二人は近くの定食屋を教えてもらうのだった。

 

 

 

「ごめん下さーい。」

 

「いらっしゃい!」

 

教えられた定食屋に入ると、まだ昼前でも既に何人かの客が訪れていた、そして二人は定員に厨房前の板前に案内され、二人並んで席に着いた。

 

「サバの味噌煮定食を一つ。」

 

「俺も同じものを頼む!」

 

「はい、かしこまりました。」

 

しばらくすると料理が運ばれてきた。

 

「「いただきます!」」

 

食べた感想は一言で言えば美味いであった。じっくり煮込まれたサバは旨味が閉じ込められており、ご飯がよく進む、時折二人で美味い!美味い!と叫んでしまったり、味噌汁をすすった杏寿郎がわっしょい!わっしょい!と叫んだりもしたが、それはまた別の話だ。

 

「兄ちゃん達、本当に美味しそうに食べてくれるなぁ。」

 

「えぇ、美味しいからですね。」

 

「特にこのさつまいもの入った味噌汁が美味かった!おかわり出来るか?」

 

「ははは!そう言ってくれるとこっちも嬉しい限りだよ!」

 

店主であろう恰幅の良い壮年の男が板前越しに話しかけてきた。見るからに人の良い男だと二人は思った。

 

「その制服、ひょっとして兄ちゃん達は鬼殺隊なのかい?」

 

新しく注いできた味噌汁を杏寿郎に渡した後、店主がそう言ってきた。

 

「よもや、鬼殺隊を知っているのか?」

 

「あぁ勿論!たまに来てくれるからなぁ。」

 

どうやらこの店主は鬼や鬼殺隊の存在を知っているようだ。ならば話が早い、何もかも都合が良いと思い、二人はほくそ笑んだ。

 

二人が人が賑わう料理屋を探していたのは、美味い料理を食べたおと思うのもあるが、それは二の次である。一番の目的は情報収集であった。

人が多く訪れる場所には、当然多くの話が入ってくる。そして客とよく話す人の良い店主であれば尚良し、その分店主にも話が行くのだ。

別に行き交う人々に聞いて回るのも良いのだが、知らなかったり、あまり良い情報を聞けない事が良くあるのだ。そして軍人でもなければ警官でもない鬼殺隊がそのような事をすれば当然怪しまれてしまう。であれば、様々な情報を持った者に聞くのが手っ取り早い、そしてその場所が二人にとっては人の賑わう料理屋なのだ。

因みにこれは二人の経験によるものであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここみたいだね。」

 

「うむ、間違いないな。」

 

今回の行方不明者の事を店主に聞いたところ、二人にとって有益な情報をもたらしてくれた。

店主の話によれば、その行方不明者は決まって夜に居なくなるらしく、何かに取り付かれたかのように歩き出してそのまま帰って来なくなるらしい。そしてその向かう方向ははこの村の外れにある地主の屋敷らしかった。

そして怪しいと思った者が屋敷に向かったが、誰一人帰っておらず、誰も手が付けられない状態だった。

それを聞いた二人は定食の代金と少しばかりのお布施を置いて直ぐに地主の屋敷に向かった。そして、辺りに漂う肉の腐った臭いと屋敷の中から感じる不快な気配により、二人は確信した。

 

「二郎丸、どうする?」

 

「どうするって、もうやることは決まってるでしょ?」

 

「あぁ、そうだったな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この屋敷をぶっ壊そう。」

 

二人は建物を壊す方が鬼を殺すよりも楽だと考えているらしく、建物に潜む鬼を討伐すると時、決まってそうしてきたのだ。

そして最終確認とばかりに語りだした。

 

「周りへの被害はどうする?」

 

「この屋敷以外は建物は見当たらない、よってこれは考えないものとする!

他の者への配慮は?」

 

「あの店主の話ではこの屋敷には既に人が寄り付かなくなっているみたいだからね、これも考えないものとする。

屋敷の中の人間の安否は?」

 

「恐らく地主が鬼になっている、そうでなくても既に殺されてしまっていると考えて間違いない。であれば、中にいるのは鬼だけだ!」

 

ならば最終に、と二人は顔を合わせる。

 

「この屋敷の事後処理は?」

 

「全て隠に任せる。」

 

「良し!行くぞ二郎丸!」

 

「了解!」

 

そう言って二人は屋敷の屋根に飛び乗ると、鞘に納めたまま刀を振り回し、瓦を剥ぎ取り垂木や母屋をへし折った。

 

「次に行くよ!」

 

「うむ!」

 

梁と天井であろう板を残して屋根から飛び降りると今度は柱を残して外壁や雨戸を破壊して回った、そして屋敷の中で食い散らかしたであろう人の残骸が見えてきた。

 

「鬼の場所はわかるか!?」

 

「勿論、あっちだね。」

 

二郎丸は鬼特有の悪意と、怯えの感情を感じ取っており、既に鬼を居場所を理解していた。

 

「ならば行くぞ!」

 

そして二人はその方向へ壁を破壊しながら一直線に向かった。するととある一室に繋がり、そこには一体の鬼がいた。

 

「な、なんなんだ貴様らは!?」

 

「「鬼殺隊。」」

 

鬼の問いに二人は答えた。

 

「やはり間違いなかったようだな。」

 

「ならさっさと討伐しよ。」

 

「くそっ!この俺を殺せると思うな!」

 

「「!?」」

 

すると鬼は手のひらから幾つもの肉塊を飛ばしてきた。ただ特別早い訳ではなかった為、二人は危なげなく避ける。が、

 

「え?」

 

「何と!」

 

その肉塊から手足のような触手が生えて再度二人に迫ってきた。

 

「ハハハ!その肉塊に取り憑かれたら最後、この俺の操り人形になるのだ!!」

 

「「成る程。」」

 

聞いてもないが自分の血気術を語る鬼の話を聞いて行方不明事件のタネを二人は理解した。

 

「一旦引くよ。」

 

「うむ!」

 

そして二人は飛び上がると天井を破って梁に飛び乗った。

 

「…あれ?」

 

「よもやよもや。」

 

ふと開けた穴から中を覗くと、陽の光を浴びた肉塊が燃えていた。

 

「杏寿郎。」

 

「うむ。」

 

顔を見合わせた二人は、鬼の居る部屋の天井を全て破壊した、途中で鬼の悲鳴が聞こえた気がしたが、当然無視した。

 

そして再び部屋に降り立ち辺りを見渡すと、鬼は辛うじて光の差さない部屋の隅に張り付くように立っていた。

 

「ヒィィィ!ゆ、許して下さいぃ!」

 

鬼は怯えた表情で都合よく助けを求めていた。だが、

 

「嘘を付くなよ。」

 

「…二郎丸?」

 

それに返事をしたのは二郎丸だった。だが普段の二郎丸からは考えられないような見下し蔑むような目で鬼を見ていた。

 

「お前はただ助かりたいだけ、本当に許してほしい訳ではないでしょ。僕はそんな自分の都合で嘘を付く奴が一番嫌いなんだ、例えそれが人であってもね。」

 

そう語りながら刀を抜いて鬼に近づいて行く。

 

「や…やめ「まぁ、お前は鬼だからどのみち許される訳が無いんだけど…ふんっ!」ぐえっ!?」

 

そして、刃が鬼の頚まで届く場所で立ち止まると、躊躇いなく鬼の喉を刀で貫き日の力任せに持ち上げると、そのまま陽の光が差す場所に乱暴に投げ捨てた。

 

「ギャァァ!!「うるさい。」ーー!」

 

汚い断末魔を上げる鬼の顎を切り落として無理やり黙らせる、そして直ぐに鬼は塵も残さず燃え尽きてしまった。

「…やはり、たちの悪い鬼を前にすると人が変わるな、二郎丸。」

 

杏寿郎は二郎丸に対して苦笑いを浮かべていた。

 

「当たり前じゃん、こんな奴に慈悲はない。」

 

それに対して二郎丸は、さも当然の様に答えるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくすると、隠が事故処理の為にやって来た。「うわ、また派手にやってるよ。」「もっと別の方法を考えないのか?」「だからこの二人の後始末はなるだけやりたくないんだよな~。」と口々に語る中、比較的大柄なの隠が二人に近づいて来た。

 

「お二人共、お久しぶりですね。」

「あ、齊藤さん!」

 

「よもや、齊藤殿か!久しぶりではないか!」

 

話しかけてきたのは、当時最終選別を共に生き残った齊藤であった。

実はあの後、怪我はなんとか回復したのだが、隊士としてはやっていけないと言われてしまい、それでも他の隊士の役に立ちたいと思い、隠となっていたのだ。

 

「おーい、話したいのは分かるが、とにかく手伝ってくれ!」

 

「はい、分かりました!それでは俺はこれで、お二人共、怪我等には気をつけて下さいね。」

 

「はい、ありがとうございます。」

 

「うむ!齊藤殿も気をつけるのだそ!」

 

そして齊藤は集団の中に紛れて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、二人は任務の事を御館様に報告するのだが、それを聞いた御館様もその内容を聞いて流石に苦笑いするのだった。

 




※次回から二郎丸と杏寿郎のIQが溶けます。






今回の鬼の詳細を知りたい方がいれば、次話の後書きか感想の返信に書こうと思っています。

番外編はどれを読みたいですか?

  • 隊士訓練で二郎丸が不在時の炎と恋の話
  • スケベ隊服について
  • 炎蛇影の合同任務
  • どうせなら全部書いて
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。