インフィニット・ストラトス~死神と呼ばれるIS~リメイク 作:神喰いの王
月曜日の朝。1年1組の教室にて~。
「やっぱりハヅキ社製のがいいなぁ」
「え?ハヅキのってデザインだけって感じじゃない?」
「そのデザインがいいの!」
休み明けの月曜だというのにクラスの女子たちはカタログ片手にわいわいと賑わっていた。
「そういえば、織斑くんとマックスウェルくんのISスーツってどこのやつなの?見たことないけど」
「あー。特注品だって。男のスーツがないから、どっかのラボが作ったらしいよ。えーと、元はイングリッド社製のストレートアームモデルって聞いてる」
「ふぁ~・・・俺のはウィナー社のフルオーダーメイドでな俺と俺の専用機に合わせて一から設計したらしいぜ」
「え!?一から作ってもらったの!?」
「おう。なにせ俺のデータを元に開発されたからな、予備合わせて三着しかないんだよ。その上、結構金が掛かってるらしいから、あのスーツ一着で高級車一台買ってもお釣りが来るらしいぜ~」
あ、これオフレコな、と口に指を当てて眠気まなこでいうデュオだが周りの女子たちはそれほどの制作費に軽くショックを受けていた。
「な、なぁデュオ・・・。あのさ、訊きたいことがあんだけど・・・」
「ん~なんだよ、一夏?宿題なら見せねぇーぞ、IS関連の知識ならまたにしてくれ。もうすぐHRが始まっちまうし、俺はいますっげぇ眠いんだよ」
女子たちがショックを受けている中、一夏は昨日の事を訪ねようとしていた。
「ち、ちげーよ!そうじゃなくて、昨日い「いつまでそんなところで惚けている!もうすぐ予鈴がなるぞ!席に付け!!」ゲッ!千冬姉だ!?悪いデュオ、また後で聞くわ!」
「ほ~い。・・・なんだったんだ?」
教室に入ってきた千冬と真耶を確認した一夏は脱兎のごとく自分の席に戻りそんな一夏をデュオは不思議そうに首を傾げながら見送った。
「今日から本格的な実践訓練を開始する。訓練機ではあるがISを使用しての授業になるため各人気を引き締めるように。各人のISスーツが届くまでは学校指定のものを使うので忘れないようにな。忘れたものは代わりに学校指定の水着で訓練を受けてもらう。それもないものは、まあ下着でも構わないだろう」
(姉御~。ここに健全な男子が二人いますよ~!水着ならまだしも下着とか・・・色々とマズイっすよ~・・・一夏はともかく特に俺が!!)
千冬の発言にデュオは内心でツッコミを入れるが届くはずもなく、ドンドンと話は進んでいく。
「ええと、ですね。今日はなんと転校生を紹介します!しかも二人です!」
「は?」
「え・・・?」
「「「ええええええっ!?」」」
麻耶の突然の転校生発言にデュオは周囲のざわつき、デュオは軽く困惑した。
(この時期に転校生?それも俺にはなんの情報も無かったぞ?一体どこの国だ?)
「静かにしろ!」
ざわつくクラスを千冬の一喝で静め、真耶は教室の外にいる二人の転校生を中に招き入れた。
「失礼します」
「・・・・」
(・・・は?)
入ってきた二人、正確には金髪の人物を見た瞬間、デュオは今日二度目の驚愕をし眠気は完全に吹き飛んだ。
それはクラス全員にも言える事であった。
なぜなら、その金髪の人物は――――-男であったのだから。
そして、デュオはその人物をよく知っているからだ。
「しゃ、シャルー!?お、おまっ!何でお前がここにいんだよ!?」
「でゅ、デュオ。お、落ち着いて・・・」
ガタンッ!と勢いよくたったデュオは目の前の人物『シャルル・デュノア』に詰め寄った。
「いやいや!落ち着けと無理な話だろ!?っていうか、お前っておn「ワアーーーー!!!」ムグゥっ!?」
デュオが言い終わる前にシャルルはデュオの口を塞ぎ大声を上げて遮った。
スパーンッ!!
「ふげっ!?」
「喧しいぞマックスウェル。とっとと席へ戻れ」
「ッ~~へ、へ~い」
スパァンッ!!
「返事は、はい、だ」
「は、はいぃ・・・」
二度の千冬の出席簿をくらいデュオはすごすごと席へと戻った。
デュオが席に着くのを見送ると真耶は改めてシャルルに自己紹介を促した。
「えっと、シャルル・デュノアです。フランスから来ました。この国では不慣れなことも多いかもしれませんが、皆さんよろしくお願いします」
シャルルはにこやかに挨拶をした。
しかし、クラスの大半は呆気にとられていた。
「お、男・・・?」
「(ビクッ)は、はい。こちらより僕と同じ境遇の方達がいると聞いたので本国より転入を――――-」
シャルルは肯定するときデュオからものすごい視線を感じたシャルルは一瞬怯えたように肩をビクつかせながらも説明しようとしたのだが、
「きゃ・・・・」
「はい?」
「きゃあああああっーーーーーー!!!」
「?!?!」
ソニックウェーブかと勘違いするほどのクラスの中心から歓喜の叫びが上がり、シャルルに気を取られていたデュオはそれをまともに受け、悶絶してた。
「男子!3人目の男子!!」
「美形!守ってあげたくなる系の!!」
「しかもマックスウェルくんとただならぬ関係の予感!!」
「地球に生まれて良かった~~~!!」
何やら一部の腐女子達がデュオとシャルルの関係を察知して喜んでいるが、当のデュオは先ほどのソニックウェーブで未だに耳を押さえてピクピクと痙攣している。
「あー、騒ぐな。静かにしろ」
非常に面倒くさそうに千冬がぼやく。その表情はとても鬱陶しそうにしていた。
「み、皆さんお静かに。まだまだ自己紹介が終わっていませんから~!」
決して忘れていたわけではないが、最初の一人があまりにも衝撃的すぎて忘れていたが、転校生は2人なのだ。
もう一人の転校生は一人目のシャルルの金髪とは対照的な銀髪、銀というよりも白に近い白銀。それも腰まであるほどの銀髪であった。そして印象的なのは左目の眼帯。
容姿は妖精にも似た可愛さがあるのだが、如何せん彼女の放つ雰囲気で全てが台無しであった。
それは軍人。
「・・・・」
「・・・挨拶をしろ、ラウラ」
「はい、教官」
「ここではそう呼ぶな。もうお前の教官ではないし、ここではお前は一般生徒だ。私のことは織斑先生と呼べ」
「了解しました」
返事をした少女、『ラウラ・ボーデヴィッヒ』はピッと伸ばした手を体の真横に付け、足を踵で合わして背筋を伸ばしている。彼女の纏う気配は完全に軍人のソレであった。
「ラウラ・ボーデヴィッヒだ」
「・・・・・・」
クラスメイトたちは続く言葉を待っていたのだが、待っていたのは沈黙であった。
「あ、あの、以上・・・・ですか?」
「以上だ」
空気にいたたまれなくなった真耶が出来うる限りの笑顔で尋ねるが、ラウラは無慈悲なほどバッサリと冷たく切り捨てた。
「!貴様が――――-」
突然、ラウラは視線があった一夏の顔を確認すると一瞬、驚愕した顔になるとツカツカと一夏の前に立ち、
バシンッ!
「・・・・・」
「う?」
「はっ!?ここは誰?俺は何処?・・・・じゃなくて、なんか
「私は認めない。貴様があの人の弟であるなど、認めるものか」
クラスメイトの音波攻撃から復活して開口一番に馬鹿なことを口走ったデュオは置いておいて、一夏は突然自分に起きたことを整理した。整理した後・・・
「いきなり何しやがる!」
「ふん・・・・」
いきり立つ一夏を無視しラウラは空いている席に座って腕を組み目を閉じて微動だにしなくなってしまった。
それを見たデュオは、
(うっわ~。あの軍人の空気に眼帯・・・ドイツ軍の特殊部隊『黒ウサギ隊』だな。確か姉御が初めて会ったとき、ドイツ軍から情報貰ったって言ってたよな・・・っつーことはアイツが一夏を嫌悪しているのはそれ関連か?)
と、そこまで考えて溜息を吐いた。
本当に一夏は厄介事を引き寄せる特殊な磁場でも発しているのではなかろうか?と勘ぐってしまうぐらいであった。
「あ~・・・ゴホンゴホン!ではHRを終わる。各人すぐに着替えて第二グラウンドに集合。今日は二組と合同でIS模擬戦を行う。解散!」
パンパンと手を叩いて千冬が行動を促す。
「ほら、一夏。いつまでもむくれてないで、さっさと更衣室に向かうぞ。今から行ってギリギリなんだからよぉ」
「・・・分かってるさ」
デュオが先ほどの事で腹が立っている一夏を抑えながら急かす。一夏も内心で腹が立っている筈だが、そうも言ってはいられない。何故なら、今すぐにここを出ないと女子と一緒に着替えなくてはいけなくなるからだ。
「おい織斑、マックスウェル。デュノアの面倒を見てやれ。同じ男だろう」
「え゛?」
千冬の言葉を聞いたデュオがピタリと止まった。
「えっと、君が織斑くん?初めまして、僕は――――-」
「ああ、いいから。とにかく移動が先だ。女子が着替え始めるからな。って、デュオどうしたんだよ、そんな所で固まってお前が急げって言ったんだろ?」
「お、おおぅ。そ、そうだったなぁ!」
デュオは若干どもりながらもシャルルの手を取ると一夏を追い抜いて教室を出た。
「って、俺を置いていくなよ!」
「ウルセー!遅いお前が悪いんだよ!」
足早に第二アリーナの更衣室に向かう三人の前に彼ら(の教室移動時)にとって最大の敵が現れた!
「ああっ!転校生発見!!」
「しかも、織斑くんとマックスウェルくんと一緒よ!」
そう、彼等の最大の敵とはHR直後に情報先取のために各学年各クラスから尖兵が放たれるのである。彼女らに捕まれば最後、質問攻めにあったあとに遅刻、鬼教師の特別カリキュラムという三連コンボが完成するのだ。恐るべし話題好きの女子高生・・・!!。
「いたっ!こっちよ!」
「者共、出会え出会えい!」
なにやらほら貝まで吹く女子が出始めいつの間にか戦国時代にタイムスリップしたのだろうか?勘違いしてしまうノリであった。
「織斑くんの黒髪やマックスウェルくんの茶髪もいいけど、金髪って言うのいいわね!」
「しかも瞳はエメラルド!」
「きゃああっ!見て見て!二人!手!手繋いでる!!」
「しかもあの二人、知り合いって情報よ!」
「日本に生まれてよかった!ありがとうお母さん!今年の母の日は河原の花以外のものをあげるね!」
「ハァハァ!デュオ×転校生・・・・いいわね!嫌いじゃないわ!!」
最後、腐海の住人がいたが今のデュオ達にそんなことを気にする余裕などなかった。
「クソッ!もう包囲されちまったぜ!」
予想以上の展開の速さにデュオは悪態をついた。
「な、なに?何でみんな騒いでるの?」
「そりゃ、男子が俺たち三人だけだからだ」
「……?」
そのデュオの後ろでシャルルがなぜこんなに騒いでいるか訪ね一夏が答えるもシャルルは意味も分からず首を傾げるのみであった。
「普通に珍しいだろ?ISを操縦できる男は俺たちだけなんだから」
「あっ!――――-ああ、うん。そうだね」
「二人共、今はそんな事をしてる場合じゃねぇぜ!」
デュオの言うとおり、女子包囲網はジリジリと距離を縮めデュオたちに迫って来る。
「デュオ!どうする!?」
「・・・・こうなったら」
「え、デュオ?――――-ってひゃっ!?」
「は?」
「キャーーーーー!!!!!」
突然のデュオの行動にその場にいた女子だけでなく近くにいた一夏驚愕した。
デュオはシャルルの手を引き抱き上げた。所謂『お姫様抱っこ』である。
「んじゃあ、一夏!あとは任せたぞーーー!!」
「ひゃああっ!!」
「えええっ!?」
シャルルをお姫様抱っこしたデュオは後ろの窓を開けたあと、その場を飛び降りた。因みにここは二階である。
飛び降りたデュオは備え付けのパイプや窓の縁などを利用して落下の勢いを殺し無事に着地。そのまま人一人抱えているとは思えないほどの速度で走り去っていってしまった。
余談であはあるが、デュオが飛び降りた場所から、裏切り者ー!や、やっぱりデュオくんが攻めでデュノアくんが受け!?などという叫びが聞こえたが、デュオたちが聞こえるはずもなかった。
プシューと圧縮空気が抜ける音を聞きながらデュオは第二アリーナの更衣室へと入っていった。
「あ、あの・・・。デュオ?えっと・・・」
「ん?ああ、悪い。シャル、今下ろすぜ」
シャルルを下ろす時にシャルルは一瞬勿体無さそうな顔をしたがデュオはそれよりも聞きたいことがあった。
「さって、一夏ならしばらくは来ないだろうから、説明してもらうぜ。シャル」
「・・・・・」
問いただすデュオにシャルルは視線を足元に向けるだけで答えようとしない。
「・・・・なんだって“女”のお前が男の格好をして学園に入学したんだ?趣味でやってるわけじゃねぇよな?」
「違うよ!」
「じゃあ、何でだよ?」
「・・・・・」
デュオは再度シャルルに問いかけるも帰ってきたのは沈黙のみ。
そんなシャルルにデュオはハァ~と溜息を吐いた。
「ったく、これじゃあこっちが苛めてるみたいじゃねぇか。・・・・わかったよ、とりあえずは今は聞かないでおいてやる。ただし、夜もう一度聞かせてもらうからな」
「・・・・うん。ありがとう、デュオ」
(仕方がねぇから姉御と交渉してシャルと一緒の部屋にして貰うか)
「まっ何にしても、さっさと着替えようぜ?まだ少し余裕があるといっても、早く着くに越したことはないしな。一夏が来る前に着替えちまおうぜ」
「う、うん。そうだね・・・・あっち向いててね?」
「手伝ってやろうか?」
「もう、バカ!」
「アダッ!?」
デュオの冗談をシャルルは少し顔を赤くしながらデュオの頭を小突いて後ろを向かせた。
「あ、後色々と後回しになっちまったが、久しぶりシャル。会えて嬉しいぜ」
デュオはシャルと背中を向けて着替えている時にそんな言葉を投げかけた。
「う、うん・・・。ぼ、僕もまた会えてう、嬉しいよ・・・・」
デュオは後ろを向いていて気づいていないがシャルルの顔はこれでもかっというくらいに真っ赤であった。
「ハァハァッ・・・・」
二人が着替え終えると同時に息を切らせた一夏が更衣室へと駆け込んできた。
「おっ!遅かったじゃねぇか一夏」
「で、デュオ!お前な~!!」
デュオに置き去りにされ先程まで群がる女子達から必死に逃げていた一夏は自身に対して愉悦笑いを浮かべるデュオに詰め寄ろうとしたが、寸でのところでシャルルに止められてしまった。
「ま、まあまあ織斑くん落ち着いて!デュオは悪気があって置いてった訳じゃないんだから・・・」
「グッ・・・・」
「そうだぞ~。お前なら逃げ切れるて思ったから置いてっただからな。そう怒んなって」
「うぐぐっ・・・」
納得はしてないがそれでも怒りを収めようとする一夏に対しデュオは更衣室にある備え付けの時計へと視線を向ける。
「やっべ!シャル、行くぞ。遅刻しちまう!!」
「へっ!?ちょ、また置いていくのかよ!?」
「恨むんなら遅れてきた自分を恨むんだな!シャル急ぐぞ、遅刻なんてしたら姉御の出席簿が火を噴いちまう!!」
「ご、ごめんね、織斑くん!!」
「デュノア、お前もか!?」
流石に転入初日で叱られたくないのかシャルルは心底申し訳なさそうに一夏に謝るとデュオの後を追っていった。
更衣室から薄情者~~!!という叫びが聞こえたが二人は振り返ることなくアリーナへと向かっていった。