墨影二郎丸は影柱(仮)に就任しました   作:トライオ

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今回から二郎丸達の最終選別になります


影柱(仮)に至るまで 最終選別
最終選別 前編


あれから、いろいろな事があった。

 

まず二郎丸が九才の時に弟が生まれた、時を同じくして杏寿郎にも弟が生まれた。それぞれの名は三郎助と千寿郎だ。

 

だが瑠火の病状が悪化し、その二年後に帰らぬ人となった。その影響か愼寿郎が突然柱をやめ、剣を手放し腑抜けになってしまった。が、それを見かねて零郎が自ら愼寿郎の元へ赴き、柄にもなく激を飛ばした、その結果かつて程ではないがいくらか正気を取り戻したのだ。

 

そして翌年に十五才になった一朗太が最終選別を生き残り見事鬼殺隊に入隊した、その時は煉獄家も加わりその事を大いに祝った、また時を同じくして零郎は柱を引退した。

 

二郎丸と杏寿郎がいつの間にか全集中・常中を体得していた、嬉しい反面何故教えてくれなかったのか疑問に思えば、かつての自分を思い出しかなり肝が冷えた。

結果、驚かせようとしていが、その前に気づかれてしまっただけだった。

 

内容はよく覚えていないが十三才になった二郎丸が初めて零郎と喧嘩をした、そしてそのまま家を飛び出して行った、この時何故か杏寿郎を連れ出していた。

そして真夜中になっても帰って来ない二人を心配して愼寿郎と共に死に物狂いで二人を探した、そして見つけた二人はなんと勝手に持ち出した日輪刀で鬼を討伐していた、そして駆けつけた鬼殺隊士に話しかけられている二人を無理やり連れて帰りかつてない程叱りつけた、叱り過ぎて逆に零郎が泣き出して周りにいた皆に大いに引かれた。

 

そして二郎丸は十四才になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「では父上、母上、三郎助、行って参ります。」

 

「あぁ、」

 

「二郎丸、御武運を。」

 

「わかりました。」

 

二郎丸は今日、最終選別へ向かう、その為に家族でお見送りをしてた、だが兄の一朗太は任務に着いており、参加していなかった。

 

「じろーにーさま、がんばってください!」

 

「ありがとう三郎助。あ、母上、帰ったら天ぷらが食べたいです。」

 

「えぇ、たくさん作ってあげるから楽しみにしてて頂戴。」

 

「ありがとうございます、それでは。」

 

そう言って二郎丸は振り返って走り去る、そして二郎丸が見えなくなった後、日向は零郎にもたれかかった。

 

「…あなた、」

 

「日向、不安なのか?」

 

「おかーさま、ないているのですか?」

 

二郎丸は贔屓目無しにかなりの実力がある。だがそうだとしても、親としてあの危険地帯に我が子を向かわせることは不安でたまらないのだ。

 

「だいじょうぶですよ、じろーにーさまはつよいですから!」

 

不安にかられる母を三郎助は元気付ける様に声を上げる。

 

「その通りだ、それに俺たちに出来る事は、二郎丸の信じて帰って来た時のために天ぷらを沢山作っておいてやる事だけだ。」

 

零郎も不安が無いわけではない、だがそれ以上に二郎丸の事を信用しているのだ。

 

「…そうよね!母である私が信じてあげないでどうするの!」

 

「その意気だ、日向。」

 

「あ!おかーさまが笑った!」

 

いつもの活気を取り戻し笑顔を見せる日向を見て三郎助も笑顔になる。

 

「さあ!二郎丸が帰って来た時のために美味しい天ぷらを作ってあげなくちゃ!」

 

そして地獄の天ぷら生活が始まるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最終選別のある藤襲山へ向かう道中、二郎丸は金髪の頭を見つけた、

 

「おーい!杏寿郎!」

 

「ん?よもやよもや、二郎丸ではないか!」

 

その正体は幼馴染である杏寿郎だった、お互いに最終選別を受ける事を知っていたため途中で合流する約束をしていたのだ。

 

「いよいよだね。」

 

「うむ、気を引き締めなければならんな!」

 

「けど、張り切り過ぎるのもダメだよ。」

 

「それもそうだな、寝不足でうっかり鬼に襲われれば一大事だ!」

 

「その通り。」

 

最終選別があるのは明日だ、それまでに藤襲山に近い藤の家紋の家に赴き、当日の明け方に入山する予定である。

そして二人は道中、甘味処に立ち寄っていた。

 

「「うまい!うまい!うまい!」」

 

在庫を全て食い尽くす勢いで団子に饅頭、羊羹等の甘味を頬張る二人、どちらも大量の小遣いを親から貰っており、金の心配をせずに、遠慮無く食べることが出来るのだ。そして〆とばかりにお汁粉を啜り

 

「「ごちそうさまでした!」」

 

代金を払い再び藤襲山に近い藤の家紋の家に向かうのだった。

 

因に、その甘味処は日の高いうちに閉店したそうな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぃ~、やっと着いた。」

 

「中々長い道のりだったな!」

 

二人が藤の家紋の家に着いたのは夕焼けが赤々と空を照らす時だった。それぞれ部屋に案内された後、二人で準備された部屋へと案内された。

夕食の内容はさばの味噌煮、味噌とさばの旨味がぎゅっと詰まっており、それ故にご飯がよく進む、二人して大盛五杯も食べていた。

その後は風呂に入り特に何もすることはないので直ぐに床に就いた。

そして翌日の日が昇る前に起床し日が出ると同時に二人は藤襲山へ向かって行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

梺からの藤林に入り込み、山を登り、山の中腹にある鳥居を潜れば集合場所である社にたどり着くそこには既に十人程集まっていた。その後も人は増え続け最終的には二十人以上にもなった。

そして何処に居たのか、白髪の人形の様に美しい女性が現れた。

 

「始めまして皆様、私は鬼殺隊当主・産屋敷輝哉の妻、産屋敷あまねと申します。これから最終選別について、私から説明させていただきます。」

 

あまね様の話によれば、最藤林を抜けた先は鬼が多く居る、そこが最終選別を行う場所であると、その中で七日間生き抜くこと、それが合格条件であると説明された。

 

「では、いってらっしゃいませ。」

 

そう言ってあまね様は去って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

藤林を歩きながら、二郎丸は杏寿郎に語りかける。

 

「…杏寿郎」

 

「む?」

 

「生きて帰るよ。」

 

「うむ、そうだな!生きて帰って」

 

「「鬼殺隊に入隊する!」」

 

この藤林を抜けてしまえば、己を守るものは己の力のみ。

 

最終選別が今始まる。




※原作の捏造、改変部分

愼寿郎が原作の様な腑抜け状態から既に脱却しています。
杏寿郎が二郎丸の同期です。

番外編はどれを読みたいですか?

  • 隊士訓練で二郎丸が不在時の炎と恋の話
  • スケベ隊服について
  • 炎蛇影の合同任務
  • どうせなら全部書いて

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