墨影二郎丸は影柱(仮)に就任しました   作:トライオ

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この話では“恋の呼吸”の独自設定があります。


二郎丸と蜜璃

「力みすぎ、もっと力を抜いて、」

 

「はいっ!」

 

「あー、それは抜きすぎ、刀を握る力は余り緩めないで。」

 

「はいっ!」

 

普段から騒がしい(約一名)炎柱邸が更に騒がしく(+二名)なった今日この頃、杏寿郎は庭で稽古を行う二人の様子を眺めていた。

 

あれから二ヶ月、二郎丸は任務等の合間をぬって、炎柱邸へと足を運んでいた。最初こそ渋々という風であったが、今では蜜璃の事を妹のように可愛がっており、時間がある場合は付きっきりで稽古を行い、最近は戦闘技術以外の事も教える様になっていた。

因みに、稽古の報酬として、稽古に来た日は炎柱低、或いは杏寿郎の奢りで昼食をすませており、さらに新しい戦闘技術の開発を杏寿郎に手伝ってもらっていた。

 

「そう、そして肩から先を鞭を振るように、せいっ!」

 

ゴキャ

 

「あ、」

 

「きゃあぁぁぁぁ!?」

 

稽古の途中、二郎丸の肩が外れてしまい、それを見た蜜璃が絶叫を上げる。

 

「じ、二郎丸さん、かた、肩が」

 

「あー大丈夫ダイジョーブ、ほら。」

 

そう言って自力で肩を嵌め込んで、グルグルと肩を回して見せた。

 

「え、で、でも」

 

「蜜璃、腕が取れた訳ではないのだから余り心配しなくても大丈夫だ。」

 

「師範?」

 

おろおろする蜜璃を見かねてか、杏寿郎が二人の元にやって来た。

 

「そうだね、傷や骨折とかの怪我と違って直ぐに元に戻せるから。」

 

二郎丸は杏寿郎の言葉に同意し、更に補足した。

 

「…ですが、とても痛いと聞いているのですが。」

 

「うん、痛みだけなら我慢すればいいだけだから。」

 

「うむ、その通りだな!」

 

「…そうなんですか?」

 

「「勿論!」」

 

未だに不振に思う蜜璃、だがこの様なやり取りを何度も繰り返すことで、着実に二人の常識を刷り込まれる蜜璃だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「失礼しまーす。」

 

「あ!二郎丸さん、こんにちは!」

 

「こんにちは。あれ、杏寿郎は?」

 

いつもの様に炎柱低を訪れていた二郎丸だが、は杏寿郎がいないことに気づいた。

 

「師範なら任務に行かれましたよ。」

 

「成る程。」

 

言い忘れていたが、蜜璃はまだ鬼殺隊には入隊していない。そのため、杏寿郎は蜜璃を任務に同行させていないのだ。

 

「なら、一緒に街に行く?」

 

「はい!ご一緒させて下さい!」

 

そして、その場合は稽古や娯楽に関わらず、二郎丸が蜜璃を外に連れ出すのが常であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん~~っ、美味しい♪」

 

「そう?なら良かった。」

 

二人は町にある喫茶店を訪れていた。蜂蜜のたっぷりかかったパンケーキを美味しそうに頬張る蜜璃を見て、自然と顔を綻ばせる二郎丸。そんな中、二郎丸はあることを不意に思い出した。

 

「そういえば、あと一ヶ月で最終選別だね。」

 

そう、蜜璃は今年の最終選別に挑む事になっている。刀を握ってから半年も経っていないが、柱二人の指導により、高い能力を身につけている為、蜜璃であれば大丈夫であろうと杏寿郎が判断したのだ。が、呼吸に関してはある意味問題があった。

 

炎の呼吸を教えていた杏寿郎だが、ある時に違和感を覚えた。蜜璃の扱う呼吸が時が経つ事に炎の呼吸からかけ離れていくのだ。ただ、その呼吸に違和感を覚えると同時に何処か既視感を覚えていた。何故かと悩んでいると不意にある人物が頭に浮かんだ。それは共に蜜璃を指導している二郎丸、その瞬間、ある答えが杏寿郎の中で導き出された。

 

蜜璃は“炎の呼吸と影の呼吸を複合した呼吸”を扱っている。

 

そう考えるとあの独特な呼吸についても説明がついた。そこから杏寿郎は呼吸を矯正、修正しようとしたのだが、この複合された呼吸が蜜璃に余りにも良く馴染んでおり、更にそこから独自に発展してしまい、修正が不可能となってしまっていた。

これに関して、珍しく杏寿郎が二郎丸と大喧嘩したのも記憶に新しい。

結局、修正することは諦めて、二人は自分の使う呼吸の型を蜜璃に教えることにした。

 

因みに、蜜璃が一番得意とするのは、影の呼吸 陸の型 『御影石』 。これだけは威力も速度も二郎丸の使う『御影石』に匹敵する程になっていた。

 

「対策とかは大丈夫?」

 

「はい!狩りの仕方や魚の釣り方、あ!後、火の起こし方もちゃんと覚えていますよ!」

 

「ならば良し、だね。」

 

違う、そうじゃない。と、伊黒がこの場に居ればそう叫びそうだが、残念ながら伊黒はこの場には居ない。

その後は近状報告や稽古の成果などを蜜璃から聞き、暫くしてから喫茶店を後にする、 そして少しした後、二人は呉服屋を訪れていた。二郎丸は蜜璃と出掛けるときは決まって何かを買い与えているのだ。

買い与えるものは簪や髪止め等、今回の様に着物を買うことも初めてではない。

 

「じ、二郎丸さん、そこまでしなくても」

 

「いいよ、僕が好きでやってるんだから。それに女の子なんだ、お洒落はするべきだよ。」

 

「そうなんですか?」

 

「当然。」

 

因みに、この様なやり取りも初めてではない。

 

そしてこの日は紅色に牡丹柄の着物と紺色の女袴を買い与えたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後二人は陽の沈まぬうちに炎柱低に帰って来た。

 

「お帰りなさい蜜璃さん二郎丸さん。あれ?蜜璃さん、その着物は」

 

「ただいま、この着物は二郎丸さんが買ってくれたのよ。」

 

「またですか?けど凄く似合ってますよ。」

 

「フフッ♪ありがとう千寿郎君、誉めてくれて嬉しいわ♪」

 

蜜璃を誉める千寿郎と嬉しそうに笑う蜜璃、そしてそれを眺めてドヤ顔をかます二郎丸。

 

「なら、僕はもう帰るよ。」

 

「え、もう行ってしまうんですか?」

 

「うん、夜の見回りは毎日しないといけないからね、そろそろ戻らないと。」

 

「あぁっ、そういえば、そうでしたね。」

 

「そう言うこと、じゃ、また今度。」

 

「はい、ありがとうございました!」

 

「今夜も気をつけて下さいよ!」

 

そう言って二郎丸は走り去って行き、蜜璃と千寿郎はそんな二郎丸を見送っていた。

 




※二郎丸と杏寿郎は鬼を討伐するための練習として蜜璃に狩りをさせてました。一番の理由は擬似的な戦闘訓練の為ですが、グロ耐性を付けさせる為だったり、最終選別で餓死させない為という理由もあります。

番外編はどれを読みたいですか?

  • 隊士訓練で二郎丸が不在時の炎と恋の話
  • スケベ隊服について
  • 炎蛇影の合同任務
  • どうせなら全部書いて
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